ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

77 / 143
18

0番ハンガーにF-23を収容し横付けされた梯子を使って恐る恐る機体から降りてくるカズヤを額に幾筋もの青筋を浮かばせながら恐ろしい程にニッコリと笑う千歳が出迎えた。

 

「まずは……ご無事でのご帰還何よりです、ご主人様」

 

カズヤが顔を覆っていたヘルメットを脱ぎ、顔を見せると千歳が口火を切った。

 

「え、あぁ、ありがとう」

 

安堵の言葉を漏らした千歳から漂って来る怒りのオーラに怯え、引き吊った笑みで返事をするカズヤ。

 

……やっぱり怒ってるよなぁ。

 

表情は思わず見惚れてしまう程、にこやかなのに目がちっとも笑っていない千歳がツカツカと歩み寄って来る間、カズヤは断頭台に立つ死刑囚のような気持ちを味わいつつ若干俯き加減で視線を地面に固定し、その時を待った。

 

しかし、千歳の行動は折檻を受けると予想し俯いているカズヤの裏を行った。

 

「本当に……ご無事で良かった……」

 

棒立ちで佇むカズヤを全身を使って千歳が包む込む。

 

「ち……とせ?」

 

予想とは違う千歳の行動に泡を食ったカズヤは小刻みに震える千歳の体を抱き締めながら狼狽えていた。

 

「……下さい」

 

「えっ?」

 

「お願いですから、もう……もう、このような行動はお止め下さい……ご主人様に何かあったらッ!!」

 

抱き締め合っていた体を少しだけ離し、潤んだ瞳でカズヤを見つめ懇願するように千歳が言葉を紡ぐ。

 

「……あぁ、分かった。すまなかった」

 

「お分かり頂けたのなら……いいんです」

 

心配を掛けすぎたな……これからはもう少し自重するか。

 

千歳の必死さに良心を激しく刺激されたカズヤは内心で深く後悔していた。

 

そして再び抱き付いてきた千歳の頭を労るように優しく撫でていた。

 

やはり、この手の問題には直接的な手段に訴えるよりご主人様の良心を刺激した方が効果的だな。

 

……まぁ、ご理解頂けなかった場合はこれを使うだけだったが。

 

だが、頭を撫でられている千歳が全て計算ずくで動いていたとは、また自身のポケットの中に突っ込まれているモノ――片手だけの手錠からリードが伸び、そしてリードの先には首輪が付いている――の存在を思い出し使えなかった事に千歳が若干の後悔を抱いているとはカズヤが知るよしも無かった。

 

 

「さて、それでは……ご主人様」

 

「ん?」

 

「私の部屋に逝きましょうか」

 

衆人環視の中で頭を撫でられていた千歳がタイミングを見計らってそんな言葉を口にした。

 

「なぁ、千歳。もしかして……まだ怒ってる?」

 

惚れ惚れするような笑みを浮かべている千歳の瞳から未だに怒りの炎が消えていない事、また言葉のニュアンスが妙だった事に気が付いたカズヤはタラリと汗を流す。

 

「はい♪」

 

「さっきので手打ちじゃ……?」

 

「それとこれとは話が違いますよ、ご主人様。お仕置きは受けて頂きます。……取って置きのを」

 

逃げようとしたカズヤの右腕を自分の両腕でガッシリと掴み、更に豊満な胸で挟み込んで拘束し愉しそうに軽い足取りで部屋へ向かう千歳。

 

そして、抵抗は無駄だと知りながらも全身の力を抜くという小さな抵抗をしつつ無情にも引き摺られていくカズヤ。

 

「お、お待ち下さい!!副総統!!」

 

そんな2人の行く手を遮る者は誰もいないかと思われたが、未だに残る問題に対処せねばならないため伊吹が立ち塞がる。

 

「なんだ?伊吹。……あぁ、心配するな。お仕置きになら後で混ぜてやる」

 

