これが僕の英雄譚   作:猫と果実

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ども猫と果実です!
至高の一品神が認めたじゃが丸君はどんな活躍を見せてくれるのか期待です……


では兎が織り成す英雄譚をお楽しみください!


至高の一品

「よし出来た!!」

早朝ベルはやる気に満ち溢れていた

「納得のいくじゃが丸くんが出来たぞ!」

 

昨夜ヘスティアに味見をしてもらい自信を持ったベルは、ダンジョンに行く前に渡すため朝から調理をしていた。

「ラッピングもしたし、大丈夫かな!!」

「さすがにダンジョン行く格好じゃまずいかな……」

「とりあえず私服で渡しに行こうかな!」

意気揚々と準備するベル

「ベル君~なにかされそうになったら逃げるんだよ~」

「はい!神様行ってきます!」

「いってらっしゃい~」

朝の弱いヘスティアは眠気に負けまた寝るのであった。

 

やる気充分に出たベルであったが、【ロキファミリア】のホームである『黄昏の館』に近付くにつれそわそわし始め、ついには門の付近で止まってしまう。

それもそうであるベルは他のファミリアに門前払いをされてきた、もちろん【ロキファミリア】にも門前払いをされていたので目の前にして萎縮してしまったのである。

 

「あー朝から門番だるいニャ~」

朝からだるそうに立つ蒼髪のキャットピープルの女性

「しっかりしろシホ、俺たちは門番なんだぞ」

高身長の黒髪の男性ヒューマンが門の前を警備していた。

「クザクうるさいニャ!」

「お前の方がうるさいぞ」

「なんでクザクとペアで門番にゃんて……」

「文句を言いたいのはこっちの方だ」

二人は【ロキファミリア】のLv2、本日の門番担当

大手のファミリアはこうやって門番などをLvの低い者が担当するらしい

「にゃにゃ?あの子こんな朝に一人でどうしたのかにゃ?」

「うん?……あの白髪頭のやつか」

二人はベルを見つけ怪しい人物かを判断するため観察する

「なんか兎みたいで可愛いやつにゃ!」

「見た目で判断するなショタネコ」

「ショタネコ言うにゃ!無愛想ヒューマン!」

「ってもなにかあったら面倒だ気にするなシホ」

「そこの兎っぽい子ー!!なにかあったのかにゃ!!」

「……お前俺の話聞いてないだろ」

 

