前世で見れなかった物語の続きを   作:マジンガーD

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総武高校編の前にいろはちゃんサイドの話を書きました。
①は3話と4話です。
①は振り返りの話なので見てもつまらないと思う方がいらっしゃると思います。
②は話に出て無い部分も書こうと思ってます。


一色いろは①(一色いろは視点)

一色いろは 中学2年生

趣味はお菓子作りに自分磨き

お兄ちゃんと別れて3年が経ち、お兄ちゃんと再会できるまで2年をきりました♪

 

私は今、お菓子作りの材料を買うために近くのスーパーまで来ています。

食べてもらいたい人がいないから作る目的を見失っちゃうんですけど、2年後のお兄ちゃんとの甘々な高校生活を送るために日々精進なんです。

 

私がお兄ちゃんと出会ったのは、小学校に入学する時でした。

その時の私は恥ずかしがり屋さんの人見知りちゃんで、お兄ちゃんがせっかく話しかけてくれたのに勇気が出せなくて、何も話す事が出来ませんでした。

ですが、そんな私に転機が訪れます。

いつもの様に2人で登校しようとしたら、お兄ちゃんが左手を差し出してきたんです。

私はママと繋ぐみたいにお兄ちゃんの手を握ると、お兄ちゃんの驚く声が聞こえ、自分のしてしまった事に恥ずかしくなっちゃいました。

握っていた手を急いで離そうとしたんですが、お兄ちゃんは離してくれません。

恥ずかしくて俯いてしまったら、

 

「手を繋ぐの嫌かな?」

 

悲しげな声が聞こえてきました。

すると、今度はお兄ちゃんが手を離そうとしてきたんです。

私はさっき離そうとしていたお兄ちゃんの手が急に恋しくなって、離したら2度と繋げないと思い、おもいっきり握りしめました。

 

「手を繋ぐの嫌じゃない」

 

こうして、お兄ちゃんとの手繋ぎデートが始まったんです。

 

テヘッ♪

 

お兄ちゃんとの距離は、日に日に近くなっていきます。

お兄ちゃんとなら恥ずかしさが薄れ、たくさんおしゃべり出来ました。

 

そんな時です、あの出来事が起こってしまったのは、

私はお兄ちゃんのトレーニングが終わるのを待てなくて2人で公園に行く事にしました。

2人というのは、私と"くまだもん"で、

"くまだもん"というのは、お兄ちゃんと私の愛の結晶です。

その"くまだもん"が近所の悪ガキに連れ去られそうになってしまい、必死に"くまだもん"を引っ張ります。

 

〈ブチッ〉

 

私の耳に嫌な音が聞こえてきました。

その瞬間後ろに飛ばされて、尻餅をついてしまいましたが"くまだもん"を離す事はしませんでした。

走って逃げようと"くまだもん"を見ると、愛くるしい癒し顔がありません。

私は涙が込みあげてくるのを止める事ができませんでした。

 

「うぇーーーん!」

 

声を聞いて私のヒーローが助けに来てくれるように、大きな声で泣きました。

 

その時です。

 

「いろはちゃん、大丈夫!?」

 

私のヒーローの登場です。

冷めていた心を撫でてくれ、冷めていた体を抱きしめてくれました。

彼の温かさに私の心と体は包まれていきます。

そんな私のヒーローは1人の悪ガキを殴り飛ばしました。

胸が高鳴ります。

ここからは、彼のヒーローショーです。

 

ですが敵が4人に増えたのを期に形勢が変わってしまいました。

 

私のヒーローが殴られました。

 

私のヒーローが蹴られました。

 

私のヒーローが殴られました。

 

私のお兄ちゃんが蹴られました。

 

私のお兄ちゃんが殴られました。

 

私のお兄ちゃんが・・・・・・。

 

もうやめて、私のお兄ちゃんをいじめないで・・・。

私の大切な人を・・・・・。

 

私は恐くて動く事が出来ませんでした。

お兄ちゃんを助けに行く事も出来ませんでした。

 

そしてお兄ちゃんは糸が切れた人形の様に倒れてしまい、私はすぐに側に駆け寄っていきます。

悪ガキ達はお兄ちゃんが倒れるのを見て、公園を出て行きました。

 

「お兄ちゃん・・・グスン」

 

お兄ちゃんのかっこいい顔が傷だらけになっていた。

お兄ちゃんの鍛えた体が傷だらけになっていた。

 

私が動く事が出来なかったせいで、

私が助ける事が出来なかったせいで、

私が弱かったせいで・・・・・。

 

「心配かけてごめんね、いろはちゃんは大丈夫?」

 

お兄ちゃんは私の事を心配してくれる。

私が弱かったせいなのに。

お兄ちゃんに謝らないと、ごめんなさいしないと。

 

でも、お兄ちゃんに嫌われたくない。

 

「うん。・・・でも、"くまだもん"が」

 

謝る事が出来ませんでした。

私はお兄ちゃんに嫌われるのが恐くて謝る事が出来ませんでした。

 

「それじゃあ、お家に帰ろうか」

 

お兄ちゃんが、こんな私に手を差し出してくれる。

 

(ギュッ)

 

私はこの手を離さない。

 

私はこの手を離せない。

 

離してしまったら、2度と触れられなくなってしまいそうだったから。

 


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