これが僕の英雄譚   作:猫と果実

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いやー前回の話をみるとメインヒロインヘスティアってレベルでした。
あのふたりにしかない絆と愛、私は好きです。

では兎が織り成す英雄譚をお楽しみください。


謝罪と称賛

息苦しい……でもなんだか癒される……

僕はそんな苦しくて喜ぶ人間じゃないのに…

助けて…………ふにゃん

ふにゃん?

「………………」

僕の目の前は視野遮られている

少し離れてみる

「………………」

見えたのは我が神ヘスティア様

そして目の前にあるのは神さまの……

「なにしてるの僕はーーー!?」

大声を出しそうになる口を押さえて、隣にいる神様を起こさないように緊急離脱する。

「はぁはぁはぁ……無駄に汗かいた気がする……」

(なんで僕神様と寝てるの!?)

「痛っ」

左足に巻かれている包帯を見る。

(あっ……昨日僕ダンジョンに無理して行った後、神様に治療してもらって……泣いたんだ)

少しずつ思いだし、恥ずかしくなってくる。

(そのままベットで寝ちゃったってことか)

「…………神様本当にありがとうございます」

寝ているヘスティアに頭を下げる。

僕は誓ったんだ神様に、いつか必ず叶えてみせる。

 

現在朝の7時00分、結局ベルはほとんど眠れていない。

しかし心がすっきりして気分もいい。

「よし!神様に美味しい朝ごはん用意しようかな!」

張り切ってキッチンに向かおうとするベル。

そこで自分の荷物場に目線がいく。

「…………」

パンなどが入りそうなバスケット

「…………あっ」

ドバドバと先程とは違う汗が流れ出す。

「やばい…………僕食い逃げしてるじゃん」

ベルは英雄になると誓った日、さっそく強大な壁にぶつかった。

 

「神様、神様」

「うぅ……」

「すみません寝ているのに」

「だっ大丈夫だよベル君……」

「なんか辛そうですけど大丈夫ですか?」

「あっあまり耳元で話さないでくれベル君……頭に響く……」

「すっすみませんでした」

ヘスティアはのそっとねっころがったままベルの方を向く

ベルの姿をみて

「どこか出掛けるのかい?」

わたわたとかなり焦った様子でベルが狼狽える

「えっとですね…………ちょっとこれから謝罪に……」

「謝罪?」

「実は言い忘れてたんですけど……昨日外食したお店にお金払ってなくて……その……」

「早く謝ってきなベル君……」

「は、はい」

「行ってきます……」

「気を付けいくんだよ~」

ベルが荷物を持ちホームを出た後、ヘスティアは二日酔いにやられるのである。

 

 

今から新しい階層にチャレンジするかのような面持ちで歩くベル。

(…………こっ怖い)

しかし恐怖でいっぱいである。

(でも、僕が悪いことしたのは変わりないし)

(誘ってくれたシルさんにも、良くしてくれたミアさんにも謝りたい。)