「え、あ、ありがとうござい――ではなく!!まだ問題は片付いていません!!ですから、お仕置きは全ての問題が片付いてからに!!」

 

思わず千歳に買収されかけた伊吹だったが、気を取り直して千歳に食って掛かる。

 

「……チッ、分かった」

 

問題の先送りにしかなっていないが、とりあえず助かった。と小さくため息を漏らすカズヤの右腕を抱いたまま、小さな舌打ちを1つした千歳は不満気に自分の部屋から司令本部へと進路を変更した。

 

 

「さて……残ったベヒモスをどうするか、だが……」

 

陽が沈み外が闇に包まれた頃、カズヤはパラベラム本土に居残っている将軍達や各部門の長達を会議室に召集しベヒモスを撃滅するための作戦会議を開いていた。

 

しっかし、こいつはまたクソ面倒な……。

 

カズヤの悩みの種はつい先程、作戦会議の開始直後に舞い込んできた2つの緊急報告にあった。

 

それはベヒモスが背負う火山から出現時とは比べ物にならない程、大量の噴煙が吹き出し凄まじい量の火山灰が周辺に降り注ぎ始めたという現場からの報告と過剰な衝撃――具体的には核やケラウノス(神の杖)を使うと火山が大噴火を起こす可能性があるという学者達からの報告である。

 

そして、その2つの報告が意味するのは航空戦力とパラベラムの切り札であるケラウノス、核の使用不可であった。

 

「では、もう一度最初から頼む。千歳」

 

「ハッ、現在ベヒモスから半径100キロ圏内では火山灰が舞っているため航空機は飛行出来ません。またベヒモスに過剰な衝撃を与え破局噴火を引き起こしてしまった場合、噴火の規模は地球にあるイエローストーン並みになると予想されています」

 

「はぁ……最悪の状況だな」

 

核やケラノウスを使えば簡単にベヒモスを倒せるだろうが……その後の被害がシャレにならん。

 

よかった……ベヒモスの出現直後にケラノウスを使わなくて……。

 

改めて突き付けられた事実にカズヤは早まらなくて良かった。と胸を撫で下ろしていた。

 

「いかがされますか、ご主人様?」

 

「うーん、どうするかな……最初は航空戦力の集中運用で倒すつもりで、それがダメならケラノウスを、それでもダメなら……核を使うつもりだったからなぁ……MA弾は製造途中の10発分しかないから使えないし、正直言ってお手上げだ」

 

降参、とばかりに手を上げたカズヤの姿に会議室では失笑が溢れた。

 

「ま、冗談は置いといて……今の状況で俺達が出来る事は限られているんだ。だから、その限られた中で最善を尽くせばいい」

 

「そうですね」

 

「まぁ、それでもかなり分の悪い賭けになるが」

 

「それは致し方ないかと……何しろ不確定要素が多すぎますので」

 

「ま、やれるだけやるだけだ。――千代田、地図と説明を」

 

「はい、マスター」

 

カズヤの呼び掛けに千代田が答え、作戦地図を会議室の液晶画面に映し出し作戦概要の説明を始める。

 

「これは統合参謀本部が立案した幾つかの作戦案の中で一番成功率が高いと思われる物です。おおまかに説明すると既に放棄された城塞都市バラードの後方にある川幅1キロのネラル川にベヒモスを誘導。ネラル川にベヒモスが入り動きの鈍った所へ地上部隊の全火力を集中し一気に叩くという至ってシンプルな物になっています。なお、ベヒモス撃滅に参加する部隊は元々このエリアの攻勢を担当していた海兵隊第5師団及び陸軍第4師団、そして隣のエリアからロシア軍装備の陸軍第12師団が応援に駆け付けます。加えて前線司令部のラーテや各種列車砲、付近に展開しているアサルトアーマー等も全て投入する予定になっています」

 

「言うなれば――目には目を歯には歯を、物量には物量をデカブツにはデカブツを、の理論だな」

 

千代田の説明の後、カズヤが言葉を付け加えた。

 