ベルがそわそわしていると門番のキャットピープルの女性が話しかけてきてくれた

これはチャンスだと思い、門番の元へ駆け寄り声をかける

「あっあの……」

「なにか用か坊主」

「えっえっと……」

黒髪のヒューマンにビビり次の言葉が出ないベル

「こら仏頂面!兎っ子がヒビちゃってるにゃ!」

「大丈夫にゃ!とって食べたりしないから」

少し笑い気味で答えてくれるキャットピープルさん

「ぼっ僕、【ロキファミリア】さんの、アイズ・ヴァレンシュタインさんにダンジョン内で命を救われて」 

「そっそれで……おっお礼をしたくて……」

「坊主、アイズさんとは元々知り合いなのか?」

「いっいえ……」

「ならアイズさんに会わすことは出来ない」

「そっそんな!」

「うーん、兎っ子は駆け出しの冒険者で間違いないにゃ?」

「はっはい……」

「普通はなにか特別なことがない限り、自分達のホームには許可がない限り入れないのが基本なのにゃ」

「しかもだ、うちの幹部のアイズさんとなれば尚更だ」

ベルは説明されたが諦めきれず

「なっならせめて贈り物だけでも渡してください!」

「贈り物?」

「はっはい!どうしてもお礼がしたくて用意させてもらったものです……だからお願いします!!」

「うーん……クザクどうする?」

「…………わかったそれだけは渡しておこう」

「あっありがとうございます!!!」

ベルは思いっきり頭下げお礼をいう

「ただし今回限りだからそれを忘れるなよ坊主」

「はっはい!!!ありがとうございます!」

「用が済んだならさっさと帰れ」

「わかりました!ほんとありがとごさいました!」 

ベルは再度お礼を言い、『黄昏の館』を離れる。

「……良いことするにゃ無愛想ヒューマン」

「うるさいショタネコ、どうぜ俺が受け取らなかったらお前が渡してたろうに」

「さぁー」

「とりあえず俺はアイズさんにこれを渡してくる」

ベルから預かった袋を手にホームの中に向かう

「あっ!!」 

「どうしたシホ」

その声に振り返るクザク

「……あの子の名前聞くの忘れたにゃ」

二人は顔を見合わせる

基本訪れた人の名前など、基本的な情報を聞かなきゃいけないのだが、二人して忘れていた。

「………まぁ気にするな」

「気にしたら負けにゃ」

「そんじゃ渡してくるわ」 

「了解ニャ~」

 

【ロキファミリア】には習慣があり、ホームにいる人達は出来るだけ朝食を一緒に食べるようにとされている。

親睦を深めるためと言えばわかりやすいだろうか。

なので基本皆起きる時間帯が似たり寄ったりなのだ

(なんか良い匂いがする……)

それこそ幹部と呼ばれる第一級冒険者達も同様である。

(朝ご飯の匂い?……ううん、外からする)

第一級冒険者のアイズは起きて食堂にむかってる最中、いつも自分が好む匂いに反応した。

常人なら外の匂いなど気が付きもしないが、Lv5までとなると嗅覚など神経が強化され過ぎてしまって、日常でも常人より遥かに敏感になるのだ。

(なんだろ気になる)

匂いを辿り外に出ようとしたとき丁度玄関が開いた。

(うおっ…びっくりしたまさかアイズさんがいるとは)

「おはようございますアイズさん」

「うん、おはよう」

「今お時間いいですか」

「大丈夫」

「ありがとうございます」

「先程ですね、アイズさんにダンジョンで命を助けてもらったと言っていた少年からお礼の品を預かってます」

「……少年?」

(ん?少年だけじゃわからないか……特徴言えばわかるか)

「えっと、白髪頭で瞳が赤く、なんと言いますか兎みたいなやつですね」

「!!」

(おっ?俺が言うのもなんだが、表情に乏しいアイズさんが反応してる)

(直談判して無理にでも会わせる機会を設ければよかったかもな……坊主には悪い事したな、今度あったときにでも謝るか)

「えっとこれがお礼の品になります」

クザクはベルから預かった袋を渡す

「俺は門の警備がありますので、これで失礼します」

「うん、ありがとう」

アイズは匂いの正体がこれだったんだと気付く

(兎みたいな少年って…この前ミノタウロスから助けた人だよね)

(助けた後すぐにいなくなっちゃったから、怖がられたかと思ったけど、お礼くれるってことは怖がられてないのかな?)

