これが僕の英雄譚   作:猫と果実

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兎デーのオラリオはなにが起きるのやら……


では兎が織り成す英雄譚お楽しみください!


試練はなにが起こるかわからない

「これって……」

シャルは目を疑った

「だってただの……」

この惨劇に、この過酷な戦場に

「芋なのに!?」

今日は急遽決まった兎デー

「ベル!!あたしが手伝えるところがあるならやるよ!!」

「お、お願いします!!下処理に関してはミアお母さんも出来るはずなので!!」

「任せな!!」

駆け回るミアとベル

「ベル追加20個ニャー!」

「クラネルさん兎印30個お願いします!」

「ベルさん追加お願いします!!」

「ひぃ!?」

「相変わらず恐ろしく売れるね!!」

オラリオで一日限定で販売された『兎印のじゃが丸くん』の復活はすぐに広まり、開店から一時間経った今既に長蛇の列。

「ミアお母さん!!列が恐ろしいぐらい並んでるんだけど!?」

ルノアが慌てて店内に来る。

「今日は店自体の営業スタイル変えるよ!!!」

「兎印以外は売らないことにして、店の中でも待てるようにしな!!」

「クロエ!!やっぱり動けるやつを引っ張り出してきな!!」

「わかったニャ!!」

「給料弾むことと打ち上げやるってこと言っときな!!」

「ニャ!!」

指令を受けた後、その場で消えた様に錯覚するほどのスピードでいなくなる。

「ルノア!急いで机と椅子端に寄せな!!」

「並べる場所と買った客が帰れる道だけ確保しな!!」

「はい!」

ルノアは見かけによらずすごい力で物を運び準備を整える。

「シル!!今日は売り上げも馬鹿にならないぐらい良くなるから、待ち時間の客にドリンクとかなんやら渡してきな!」

「えっいいんですかミアお母さん!?」

「前みたいに倒れられても困るからね!」

前回実は待ち時間の間に熱気にやられ倒れる人も出ていたのだ。

「わかったミアお母さん!」

ぱたぱたと大きなトレーを手に動き出す。

「リュー!!追加のじゃがいも買ってきな!」

「わかりましたミア母さん、量は?」

「持てるだけ買ってきな!!」

「了解しました」

クロエに負けないスピードで消えるリュー。

余談ではあるが、実は前回兎印がなくなるまで売れたことにより、オラリオではじゃがいも人気が出すぎて値段が少し高騰したらしい。

「兎印上がりました!!!」

大きな声で完成を伝える。

「「「はい!」」」

今日は兎デー、兎が作る至高の一品。

「…………都会の飲食店ってこんなに忙しいのね」

都会の恐ろしさを間近で見たシャルは怯えていた。

 

 

