ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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イリスのターン。

ヤンヤンしてます(汗)


23

様々な魔法薬やその材料となる素材、魔法薬の調合に必要な道具が納められたカナリア王国の王城の一室。

 

魔法薬学の勉強の一環と称し、人払いがなされたその部屋の中にイリスとイリスの専属メイドの姿があった。

 

「ひ、姫様……あの、言われた物は全て言い付け通りに揃えましたが……」

 

「ありがとうございます」

 

「そっ、その……一体何をなさるおつもりで?」

 

「それは……秘密です。もう下がって構いませんよ」

 

「え、あ、あの姫様?」

 

「ウィレス、もう一度言います下がりなさい。――……あぁ、それとこの事は誰にも言ってはいけませんよ」

 

「は、はい……承知致しました」

 

心配そうな視線を送ってきていた自分のメイドを強引に下がらせたイリスは1人っきりになった部屋の中で不敵に笑う。

 

「アハッ、アハハハ!!これで材料は揃いましたし、後はうまく調合するだけです。待ってて下さいねお兄さん♪」

 

イリスはカズヤに思いを馳せながらメイドに用意させた様々な材料を手に取り、あるものを作るため材料の調合を始める。

 

「えっと、これは……こうで……」

 

部屋の片隅に置かれている本棚から取り出した禁書をイリスは真剣な顔で読む。

 

そして、とある理由で禁書指定された本とにらめっこしながら材料を磨り潰し溶かし合わせ調合していく。

 

「――それとワイバーンの髭。ふぅ……とりあえずここで確かめてみましょう」

 

ある物の完成まで後一歩というところでイリスは調合の成果を確かめて見ることにした。

 

「はい、飲んで下さい」

 

透明なビンの中に入っている、数十種類の絵の具を混ぜたような毒々しい色の液体を別の容器に移したイリスは試験用に準備しておいたネズミにその液体を飲ませた。

 

「うわっ……すごい……でもちょっと効きすぎかな……まっいっか」

 

液体を飲んだネズミが予想以上の効果を発揮しているのを見て一瞬、悩んだイリスだったがすぐに悩むのを止めて作業に戻る。

 

「最後に私の血を入れてっと」

 

手に取った小さいナイフで指に傷を付け、イリスはビンの中に自らの血を1滴垂らす。

 

ポチャン。とイリスの血がビンの中に落ち混ざった瞬間、毒々しい色をしていた液体がスゥーっと無色透明に変化した。

 

「っ……出来ました。これで後はお兄さんにこれを飲ませたら……。ふふっ、ふふへへ」

 

イリスは目的の物が出来た事で達成感に酔いしれながら欲望に満ちた、しまりのない笑みを口元に浮かべ1人悦に浸っていた。

 

「ジュルリ。さて、お兄さんを捕まえに行きましょうか」

 

口から垂れたヨダレを拭い、部屋を一通り片付け証拠を隠滅したイリスは自分で作ったある物を宝物のように大事に抱き締め、今現在カナリア王国の王城を所用で訪れているカズヤを捕らえるべく用の済んだ部屋から元気よく出て行った。

 

 

「チュウ!!」

 

「チュ〜!?」

 

そしてイリスが居なくなり無人となった部屋の中では、イリスによって液体を飲ませられたネズミが血走った目でメスのネズミに覆い被さり盛んに腰を振っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

カナリア王国での所用を終えたカズヤがパラベラム本土に帰ろうとしていた時だった。

 

「ひ、姫様!!お待ちください!!」

 

「姫殿下!!お待ちを!!」

 

「ん?」

 

聞き慣れた言葉と声が聞こえ、カズヤは声のする方に顔を向けた。

 

「お兄さん!!」

 

「うおっ!?イリスか?どうした?突然」

 

直後、曲がり角から飛び出して来たイリスがカズヤの胸に飛び込む。

 

「(……いいから下ろせ)」

 

胸の中で目を細め小動物のように頬擦りを繰り返すイリスの頭を撫でてやりながらカズヤはイリスが曲がり角がら飛び出して来た直後、携帯しているH&K HK416の安全装置を外し発砲態勢に入っていた親衛隊の隊員に視線でHK416の銃口を下ろさせ、同じく武器を構えていたレイナとライナを下がらせた。

 

「んふっ、あのお兄さん。美味しいお菓子が手に入ったんです。私の部屋で食べていきませんか?」

 

あの人が居ない……チャンスです!!