そんなこと思っていると早々と『豊饒の女主人』に着く。

覚悟を決め店内へと入っていく。

カランと鈴がなり、お客が来たことを告げる音がなる。

すると音に聞き、テーブルクロスをかけているエルフのウエイトレスと、掃き掃除をしてるキャットピープルのウエイトレスが反応する。

「すみませんお客さん、まだ準備中なんです」

「そうニャ!まだ準備中ニャ!」

「あっ僕お客じゃなくて……そのシルさんとミアさん用事がありまして」

「ニャ!!!お前昨日食い逃げした白髪頭ニャ!!」

「白髪頭のせいでこっちは偉い目にあったニャ!!」

「一発殴らせるニャ!」

プリプリと怒り、ベルに迫るキャットピープル。

「ご、ごめんなさい!?」

そこに割って入ってくれたエルフ

「アーニャ、クラネルさんが困ってます」

僕はこんな状況で不謹慎ながらも、憧れであるエルフに名前を呼ばれて心が高鳴ってしまう。

「いっいえ!僕が悪いので怒られるのは当然です!」

「大丈夫ですクラネルさん、ミア母さんも今は落ち着いてます」

「いっ今は?」

「白髪頭が居なくなった後はかニャり機嫌悪かったニャ……」

嫌な予感がし、だらだらと冷や汗出て苦い顔になっていると

「ベルさん?」

後ろ振り向くとシルさんがいた。

「シルさん……昨日はお金も払わず出ていってしまってすみませんでした!!」

思いっきり頭を下げる

「そんな……ベルさんこちらこそすみませんでした」

もうしわけない顔をしペコリと頭を下げるシル

「なに二人して辛気くさい顔してんだい」

奥からミアさんが声をかけてきた。

「リュー、アーニャは仕事に戻りな!!」

「「はい(ニャ)」」

二人は逆らわず仕事に戻る。

仕事の準備が終わったのか僕の方に来るミアさん

「ミアさん……昨日はすみませんでした!!」

先程と同様に頭を下げる。

ミアさん少し黙った後

「もし今日音沙汰なしだったらワタシが直接とっちめに行ったんだけどね」

「だけどこうして金も払いに来たんだからいいんだよ坊主」

シルはほっとした表情でミアを見る。

「ベルさんが居なくなったとき、うちのお店嫌いになられてたらどうしようって思ってました……」

シュンとなりながらシルさんが見つめてくる

「そっそんなことないですよ!まだ一度しか行ってませんけど……でも僕はシルさんもミアさんも大好きです!」

そんな想いを込めニッコリ笑うベル

ミアとシルは少し驚いた表情をし二人でベルを見て笑い出す。

「なんだい謝りに来たと思ったら、口説きに来たのかい坊主」

「えぇ!?なんでそうなるんですか!?」

「ベルさん女性を口説くのがお得意なんですか?」

「シ、シルさんまで!?」

「うぅ……これ昨日の代金です!!」

照れ隠しで素早くお金を返す

「あいよ、丁度受け取ったからね」

「後シルさん、昨日の貸してもらったバスケットを」

そういうとベルはバスケットをシルに渡す。

「あれ?なにか入ってます?」

もじもじしながら答える

「あの……ご迷惑をお掛けしましたので、手作りのアップルパイとじゃが丸くんをバスケットの中に」

シルは貰ったバスケットの中身を見る、ミアは真剣な表情でベルに問う

「坊主、こんなことやってたら昨日みたいにバカにされるかもしれないよ」

「ミ、ミアお母さん!」

シルはミアの問いに失礼だろと言おうとしたけど、ミアの顔をみてやめた。

「……ミアさん、僕はなりたい自分になると決めました」

「だから、僕のやることが馬鹿で他の人に嘲笑わられても」

なりたい者(英雄)になるまで笑われてもいいって諦めないって挫けないって決めました!」

シルとミアは驚いた、昨日のベルとの違いに、そして二人して満足そうな顔をした。

「たった半日みないうちにいい男になったねベル(・・)!」

僕はミアさんに名前を呼ばれたのが心底嬉しかった。

「ほんとかっこよくなりましたねベルさん」

少し照れながらも褒めてくれるシルさん

(本当にここはいいお店だな……)

「さぁて開店前の準備も終わってることだし、ベル朝飯一緒に食ってきな!」

「えぇ!いやさすがに悪いですよ!」

「良いじゃないですかベルさん!ベルさんから頂いたアップルパイとじゃが丸くん食べましょうよ!」

僕の裾をひっぱりながら誘ってくれるシルさん

(すっすごく可愛いんだけどシルさん!?)