あるホームの食堂

「聞いたかいな!!伝説と噂されたじゃが丸くんが復活しとるらしいで!!!」

赤髪の神が騒ぎ出す。

「ロキめずらしく朝食に遅れてきたと思ったら、その伝説のじゃが丸くんとはなんだい?」

食事をしながら疑問を投げ掛けるフィン。

「知らんのかいフィン!?」

「そんな大袈裟に言うほどの事なのかい?」

「そしてアイズ、ちょっとは落ち着きな」

かなりソワソワし出すアイズ・ヴァレンシュタイン。

そうここは『黄昏の館』ロキファミリアのホームである。

「なんでも神が認めたじゃが丸くんらしいで」

「面白いもんがあるもんじゃの」

話に食いつくドワーフ、彼はガレス・ランドロック、フィン、リヴェリアに並んでLv6の古参だ。

「ロキ出掛けるのはなしだからな、書類整理がまだ済んでないだろ」

リヴェリアに出掛けるのは禁止と突きつけられる

「そな殺生な!?お母さん一日限定やねん……頼むから出掛けさせてや」

リヴェリアの腰に巻き付くロキ

「誰がお母さんだ、他のものに頼めばいいだろ」

「行ってみたいやん!!」

「ロキ、そのお店はどこにあるんだい?」

「後ティオネ、ティオナ、アイズが飛び出さないように押さえておいてくれ」

「はい団長!!」

「はーい」

ガシッと両腕を押さえ込まれるアイズ

「フィン……私もすぐには行かないから大丈夫」

「アイズ……そんな既にお金を握り締めてる姿を見せられても信用は出来ないよ」

「がっははは!!行かせてやればいいじゃろフィン」

「アイズ……もう少し落ち着け」

「……わかったリヴェリア」

「さてと……それで場所はどこなんだい?」

ふふふっと待ちに待った様に語り出す

「神が『もはや神の力(アルカナム)』と称したじゃが丸くんがあるのは……『豊饒の女主人』や!!」

「なんじゃミアのところの酒場でやっとるんかい」

「ア、アイズ落ち着いて!?」

「ちょ、アイズ!?」

今にも買いに行きたい衝動を押さえつけられるアイズ。

「リヴェリア頼んだよ」

フィンの一言によりリヴェリアが動く

「アイズ、少しは落ち着きななさい」

子供を叱りつけるように諭す

「むぅ~」

頬を膨らませ不機嫌になるアイズ

「それは困ったね…ミアは少し僕らに対して機嫌が悪いかもしれないからね」

売り場が『豊饒の女主人』と聞き困った様子になるフィン

「団長どうゆうことですか?」

疑問に思ったティオネが聞く

「あぁ皆には話していなかったね、実はこうゆうことがあってね」

皆に説明し出すフィン

 

時は少し遡り、ベルがお店から飛び出した時に戻る。

「べ、ベルさん!?」

「あいつ食い逃げニャ!?」

バタンと飛び出していく少年が一人居たことに気付くフィン

(まさか……今の話を聞いて?)

「あちゃーミアのところで食い逃げとか度胸あるわ~」

ロキは酒をあおりながら話す

そして同時にアイスが外に飛び出す

「ア、アイズたん?」

それをおっかけロキも出ていく。

そしてウエイトレス達の雰囲気が変わり出ようとする

「食い逃げ追っかけるニャ!!」

「アーニャが行きますか?」

「アーニャがいくニャらミャーもいくニャ!!」

キャットピープル二人が駆け出そうとした瞬間

「なに仕事抜け出そうとしてんだい!!!」

ドンっとカウンターの机を叩き怒鳴り声をあげるミア

「ニャ!?」

「誰が勝手に抜け出していいって言ったんだい!!」

「で、でもミア母ちゃん……」

「食い逃げニャからその……」

ドンっと机を叩き

「なんだい……あたしに逆らおうってのかいクロエ、アーニャ」

「「!?」」

殺気に似た目線をぶつける

(ガチギレにゃーーー!?)

(これはお店壊したときいらいニャー!?)

