ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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執筆する暇がない……
(。´Д⊂)


第3章1

エルザス魔法帝国が人間の数倍から数十倍とも言われる身体能力を誇る妖魔族や獣人族に対抗するために渡り人に創らせた無数の魔導兵器や自動人形という新兵器と共に数十隻の戦列艦、30万の軍勢で妖魔連合国に侵攻を開始して約3週間

 

妖魔連合国は帝国がカナリア王国に大軍で攻め込んだことを間諜の報告で知り、よもや帝国が2方面同時進攻を行うとは考えていなかったため予期せぬ帝国軍の襲来に不意を突かれてしまっていた。

 

なんの前触れもなく突如として越境してきた帝国軍に対し国境に作られた要塞群で形成された防衛線に展開していた妖魔軍の部隊は時間を稼ぎ援軍を待つべく要塞に籠城したが、ランス(突撃槍)を模した魔砲(魔銃)で武装し魔法障壁の術式を組み込んだ装甲で防御を固め生半可な攻撃ではビクともしない魔導兵器(人型機動兵器)や恐怖などのあらゆる感情を持たずただただ命令された通りに行動する殺戮マシーンの自動人形を全面に出してごり押しで攻め寄せてくる帝国軍を前になすすべがなかった。

 

要塞に立て籠る妖魔軍は帝国軍を少しでも長く足止めしようと必死の抵抗を繰り広げるものの、魔法などよりも己の武で戦う兵士が多い妖魔軍と帝国軍の魔導兵器や自動人形との相性は最悪だった。

 

結果、約3週間ほどの間に帝国軍は圧倒的な戦力を以てして妖魔連合国が国境に作った強固な要塞群を次々と攻め落とした。そして要塞群を突破すると帝国は妖魔連合国の領内へ電撃戦のように素早く進攻した。

 

進攻してきた帝国軍を魔王率いる妖魔軍の本隊がだだっ広い平原で迎え撃つも勇者を名乗る渡り人との戦いにより魔王は負傷し妖魔軍も帝国軍に手酷い被害を受け撤退。帝国軍の進攻を阻み領内から撃退することは叶わなかった。

 

要塞群を突破し妖魔軍の本隊をも打ち破り障害が無くなった帝国軍の破竹の快進撃は続き進軍ルート上にある都市――街や村をローウェン教の大義の下に次々と襲撃。襲われた街や村では暴虐の限りが尽くされ最終的にはローウェン教の教義に従い妖魔族は1人残らず虐殺された。また帝国軍は襲撃した街や村で妖魔族と共に暮らしている人間を見つけると改心させるという名目で捕らえて奴隷に貶めていた。

 

 

「はぁ、はぁ、もっと遠くに逃げなきゃ……」

 

そんな阿鼻叫喚の光景が各地で毎日のように繰り広げられている妖魔連合国の領内。草が鬱蒼と生い茂り、樹齢数百年から数千年という太い枝や幹を持つ大木が至るところに乱立している森の中をエルフの姉妹が息を荒くし走っていた。

 

 

姉妹の住んでいた街も帝国軍の襲撃を受け壊滅。戦に負け撤退してきていた少数の妖魔軍と街の自警団が街の住人を逃がすため必死の抵抗を行い帝国軍を足止めしている間に戦火の中をくぐり抜け街から命からがら脱出したまでは良かったが、森に逃げ込む直前に帝国軍に見つかり彼女達には帝国軍の追っ手がかかっていた。

 

追っ手から逃れようと前を走るのは利発的な顔つの姉サリサ。前を走るサリサに手を引かれよたよたと後ろを走っているのはまだ幼い妹のリディアだった。

 

 

「はぁ、はぁ、お姉ちゃん。もう走れないよ……」

 

「リディア。もう少しだからお願い頑張って」

 

「でも、もう足が動かないの」

 

 

そう言ってリディアは大木に手を付きゼェゼェと息をつきながら地面にへたりこんでしまった。

 

