ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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身支度を整えた千歳や女性士官達を交え、カズヤは今後の方針を決める会議を開いていた。

 

さて、多少の問題があったが気を取り直してこれからの事を決めるか。

 

「そうですね、ご主人様」

 

「……勝手に人の考えを読むんじゃない千歳」

 

「ご主人様の考えていることならなんでも分かりますよ」

 

「…………」

 

なんか襲われてから千歳のヤンデレ具合が増している気がする。

 

……ま、まぁいいか。

 

そういえばレベルって上がっているのかな?

 

能力のレベルが上がっているかを確認するべく、カズヤはメニュー画面を開く。

 

 

 

[神の試練・第一]

・第一の試練クリアー。

 

おめでとうございます。

 

レベルが19まで上昇しました。

 

能力の制限が緩和されました。

 

 

[召喚可能量及び部隊編成]

歩兵

・1000(一個大隊)

 

火砲

・200

 

車両

・450

 

航空機

・250

 

艦艇

・50

 

※火砲・車両・航空機・艦艇などを運用するために必要な人員はこれらの兵器を召喚する際に一緒に召喚されます。

 

※後方支援の人員(工兵・整備兵・通信兵・補給兵・衛生兵)は歩兵に含まれておらず別途召喚可能となっており現在召喚できる後方支援の人員は師団規模までとなっています。

 

※歩兵が2〜3人で運用できる範囲の重火器・小火器の召喚の制限はありません。

 

 

 

レベルが一気に上がってるな、まぁあれだけ魔物を殺したしな。

 

それはそうと戦力の増強も出来るようになったし本格的な基地を作ろうか。

 

このままここに――いや待てよ。

 

ここはカナリア王国とエルザス魔法帝国の国境付近にある森だし本拠地は別の所に作った方がいいな。

 

「なぁ、千歳?」

 

「基地の事でしたら――」

 

……マジで心読めるの?

 

千歳の読心術に恐れを抱くカズヤであった。

 

その後、カズヤは千歳達と相談し本拠地となる大規模な基地は今いる場所から400キロ離れた海上に浮かんでいる佐渡島ほどの大きさの無人島に作ることとなった。

 

「さて、開拓or要塞化と行きますか」

 

駆逐艦を召喚し無人島に到着したカズヤは能力をフルに使って島の開拓と要塞化を開始。

 

チート万歳と言わんばかりのスピードで開拓と要塞化を進めて行く。

 

カズヤが無人島を歩けば軍港や飛行場、司令本部などを含む様々な施設が建ち並び、砲兵陣地や対空陣地、レーダーサイト、塹壕、・高射砲塔、V2用地下式サイロなどの軍事設備がところ狭しと召喚され配置される。

 

しかも、カズヤは軍事施設以外の各種インフラや兵士の娯楽施設なども充実させていた。

 

また島の地下には核シェルターや各種物資の貯蔵庫、武器兵器弾薬の生産施設を作り、備蓄した物資で能力に頼らず兵器や弾薬を作れるようになっていた。

 

「……完成」

 

「お疲れ様でした、ご主人様」

 

そうして本来であれば膨大な時間と資金、人手を必要とする本拠地製作は瞬く間に終了した。

 

「あ、そうだ。大陸側の拠点にあの防御陣地も作り直しておくか」

 

「そうですね、それが宜しいかと」

 

本拠地となる基地が完成した後、カズヤは最初に作った防御陣地を拡張し前哨基地を作り始める。

 

「こっちは本拠地の規模縮小バージョンにしておこう。それの方が何かと都合が良いだろうし」

 

「えぇ、ここをあまりに大規模にしますと帝国と王国が動くかもしれませんから」

 

前哨基地はほとんど本拠地と同様の施設、設備が召喚されていたが、こちらは万が一に備え施設や設備には偽装が施され空から見ても森の一部にしか見えないように考えて作られていた。

 

ちなみにカズヤは現在までに2つの基地を作ったが能力の制限により今以上の兵士、兵器が召喚出来ないため両基地の守備兵力は500人、後方支援要員は1万人ずつと基地の規模に反して守備兵力が足りておらず、また兵器も不足しているため生産施設は常時フル稼働の状態になっている。

 

「この状況は少しマズイな……」

 

「はい、現在我々と敵対している勢力がいないのが救いですが万が一敵が現れ攻撃を受けた場合、守備兵力が足りず各個撃破される可能性があります」

 

そんな会話を交わしながらカズヤは千歳と共に両基地に配備した兵力と兵器が記載されている報告書を読んでいた。

 

うーんやっぱり兵士も兵器も足りないな……。

 

それに前哨基地に優先的に陸上兵器をまわしたから本拠地の防衛の主戦力が海上戦力だけになっているし。

 

さて、どうしたものか……。

 

この先、カズヤは深刻な兵力不足と兵器不足に頭を悩ませる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

20両程の軍事車両が出発の時を今か今かと待っていた。

 

「出撃準備整いました。千歳中佐」

 

「分かった。 ――ではご主人様」

「あぁ、行くか」

 

カズヤがこの世界に来てから約2ヶ月が経った。

 

これまでは物資の備蓄や兵器の生産、本拠地の拡張、基地周辺に出没する魔物の討伐に精を出していたカズヤだったが、いつまでも本拠地に閉じこもっていてはしょうがない。と判断し千歳率いる親衛隊一個小隊を連れて旅に出ることにした。

 

ちなみに召喚時、少佐であった千歳が中佐に昇進しているのは召喚した兵士の人数が大隊規模まで増えた為に繰り上がりで昇進したからである。

 