「母ちゃん腹へったニャ~」

「アーニャ、まだミア母さんとクラネルさんは話途中です」

「アーニャはいつも変わらずアホなのニャ」

「アホって言うクロエがアホなのニャ!」

「なら二人ともアホね」

「「ルノアもアホニャ」」

わーわー騒ぎだすウエイトレス達

「悪いねうちは馬鹿ばっかりなのさ」

豪快に笑いながら楽しそうに話すミアさん

「僕は素敵だと思いますミアさん」

「ミア母さんって呼びな」

「えっ?」

「なんだい嫌なのかい?」

「いっいえ……その…僕お母さんとお父さんが居なかったのでお母さんって呼ぶの初めてで」

少し照れながら事情を話すベルの頭を手をおきわしゃわしゃと撫でる。

ベルは意を決して

「ミ、ミアお母さん……」

照れならが言う息子にミアは優しい笑みを浮かべお礼をいった。

「呼んでくれてありがとねベル」

 

「さて朝飯の準備でもするかね!」

「「「!?」」」

「ミアお母さんがいつも用意してるんですか?」

「「「ミアお母さん!?」」」

驚きを隠せないウエイトレス達

ベルの頭にわしゃわしゃしながら

「いつもはめんどうだからキッチンのやつらに任せるんだけどね、今日はベルもいるから特別にね」

「「「……」」」

「今日は雪でも降るニャ!?」

皆の気持ちを代弁して言うアーニャ

「アンタは飯抜きにするかい?」

「ごめんなさいニャ!!」

「あ、あのミアお母さん!僕も手伝います!」

「あのベルさん……うちにはルールがありまして」

「そう怖い掟ニャ……」

「えっ?えっ?」

「ミア母ちゃんに認められないと絶対キッチンを使っちゃいけないのニャ」

「そうなんです、私も認められてません……」

「シルさんでもダメなんですか?!」

「「「……」」」

ウエイトレス達は少し黙る

アーニャさんが僕の耳元でこっそりと

「実はシルは普通に料理が下手ニャだけニャ」

「…………な、なるほど」

「まぁルールは守ってもらわないとね、丁度ベルの実力を審査するのに手作りの食べ物もあるから先に食べさせてもらうよ」

そう言うとバスケットの中のアップルパイとじゃが丸くんを一個ずつ皿に移し食べ始める。

なぜか皆緊張の面持ちで結果を待つ。

そして

「ベル……あんた冒険者やめたらうちの専属コックになりな」

何度目かわからない皆動揺が広がる

「合格ってことですか?」

「当たり前だよ!!アップルパイもじゃが丸くんも今まで食べたことないぐらい美味しいよ!!」

「なんだい旨いってレベルじゃないよ!」

「ありがとうございます!!」

「それじゃキッチン行くよ!」

「はい!!」

「アンタ達ベルが持ってきたやつ、先に食べでもしてみな……許さないからね」

「「「はい(ニャ)」」」

 

「お待たせしました!!」

エプロン姿のベルが料理を運ぶ。

朝食に相応しいトースト、オムレツ、ソーセージ、サラダ、ヨーグルトなど定番の料理が並ぶ。

「さて食べるかい」

「「「いただきます(ニャ)」」」

「ベルはなんでも上手く出来るんだね」

「ミアお母さん褒めすぎです……」

褒められる照れるベルだが違和感に気づく。

「あ、あれ皆さん食べないんですか?」

なぜか手をつけない皆

「なんだい作ってもらった飯は食えないってかい!?」

「ち、違うニャ!?みんな白髪頭の持参したやつが気になってるのニャ」

「さっきミア母さんがクラネルさんを称賛していたので気になりまして」

「しかも数に限りがあるからどうしようかなって……」

「アンタら馬鹿なのかい……分ければいい話だろ」

ミアがある分を均等に皆に分ける。

「とりあえず分けて食べてみな!!」

(うわっ……不味かったらどうしよう……)

ミアお母さんに褒められているのも忘れドキドキするベル。

パクッ

「「「「………」」」」

この後沈黙からの称賛の声が響いたと言う。

 

余談ではあるが近隣から、早朝から叫び声がうるさいとクレームをもらう『豊饒の女主人』であった。

 




いやー『豊饒女主人』一度はいってみたい…………
さてどんどんじゃが丸くんの人気が高まり
そしてベルの料理スキルもあがっていくもよう-w

これ皆さんに質問なんですけど……そろそろオリキャラ考えてるんですけど、入れていいもんか悩んでます……

では次回も兎が織り成す英雄譚お楽しみください❗。

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