ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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うーん。 勢いのままに書いているせいか矛盾が多くなってきてしまった……。 というより矛盾だらけな状態?
(´・ω・`)ドウシテコウナッタ


なのでこれからちょくちょく小さい手直しを入れていくかもしれません(-_-;)


16

「ではカレン。報告なさい」

 

「ハッ、ではまず彼らが城塞都市に来た時から――」

 

すこし時を遡りイザベラ女王との挨拶を終えたカズヤ達が出ていった後の謁見室では1人残ったカレンがこれまでの出来事をイザベラ女王達に報告していた。

 

「――以上です」

 

カレンが今までの出来事を事細かに説明し話を終えると謁見室の中は不気味な程に静まりかえっていた。

 

「……貴女の話でよく分かりました。私達の彼らに対する認識を改めなければならないということが」

 

彼らを下に見ていた私達の判断はとんでもない間違いだったのですね

 

城塞都市で行われた戦闘でのパラベラム軍の圧倒的な強さは事前にマリアによってイザベラ女王や貴族達に伝えられていたが、パラベラムが保有する現代兵器の力を目にしていないイザベラ女王達からしてみればマリアの話は到底信じられる物ではなく、またマリアの話は抽象的で不明瞭な点が多かったためイザベラ女王達はマリアがパラベラム軍を過大評価しているのだろうと勝手に決めつけていた。そしてマリアが王都に持ってきたパラベラムの国土面積や兵力などが書かれた簡単な資料を見てイザベラ女王達はカナリア王国の方が、格が上だと安易に判断を下してしまっていた。

 

 

勿論パラベラム軍が帝国軍をカナリア王国から撃退したという点を鑑みて詳細な情報がないままにパラベラムを軽視するのは危険だと唱える貴族もいたが、資料に書かれている小国――国土も小さく数十万の国民、数万の兵力しか保持していない国の軍隊が帝国軍に勝利出来たのはいくつもの幸運が重なった結果で運がよかったからだと考えていたイザベラ女王や貴族達はカレンのパラベラムでの体験談や現代兵器の恐ろしさ強さを聞いて一瞬にして顔が青くなり謁見室の中はざわめいた。

 

「公爵殿のおっしゃった通り彼らがそれほどまでに強大な国家だとすれば、先程の我々の態度は不味かったのでは?」

 

「えぇ、確かに。しかし公爵殿の話を聞くまではあの少ない資料だけで判断せねばならなかったことを考えると致し方ないのでは?」

 

ざわめく謁見室の中で2人の貴族がボソボソと喋っていると近くにいた肥え太った貴族が突然大声をあげて会話に入ってきた。

 

「そんなことはどうでもいいではないか!!なんなら護衛が少ない今の内にあの男を殺してしまえば済む話だ!!」

 

肥え太った貴族が過激な言葉を口にすると周りにいた他の貴族達が慌ててその言葉を否定するように言った。

 

「そんなことをしてみろ!!我々はあの方が連れてきた兵隊に殺されてしまうぞ!?」

 

「何を弱気な!!公爵殿の話を聞いておれば奴らは渡り人と言っても特別な力はない上に魔法も総統ただ1人しか使えないそうじゃないか!!そんな低能な奴らのことを恐れることはない!!それに我らの国土の半分にすら到底届かぬ小さな領土しか持っていない、異世界からやって来た小国の蛮人共に大きな顔をさせておけるか!?」

 

自尊心が人一倍大きく魔法至上主義に染まっている太った貴族は周りにいる貴族達に問い掛けるように言った。

 

「貴殿は公爵殿の話を本当に聞いていたのか?たしかに彼らは特別な力もないし魔法もナガト殿しか使えないが、彼らは科学というもので作られた強力な武器兵器を使うのだぞ!?だからこそ我が国より強力な魔法使いの軍団や兵を従えている帝国が負けたのだ。帝国にすら勝つことが出来ない我々が彼らに勝てるはずがない」

 

「奴等が帝国に勝てたのはただ単に幸運が重なっただけという結論になっただろう。我々があの男を殺してパラベラムに一気に攻め込めば必ず勝てるはずだ」

 

「貴殿はどうしたらそんなに楽観的な考えができるのだ……。それに我々はパラベラムが大海原の向こうの何処かにあるということしか知らないのにどこに攻め込むというのだ?海に浮かぶ数多くの島々を1つ1つ調べて彼らの国を探し出すのか?後、公爵殿の話でパラベラム軍が帝国軍に勝てたのは運などではないと分かったはずだぞ?」

 

「むっ……それは……」

 

謁見室の中は貴族達が自らの持論を展開し好き勝手に言い争う声で埋め尽くされていた。

 

「静粛に」

 

イザベラ女王が声を発すると部屋の中は一瞬でしんと静まり返る。

 

「カレン。パラベラムの領内を見てきた貴女に問います」

 

「はい」

 

「万に1つ我々がパラベラムと戦うことになったら私たちはその戦いに勝利出来ますか?」

 