アイズはなぜあの少年が逃げてしまったのか考えていると、後ろから声がかかる

「アイズおはよー!!」

「おはようアイズ」

「おはようティオナ、ティオネ」

アイズにあいさつしてきた二人

ティオナ・ヒュリテ【大切断(アマゾン)】とティオネ・ヒュリテ【怒蛇(ヨルムンガンド)】、アマゾネスの双子の姉妹だ。

アマゾネスは好戦的な種族で、特徴なのが全て女性であり、大体が褐色でスタイルが良く、肌の露出が多い服装を好む。

ティオナもティオネもアイズに負けず劣らず褐色美少女である。

双子の見分け方は、姉のティオネはロングヘアーで落ち着きのある雰囲気、そして胸がある。

妹のティオナはショートヘアーで元気な雰囲気、そして胸がない。

後半の区別の仕方はティオナが怒るので要注意。

ティオナとティオネが袋に興味を示す

「なんかいい匂いするねその袋!!」

「なにか食べ物でも入ってるのアイズ?」

「まだ何が入ってるかまだ見てない」

「それはアイズの物じゃないの~?」

「貰い物」

「貰い物?どうゆうこと?」

ティオネが疑問を抱く

「この前五階層でミノタウロスから助けた人からの貰い物」

「いいな~!私も贈り物欲しい!」

「あんたね少しは疑いなさいよね…ほかのファミリアから送られてきたって時点で怪しいでしょ!」

「そうかな~?」

「とりあえず中身見てみる?」

「そうね…見てから判断しても遅くないか」

とりあえず袋の中身を確認する三人

「「「じゃが丸くん?」」」

「手作りのじゃが丸くんって余計に怪しいわね、毒の可能性もありね」

「でも毒入ってたら匂いで気が付くと思うよティオネ?」

「それぐらい考えてるわよ!まぁ私たちぐらいになると、そんじょそこらの毒なんて効きもしないから無意味なんだけどね」

「どうすればいいかな?」

そこでティオナが提案する

「なら私が毒味しようか??」

「あんたお腹すいてるだけでしょ」

「ちっ違うよ!違くないけど違うよ!」

「ティオナ…それじゃよくわからなくなってるよ」

「三人の中じゃあんたが耐性あるって言いたいんでしょ」

「そう!!だから私が食べて大丈夫ならふたりとも食べるってことでいい?」

「わかったわ、アイズもそれでいい?」

「大丈夫」

二人の許可を得たティオナは、袋の中に入ってる三個中の一個を取り出し手に持つ

「それじゃいただきまーす!!」

カプ モグモグ ゴックン

「どうティオナなんか入ってる?」

「………………」

「ティオナ?」

「………………」

「ティオナ!?まさかほんとに毒が!?」

「おっ…………」

「「おっ?」」

「美味しすぎるーーーーーーーー!!!!」

ティオナの反応を見てふたりして固まってしまう

「今まで食べた中で一番美味しいじゃが丸くんだよ!」

「私バカだからうまく説明出来ないけど、物凄く美味しいんだよ!」

「なによあんた……突然黙ったり、叫んだりと騒がしい」

「大丈夫なのティオナ?」

「大丈夫だよ!!はやく二人も食べてみればわかるって!!」

「そこまで言うなら食べてみるわ」

「うん」

「はやくはやく!」

「「いただきます」」

恐る恐る口にしてみる二人

「「!??」」

「なっなによこれ……美味しいってレベルを遥かに凌駕してるわ」

「でしょでしよ!!」

「確かにこれは言葉では上手く説明できないわ……」

「…………」

「アイズ?」

アイズの頬に伝う一滴の涙

「「!!!???」」

「……私じゃが丸くんに出会ってよかった」

「アイズが感動のあまりに泣いてる!?」

「えぇぇ!!」

「玄関先にでなにをやってる、朝食の時間はもうすぐだぞ?」

現れたのは副団長にしてLv6、オラリオ屈指の魔導師【九魔姫(ナイン・ヘル)】リヴェリア・リヨス・アールヴ。

高貴なハイエルフの生まれで、エルフの皆に尊敬される存在である。

「「リヴェリア!!」」

「三人の揃って朝食を前におやつとは感心できんな……って何を焦っているんだティオナ、ティオネ?」

三人に近づき、ふと何もしゃべらないアイズを見ると

「!!!??」

「アッアイズ!?どうしたのだ!?なにがあった!!」

「誰かになにかされたのか!?誰だ!!」

「リヴェリア落ち着いて!?」

「あなたまで慌てたら意味ないでしょ!?」

そんな慌てている三人をよそにアイズは考える

(会ってみたい……こんな美味しいじゃが丸くんを作れるあの子に……)

このあと、神ロキが参戦しよりめんどくさくなるのであった。

 

 

「ヴァレンシュタインさんにお礼の贈り物渡せたし!」

「改めて今日から頑張るぞ!!!」

恩人のアイズが、普通とは違う興味の示しかたをベルにしたことは露知らず

今日もダンジョンに向かうベルである。

 

これは駆け出し冒険者(ベル・クラネル)第一級冒険者(アイズ・ヴァレンシュタイン)に感動を与えた日常である。




一言だけ
至高の一品さすがっす


すみません原作ですとじゃが丸くん、なんですけど私途中までじゃが丸君と書いてました……なのでここからじゃが丸くんに変わってますので気にしないでくださいませ。

ではでは次回も兎が織り成す英雄譚をお楽しみに。

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