これが僕の英雄譚   作:猫と果実

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ども猫と果実です!
前回はじゃが丸くんの偉大さがロキファミリアに広まったことでしょう。

では兎が織り成す英雄譚お楽しみください!


予約承りました!

(うーん…ソファに寝るのも慣れてきたな!)

現在朝の5時00分、田舎で住んでいた習慣で起きるベル

(とりあえず神様の朝ご飯を作ってから、出る準備しよ!)

 

ベルが【ロキファミリア】を訪れてから2日経った。

あれから2日間、大量の材料を無計画で購入して浪費したヴァリスを稼ぐために、通常よりダンジョンに籠っていた。

 

(よし、神様の朝ご飯も出来たし、そろそろ行くか!)

ベルは神様を出来るだけ起こさないように準備し一応小声で声をかける

「では神様行ってきます」

「うにゃ……きをつけていくんだよ~」

神様は朝は弱いが必ずと言っていいほど出掛けるときは反応してくれるのだ。

「はい、行ってきます」

その優しさに笑みをこぼしながらホームをでる。

「よーーし!今日も頑張るぞ!」

 

朝のオラリオはお店がしまっており割りと閑散としている。

(いつも騒がしいオラリオもこの時間は少し静かでいいなぁ~)

ベルはこの時間のオラリオが地味に好きだ、田舎の静かさを思い出せるからだ。

(この時間でも、村の静けさに敵わないけどね)

懐かしい雰囲気を楽しんでるベル。

(!!??)

すると突然今までに体験したことのない強烈な視線を感じる

(なっなんだ!?)

ベルは警戒をしながら周りを見渡す。

視線は一瞬ながらもベルの警戒レベルを最大まであげるほどのものだ

しかしベル自身、駆け出しの冒険者であることを理解し、自分が殺気などわかるほどの実力者ではないことを自覚している。

(なんだったんだ……ただ見られたってより品定めされたような感覚……)

周りには一人でカフェテラスの準備を行う店員、路地の角でたむろする獣人二人組、商店街の二階の窓から大通りを眺める女の子……

注視して見ても特に変わったところが見受けられない

周りからは奇異な目線で見られるが、気にしてる余裕もない

(さっきのが気のせい……?)

ちっとも納得のいかない顔を浮かべてしまう。

「あの……」

「!」

後ろからの声に思わず即座に反転し身構えるベル、周りから見れば大袈裟な行動だと思われただろう。

声をかけてきたのは、僕と同じヒューマンの女性だった。

服装は白いブラウスと膝下まで茸のある若葉色のジャンパースカートに、その上から長目のサロンエプロン。

光沢に乏しい薄鈍(うすにび)色の髪を後頭部でお団子でまとめ、そこからぴょんと一本の尻尾が垂れている。

ポールテールの亜種みたいだ。

髪と同色の瞳は純粋そうで可愛らしい。

ミルクのように白く滑らかな柔肌の顔は、僕の警戒じみた挙動に驚きを示していた。

明らかに無害な一般人である。

「ご、ごめんなさいっ!ちょっとびっくりしちゃって……」

「い、いえこちらこそすみませんでした!」

慌てて謝ると同様に頭下げ謝ってきてくれた。

(僕は一般の方になにしてるんだ……申し訳ない……)

落ち着いて彼女を見ると年は一つか二つ上に見える。

さっき見たカフェテラスの店員さんかなと判断出来た

「そ、そういえばなにか僕にご用ですか?」

「あ……はい、これ落とされましたよ」

彼女の手のひらに乗っているのは紫紺(しこん)の色をした魔石だ。

「えっ?魔石?」

ベルはいつも腰に着けている魔石をしまう袋を確認する

(あれ?昨日の換金し忘れた魔石なのかな?)

魔石は冒険者にとってお金なので、いつも落ちないようにきつく袋は締めているはずなのだが

(さっき周りを見回した時に落としたのかな?)