「さて、作戦開始は24時間後だ。各員最善を尽くしてくれ」

 

「「「「了解」」」」

 

作戦の細部についての議論がなされたのち、作戦計画書が皆に手渡されカズヤが解散を告げると会議室に詰めていた将官達は自分の部署に帰って行った。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「さて、ご主人様?」

 

「ハヒッィ!?」

 

将官達に続き、会議室を後にし無言のままスタスタと早歩きで歩き出したカズヤの肩を千歳がトントンと叩くと、カズヤが狼狽えまくった声を出し可哀想な程にビクッと跳ね上がる。

 

「……ゴホン。な、何かな?千歳」

 

「作戦開始まで後24時間あります。ですから少なくとも4〜5時間は自由な時間が取れるとは思いませんか?」

 

「……いやいや、まだ色々とやらなきゃならない事が目白押しだろ?なぁ、伊吹?」

 

「……」

 

助けを求めるようにカズヤが後ろにいる伊吹に視線を向けると、伊吹はバツが悪そうにフイッとカズヤから目を逸らした。

 

何故、目を逸らすんだ!!伊吹!!

 

お前だけが頼りなんだ――……あれ、もしかして……お仕置き参加権で買収された?

 

唯一の救いである伊吹から裏切られ、ある予想が頭をよぎったカズヤの考えを裏付ける発言を伊吹が漏らす。

 

「……最近、ご無沙汰でしたから」

 

「……」

 

オーマイガッ!!

 

「では逝きましょうか、ご主人様?」

 

「……お許し下さい、カズヤ様」

 

ガシッと右腕を掴んだ千歳と申し訳なさげに、しかし強い意思を秘め左腕を掴んだ伊吹がカズヤを引き摺る。

 

……まだだ、まだ手があるはずだ!!

 

受けてしまったが最後、暫くの間、足腰に大ダメージを与えるであろう、お仕置きを何とかして回避したいカズヤは千歳と伊吹に引き摺れながらも諦めてはいなかった。

 

「あっ、カズヤ様!!」

 

「……チッ、余計なヤツが来た」

 

と、そこへある人物が合流を果たす。

 

「このセリシア、会議が終わるのを一日千秋の想いでお待ちしておりました。それで、あの……図々しいとは思いますが、戦果に見合うご褒美を頂きたく参りました」

 

「……」

 

突然現れ、廊下のど真ん中で膝をつき頭を垂れるセリシアにカズヤは戸惑っていた。

 

「ダメ……でしょうか?」

 

「いや、褒美については問題ないが……その前に色々と聞きたい……まず……何でアデルが猿轡を噛まされて簀巻きにされて転がっているんだ?」

 

「ムウゥゥゥ〜〜!?ムウゥゥゥ〜〜!!」

 

カズヤの視線の先には縄でグルグル巻きにされミノムシのような状態で唸り声を上げるアデルが廊下の脇に転がっていた。

 

「ハッ、先の戦闘の際、アデルもかなりの数の魔物を倒したと聞きましたので、ついでに連れて参りました。そうでもしないと、この娘は恥ずかしがってカズヤ様の前に出れませんから」

 

「……なんか恥ずかしがっているって言うより、怒ってないか?」

 

「カズヤ様、それは照れ隠しにございます」

 

「ムゴォォーー!!」

 

「……いや、怒ってるって」

 

眉を吊り上げ唸り声を上げ続けるアデルを見てカズヤはセリシアに遠回しに解放してやれという視線を送る。

 

「大丈夫ですよ、カズヤ様。お気になさらないで下さい。今はただスイッチが入っていないだけですので」

 

「スイッチ?」

 

「はい。普段は以前の様な、不遜な態度を取りますがスイッチが入ればアデルは誰よりもカズヤ様に尽くす従順な女になります。そのように調――いえ、洗――……教育しておきましたので」

 

「そ、そうか……」

 

褒めてと言わんばかりのセリシアの言葉に何も言えなくなったカズヤは乾いた笑いで答えた。

 