「はやく仕事に戻りな!!!!」

「「ニャ!!!」」

ひゅんと逃げ出す猫二匹

そしてミアの怒鳴り声で静まる店内

「他のやつらも仕事に戻りな!!!」

「「「はい!!!」」」

それをきっかけにバタバタと動き出す。

お客も唖然としたが、食事を再開する。

「ミアお母さん……ありがとう」

ミアの横に居たシルがお礼を言う。

「なに、明日来なかったりしたらとっちめに行くのは変わりないからね」

「シルも仕事に戻りな」

「うん……」

ロキとアイズが店内に戻ってきた頃に普通と変わりなく飲み食いが始まっていた。

「なにがあったんやフィン、外でも怒鳴り声聞こえたで」

「少しミアの機嫌が悪いのかもしれないね」

「フィン主神命令や、なにか手伝えることあるなら手伝ってき」

「こんな時に媚売らなくてもいいんじゃないか?」

「ちゃうわ!うまい飯食わせてもらってるお礼や!!」

「主神には逆らえないからね」

フィンは椅子から立ち上がりミアの元に向かう。

「ミアちょっといいかい?」

「なんのようだいフィン」

「良かったらさっきの食い逃げ犯僕たちが捕まえてこようかい?」

フィンの提案に少し黙るミア

「余計なお世話なら別に大丈夫なんだけどね」

すると

「そんなことはどうでもいいんだよ」

「フィンあんたの所の犬っころしっかり躾しときな」

「それはベートのことかな?確かに先程は無礼が過ぎた発言が多かったかも知れない、機嫌を悪くしたのなら謝る」

少し頭下げ謝罪をするフィン

その頭をガシッと掴み顔をあげされられる

「あたしは謝罪が欲しいわけじゃないんだよフィン」

「もしあんな躾のなってない犬っころが騒ぎだしたりでもしてみな」

「あんたら全員ここから追い出すから覚悟しときな」

フィンが本気で構えをとりそうになるぐらい緊迫した雰囲気が出ていた。

「す、すまなかったミア、必ずベートには躾をしておく」

「それでいいんだよフィン」

「君が本気で怒ったら僕達は無傷じゃ済まないからね」

冗談交じりで言うフィンだが、実際無傷じゃ済まないのは事実。

「後ミア、ここで一番高い酒をボトルで五本頼むよ」

「ふんっそうゆうところがいけすかないね」

「一応謝罪の一部として受け取っておいてくれミア」

「さっさと行きな!!酒は後で持っていかせるよ!」

「ありがとう」

 

 

「とゆうことがあったんだ」

「あのミアが切れてら儂でも危ないからの」

「私ならすぐ殺されかねない」

そんな発言に皆恐怖を覚える。

「だからベート次の日フィンに組手でぼこぼこにされてたんだ!」

空気を変えるようにティオナが喋り出す。

「団長に迷惑かけるなんてあのボッチ」

「ベートさんのせいでお店いけないの?」

ロキが叫ぶ

「ベートはおらんのかい!!」

「あいつにウエイトレスの格好させて謝らせにいこや!!」

「ベートは僕にやられてから、ダンジョンに籠って鍛練してるよ」

すっと立ち上がるアイズ

「捕まえてくればいいの?」

「「「えっ」」」

「アイズ、ロキの言葉は真に受けなくていいんだよ」

フィンが諭すも

「でも謝らないとじゃが丸くん買いにいけない」

「アイズ…それはまた今度ではだめかい?」

「だめ」

「だめなのかい?」

「うん」

「……」

「……」

「ロキ、君が発言したことだ止めるのは君に任せる」

「な、なにうちに押し付けてんねん!?」

「今の僕じゃ止められる気がしないんだ」

「となると団長の次に諭すのは主神しかいないだろ?」

正論を言われむぐっとなるロキ

「あーわかったわかった!!」

「アイズたん!!」

「なに?」

「そこの店以外のじゃが丸くん好きなだけ買ったるから今回は見逃してくれへんか?」

「食べたから大丈夫」

「へっ?」

思わず間抜けな声が出るロキ

「あーそうえばアイス最近ダンジョン行かないで出掛けてたんね!!」

「もしかしてアイズ、じゃが丸くんの子探してたの?」

ティオナ、ティオネが気付く

「うん……だからオラリオにあるじゃが丸くん屋さんにいったの」

「だからいっぱい食べたから大丈夫」

「なんやと……アイズたんがそこまでする相手って誰なんや!!!!????」

「だからいらない」

ヒュンと消えるアイズ

「あっ!?」

ホームから飛び出していくアイズ

「…………ラウル倉庫からポーションを用意してきてもらっといていいかな」

フィンが一人のヒューマンに頼む

「りょ、了解っす!」

「ティオネ、ティオナ止めなくていいからアイズが無理しないように見といてくれないかい」

「はい団長!!任しといてください!!」

「わかったフィン!!」

アマゾネス二人もホームを飛び出す。

「がっははは!!若いってのはいいことじゃの!!」

「まぁ親指も疼いてないから大丈夫だと思うけどね」

「フィンがそう言うなら大丈夫なのだろう」

「アイズたーーーーん!!!」

この1時間後ぼこぼこにされたベートが縄で引っ張られながらアイズにホームに連れ込まれたのであった。




ベートさん可哀想-w


では次回も兎が織り成す英雄譚お楽しみください!

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