「リディア早く立って。逃げなきゃ殺されちゃう!!」

 

「お姉ちゃんは先に行って……」

 

 

サリサがリディアを励ましているもののサリサ自身の体も長い間リディアを気遣いながら走り続けていたせいで疲労が溜まり悲鳴をあげており長く走ることが出来ないのは一目瞭然だった。だがサリサは自身の疲労を無視してリディアを励まし一刻も早くこの場から遠ざかろうとしていた。

 

「何を言っているのほら、リディア――」

 

 

行くわよ。とサリサが続けようとした時、周りの草むらからガサガサと草をかき分ける音が聞こえたかと思うと姉妹が遠くに逃げなければいけない原因がその姿を現した。

 

「ようやく追い付いたぞ!!亜人風情が俺達の手を煩わさせるな!!」

 

草むらの中から出てきて姉妹を取り囲んだのは追っ手である帝国軍の兵士達だった。

 

(そんな!!もう追いつかれたの!?)

 

サリサは予想していたよりもずっと早く追っ手に追い付かれてしまったことに動揺していた。

 

「これだけ俺達に手間を掛けさせたんだ楽に死ねると思うなよ?徹底的に嬲ってから殺してやる!!」

 

「「っ……」」

 

 

兵士の言葉を聞いて自分たちの悲惨な未来を想像したのか2人の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。もはや逃げるのを諦めお互いを抱き締めながら震えている姉妹を兵士達が捕らえようと近づいた時だった。姉妹に手を伸ばした兵士の腕が突然吹き飛んだ。

 

 

「ギャ、ギャアァアァァーー!?!?お、俺の!!俺の腕があぁあぁーー!!」

 

 

二の腕の辺りから腕を吹き飛ばされた兵士は咄嗟に傷口を押さえるものの傷口からは夥しい量の血が地面に滴り落ちその結果、兵士は痛みに悶え血を撒き散らしながら地面をバタバタとのたうち回った。

帝国軍の兵士やエルフの姉妹は目の前でのたうち回る兵士の身に何が何が起きたか分からず茫然と固まっていた。

 

「お、おい大丈夫――」

 

「えっ――」

 

「何が起き――」

 

「う、腕が――」

 

 

そして我に帰った兵士達が動き出そうとすると次々と体の急所――脳や心臓を撃ち抜かれ死んでいった。

 

 

音もなく突然目の前で帝国軍の兵士達がバタバタと死んでいく光景を前に2人は何が起きているのかも分からずガタガタ震えながらお互いをギュッと抱き締め合い恐怖に堪えていた。

 

 

「あ、あぁ、あぁあぁぁぁ!!くぁwせdrftgyふじこlp!!」

 

そして最後に残った帝国軍の兵士が得体の知れぬ恐怖に堪えかね大声で人語とは思えぬ声を発しながらこの場から逃げようとしたが、数歩駆け出した所で他の兵士達と同様に頭を撃ち抜かれ辺りにビシャッと脳漿をぶちまけドサリと地面に倒れた。

 

「……お、終わったの?」

 

帝国軍の兵士が1人残らず殺され鳥の鳴き声や草や木の枝が擦れ合う音しかしなくなった森の中でサリサがそっと顔を上げて周りをゆっくりと見渡し小さく呟いた時だった。

 

 

帝国軍の兵士が現れた時のように草むらをかき分ける音が聞こえたかと思うと目の前に全身草まみれの見たこともない人型の生物が現れ姉妹を取り囲んだ。次々と集まってくるその不気味な生物を前にした姉妹はあまりの恐怖に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「どうして補給部隊が来ないんだ!!これではこれ以上進軍出来ないぞ!!」

 

妖魔連合国の首都を真っ直ぐに目指し進攻を続ける帝国軍の本隊から別方面の攻撃を命じられたとある部隊の野営地では指揮官である貴族の男の苛立たしげな声が響いていた。

 

「それが補給路の途中にある森の中で何者かが補給部隊を襲っているという話で……。兵士達の噂話では“死神”が出たんだと……」

 

