これが僕の英雄譚   作:猫と果実

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とうとうアイズとベル顔合わせなるか……

兎が織り成す英雄譚をお楽しみください。


休息も束の間

目の前には僕が憧れそして目標にしている人

アイズ・ヴァレンシュタインさんがいる……

「あの剣士の女性すごく綺麗……」

同姓であるシャルさえ見惚れる美しさ

「それでなにしに来たんだい?」

「フィンから聞いてな、ミアに怒られたバカがいるってこと聞いたんや」

「それでその犬っころかい」

「あぁ!?誰が犬っころだテメエ!?」

「フィンにはしっかり躾とけって言ったんだけどね」

「「ひっ」」

ミアが放つ凄みにやられる14歳組

一級冒険者の全員が思わず構えを取りそうになる。

そこにパタパタ割り込む影

「ミアお母さん!ベルさんとシャルちゃんが怖がってます!」

気圧されることなく普通に止めにはいるシル

「……ついね、悪かったねベル、ヘルガル」

「「は、はい」」

その名にピクリと反応する者がいた

「ベル?」

「どうしたのアイズ?」

「ちょっとティオナ!鎖持つ力弱めないでくれる!」

キョロキョロと人を探すアイズ

「……あっ」

そして兎の様な風貌の少年を見つける。

そしてその場から消えるたかと思わせる速度でベルの前に現れる。

「うわっ!?」

思わずのけ反り転びそうになるベル。

「やっと会えた」

ちょこんとなに食わぬ顔で立つアイズ。

「あなたの名前は?」

「ぼ、僕ですか?///」

「うん」

「べ、ベル・クラネルと言います!///」

「ベル・クラネル……ベルこの前じゃが丸くん美味しかった」

「い、いえ!!こちらこそ助けて頂いたのに逃げ出してしまって!?」

「ヴァレンシュタインさん、ほんとあのときはありがとうございました!」

バッと思いっきり頭を下げる

「アイズ」

「へっ?」

「アイズって呼んで、皆もそう呼んでる」

「で、でも」

「アイズ」

「ア、アイズさんありがとうございました///」

「うん」

「この子がじゃが丸くんくれた子?」

ティオナが興味津々で聞いてくる。

「うん、名前はベル」

「そっか!私もじゃが丸くん食べたけど、物凄く美味しかったよベル!!」

「あ、ありがとうございます///」

照れとアマゾネスの格好に対しての羞恥心で顔が真っ赤になる。

「あ、私はティオナ・ヒュリテ!」

「それであっちの髪が長いのがティオネ・ヒュリテ!」

「私たち双子なんだ!よろしくねベル!」

「は、はい!///」

「自己紹介は後でいいから戻ってきなさいティオナ!!」

「この馬鹿力が!!鎖放しやがれ!?」

「なんやなんや!!うちのアイズたんに興味引かれてるやつわ!!」

「ロキ、ベルを怖がらせないで」

「そ、そんながちで怒らんでもアイズたん……」

「騒がしいやつらだね!他のやつは午後の準備に取りかかりな!!」

「「「はい(ニャ)!!」」」

ぞろぞろと準備し出すウエイトレス達

通りすがりにシルがベルの耳ともでささやく

「なにかあったらすぐに呼んでください、お姉ちゃん達が黙ってないですからね」

最後ににこっと微笑みいなくなる。

残ったのはロキファミリアの面々とベル、シャル、ミア。

「ヘルガルは客だから好きにしな」

「はい」

「それで用件は?」

「うちのベートがミアに嫌われてしもうたから、1日パシリにでもつかってもらおか思ってな!」

「はぁ!?聞いてねぇぞロキ!!!」

「なんだい一発殴られたいのかい?」

「あっ!?」

「ベートが動くとジャラジャラ鎖がうるさい!!」

「なら鎖離せばいいだろうがバカゾネス!」

「てかよ俺が何したってんだ」

ロキに睨み付けるベート

「さぁ?それはミアにしかわからんな」

「やかましいやつらだね、邪魔だから帰りな」

「えぇ~ここお気にの店やからうちらが来てミアを機嫌悪くさせるのはいやや~お気になんやから!!」

ただをこね始めるロキ、うるさいと顔にだすベート

そして一人の少年に気づく

「あぁ?お前アイズに助けられたトマト野郎か?」

「トマト野郎?」

「お前は黙ってろ女、俺はそこのやつに聞いてんだ」

「……はい、僕はアイズさんに助けられた冒険者です」

ベルがトマト野郎と気付くと大笑いし始める

「なんだお前冒険者辞めて料理人にでもなったか!!」

「ベートさんこれ以上ベルのこと悪く言わないで」

