これが僕の英雄譚   作:猫と果実

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皆様ありがとうございます!
お気に入り200、UA20,000達成しました!!
正直そんな見てくれないだろうと思ってたのでびっくりです。
ありがとうございます!

では兎が織り成す英雄譚お楽しみください。


拳は愛より重い

「今日も一日頑張らないとね」

「エイナは本当に仕事こなすよね~」

「それが普通なのミィシャ!」

ギルドは近日に行われる【怪物祭(モンスターフィリア)】の諸々の仕事に毎日追われている。

「仕事もそうだけど、オラリオ以外から来る人が開催する日に近づくに連れて増えていくのが厄介だよね……」

「そうだね……問題も多くなるし、案内も私達の管轄に入っちゃうから余計にね」

「さてそろそろ仕事始めようかエイナ」

「そうだね」 

二人して自分のディスクに戻り、仕事をし始める。

 

最近はどの時間帯も冒険者と観光客の人々でオラリオは賑わっている。

そのせいもあり問題が多発、迷子、喧嘩、窃盗、押し売りなど様々な問題が起きている。

なのでギルドは忙しいのだ。

 

(今日も人多いな……ん?)

人混みに紛れてオロオロとしている少女を見つけるエイナ。

(なにかあったのかな?)

「ごめんミィシャちょっと抜けるね」

「はいよ~」

受付業務を中断し、困ってそうな少女の方に向かう。

「こんにちは、なにか困り事ですか?」

「!?」

少女は声をかけられると思っても見なかったので驚きを隠せない。

コクコクと首を縦に振る。

身長は私より頭一つ分小さいぐらい、でも小柄ながらも足はスラッと長く、スタイルもいい。

髪は茶髪で肩にかかるぐらいで自然と髪が跳ねちゃってる。

目元がぱっちりしてて、瞳は髪と同じブラウンの瞳、可愛いな女の子だな~っと誰が見ても思う少女。

青色のショートパンツに白地のTシャツに、フードがついている上着を羽織ってる。

可愛い雰囲気と違ってラフな格好。

「大丈夫?」

「は、はい!!」

バッと勢いよく頭を下げる。

「は、初めてエルフの方とお話したので緊張しちゃって///」

恥ずかしがりながら言う少女。

「そうだったんだ!遠くから来たのかな?」

「は、はい!田舎の方から来たので、どうしていいかわからず……」

「お母さんにはもし困ったことがあったらギルドのお姉さんに頼りなさいって言われまして」

「お母さんは一緒じゃないの?」

「14歳にもなったんだから一人旅大丈夫でしょ?って言われて一人来ました!!」

「そうだったんだね!遅くなったけど私はエイナ・チュール、オラリオようこそ」

ぺこりとお辞儀するエイナ

「私たはシャル・ヘルガルと言います!自己紹介遅くなってすみませんでした」

エイナに習ってぺこりとお辞儀する。

周りから見たら姉妹の様に見える二人。

「ふふっ、礼儀正しいのねシャルちゃんは」

「そ、そんな///」

「シャルちゃんなにか困り事?」

「えっと……人探しをしてまして……」

「人探し?その人はオラリオに住んでるの?」

「……そのはずなんですけど、田舎から出た後連絡がなくて……」

エイナはドキっとした、連絡が途絶える事はオラリオではよくあることなのだ。

冒険者になり死んだ人、オラリオに来る最中襲われたりなど理由はいっぱいある。

シャルが心配になるのもわかるのだ。

「シャルちゃん!私も探すの手伝うからね!」

「えっ!!い、いいんですか?」

「お仕事ってのもそうなんだけど、なんかほっとけなくてね」

ニコっと笑うエイナにうるうるとした目で感謝を述べるシャル。

(ベル君と同い年だしほっとけないよね)

「えっとシャルちゃん、その人の名前と特徴とな詳しく教えてもらえる?」

「はい!」

「歳は私と同じ14歳、身長は私より少し大きいぐらいで」

聞きながらメモをとるエイナ。

「髪色は白、目が赤目でなんというか兎に似てますね!」

エイナはメモをしながら心当たりというか、もうその子しかいないだろと思いつつメモをとる。

(まさか?)

「名前はベル・クラネルって言います」

「やっぱり!」

「えっ?」

「私ベル君の専属アドバイザーなの!」

それを聞いた途端、キラキラと目を輝かせるように

「べ、ベルは無事にオラリオにいるんですか!!?」

「お、落ち着いてシャルちゃん、ベル君は無事にオラリオで冒険者になってるよ」

優しくシャルに伝えると、安心してかポロリと涙が出てた。

「よ、よかった~」

(もうベル君、こんな可愛い子を泣かせて!会ったら説教しないと!)

「多分ここに居ればベル君から来るだろうから」

「はい!!」

嬉しそうに返事を返す。

すると噂をしていたベルがギルドの門を通るところを見かけるエイナ

「あっ!噂をすればベル君きたよ」

指でベルの居場所を教える

「!!」

バッと駆け出しベルの方に向かうシャル

(ふふっ、涙流す程心配だったんだもんね)

(なんか感動の再会だな)

エイナはほっこりとシャルが向かうのを見守っていた。

「ベル!!」

大声でベルの名を呼ぶ、そのせいか他の人から注目を浴びる。

「えっ?」

声の方向を向くベル、そしてシャルの存在に気づく。

「えっ!シャル!?」

ベルもシャルの方に足を進める

「ベル!!!」

お互いの距離が縮まる。

そしてもう寸前と近づき

「シャル!!いつオラリっぉっぶぉ!?」

ゴロゴロ、ドンっ!!