……というのは表向きの事情で本来ならば、カズヤは大隊規模まで増員する時に階級は据え置きで中佐階級の人物を召喚するつもりだったのだが。

 

「よし、追加の兵士を召喚するか」

 

 

「了解しました」

 

「副官役の中佐は……」

 

「ッ!?……副官役の……中佐?………………ご主人様、私はもうお払い箱ですか?」

 

満面の笑みを浮かべた千歳が恐ろしいオーラを纏い、光の消えた暗い瞳でカズヤを見つめながら歩みを進める。

 

「……え、あっ!?こ、これは違うんだ千歳!!」

 

一瞬、千歳の言葉の意味が分からなかったカズヤだったが、その危険な笑みを見て自分の失敗を悟った。

 

「何が違うんですか、ご主人様?私には飽きてしまわれたのですか……?」

 

感情の抜け落ちた言葉を紡ぎながら千歳は更にカズヤとの距離を詰める。

 

ヤ、ヤバイ……。

 

しかし、カズヤも危険なオーラを放つ千歳から離れようと少しずつ後ろに下がるため2人の距離は一定を保っていた。

 

「だ、だから!!千歳に飽きたとかそういう事じゃない!!千歳にはいろいろと軍務を掛け持ちでもやってもらっているから上の階級の人物を召喚して楽をさせてやろうと思っただけなんだ。――ッ!?」

 

か、壁が!?

 

カズヤが咄嗟に思いついた言い訳を言って更に後ろに下がろうとした時、部屋の壁に当たってしまい逃げ場を失った。

 

「そんなお気遣いは無用です……」

 

「あ、いや、あの……な?ち、千歳?」

 

ついに逃げ場を失ったカズヤがワタワタと慌てふためいているのを尻目に千歳は壁に両手をついてカズヤを壁と自身の身体で閉じ込める。

 

その上で鼻が触れ合う寸前まで顔を近づけた千歳は暗い瞳でカズヤの目をしっかり見据えながら言った。

 

「私に飽きていないのだったら私を昇進させて副官を続けさせてくれますよね……?」

 

「わ、分かった昇進させて副官を続けさせるから!!」

 

千歳の放つオーラや瞳孔の開ききった暗い瞳に恐怖を覚え、カズヤが耐えきれずそう言うと千歳の雰囲気が一変した。

 

「それならいいんです。ご主人様」

 

千歳が顔に浮かべた笑みはいつもどうりだったが目だけは暗い瞳のままだった。

 

――という出来事があり千歳は中佐に昇進したのである。

 

 

「それじゃあ基地のことを頼んだぞ、ミラー中佐」

 

「ハッ、お任せ下さい」

 

カズヤと千歳がいない間、前哨基地の司令官代理をやることになったミラー中佐に後を任せ、カズヤ達は秘密の地下通路を使い前哨基地から出発する。

 

「出発」

 

「全車両、前へ!!」

 

号令と共に車両のエンジンが唸り、兵士や補給物資を満載した軍用トラックなど8両を中心に武装ジープ(M20 75mm無反動砲かM2重機関銃を搭載)3両、M8装甲車3両、サイドカー付きのバイク4両、計18両の車列が進む。

 

進み出した車列の車両に乗っているのは、千歳が選抜し編成した親衛隊一個小隊60人である。

 

「いよいよだな」

 

「はい」

 

地下通路の行き止まり、最終地点に到着するとそこは車両を地上に出すためのエレベーターが拵えられている。

 

そのエレベーターによってカズヤ達が地上に出るとそこはカナリア王国が整備した街道の側にある林の中だった。

 

「こちら指揮車。全兵員に告ぐ。わざわざ言わなくても分かっていると思うが我々はこの世界の知識をある程度しか持っていない。文化の違いなどでくれぐれも現地住民と争いを起こさぬよう留意するように」

 

『『『『了解』』』』

 

「では、出発!!」

 

カズヤの声と共に車列が最寄りの都市を目指し進み始める。

 

「ご主人様、今さらですが車両を使用してよろしかったのですか?この世界の移動手段の主流は馬車などですから我々は目立ちますが……」

 

「まぁ、しょうがない。連れてきた親衛隊60人分の武器、弾薬、食料、医療品、その他諸々のことを考えると馬車を使うよりは車を使ったほうが効率的だろ。それに能力の制限がなければ馬車でもよかったが、山賊や魔物と戦闘になった時に追加の兵器や物資が召喚出来ないんだ。なら最初からある程度は携帯しておかないといざという時まずいだろ」

 

「それは、そうですが……」

 

「もしも何か聞かれたらマジックアイテムだとか答えておけばいい。それにこれから先、現代兵器を使っていくことになるんだ。どのみち目立つ」

 

要らぬ注目を浴びることに懸念を示す千歳とカズヤがそんな話をしながらしばらく走行していると無線機から声が聞こえ、すかさず千歳が無線機を取る。

 

「……あぁ、分かった。――ご主人様。直掩機である地上支援機仕様のB-29からの報告です。我々の進行方向に3キロ程進んだ街道で数台の馬車がバグの群れに襲われているそうです。どういたしますか?」

 

無線機を片手に地図に問題の地点を書き込みつつ千歳がカズヤに問い掛ける。

 

「……うん……見捨てるのも気分悪いしな助けよう。千歳、無線機を貸してくれ」

 

「どうぞ」

 

「全車両に通達。聞いていたと思うがこの先で馬車がバグの群れに襲われているらしい。レベル上げついでに助けるぞ総員戦闘準備」

 

『『『『了解!!』』』』

 

千歳に無線機を返すとカズヤも戦闘準備に入る。

 

そして魔物に襲われている一団を救うべく、カズヤ達は急ぐ。

 


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