「あぁ?また庇うのかアイズ、こんなやつのために」

「こんなやつじゃないもん!会ってよりわかったけどいい子だもんベル!!」

アイズとティオナがベルを擁護する

「雑魚は雑魚だろ」

「ティオナ、ティオネ鎖外してやり」

「えぇ!?」

「いいのロキ?」

「さすがに鎖つけたままじゃ格好つかんしな」

「わかったわ」

ベートにつけた特殊性鎖を外す。

「最初からはずしとけ、俺は帰るぞ」

ツカツカと出口に向かう

「おいトマト野郎」

「……はい」

「悪いことは言わねぇ、守られるだけ雑魚のお前は冒険者に向いてねぇ」

ベルは拳を握りしめる。

その言葉にミアとアイズが行動に移す前に

「取り消せそこの狼」

「えっ?」

思わずびっくりして声をあげ、目を見開くベル。

「シャル?」

「ベルの悪口を取り消せ」

「あぁ?なんだ女、俺は正直な事しか言ってねぇ」

「そいつが弱くて守られるだけの雑魚ってことだ」

プツン、シャルの中で何かが切れた。

『ベル』

『シャル……』

『いつまで引きこもってるのよ!今日は外出掛けるの!』

『やめとく』

『……じぃじがいなくなってずっと引きこもるつもりなの!?』

ポロポロと泣き出すベル

『僕外に出るのが怖い……また大切な人を失うんじゃないかって』

『だから待ってる』

そんなベルの手を掴む

『シャル?』

『ベルは弱いから私が守ってあげる』

『で、でもそうしたらシャルが……今度はシャルが死んじゃうよ!!』

『だったらベルが私を守って?』

『僕が?』

『うん、だから大丈夫!一緒に居れば大丈夫だから!』

その言葉を聞き大泣きする

『僕、僕はシャルのこと守るから、強くなるから!』

泣き崩れながらシャルに抱きつく

(そう私はあの時泣いてるベルを見て決めたんだ)

(心優しくて純粋なベル、私の大好きなベル)

(私が守るって約束したんだ!)

「ベルを馬鹿にするな!!!!」

特殊な歩法でベートに急接近する。

(イザナキ流 突きの型)

「『虚空』!!」

浸透系と言われる突きを最大限利用し打撃の際その力を一点に絞りより貫通力をあげた突き。

バンッ!!

「!?」

余裕で片手で掴みとるベート

「面白い技使うじゃねぇか女」

そのまま放り投げようとするベート

「シャル!!!」

「くっ!?」

「そこまでにしぃやベート」

周りが凍りつくかの様なロキの声にベートは止まる。

「……やってきたのはあっちからだ」

先程とは違うお茶らけた声で話す

「その可愛い子女の子一般人や!」

「えぇ!てっきり私冒険者かと思った!」

「あたしもよ」

「うん、動きが凄かったし」

一級冒険者を唸らせる技術を持つシャル、しかしベートには微塵も敵わないのは変わらない。

「けっ殺されてぇのか女、恩恵もなしに挑むなんぞ自殺と同じだ」

「っ……」

実力者の圧倒的な差に悔しがるシャル

「シャル怪我は?」

「大丈夫だよベル」

シャルは笑ってくれているが悔しさと情けなさで涙目になっている

「実力もねぇ癖にしゃしゃり出んじゃねぇ女」

「おめぇもトマト野郎と同じで雑魚なんだよ」

「ベートさん言い過ぎです」

スッと二人の前に立つ

「チッ、俺は間違ったことは言ってねぇ」

パタパタとティオナが来る

「大丈夫?怪我してない?」

「……はい」

落ち込みを隠せないシャルを見てベルは決める

「ベートさんでしたよね」

「あぁ?なんだトマト野郎」

「シャルの悪口を訂正してください」

「べ、ベル?」

(ベルが……もしかして怒ってる?)

「なんだお前ら弱いもの同士慰め合いか?」

目を瞑り話し出すベル

「僕は弱いです、守られることが多い弱者です」

「でもシャルは違います」

「こんな情けない僕でも守ってくれる強い人です」

「僕のことは馬鹿にしてもいい、でも」

「大切な人を馬鹿にするのは許せない」

そしてベートと視線を合わせ話す

「てめぇみてぇな雑魚の言葉なんぞ聞くか」

そして笑いながら

「まぁもし俺に一撃でも当てられたら謝罪でもなんでもしてやるよ!」

さも絶対にあり得ないと言うように大笑いしながら言う

そして

「わかりました」

「はぁ?」

「ベートさん僕と闘いましょう」

兎の決意を狼にぶつけるのである。




ベートさん少しヒール役多いですね……ベート好きの方すみません……

次回も兎が織り成す英雄譚をお楽しみください。

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