「それでカズヤ様、ご褒美の件なのですが……是非とも私とセリシアを一緒に可愛がって――」

 

「ご主人様、先を急ぎましょう」

 

セリシアとカズヤの会話を遮るように千歳が口を挟んだ。

 

「……お待ち下さい、まだ私の話は――」

「後にしろ、ご主人様はお忙しいのだ」

 

「っ……分かりました。この場はお譲り致します」

 

圧倒的な権力を背景にセリシアの抗議を一睨みで退けた千歳が勝ち誇った様に笑ってその場を後にしようとした時だった。

 

「――お〜に〜い〜さ〜〜〜ん!!」

 

「グハッ!?」

 

「ご主人様!?」

 

弾丸と化した小さなヤンデレ姫、イリスがカズヤの胸に飛び込んだ。

 

「んぅ〜〜〜お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、お兄さん、スーハー、スーハー、スーハー、あぁ、お兄さんのいい匂いっ!!スーハー、スーハー。あ、そうだ。お兄さんっっ!!怖かったです!!たくさん魔物が押し寄せて来たって聞いてとっても怖かったんです!!だから、今日は私と一緒に寝て下さい!!それから、いい子、いい子って頭を撫でて下さい!!後は後は――あれ、お兄さん?大丈夫ですか?」

 

「グフッ……あんまり……大丈夫……じゃない……」

 

千歳と伊吹に両腕を掴まれていたためイリスの突進の衝撃を受け流す事が出来ず、衝撃をもろに受けたカズヤは苦悶の表情を浮かべていた。

 

「イリス、貴様……ご主人様に何て事を!!」

 

「……あれ、居たんですか貴女?まぁ、いいです。お兄さん、こんな人放っておいて行きましょう。私の部屋で介抱してあげます」

 

「っ、ご主人様のお情けで寵愛を受ける事が出来ている分際で私を虚仮にするか貴様……いい度胸だ」

 

「フフッ、お兄さんを引き留めておける自信が無いからってお兄さんを独占しようとする貴女にそんな事、言われたくないです」

 

「フンッ、カナリア王国を併合する駒としての利用価値しか無かった貴様が大きく出たな。私の手助けが無ければご主人様の寵愛を受けることすら出来なかった癖に。少しはしおらしくしてみせたらどうだ?」

 

「ッ、戯れ言を……遅かれ早かれ私はお兄さんのモノになっていました。それにお兄さんも貴女のような年増――熟れきって腐った果実より、私の瑞々しい青い果実の方がいいに決まっています」

 

「……何を?」

 

「……何か?」

 

「「……」」

 

黙り込んだイリスと千歳の視線が空中で交わりバチバチと火花を散らす。

 

「……どういう状況だ、これは?」

 

「うーん……カズヤを巡る女の戦いみたいだね、お姉ちゃん」

 

ジズと魔物の襲来に際し司令本部の地下シェルターに避難していたフィーネとリーネが先に外へ出て行ったイリスを追ってカズヤ達と合流を果たした。

 

「……立て込んでいるようだから、後にしましょうか」

 

「もぉ〜!!お姉ちゃんは消極的すぎるよ!!あんまり消極的だと居場所が無くなってカズヤの寵愛を受けられなくなるよ、それでもいいの?」

 

「っ!?それは……困るわ」

 

「じゃあ、行こうよ」

 

「え、えぇ!!」

 

イリスに続いてフィーネとリーネまでもが修羅場に参戦したことにより司令本部のとある廊下では混沌が広がっていた。

 

「えぇい!!何度言ったら分かる!!我々が先約なんだ!!貴様らは後にしろ!!」

 

「副総統の言う通りです!!だから道を開けなさい!!」

 

「いやです!!私がお兄さんに愛でてもらうのが先です!!」

 

