愛しい瞳   作:シーマイル

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1 地獄を鎮めるために

 様々なものたちが集う場所、幻想郷。

 そんな中その幻想からも忘れ去られようとした者たちがいた。

 鬼たちである。

 人間に愛想を尽かし妖怪の山から移住することになった。

 それにともない様々な妖怪、しかもたちの悪い妖怪が鬼とともに移り住むことになった。

 そうして大勢の妖怪たちが地底に住みつき、地上と地底お互いに妖怪は干渉しない法が作られた。 

 そうして平和に十数年が過ぎたころ一つの問題、いや異変が起こった。

 

「それで?どんな状況になっているのかしら、藍。」

「はい現在、元灼熱地獄跡付近から大量の怨霊が湧き出てきています。

 あまり多いので下手に干渉することができず通路を作ることもできません。」

「そう、原因はわかったのかしら」

「いいえ、それが···結界が緩んでいるわけでもなくやはり地獄だったからとしか。」

「つまり、原因はわからないと。」

「申し訳ありません。」

 まさかこんなにも早く異常事態がおこるとは、元地獄だったとはいえ原因も特定できないとは

「それで紫様一つ提案があるのですが」

「提案?」

「はい、とりあえず原因を探るのではなく鎮めるのはどうでしょう。

 ちょうど覚の姉妹が妖怪の山にいるとの情報があります。」

「覚? 絶滅していなかったのかしら。」

 

「はい山の麓あたりに住んでいると天狗たちから聞いています。」

「そう。」

 覚は珍しく怨霊に対抗できる妖怪だし他に案などない。

「いいわ、それでいきましょう。早速作戦会議よ。」

「了解しました。」

 

 しかし、まだ覚が生きていたとは。どう交渉したものか。

 

 覚とは心を読む妖怪、ただそれだけである。

 強い妖力を持っているわけでもなく腕力も人間とそう変わらない。

 しかし“心を読む”ただそれだけの力が多くの妖怪たちを恐れさせ、嫌われた。

 なぜ妖怪に恐れられたのかというと妖怪は精神的な存在だからである。

 人間は心が壊れたとしても生きている。身体が死ななければ死なないからである。

 そして身体が生きていれば、心が再生することもある。

 至極あたりまえのことである。

 しかし妖怪にはその理屈は通じない。

 妖怪は人々の恐れの具現化である。 

 すなわち、人々から畏怖を集めて自尊心をもち、自我を保っている。

 しかし心が壊れた状態とは自我を保っていると言えるだろうか?

 もちろん言えない。心を、精神を保てない妖怪は消滅してしまう。

 覚の妖怪に対する精神攻撃は人間にとって四肢をもがれるようなものだ。

 そしてそれは怨霊などの幽霊たちにとっても同じことである。

 だからこれ以上ない適役なのだが、

「絶対に地底の奴ら反対するわよねぇ。」

紫は頭をかかえた。




いかがだったでしょうか。まだ三人以上の会話の作成が難しいです。
途中までは出来ているのですぐだそうと思います。
中には結末がわかっている人もいるでしょう。 
ではまた。

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