「死神?どうせ妖魔族の生き残りか何かだろう!!さっさと殺せ!!」

 

「い、いえそれがどうも妖魔族の仕業とは違うようなのです」

 

「なら一体誰が補給部隊を襲っているんだ!!」

 

「それが分からないのです。何せ襲撃者の姿を見た者が1人も居ませんから……」

 

そう不安げに話す部下の報告を聞いて指揮官の男はあることを決めた。

 

「よし!!ならば部隊を差し向けてその死神とやらの正体を突き止めてやろうじゃないか!!」

 

指揮官のその一言で部隊の約半数に当たる40体の魔導兵器と自動人形500体更に兵士1000人が死神討伐部隊として死神が出るという森に差し向けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「あらら敵さん、本腰入れてきましたね」

 

妖魔連合国にいち速く送られ帝国軍に対し一撃離脱の奇襲攻撃や指揮官の暗殺、敵拠点への空爆要請、補給路の寸断などの多岐に渡る任務を行っている複数の特殊部隊。その内の1部隊のデルタ第2中隊の隊員であるクレメンス准尉は森林用のギリースーツをその身に纏い森の中に違和感なく溶け込みながら双眼鏡で平原の中を隊列を組んで森に向かって進んでくる帝国軍の部隊を見てそう言った。

 

「選り取りみどりだなこれは」

 

クレメンス准尉の隣で不敵な笑みを浮かべながら愛用のモシン・ナガンM28を構え敵が来るのを今か今かと待っているのは“白い死神”と名高いシモ・ヘイへ少尉だった。

 

「選り取りみどりなのはいいんですけど……敵の数がちと多すぎやしませんか?少尉」

 

クレメンス准尉がぼやくようにヘイへ少尉に言った時無線が入った。

 

『こちらハウンドドッグ01。各員に告ぐ。RQ-11レイヴンによる偵察の結果、敵は魔導兵器40体、自動人形約500体、更に軽装歩兵や銃兵、魔法使いを要する1〜1500人程の戦力でこちらに近付きつつある。戦力差を鑑みてこの場での戦闘は不利と判断し敵をトラップゾーンまで誘い込みそこで殲滅する。行動を開始せよ』

 

 

『『『「了解」』』』

 

「だそうです。行きましょう」

 

「そうだな。……楽しくなりそうだ」

 

クレメンス准尉はデルタ第2中隊の隊長のコールサイン、ハウンドドッグ01に返事を返し肉食獣のような鋭い眼光で獲物である帝国軍の兵士達を見つめていたヘイへ少尉に声をかけると姿勢を低くして敵に見つからぬように慎重に移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「これは一体なんの冗談だ?」

 

死神が出るという森に部隊を送ってから3日後、送った部隊との連絡が取れなくなってしまった。連絡を取ろうと伝令を何度も送るがその伝令すら帰ってこなかったため指揮官自ら残りの部隊を引き連れ死神が出るという森に赴くとそこにあったのは無惨にもバラバラに破壊された魔導兵器と自動人形の残骸そして兵士達の物言わぬ骸だった。

 

 

 

 

3日前……

帝国軍の部隊を迎え撃ったデルタ第2中隊は帝国軍を巧みに森の奥深くに作ってあったトラップゾーンまで誘い込んだ。

 

帝国軍の部隊は森の中に入ると露払い役として楯と魔砲を油断なく構えた魔導兵器が横1列に並び前衛として部隊の一番前を行き次に中衛の整然と隊列を組んで進む自動人形が続きその後ろを若干バラけた隊列で後衛の歩兵が続くという3列で進軍していた。そんな帝国軍部隊が巧妙に作り上げられたトラップゾーンの中にスッポリと入ると一斉にトラップが発動、まず地中に仕掛けられていた跳躍地雷が高さ1.5メートル程度まで跳ね上がり地雷本体が炸裂。それと同時に危害範囲に指向性を持たせてあるクレイモア地雷も起爆。360度全方位に向けて隙間なく金属球が放たれた。

