紫side
「それで、どうだったかな?紫。」
「ええ、おかげでうまくまとまったわ。ありがとう霊歌。」
「いいよ別に、そんな仲じゃないだろうに。それに割りと良い奴だったじゃないか。」
「そうね、彼女にも守るものがあるからでしょう。
それより厄介なのが下の奴らにどう納得させるかよね。」
「けど大体が鬼ばっかりなんだろう。そして鬼は自分に嘘をつくような奴じゃないって聞いたし問題無いんじゃないか?」
「そうね、地底にいるのが鬼ばかりだったらそうなのだろえけど。」
まだまだ先は長い。やることは多くある なにせ相手にするのは一癖も二癖もある連中なのだ、スムーズにことが進まないのはわかっている。先手を打たなければ。
それにしても、さとりの妹 こいしといったか。そのことが引っ掛かる。
さとりside
ここはとある一室、そしてその床には扉がある。そこを開けると日用品の代わりに梯子が一つ薄暗い底へと続いている。煤の匂いが冷気とともにまとわりついてくる。そして、その灯りに浮かび上がる一人の少女がいた。
(お姉ちゃん、終わったの?)
私と色ちがいの青い瞳が問いかけてくる。
「ええ、終わったわ。そしてここを引っ越すことにもなったわ。」
「えっ!!(私のせい?ついに山にも見限られた?)」
「違うわよこいし。とりあえず説明するから落ち着きなさい、それと口に出すのを忘れてるわよ。」
「ああ、ごめんごめん。 えっ!地底に、でもあそこは··」
「この幻想郷の賢者の一人、八雲紫にじきじきにっていって良いのかしら?まぁ正式な依頼よ。」
「でも怨霊の管理なんて·····それじゃお姉ちゃん一人に負担がかかるじゃない。」
「大丈夫よ。こいしには私の心を見てもらってそれから慣れたあと手伝ってもらうつもりだから。」
「それでもわざわざ管理するってとんでもない数の心を見る訳じゃない。そんなことしたら。」
「いい?私はあんな不愉快な汚物の塊よりもっと恐ろしいものを見た。
"それ„にくらべたらあんなものただのごみ溜めよ。それに私が居ないあいだペットの世話が必要だし。」
「けどそれだけじゃ。(やっぱり私のことは厄介に思ってる、私は、わたしは、)」
「そこまで私の心を読めるのならわかるはずよ、
本気でそう思ってないことも私があなたを大切に思っていることも。」
「(······)」
「あなたをないがしろにするわけじゃないし私はあなたやペットたちと一緒に過ごしたいの。もう何十年暮らしてきたと思ってるの。」
「うん、そうだったね。」
「それに今はボロ屋暮らしだけど色々条件呑んでもらったから。安心して 」
「まだ不安はあるけど、 分かった。私も頑張る!今より悪くは
ならないと思うから。」
「ええ、こいしにも手伝ってもらうし 以前のようにわたしたちは二人きりじゃないのよ。」
「うん。ありがとう。 (安心したらおなか減っちゃた。)」
「今日は珍しくパンと小麦粉が手に入ったの。シチューにしましょ。」
「いいね。私も手伝うよ。」
「ふふふ、こいしまだ夜には早いわよ。また呼ぶからその時にね?」
「はいは~い。楽しみにしてるよー」
そうして私は上に上がった。 こいしは基本明るいのだがネガティブな方向に考えだすといつまでも自分を責め続ける傾向がある。正直いうとこいしは覚に向かない性格だ。
しかしその性を持って生まれた以上、その瞳に映るものを受け入れてもらわなければならない。
こいしには強くなってもらわなければ。
それにしてもシチューか。自分で作るのだがかくいう私も大好物である。
こいしと作るのが楽しみだ。