ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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びっくりするぐらい仕事が忙しい……。


更新速度上げたいんだけどなぁ……(泣)




妖魔連合国への派兵の準備が着々と進められているパラベラムでは国防・軍事を統括する司令本部にカズヤを筆頭とした各部門の長が一同に会し報告会議が開かれていた。

 

「次、特殊作戦軍長官。妖魔連合国で活動中の特殊部隊はどうなっている?」

 

「ハッ、特に目立った人的被害もなく全部隊、順調に任務をこなしております。また各部隊の活躍により帝国軍の指揮系統に乱れが発生しまた補給物資が届かなくなっているため進軍がほとんど停止しています」

 

時間稼ぎのつもりで送ったけど思っていたよりも効果があったな。

 

カズヤは妖魔連合国各地で帝国軍に対し様々な妨害工作や破壊工作を行ってゲリラ戦を展開している特殊部隊の戦果を聞いて満足げに頷いた。

 

「じゃあ次、輸送軍長官。妖魔連合国までの街道の整備・拡張及び鉄道網の構築、物資の輸送計画はどうなっている?」

 

「ハッ」

 

カズヤの声に答えるように輸送軍長官が立ち上がり手に持った書類の内容を読み上げた。

 

「まず街道の整備・拡張及び鉄道網の構築ですが、順調に進んでおります。この調子であれば予定されていた期間内には全ての工程を終えることが出来ます。次に物資の輸送計画ですが、予想されている物資の消費量の3倍の量を準備し必要な分を必要な時に必要な場所へ届けることが可能なように手配済みです。詳しくは報告書の15ページをご覧下さい」

 

「よし、分かった。あと何か報告のあるものはいるか?」

 

カズヤの問い掛けに数人が手を挙げた。

 

「じゃあまず情報省長官から」

 

「はい。まずエルザス魔法帝国についてですが、偵察衛星や高高度偵察機を使用し領土内を徹底的に調べた結果、城塞都市での戦闘で現れた空中要塞と同等の物が新たに3つ見つかりました。しかしその3つは上層部の建築物が完成していないため建造中と思われます。また空中要塞以外にも陸上型、海上型問わず移動式の要塞らしき物体を複数個発見しました」

 

「また面倒な物を……。こっちの戦力が整うまで待ってはくれないか……。まぁいい、それらの要塞から目を離すな24時間監視しろ。いざとなれば通常弾頭装備のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)かICBM(大陸間弾道ミサイル)の集中運用で吹き飛ばしてしまえ。他には?」

 

カズヤが情報省長官の報告を聞いてあからさまに顔をしかめながら続きを促した。

 

「はい。海を挟み1万5千キロ離れた向こうにあるレガリス帝国のことなのですが、予備の偵察衛星を使って偵察した結果驚くべきことが分かりました」

 

「なんだ?」

 

「レガリス帝国は第一次世界大戦並みの技術力――兵器を保持しているもようです」

 

……あれ?俺、この世界に来る前に『これから貴方が行く世界は魔法や魔物が存在しているファンタジーな世界です』っていう説明を受けたんだが……。どうなってるんだ?これだとSFファンタジーの世界みたいじゃないか……。

 

……突っ込んだら負けか?というか、もうなんでもありになってきたな。……そういやフィリスもなんか言っていたような気が……。

 

「……第一次世界大戦並みの技術力を持っているならなぜ、レガリス帝国はこっちの大陸に来ないんだ?領土欲がないのか?」

 

そんなことを考えながらカズヤがふと思い付いた疑問を情報省長官に投げ掛けると長官から答えが帰ってきた。

 

「それがレガリス帝国は現在、大規模な戦争を行っている模様でこちらに手を出す余力がないのだと思われます。またこちらの大陸とあちらの大陸の間にある霧の海という超大型の海中生物が生息している危険海域があるため危険を犯してまでわざわざこちらに来ないのだと思われます」

 

霧の海ねぇ……それが天然の壁になっているから、こっちの大陸とあっちの大陸は発展の度合いが違うのかな?……まぁいい。いくら考えた所で分からん。

 

「そうか。じゃあ一応レガリス帝国の動向も監視しといてくれ」

 

「ハッ、了解しました」

 

情報省長官がそう言って椅子に座るとカズヤは次に移った

 

「次、技術省長官」

 

「ハッ、魔導炉の件ですが、カナリア王国からの技術提供もあり量産化の目処がつきました。しかし量産――といいますか、魔導炉の製造には魔法使いの存在が必要不可欠のため捕虜の魔法使い達を使い魔導炉の生産・量産を行います。次に妖魔連合国で作戦行動中の特殊部隊が鹵獲した魔導兵器や自動人形ですが、報告では両兵器の制御系には初歩的な電子機器が使用されている模様です。詳しく調べてみないと分かりませんが、こちらも我が方で生産出来る可能性があります」

 

立ち上がり報告事項をスラスラと読み上げた技術省長官に対しカズヤは間をおかずに言った。

 

「そうか、では魔導炉の量産を開始しろ。魔導炉を搭載する艦は海軍長官と協議して選定が済んだら報告してくれ。魔導兵器と自動人形に関しては徹底的に調べろ。その上で量産するか検討する」