 

 

突如として森の中吹き荒れた金属球の嵐により多くの歩兵が死傷したが魔法障壁の術式が施されている強固な装甲に守られている魔導兵器や急所である頭を完全に破壊されない限り動くことのできる自動人形には地雷攻撃はほとんど効果が無かった。しかし地雷の起爆直後にMk.19自動擲弾銃とM2重機関銃の集中弾幕射撃が行われまず自動人形が壊滅した。

 

特に数多くの自動人形を屠ったのがMk.19自動擲弾銃で、この銃に使用される弾薬は40mm×53擲弾――M430多目的榴弾であり対人・対装甲両用の多目的榴弾で危害範囲は弾着地点から半径5メートル以内の人員を殺害。半径15メートル以内ならば、なんらかの傷を負うものでまた直撃ならば約5センチの装甲を貫通し歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車などの軽装甲の目標や集団で行動する歩兵などに対して有効な兵器だった。

 

ちなみにM203グレネードランチャーが使用するのは40mm×46擲弾で主に対人用の榴弾でありMk.19自動擲弾銃で使用される弾薬は40mm×53擲弾との互換性はなく有効射程距離が10倍以上も違うまったくの別物である。

 

そんな雨あられと降り注ぐMk.19自動擲弾銃のM430多目的榴弾やM2重機関銃の12.7mm弾の弾幕に自動人形がやられて壊滅したあとも何とか耐えていた魔導兵器は陣形を組み楯を構え生き残っている歩兵を弾幕から守りながらジリジリと後退しつつ反撃のつもりか手当たり次第に魔砲から魔力弾を乱射するもその全てが見当違いの場所に着弾した。

 

 

そんな小さな抵抗に対しデルタ第2中隊からはお返しとばかりにRPG-7やM72 LAWの対戦車ロケット弾と87式対戦車誘導弾やFGM-148ジャベリンの対戦車ミサイルが発射された。

 

重装甲の戦車などを破壊出来る対戦車ロケット弾や対戦車ミサイルの集中攻撃を受けた魔導兵器は瞬く間に殲滅された。

 

その後、怒涛の攻撃を受けてもなお生きていた300人程の歩兵は頼みの綱である魔導兵器と自動人形が壊滅したのを見てもはや敵わぬと思ったのか森から逃げ出そうとしたが、退路で待ち構えていた狙撃小隊とヘイへ少尉のモシン・ナガンM28とKP31サブマシンガンにより1人残らず始末され誰も森の中からは生きて出れなかった。

 

そんな出来事があったことなど知るよしもない指揮官は1人で騒いでいた。

 

「魔導兵器と自動人形がすべて破壊されているだと!?一体敵は魔導兵器をどうやって破壊したんだ!?魔導兵器の装甲には高位の火の魔法でさえ耐えられる魔法障壁の術式を組み込まれているはずだぞ!?それに……味方の死体ばかりで敵の死体が1つもないというのはどういうことだ!?」

 

森の至るところに転がる遺体は全て味方の兵士の遺体で、しかも遺体は胸か頭を撃ち抜かれ一撃で殺されているか、体中に無数の弾丸を浴びズタボロになって死んでいるか消し炭になっているかの3種類だった。

 

 

そして人間よりも身体能力に優れている妖魔族に対抗するために投入された虎の子であるはずの魔導兵器と自動人形も木っ端微塵に破壊されていた。

 

「本当にこの森には死神がいるのか?」

 

目の前に広がる惨状に指揮官の背筋に冷たいものが走った。そして指揮官がブルッと身を震わせ一刻も早くこの森から立ち去ろうと森の中に散らばっている部隊に撤退命令を出そうとすると同時に自分達より更に森の奥に向かった兵士達の悲鳴と連続した爆発音が聞こえてきた。

 

ここにいては殺される。そう思った指揮官の男が逃げようとして後ろを振り返ると後ろに立っていた部下の額にちょうど穴が空く瞬間だった。

 

