親愛なる士郎へ

 私が初めて弓道大会で優勝したとき、頭を撫でてくれたね。その日の夕焼けを今でも覚えているよ。毎日欠かさずお弁当を作ってくれてありがとう。でも本当はあのハンバーグに人参が入っていたこと気がついていたよ。桜先生に叱られた日には寝るまで隣にいてくれた。悲しい時も嬉しい時も、入学式も、卒業式も、何でもない日も、士郎は私の隣にいてくれたね。私は明日も明後日も同じ日々が続いていくと思っていた。凛おばさんから、士郎の身体にかけられた呪いの話をきくまでは。
 私はあなたに死んでほしくない。苦しんでまで英雄になってほしくなんかない。士郎は私にとってヒーローだけれど、士郎は士郎だから。他の人じゃないから。

 だから、士郎。今度は私の番だよ。私が必ず士郎を守るから。士郎が私にそうしてくれたように、この命を掛けてあなたの呪いを解いてみせる。

 たとえ、いかなる万能機に頼ろうとも────。






  prologue/白の落胤()
  chapter1/無垢鳥2017年08月14日(月) 21:19()
  chapter2/招かざる客2017年08月16日(水) 23:47()
  chapter3/魔女と聖女2017年08月18日(金) 22:54()
  chapter4/ 騎乗兵2020年09月17日(木) 18:30()
  chapter5/偶像の女神2020年10月27日(火) 22:34()
  chapter6/弓兵2020年10月28日(水) 01:06()
  chapter??/幕間2020年10月28日(水) 01:59
  chapter7/父娘()
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