ここは地底の旧都。もともと陰気臭い場所なのだが怨霊のせいか余計にひどくなっているようだ。そしてその集会場に一つの式神が派遣されていた。
「では、怨霊の対策について進展があったので会議を初めます。」
「進展というと例の覚のことかい?」
「ええそうです。覚の協力が得られました。なので依頼したいことがあるのです。」
「ちょっとまて、そもそも覚を容認した覚えはないのだが。」
「それはもう決めたことだろう、オオビ。お前だけじゃどうにもならない。」
「確かにあなた方鬼は怨霊に耐性が有りますが抑えることはできないでしょう。」
「それがなんだ!俺は怨霊くらいなら砕くこともできる。」
「こうしている間にも怨霊はその数を増やしています。数百数千の魂など処理が追い付くはずがない。」
「だがしかしそんなことで覚を容認するなど、
「いい加減にしな!私たちが良くても他のやつがだめだろうが。それにあんまりうようよされても住み心地は悪いし暮らせない奴もでてくる。ここを追い出されたら行き場のないやつもいる。それに覚も疎まれている存在らしいじゃねぇか、いまさら面倒なやつが一人二人増えようと変わらねぇよ。」
星熊童子の怒声が響く。静かになった空気だが紫の説明は続く、
「とりあえず、覚については賛成という形でよろしいでしょうか?」
「あぁ、別にかまわんよ。そして依頼というのは向こうがだしてきた条件だろう。」
「そのとうりです。まず一つ目が住む場所が欲しいとのことでした。
そしてそれなりに大きな屋敷を求めています。」
「ほう。屋敷か、 だがな地底にはご存知のとうり木ははえとらん。材料はよういしてもらうことになるぞ。」
「その事についてなのですが、虎熊童子 屋敷といってもいわゆる西洋風のものがよいといっています。
主な建材は石造りになると思われるので大丈夫かと。」
「西洋風だって?それこそ無茶だ、そんなものの作り方は知らん。」
「確かにそうだ。根本的に作り方は違うだろう、材料は其処らからもってこれるが···」
「あなた方は石を切る技術や彫刻の技術もあるのでしょう?それに河童もいくつかいるというし問題はありません。こちらから設計図など送りますのでやっていただけないかしら?」
「うーむ、わかった。とりあえず設計図が出来次第送ってくれ。それから検討する。それでいいよな。」
「あぁ それにしても変わった奴だねぇ。陰気臭い奴だと思ったけどなかなか面白そうじゃないか。」
「勇義にいった訳じゃないだが。まぁもちろん妥協はしない。出来そうにないとこはうまくやるさ。」
「協力感謝します。設計図のほどは順を追って報告しますので、それでは。」
式神は隙間の中に消えた。今はこうして通信出来るがそのうち面と向かって話さなければならないのだろう。
あの胡散臭い、白黒はっきりしない奴は正直相手にしたくないのだがそれにしても、
「覚はおかしな奴ばかりだが今回のは輪をかけて面白そうだ、」
「そうだねぇ。それはそうと新しい仕事も入ってきたことだし前夜祭だ!飲むぞぉー。」
「「「おおおおおおぉぉぉぉーーーーーーー」」」
人間と違って妖怪の性質はそうそう変わらない、よくも悪くも鬼は楽観的だ。
陰気臭くなった今でも酒と喧嘩は旧都の華、それはいつまでもかわらないのだ。
投稿が遅れました。どうもすみません。
強いていうなら夏休み明けでだれていました。
ちゃんと終わりまでは考えているので最後まで読んでもらえると幸いです。
それではまた近いうちに。