そして額を撃ち抜かれた部下がゆっくりと後ろへ倒れて行く光景をただ茫然と眺めていた指揮官の男も直後に飛来した7.62mm弾に頭を撃ち抜かれ永遠に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「初弾目標に命中。ヘッドショット」

 

隣で観測手を務めるクレメンス准尉の報告を聞き流しながらギリースーツで周りの草木と同化しているヘイへ少尉は流れるような動きでモシン・ナガンM28のボルトを引いて次弾を装填するとまた引き金を引いた。

 

「次弾も命中。ヘッドショット」

 

ヘイへ少尉が驚くべき早業で指揮官らしき男を2人撃ち殺した所で撃ち殺した2人の周りにいた兵士が森の外に向かって走り出してしまった。

 

「チッ、木が邪魔で射角が取れん」

 

悔しげに呟くヘイへ少尉を前にクレメンス准尉は驚嘆の声を上げていた。

 

「……さすが少尉。スコープなしのモシン・ナガンM28の照星と照門だけでよく400メートルも離れている目標の頭を連続で撃ち抜けますね」

 

「無駄口を叩いてないで逃げた奴らを追うぞ」

 

クレメンス准尉の言葉を聞き流しヘイへ少尉は素早く空薬莢を拾い集めると移動を開始した。

 

「えっ!?ちょ、ちょっと待ってください。少尉!!俺達が行かなくても向こうにはスロ・コルッカ曹長が居ますから大丈夫ですよ!?」

 

話を聞かずにモシン・ナガンM28を担いで走り出したヘイへ少尉の後をクレメンス准尉は慌てて追いかけた。

 

そしてクレメンス准尉を置き去りにしてヘイへ少尉は絶好の狙撃ポイントである高台の上に伏せるとモシン・ナガンM28を構え森を見渡し木々の間から見える敵を次々と射殺していった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「ただいま戻りました」

 

 

帝国軍の1部隊を全滅させてから数日後。哨戒任務を終えクレメンス准尉がヘイへ少尉と共にMH-47G(CH-47シリーズの内の1機種)4機が着陸しているベースキャンプ代わりの場所に帰ってきた。

 

「「おつかれさん」」

 

待機していた兵士や先に帰っていたきていた兵士に労いの声をかけらながら2人は自分達に割り当てられた区画に行き体を休めた。

 

「そろそろナガト総統達がこちらに来る頃だな」

 

「そうですね。なにも問題がなければ2〜3日以内には妖魔連合国の首都に到着する予定です。総統が首都に到着して反撃を開始したら我々もお役目御免でようやく撤退出来ますよ」

 

「そうだな。……しかし暇だな。あれの様子でも見に行くか」

 

「あれだけ森の中を歩いてきたのに元気ですね。少尉は……。自分は寝ます」

ヘイへ少尉は呆れ顔のクレメンス准尉を残しとある場所に向かった。

 

「おぉーい。どうだ?なにか分かったか?」

 

比較的損傷が少なく鹵獲された3体の魔導兵器と2体の自動人形を調べているMH-47Gの整備兵にヘイへ少尉が声を掛けた。

 

「ん?あぁ少尉でしたか。今のところ分かったのはこの2つの兵器の制御系には初歩的な電子機器が使われていることぐらいですかね。他はやっぱり本国に持って帰って詳しく調べないことにはなんとも……」

 

「そうか。ふむ……。だが初歩的な電子機器が使われているということはやはり事前の情報にあったようにこれらの兵器は渡り人が作ったみたいだな」

 

「えぇ、この世界の技術レベルでは初歩的とはいえ電子機器なんてありませんからね。渡り人が作った物で間違いないでしょう」

 

「こんな物を作ってくるとなるとこれから先まだまだ面倒な物を作って来そうだな……」

 

「そうですね。先が思いやられます」

 

ヘイへ少尉と整備兵は鹵獲した兵器を前に難しい顔で会話していた。

 


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