 

「了解しました」

 

技術省長官が座り最後になった千歳中将にカズヤは声を掛けた。

 

「最後、千歳」

 

「ハッ、報告事項がいくつかありますので順に報告させて頂きます。まず妖魔連合国に派兵する部隊の準備が完了しました。地上部隊はM1A2エイブラムス、10式戦車、M2ブラッドレー歩兵戦闘車、各種ストライカー装甲車とハンヴィー等を含む臨時編成の一個師団。航空部隊は対地攻撃機のAC-130や戦闘爆撃機のF-15E、攻撃機のA-10、その他複数と各種ヘリコプター等を含んだ航空隊を妖魔連合国の首都周辺に建設予定の基地に送り込みます。また基地の建設やその他の事項につきましては妖魔連合国との話し合いが完了しております」

 

「次に軍備に関してなのですが兵器の改良及び改装工事が85パーセント完了しました。またパラベラムの地下兵器工場で生産した兵器が順次部隊に配備されているためこれからは兵器不足が解消される予定です。後、パラベラムに移住してきた住民達で編成されている義勇兵部隊の訓練過程が半分程終わりました」

 

 

現在までにパラベラムはカナリア王国からやって来た4千人程の移住希望者を試験的に受け入れており、その移住者の中から志願者を募り入隊試験を通過した者達でカズヤは義勇兵部隊を作り上げていた。

 

「そういえばすっかり忘れていたが、義勇兵部隊とか作ったな……どうだ使えそうか?」

 

「……今後に期待とだけ申し上げておきます」

 

「まぁ、そうだろうな……。あぁ、義勇兵達に与えた兵器は確か旧式の物ばっかりだったと思うが管理はしっかりと頼むぞ」

 

「承知しております。兵器の管理に関しては自衛隊以上に管理規定を厳しくしてありますので大丈夫だと思われますが、万が一義勇兵のいずれかが私的な目的で兵器を持ち出した際に備え義勇兵達の頭の中には超小型爆弾を埋め込んでありますのでいざとなれば兵器を持ち出した不届き者を爆殺出来るようにしてあります」

 

「なら安心だな。……それにしてもこれでようやく戦力不足――兵器不足に悩まされることが無くなるな」

 

「はい」

 

パラベラムの地下兵器工場で大量生産された兵器が各部隊に続々と配備されているため、より戦力増強が容易くなったことによりカズヤは嬉しそうにニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

会議が終わりカズヤが部屋に戻り椅子に腰かけて休憩していると不意に扉がノックされ千歳中将が入って来た。

 

「失礼します」

 

「どうした千歳?――その子達は?」

 

部屋に入って来た千歳中将と共にいたメイド服を着た7人の少女・女性達を見てカズヤが首を傾げた。

 

「ハッ、ご主人様が直接妖魔連合国へ出向かれるとおっしゃっていらしたので、念のため親衛隊以外にもご主人様の手駒をご用意させて頂いたのです」

 

手駒て……。

 

千歳中将の言葉に若干カズヤが顔をひきつらせているとメイド服の少女達が前に進み出て頭を下げた。

 

そんな少女達を見てカズヤは、ふとあることに気が付いた。

 

「……なぁ千歳、この子達はもしかして」

 

「はい。ご主人様のご想像通り王都で購入した屋敷の地下牢で死にかけていた者達です。右からヴァンパイアの姉妹、姉のレイナと妹のライナ。オーガのエル、ラミアのシェイル、ダークエルフのルミナス、狐人族のキュロット、狼人族のウィルヘルムです」

 

「やっぱりか。どうりで見覚えがあるはずだ」

 

席を立ち頭を下げている7人の元にカズヤが近付くと7人の少女はサッと頭を上げて一様に熱を孕んだ視線をカズヤに向ける。

 

「(……千歳、これは?)」

 

少女達のあまりにも熱のこもった熱い眼差しを受けたカズヤが千歳中将に視線で問い掛けると千歳中将が少し困ったように微笑みながら返事を返した。

 

「(ハッ、それが……。どういう訳かこの者達は皆、目を覚ますとご主人様に心酔しておりまして……。恐らくですがご主人様がこの者達を治療した際に使用した完全治癒能力によってご主人様の魔力がこの子達の深い所にまで混ざり込んだためご主人様に対し心酔しているものだと思われますが……詳しいことは不明です)」

……完全治癒能力にそんな、刷り込みみたいな副作用があったのか?

 

カズヤが完全治癒能力のことで頭を悩ませていると千歳中将が補足の説明を付け加えた。

 

「(あと……この者達は名前以外の記憶を全て失っておりました)」

 

「(なんだと?)」

 

「(地下牢で受けた仕打ちが原因かと……)」

 

「(そうか……)」

 

なんとも言えない表情を浮かべているカズヤの前では千歳中将から調教――もとい厳しい訓練と記憶を失いカズヤに心酔していることをいいことに片寄った思想教育を受けて特殊部隊並みの戦闘技術とカズヤに対し狂信的な忠誠心を備えた少女達がようやくカズヤに会えた喜びからにこにこと花が咲いたような笑みを浮かべていた。




あと2〜3話後から戦闘描写が多くなる予定です。(笑)

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