盛大に顔面を殴られ、壁にぶつかるベル。

そして右ストレートの格好をしているシャル。

予想だにもしなかった光景に唖然とする皆。

ツカツカと飛んだベルの方に向かうシャル。

「シャ、シャル……痛いよ」

「…………ベル、言ったわよね心配かけないように絶対手紙書くって」

「あっ……」

「うちの家族も村の人も心配するから、手紙を出すって言ったのはベルでしょ?」

「は、はい」

汗をダラダラと流すベル。

「それで村を出て1ヶ月以上、なにも音沙汰なし」

ニコニコと笑いながら拳を握る。

「理由は?」

「………………わ、」

「わ?」

「忘れてました」

盛大に頭に拳を食らうベル。

「うがっ!?」

小声でシャルは

「どれだけ心配したと思ってるの」

ベルは頭を擦りながら、下から覗きこむように

「うぅ……痛い……もしかしてシャルわざわざ僕を探しに?」

ボンっと顔を真っ赤にするシャル

「な、なに言ってるの///!?べ、別にベルが心配で村を出たって訳じゃないんだから///!!!」

「そうなの?」

「そ、そうよ!!別にそんなことどうでもいいでしょ!!」

大声で怒鳴り声をあげる。

そしてギルドに居た神々と神々からその事を教えられた人々は思ったのだ。

「「「「あぁ、ツンデレか」」」」

 

 

「すみませんでした!!」

凄い勢いで謝るシャル

「だ、大丈夫よシャルちゃん、物も壊れてないし」

「ベルも謝って!」

「ええっ!?僕シャルに殴られただけだよ……」

「でもシャルちゃん恩恵も授かってないのにすごいね?」

「えっと……実は私ハーフドワーフなんです」

「えぇ!全然見えないね!」

「お母さんの血の方が濃くて、でも力とか普通の女の子より何倍も強いんです……」

シュンと落ち込むシャル。

「でもシャルちゃん可愛いから大丈夫だよ!」

慰めようと言葉かけるがうつ向いたままだったか

「そう思うよねベル君?」

ベルと言うと、ピクッと反応するシャル

「最初は力があることに驚いちゃうかも知れませんけど、それでもシャルは可愛いですよ!」

「!?」

ビクッと反応するシャル

「ほ、ほんと?」

「うん?昔から言ってるよ?」

ボンっと赤くなり、もじもじするシャル

(誰から見てもわかるねこれ……でもベル君本人気付いてないよねこれ……)

「二人どうゆう関係なのかな?」

「シャルと僕は幼馴染みなんです!村で唯一の同い年だったんですよ!」

「うちのおじいちゃんもシャルのお母さんお父さんと仲良くて!」

「家族ぐるみの付き合いでした!」

「そうだったんだ!」

話を聞き納得した後、もじもじとして話を聞いていないシャルに質問する。

「シャルちゃん?」

「ふぁい!?」

「しばらく滞在するの?」

少し慌てて答える。

「そ、そうですね【怪物祭(モンスターフィリア)】を見てから帰ろうかなって思ってます!」

「なら宿屋さん紹介しようか?」

「いいんですか!正直なにも考えていなかったので助かります」

「シャル、良かったら僕のホームで寝泊まりする?」

「「えっ」」

「今神様もいないからベットも使っても大丈夫だし」

「「ベット!?」」

「あ、僕はソファで寝るから安心して!」

「で、でも他の仲間の人の邪魔とかになるじゃん!」

「あー……団員僕一人なんだ……」

「なるほどそれなら平気……じゃないよ!二人きりだよ!?」

「そうだよベル君!?」

「でもシャルとは森とかでテント建てて寝たこともあるし」

聞き耳を立ててた神がざわつく

ざわざわざわ

『なんだラブコメか?』

『くそ!神を差し置いてリア充とか許さん』

『あの幼い顔でやるなあいつ』

「あ、あれは五年も前の事でしょ!!」

「しかも私のお母さんも付き添いで居たじゃないの!!」

最後は皆に聞こえない小声で

「確かにテントでは二人きりだったけど……」

ざわざわざわ

『なんだありきたりなオチだな』

『ふっ純潔は守られたな』

『同伴とはスリルがあるな』

興味が失せたのか神々は去っていた。

そんなことは露知らず、ベルは寂しそうに聞く

「そうだけど……やっぱりだめかな?」

「「…………」」

((なんでこんな可愛いの!?))

姉と幼馴染みはベルのうるうるに弱いのであった。

「まぁオラリオで一人も危ないから、ベル君が一緒に居てくれたら私も安心かも」

フォローをいれてくれるエイナに便乗するシャル

「エイナさんも許してくれたから……よろしくベル///」

「うん!!久し振りにシャルの好きなもの作ってあげるね!」

 

こうして幼馴染みとの同棲(仮)が始まるのである。




今回はメインキャラでのオリキャラ初登場となります!
シャル・ヘルガル ベルの幼馴染みとして話は進みますので!
後1ヶ月以上連絡がないと言うところで、オラリオに来てそんな経ってねぇだろ!?って思う方いらっしゃると思います。
田舎からオラリオに来るまでの期間も含めてなのでご理解ください-w←本文に説明入れられなくてすみません。

では次回も兎が織り成す英雄譚をお楽しみ。

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