 

カズヤの匂いを十分に堪能し顔を上げたイリスは、千歳が居ないこの千載一遇のチャンスを逃してなるものかとばかりにカズヤの腕をグイグイと引っ張り自分の部屋へ連れて行こうとする。

 

「姫様、またその様な我が儘を……」

 

そこにようやく追い付いて来たフィリスとベレッタが諦めの表情を浮かべながらイリスをカズヤから引き離そうと手を伸ばす。

 

「っ、ダメ……ですか?」

 

引き離されてはかなわないばかりにイリスはカズヤにギュッとしがみつき、捨てられた子犬のような上目遣いでカズヤに尋ねる。

 

「……うーん。大丈夫だぞ、少しぐらいなら」

 

「いいのですか、ご主人様……?」

 

「よろしいのですか、ご主人様?」

 

「あぁ、分かってるよ」

 

イリスの訴えるような切なげな上目遣いに押し負けたカズヤは確認するように声を掛けてきたレイナとライナに返事を返す。

 

「やった!!早く行きましょうお兄さん!!」

 

「いいのか?カズヤ」

 

「大丈夫だ。多少の融通は効く」

 

イリスに引っ張られながらカズヤは申し訳なさげな表情を浮かべるフィリスに笑って答え、部下に予定の変更を伝える。

 

「お兄さん、早く早く!!」

 

「分かった、分かった」

 

苦笑しながらカズヤはイリスに手を引かれ部屋に向かった。

 

 

「むぅ……」

 

これは予想外です、計画に変更が必要ですね。

 

本来の計画であればカズヤと2人っきりでお茶会をして、その際に例のブツを使おうと考えていたイリスはカズヤと一緒に付き添いとして部屋に入ってきたレイナとライナに対し敵意の籠った視線を向ける。

 

「……美味しいですか、お兄さん?」

 

「あぁ、うまいなこれ」

 

カズヤはクッキーのようなお菓子を食べながらイリスの問い掛けに笑顔で頷いた。

 

「お2人も良かったらどうぞ」

 

念のためこれを用意しておいて良かったです。

 

イリスは邪魔者を排除するためカズヤの後ろに控え、給仕に徹するレイナとライナに別の皿に盛られていたお菓子を差し出す。

 

「いえ、私達は……」

 

「お気遣いなく」

 

「そんな事言わずにレイナとライナも食べてみろ、うまいぞ」

 

イリスにお菓子を差し出されたレイナとライナは申し出を辞退しようとしたが、カズヤに促されたためおずおずとお菓子に手を伸ばし口にした。

 

「おいしい……」

 

「おいしい……です」

 

「な?」

 

お菓子を口にして思わずといった風に感想を漏らす2人にカズヤは我が子を慈しむ父親のような視線を送りつつ笑っていた。

 

 

「――なんですよ。お兄さん」

 

「ハハハ、そうなのか」

 

カズヤとイリスの会話が弾み、レイナとライナがお菓子を口にしてから5分程経った時だった。

 

「……ぁ……っ……なん……で?」

 

「ぁれ?……ぇ……か……らだ……お……かしい……」

 

カズヤとイリスが会話を楽しんでいるとレイナとライナがふらふらと横に揺れ始め、遂には床にパタリと倒れてしまった。

 

「レ、レイナ!?ライナ!?」

 

突然の出来事に驚いたカズヤは慌てて2人に駆け寄る。

 

……やっとです。

 

睡眠薬を仕込んでおいたお菓子を食べたことで2人が深い眠りに落ちた事を見て取ったイリスは暗く冷たい笑みを浮かべ、カズヤの背後でこっそりと例のブツを口に含む。

 

「大丈夫か!?レイナ、ライナ!!おい、誰か――んむっ!?」

 

――コクコクコク。

 

「んちゅ……はぁ……フフッ、お兄さん大丈夫ですよ?お2人はただ眠っているだけですから……ね?」

 

カズヤが人を呼ぼうと振り返り口を開いた瞬間、カズヤにキスをして有無を言わさず口移しでブツを飲ませたイリスが興奮した顔で妖艶に笑う。

 

「イリス何を――ガッ!?」

 

イリスの突然の行動と言葉の意味を咎める暇もなくカズヤの体に異常が発生した。

 

熱いっ!!体が……血が燃える!!

 

身体中がカッと燃え上がるようなその謎の現象にカズヤは思わず額を床に擦り合わせるように小さく踞り己の体を抱き締める。

 

「イ……リス、俺に……何を……ッ!!」

 

「フフフッ、お兄さんとの初めてのキス……あまぁい♪」

 

カズヤが必死に体の内で暴れまわる激情を抑え込んでいるのを余所にイリスは唇を人差し指で艶かしく擦りカズヤの唇に自分の唇が触れた感触を思い出しながらファーストキスの悦びを味わっていた。

 

「イリス!!」

 

「っ……あぁ、なんですか?お兄さん」

 

カズヤの呼び掛けに我に返ったイリスは踞るカズヤに歩み寄り、カズヤの目の前に膝を付いた。

 

「俺に、何を飲ませた!?」

 

「そう心配しないでください。飲ませたのは……少し?強力な媚薬と惚れ薬を混ぜた魔法薬――『貴婦人落とし』ですから」

媚薬に……惚れ薬だと!?