「恐れながらはっきりと申し上げますとパラベラムに勝つことは不可能です」

 

カレンの言葉を聞いて貴族達がまたザワザワと騒ぎ出したがカレンはそれを無視して言葉を紡ぎながらあるものを取り出した。

 

「理由としてはパラベラムの軍事力、国力は我々とは比べ物になりません。城塞都市にいるパラベラムを見た他の貴族達も私と同じことをいうでしょう。それにこれをご覧下さい」

 

「それは……なに?」

 

「カズ――ナガト総統からの贈り物です」

 

カレンから渡された2つの白い物体を見てイザベラ女王は目を見開いて驚いた。

「これは……塩?いえまさか……こんなに純白の――不純物が混ざっていない塩があるはずが……。それに、このつるつるとした包みはなに?」

 

「陛下のおっしゃる通りそれは塩です。もう1つは砂糖。その包みはビニールという物らしいです」

 

「そんなまさか……」

 

カレンが衛兵に合図すると謁見室にビニールで包装された大量の塩や砂糖が運び込まれ、それを見た貴族達からもどよめきが起こった。

 

「これはナガト総統から友好の証として贈られた品物の一部です。聞けば塩10トン砂糖10トン更に胡椒や唐辛子などの香辛料等が20トンほどあります」

 

「そんなに……」

 

友好の証としてだが高価な品であるはずの塩や砂糖を大量に贈られたイザベラ女王はようやくカナリア王国とパラベラムの隔絶した国力の差を悟った。他の貴族達と言えば既にイザベラ女王とカレンの話を聞いておらず目の前に積み上げられた塩や砂糖に釘付けになっていた。

 

「ナガト総統と――パラベラムとはなんとしても同盟を結ばなければいけませんね……」

 

イザベラ女王がカズヤと同盟を結ぶという方針を決め小さく呟くとその呟きに異議を唱える人物が現れた。

 

「陛下、なりませんぞ」

 

「レーベン丞相……」

 

イザベラ女王に異議を唱えたのはイザベラ女王を上回るとさえ言われる絶大な権力を持ちこの国の影の支配者とも噂される年老いた老人のレーベン丞相だった。

 

「強力な軍隊を持っているのであれば必ず領土拡張に動き我々を――」

 

「レーベン丞相。その心配はありません」

 

イザベラ女王に異議を申し立てているレーベン丞相の言葉を止めたのはカレンだった。

 

「……その心配はないというのはどういう意味かね?」

 

「言葉通りの意味です。彼らが我が国を手中に収めるつもりならわざわざ魔物の異常繁殖地を焼き払ったり帝国軍を追い払い我々を助けたりしません」

 

「……ちょっと待ってカレン。ナガト総統が魔物の異常繁殖地を焼き払ったというのは本当なの!?」

 

カレンが新たに明らかにした事実を聞いてまた謁見室の中がざわつきイザベラ女王が口を挟んだ。

 

「本当です」

 

「そう……なら私たちは既に3回もナガト総統に助けられていたのですね」

 

「はい。それに彼らの理念は国名に表れています。国名の意味は『平和を望むならば戦いに備えよ』だそうです。平和を望むが故の強大な軍隊ですから自ら新たな争いを起こすことはないかと思われます」

 

「……」

 

カレンの言葉を聞いてレーベン丞相は考え込むように黙ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

貴族や騎士達が全員退出してイザベラ女王とカレンの2人っきりになった謁見室では先程、貴族達が居たときよりも機密度の高い情報を交え更に詳しい報告がなされていた。

 

「――ナガト総統本人に確認を取りましたがパラベラムはカナリア王国に手を貸してくれるそうです。しかし帝国軍との戦争に関しては専守防衛・後方支援に徹すると言っておりました。例外は渡り人が出てきた場合のみと」

 

 

「では……パラベラム軍は帝国が再び我が王国に攻めこんで来たら共に戦うことはしても我々が帝国領内に進攻した場合は渡り人が出てこない限り後方支援しかしてくれないということですね?」

 

「はい。その通りかと。ナガト総統は領土を欲していませんし兵士を無駄に失うことを嫌っていますから」

 

「そう……。よくやってくれました。カレン。このあとの会談では貴女の情報を元に交渉を進めましょう」

 

イザベラ女王はカレンの得た情報を聞いてこれからのカズヤとの会談をどのように進めるかの方針を瞬時に組み立てていた。

 

「それでカレン?」

 

そして方針を固めたイザベラ女王は先程までの真面目な表情を一変させニコニコと愉しそうな笑みを浮かべ言った。

 

「……なんでしょうか?」

 

「総統のことをどう思っているのかしら」

 

「えっ!?いや、あの……陛下?」

 

「隠せていませんよ?貴女は総統のことを意識しすぎです。一目見たら貴女が総統のことをどう想っているのかが分かりました」

 

「〜〜〜!!」

 

イザベラ女王にあっさりとカズヤへの想いを見抜かれたカレンはそんなにも自分は分かりやすかったのかと自問自答しながら真っ赤になって俯く。

 