「ちょっと待ってください、私達も今すぐカズヤ様の寵愛を受けたいのを順番だと言われて泣く泣く我慢しているんです。貴女が我が儘を言うのは勝手ですが、それは私達の後にしてください。ねぇ、アデル。貴女もそう思うでしょ?」

 

「ムガッ!!ムガ〜〜〜〜!!(俺を!!巻き込むな〜〜〜!!)」

 

「えぇ〜〜順番なんて卑怯だよぉ!!だって順番通りなら私とお姉ちゃんが最後になっちゃうしぃぃ……それに最近私達は回数が少なかったんだよぉ?だから私達に譲ってくれてもいいと思うんだけど!!」

 

「そ、そうだそうだ!!」

 

「……」

 

美少女、美女に取り合いをされている身としては嬉しいんだが……実にカオスだ。

 

というか、旧カナリア王国領と旧妖魔連合国領を統治する代官としてカレンとアミラに現地に行ってもらっておいて良かった。今ここに2人がいたら更に混沌の度合いが濃くなる所だった。

 

大別すると4つからなる派閥の争い――自身の奪い合いを眺めながらカズヤは嬉しいような困ったような、ため息をコッソリと吐いた。

 

「――……マスター、少し宜しいですか?」

 

混沌とした廊下で唯一、争奪戦に参加していなかった千代田が隙を見てカズヤに耳打ちをする。

 

「なんだ、千代田?」

 

「先のご命令の件ですが、私の分身(予備の生体端末)が当該兵士達を無事に保護したと連絡が入りました」

 

「そうか……それは一安心だな」

 

「ですが……少し厄介な問題が……」

 

「厄介な問題?何か――」

 

「何かあったのですか、ご主人様?」

 

「えっ?」

 

千代田の言い淀んだ姿に気を取られていたカズヤが、その声にハッとして振り返るとそこには先程まで争奪戦の渦中の真っ只中にいたはずの千歳がいた。

 

しかも、よくよく見てみれば修羅場がいつの間にか収まり、皆の不安気な視線がカズヤに集中している。

 

「ち、千歳?いつの間に……」

 

「いえ、何やら千代田が怪しい動きをしたので……漁夫の利を取られるかと」

 

「……」

 

「姉様、ご安心下さい。その時は姉様もご一緒です」

 

「うむ、そうか。悪かったな千代田、疑って――それで厄介な問題とは一体何なのですか、ご主人様?」

 

「いや……それは……」

 

「……それは?」

 

口ごもるカズヤにより疑惑の目を向け、圧力をかける千歳。

 

そして、千歳の圧力に耐えかねカズヤが事の全容を吐露するのは5分後の事であった。

 

「親衛隊の面汚しめッッ!!」

 

カズヤと千代田からおおよその説明を受けた千歳が第一声に放ったのは怒気混じりの苛烈な罵声であった。

 

「ご主人様の信頼を無下にしただけでも許せないのに、幾多の独断専行に部隊の私兵化?更に自軍の基地を襲撃し輸送機を奪っただと?――千代田、今すぐその愚か者共を一人残らず殺せ!!加担した者共もだ!!」

 

怒り狂った千歳に慌てたのはカズヤである。

 

「ちょ、ちょっと待て千歳!!落ち着け!!」

 

「これが落ち着いていられますかご主人様!!よりにもよって親衛隊の箔付きがこのような事態を引き起こしたと知れれば親衛隊の沽券に関わります!!いえ、沽券などどうでもいいです。それよりもご主人様をお側でお守りする親衛隊の隊員がこのような問題を起こした事が問題なのです!!」

 

「分かった、分かったから……とりあえず事が落ち着いてから遥斗達を軍法会議の場に召還し処罰を決める。それでいいな?」

 

「ご主人様がそう言われるのであれば否はありません――ですが、軍法会議を開いた所で今すぐの銃殺刑が後の絞首刑に変わる程度ですよ?」

 

「……それでもだ。事実関係を確かめない事には始まらん」

 

「……承知致しました」

 

カズヤの最終的な判断に千歳は渋々頷いたのだった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。