渡そうとしてくれている彼女をもう一度見る。

(一般の人が魔石をもってるとは思えないし……僕のなんだろうな)

「すっすみません、ありがとうございます」

「いえ、お気になさらないでください」

ふんわりとした笑みが返ってきて改めてベルは

(この人改めて見るとすごく可愛い人だな……)

「私の顔なにかついてますか?」

ベルの視線に気付き質問してくる彼女

「いっいえ!?可愛らしいなと!?」

思わず慌てて正直に答えてしまう。

「ふふっ、褒めるのがお上手ですね冒険者さん、不意にそんなこと言うとナンパ間違われてしまいますよ?」

彼女はニコッ笑い、からかうように言ってくる。

「ナ、ナンパ!?すみませんでした!?」

顔を真っ赤にして謝るベル

「こちらこそすみませんでした、可愛らしい反応をしてくださるのでついからかっちゃいました」

上目遣いで僕を見る彼女はベロ少し出し謝ってくる

(こんな可愛い謝られ方されたら、誰だって許しちゃうよ……)

「これからダンジョンに行かれるんですか?」

「は、はい!軽くいこうかなと」

これ以上話してるとボロが出そうになるので、どう切り上げようか迷ってたのでベル、お別れを言う声を出す

ぐぅ~~

前にお腹がなってしまった。

「…………」

「…………」

きょとんと目を丸くする店員さん。

顔を真っ赤にする僕。

(気が抜けて、朝ご飯を抜いて潜ろうとしてたの思い出したんだな体が……恥ずかしい……)

彼女はぷぷっと笑いだした、またボロが出てしまいダメージを受けるベル

「うふふっ、お腹空いてらっしゃるんですか?」

「……はい」

「もしかして朝ご飯を食べてらっしゃらないのですか?」

彼女の顔を恥ずかしくて見れない僕は、俯きながらうなずく

(言えない……お金がなくて神様の分だけしか朝ご飯用意してないってのは言えない……)

彼女は何か考える素振りをすると、パタパタとカフェテラスの奥、店内に入っていった。

すると先程はもっていなかった小さなバスケットを持ってこちらに戻ってきた。

「まだお店やってないのでお店の賄いではないのですが……よろしければどうぞこれを……」

「で、でも貴方の朝ごはんでは?」

店員さんはちょっと照れたようにはにかんだ。

(うぐっこの人は可愛さが滲み出るタイプの人だ)

(ヴァレンシュタインさんとは違って、女神と見間違える程ではないけど、知れば知るほど魅力される感じ……)

「このまま見過ごせば、私の良心が痛んでしまいます、どうか受け取って頂けませんか冒険者さん?」

「ずっずるい……」

(こんな可愛い人、にそんな言われ方したら断れないよ……)

ベルが少し悩んでる姿を見て考え出す彼女、そして少しいたずらな笑みを浮かべ、顔を近づけてく

(ちっ近い)

「冒険者さん、これは利害の一致です。私もちょっと損をしますけど、冒険者さんはここではらこじらえが出来る代わりに……」

「か、代わりに?」

「……今日の夜、私の働くあの酒場で、晩御飯を召し上がって頂かなければいけません」

「……」

今度は僕が目を丸くする番だった。

にこっと笑う店員さんを前にして、僕は初対面の人に対する壁みたいなものを、完璧に払われてしまった。

「もう……本当にずるいなぁ」

「うふふ、ささっもらってください。私の今日のお給料は、高くなること間違いなしなんですから」

遠慮することはありません、と店員さんは言ってくれた。

(この人、全然したたかじゃんか……)

「……それじゃあ、今日の夜に伺わせてもらいます」

「はい。お待ちしてます」

終始やりこめられた感じなのに、自然と心が安らぎ心地が良い。

そう思うと照れ臭くなってしまった。

バスケットを片手に店員さんに見送られる。

歩き始め、ふと大事な事を思い出し振り返る。

不思議そうに見つめてくる店員さんに向かって、言う。

「僕……ベル・クラネルと言います。貴方の名前は?」

瞳を僅かに見開いた後、彼女はすぐぱっと微笑んだ。

「シル・フローヴァです。ベルさん」

笑みと名前を、僕らは交わしあった。

 

冒険者(ベル)可愛い女性(シル)との出会いである。 




今回はほぼ原作通りです!
シルとの出会いはこの形が好きなのでそのままって感じです!

そして皆さまありがとうございます……お気に入り100人越えです!
すごく嬉しいです!
これからもどんどん更新していきますのでよろしくお願いします!

では次回も兎が織り成す英雄譚をお楽しみください。

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