「それでどうなのカレン?」

 

イザベラ女王はまるで肉食獣が獲物をいたぶっているような目でカレンに問い掛けた。

 

「陛下もお人が悪いです……」

 

カレンはうらめしそうな視線をイザベラ女王に送ったあと観念したように言った。

 

「……惚れております」

 

「あらあら!!」

 

カレンが真っ赤になりながら小さく自分の想いを吐露するとイザベラ女王は自分で吐かせたにも関わらず、さも今初めて知ったと言わんばかりに驚いた顔をしてカレンをからかった。

 

「へっ、陛下!!お戯れが過ぎます!!」

 

「あらあら。少しやり過ぎたかしら?ごめんなさいね」

 

カレンが怒ったように言うとイザベラ女王は素直に謝った。そしてその後慈しむような視線をカレンに向け言った。

 

「では問題はありませんね。このあとの会談の後で貴女と総統の見合い……いえ。結婚を提案してきます」

 

「へ、陛下なにを!?」

 

「通例であればイリスが両国の結び付きを深めるこの役をやることになるのでしょうけど、カレンにはいろいろと今まで助けて貰いましたから幸せになってもらわないと……」

 

パラベラムとの結び付きは今のうちに出来うる限り強固な物にしておかねばなりませんしナガト総統もカレンのことは意識していたようだからちょうどいいですね。

 

「……お気遣いに感謝致します。陛下」

 

イザベラ女王の内心を知らないカレンは赤い顔でしばらくの間呆然とイザベラ女王の顔を見つめていたが、最後には喜びに満ちた声でお礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

パラベラムとカナリア王国の同盟締結の会談は予想に反しすんなりとは進まなかった。

 

結果的には同盟は結ばれたとはいえ今のところ同盟締結の条約や取り決め等は大まかに決め随時変更又は追加することに落ち着いた。

 

不可侵条約を結んだ上での軍事同盟か……よっぽどあのシジイ俺達のこと警戒してるみたいだな。……まぁ魔物の棲みかになっていた帰らずの森の中とは言えカナリア王国の領土内に勝手に基地を作ってしまったこちらの落ち度もあるが……。このジジイ。

 

同盟締結がすんなりといかなかったのはひとえにレーベン丞相のせいだった。

 

イザベラ女王がパラベラムとカナリア王国が同盟を結ぶかどうかの会談の最初に基地の建設を事後承諾で認証したにも関わらずレーベン丞相はカナリア王国の了承なしに勝手に領土内に基地を建設したという点を槍玉に上げカズヤ達に誠意を見せろと言って譲歩を強要し自分達に有利な条約をいくつも加えてきた。

 

そのためパラベラム側の人間は皆額に青筋を浮かばせイラついていた。特に千歳副総統などは謁見室やこの会談でのカナリア王国側のこちら(カズヤ)を下に見る態度にもはや爆発寸前で怒りでカタカタと震えていた。

 

「ふむ……では同盟も結ばれたことですし儂は失礼しますぞ」

 

場を乱すだけ乱してレーベン丞相はそう言って会談がまだ終わっていないにも関わらず腰巾着達を連れて部屋から出ていってしまった。そんなレーベン丞相をパラベラムの兵達は射殺すような目付きで見送った。

 

「申し訳ありません。ナガト総統」

 

自分より強大な権力を持つが故にレーベン丞相の傍若無人な態度や行いに何も口出しが出来なかったイザベラ女王はレーベン丞相が部屋から出ていった直後にカズヤに謝罪した。

 

「イザベラ女王が悪い訳ではないのですから、お気になさらず」

 

ある程度カナリア王国内の権力争いの内情を知っているカズヤはイザベラ女王の謝罪を受け入れた。

 

そうして部屋の中の雰囲気が悪い中でイザベラ女王はこの後どうやってカレンとの結婚の話を言い出すか迷っていた。

 

そんな時、突然部屋の中にイリスが入ってきた。その後ろでは部屋の前に立っていた衛兵が真っ青な顔でおろおろとしていた。

 

「イ、イリス?どうしてここに?」

 

「……? まだ終わっていなかったのですか、お母様」

 

イリスが突然部屋の中に入ってきたことにイザベラ女王は驚きを露にしイザベラ女王の護衛が咄嗟に魔法障壁を張った。しかしイリスはそんなことはお構いなしに一直線にカズヤの元に行くと自分専用の場所だと言わんばかりにカズヤの膝の上に腰を下ろしカズヤに擦り寄る

 

イザベラ女王や部屋の中にいた貴族達がその様子を見て固まり千歳副総統が拳を握りしめワナワナと怒りと嫉妬で震えているなかイリスは爆弾発言を放った。

 

「そうだお母様。私お兄さんと結婚します!!」

 

「「「「「……」」」」」

 

「いや……イリスその話はさっき終わったはずじゃ……」

 

イリスの爆弾発言に部屋の中は凍りつき会談が急遽中断されたのは言うまでもない。

 


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