 

イリスの口から飛び出した単語にカズヤは最悪の状況を悟った。

 

「本来だったら男性が使うことの多い魔法薬なんですけど……う〜ん。お兄さんにはあまり惚れ薬が効いていないみたいですね。……まぁ代わりに媚薬の方はバッチリ効いているみたいですけどウフフッ」

 

イリスはズボンを突き破らんばかりにその存在をアピールしているカズヤのモノを見てペロリと舌舐めずりをする。

 

生憎と精神強化(強)があるんでな惚れ薬の類いは効かん。

 

カズヤは煮え滾る体を理性で押さえ付けながら、そんな事を考えていた。

 

「っ、ふぅ……惚れ薬はちゃんと出来てたはずなのに……はぁ……どうしてなんでしょう……んくっ……私なんてほんの少し飲んだだけなのに……もうっ!!……体が、体がどうしようもない程熱くてお兄さんの事しか考えられないのにっ!!」

 

「な……に?」

 

まさかっ!?

 

カズヤはイリスの熱の籠った言葉にギョッとして視線を上げた。

 

「はぁ……はぁ……お兄さぁん――私をお兄さんのものにして下さい♪」

 

口移しで貴婦人落としを飲ませる際に少量ではあるが貴婦人落としを自分で飲んでしまったためカズヤへの想いが否応なしに増幅。

 

イリスは体を火照らせ色欲に満ちた眼差しをカズヤ送りむっとするような歳不相応な色気を振り撒いていた。

 

ヤバイ!!このままだと!?

 

「だ、誰か!!」

 

「無駄ですよ、お兄さん。声や音が外に漏れないように簡単な魔法障壁を張ってありますから」

 

このままではなし崩し的にイリスを襲ってしまうと考えたカズヤは外部に助けを求めるため大声を出したが、イリスの事前準備の賜物によって阻まれてしまう。

 

クソッ、それなら!!

 

「お兄さん?もう、無駄な足掻きをして……欲望のままに私を襲ってくれたらいいのに……」

 

精神力を振り絞りヨロヨロと立ち上がって扉に向かって進んでいくカズヤをしょうがないなぁ。とばかりにイリスは微笑み眺めていた。

 

「もう……少し……」

 

そして、カズヤの手が部屋の扉にあと僅かで届こうとした時だった。

 

「お兄さん、こっちを見てください♪」

 

「っ……?なっ!?」

 

――ブチッ!!

 

熱に浮かされぼんやりとする思考の中で、カズヤはイリスの弾んだ声に何の疑問も抱かぬまま振り返ってしまった。

 

「青い果実はお嫌いですか?まだ熟れていませんが、きっと美味しいですよ。フフッ」

 

ビチャビチャに濡れた下着を脱ぎ捨て、着ていたドレスの裾を持ち上げ潤んだ瞳でこちらを見つめるイリスを目にした瞬間、カズヤの理性の紐は引き千切れてしまった。

 

「あ、あああ、あああぁぁぁぁアアアァァァァーーー!!」

 

理性を失ったカズヤは外にいる部下に助けを求める事など完全に忘れ、獣のような雄叫びを上げてイリスに突進し邪魔なドレスを荒々しく引き裂き押し倒す。

 

「あんっ、お兄さんったら強引ですっ♪」

 

そんな野獣のようなカズヤをイリスは嬉々として迎え入れ、念願の夢が叶ったことに無上の悦びを噛み締めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

お菓子を食べていた部屋の隣にあるイリスの寝室。

 

「……やっちまった」

 

欲望を全て吐き出し賢者になったカズヤは両手で頭を抱えていた。

 

「っ……すごっ……過ぎ…っ…ですよ……お兄……さん……まだ……お腹の…中が………チャプチャプ……してますよ?」

 

カズヤの側で幸悦とした表情を浮かべ女の顔で横たわるイリスが息も絶え絶えに言葉を口にする。

 

「起きたのか、イリス」

 

「っ……はい」

 

イリスに視線を向けた際に、シーツに付いた赤い染みが目に入りカズヤは改めてどうしようかと頭を悩ませる。

 

そこへ、イリスが止めを刺す。

 

「お兄さん♪これで責任……取ってくれますよね?♪」

 

「……イリス。そのこと――」

 

「ね、お兄さん。私の初めてをあんなに手荒く散らしてしまったんですよ?」

 

「……」

 

「それに体力が尽きて許しを乞う私を無理やり押さえ付けて何度も何度もたっっっくさん子種を私のお腹の中に出しましたよね?」

 

「……」

 

「気持ち良かったですか?私の中は?……気持ち良かったですよね、だってお腹がポッコリ膨れるぐらい、いっぱい出してくれたんですし」

 

イリスは膨れた下腹部を労うように優しく撫でながら続ける。

 

「……」

 

「フフッ、もう確実に孕んでしまっていますよ?だ〜か〜らぁ〜、お・に・い・さ・ん♪」

 

――責任取りますよね?

 

カズヤの顔に手を添えて顔を背けることを許さず、鼻先が触れ合うまで自分の顔を近づけた状態でイリスはワラって告げた。

 

「……」

 

カズヤはイリスの問い掛けにただ黙って頷く事しか出来なかった。

 


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