英雄王《偽》の英雄譚   作:課金王

10 / 17
9話+お知らせとお詫び

ギルガメッシュの振り下ろされた拳に悶える二人のダメ親子。

 

「うぐぐぐぐ」

 

「い…いたい」

 

「いきなり人の服を脱がそうとする貴様らが悪い。

もし、ここに居るアンジェリカだったら…娘はともかく貴様は警察行だぞ」

 

頭を押さえてうずくまる二人に至極当然の話をするギルガメッシュ。

普通ならここで反省するだろう。

しかし、ダメ親子は普通ではなかった。

 

「「分かった。なら、私も脱ぐ(ごう)」」」

 

「ぶち殺すぞ貴様」

 

目の前で父と幼い娘が同時にエプロンをキャストオフ。

二人がシャツにボタンに手を掛け始めた所で再びギルガメッシュの拳が二人に振り下ろされる。

 

「「くぉおおおお!?」」

 

芸術家とは、何処か人間として壊れた人物が有名になる傾向がある。

壊れた人間にしか見えない世界があるのだろう。

しかし、これはあまりにもひどい。

おっさんのヌードなんぞ、みても悲劇しか生まれない。

幼女に至っては逮捕確定だろう。

 

―――――。

 

ギルガメッシュをモデルにしようと勧誘しまくる親子を物理的に黙らせ、ようやく本題に入れたギルガメッシュ。

一時間ほど時間をかけて、サラ・ブラッドリリーに仕事の確認と依頼をするのだが……。

 

「いや」

 

「…は?」

 

と、断られてしまう。

額に青筋を浮かべ、思わずギルガメッシュの口から変な声が出てしまったが、仕方のない事だ。

何故なら、この話は既に承諾されていて今日は彼女の仕事の確認と、仕事で彼女の能力で完成した()の受け取り期日を決める為だったのだ。

決定事項だった仕事を拒否されてしまえば相手が子供であれ、ギルガメッシュのような反応をしてしまうだろう。

 

「仕事はする…でも報酬を変えたい」

 

何処かの指令の様に手を組んで、キラリと瞳をギルガメッシュに固定するサラ・ブラッドリリー。

その姿は犯人を追いつめた刑事にも見える。

幼女の脳の回転は欲望の為に通常の三倍に高まったらしい。

 

「あえて聞くが…その報酬は?」

 

頭に手を抑え、幼女にあえて問いただすギルガメッシュ。

報酬として支払うのならしっかり明言してもらわなければならないし、書類の報酬欄を書き換えなければならないからだ。

 

「貴方をモデルにする」

 

ドヤ顔の幼女の頭をぶっ叩いてやりたい衝動にかられながら、冷静に考えるギルガメッシュ。

この目の前のダメ幼女が計画に参加しなければ、理想の終戦までの成功率は著しく落ちる上にコストも掛かる。

拘束されるのが嫌いなギルガメッシュであるが、ここは涙を呑んで引き受ける事にする。

 

「一時間なら……」

 

「ダメ、最低でも一週間は欲しい」

 

「い、一日はどうだ?お菓子も付けるぞ?」

 

「ダメ、一週間」

 

「他のモデルを探そう。一階の受付嬢はどうだ?

見た目だけ(・・)なら上等だぞ?あの二人の内のどれか一人を選ぶなら、20年でも40年でも……」

 

「貴方に比べたらあの二人はゴミ。一週間」

 

幼女の要求の値引きを図るついでにポンコツメイドのどちらかを押し付けるギルガメッシュだったが、見事に撃沈。

諦めたギルガメッシュは幼女専属のモデルとなった。

 

「では、さっそく触診を……」

 

真剣な瞳でギルガメッシュに迫る父親。

身の危険を感じたギルガメッシュは父親を囲うようにバビロンを展開。

《天の鎖》で父親を拘束した。

 

「は!?な、何だこれは!?」

 

「一週間の間はサラ・ブラッドリリーのモデルになる事を承諾したが…俺は貴様のモデルになるつもりは一切ない!!」

 

「な、なんですと!?サ、サラ!!お父さんも仲間に入れてくれるよな!?」

 

拘束された父親の懇願にギルガメッシュを見つめるサラ。

次に何を言われるか、理解したギルガメッシュは先手をうった。

 

「ちなみに、お前の父親も俺をモデルにするのなら計画にお前を組み込む話はなしにさせてもらう」

 

「はっはっは!サラ、もちろん父さんにも描かせてくれるだろう?

サラは父さんの絵が好きだもんな?」

 

「父さん、グッドラック」

 

「!?クソォォオオオオ!!こんな鎖などぉおおおお!!」

 

娘のファインプレーに一時は喜んでいた父親だが、娘の裏切りに慟哭の声を上げながら華奢な体を全力で使って鎖を引きちぎろうと試みる父親。

そんな父親に目もくれず、娘は絵の構成を夢想する。

幼女には父親に対する愛はあれど、己の探求心を満たす方が大事なのである。

仮に逆の立場だったのなら父親は娘と同じように裏切るだろう。

 

実にそっくりな親子である。

 

「私は諦めん!!諦めんぞぉぉおおお!!」

 

スーツをボロボロにしたメイド二人に連行された父親は本社から離れたウルク美術部の施設で一週間の間は監禁される事となった。

こうして、ギルガメッシュの地獄の一週間が始まった。

 

 

幼い彼女は本名ではなく『マリオ=ロッソ』として活躍する画家。

当然、彼女専用のアトリエがウルク社内の土地に存在するウルク美術部門のオフィスビルに存在する。

 

アトリエに連れてこられたギルガメッシュは彼女と父親を世話する家政婦に見守られながら問答無用にパンツ一枚にされ、触診(・・)される。

その触診は医療特有のものとかけ離れており、濃厚だった。

 

体全体を小さな手でペタペタされるのは当たり前。

匂いや()も検査される。

 

全裸の青年に金髪幼女が小さな舌で一生懸命にペロペロする光景がそこにあった。

日本が誇る?ロリコンな紳士達ならばご褒美だろう。

 

しかし、ギルガメッシュはロリコンではない。

親友たち同様に、色々と育っている女性が好みなのだ。

彼にとっては苦痛と罪悪感が混ざり合った精神的暴力に他ならない。

 

まさに地獄のような一週間を彼はやり遂げた。

全てが終わった時、彼は男性トイレの個室で自由を噛み締めていた。

 

全ては終わったのだと…。

ロリコンに目覚めなくてよかったと……。

新しい扉を開かなくてよかったと……。

自分はまだ、ノーマルなんだと……。

 

彼はギリギリのところで人としての道に踏みとどまり、契約を完了した。

色々と限界な彼に待ち受けるのは計画最終段階のみ。

 

計画に必要な()を受け取ったギルガメッシュはエーデルワイスの待つエーデルベルクへと早々と帰還した。

 

 




英雄王《偽》の英雄譚を楽しみに読んでくださる読者様方。
初めにお詫び申し上げます。
UPした10話の続きを書こうとしたのですが、続きが書けなくなりました。
もちろん、お気に入り登録や総合評価激減したからではありません。

単純に自分の実力不足で自分の妄想する展開を文章化する事が出来なかったからです。

ですので、申し訳ありませんが10話の削除のお知らせとお詫びをさせていただきました。

10話を見て面白いと感じたり感想を書いてくださった読者様、振り回してしまって本当に申し訳ありません。

次回からは書き方を変更し、ストックをいくつか溜めて物語の流れをチェックしてから投稿します。


最後に、この未熟な作者の勝手な都合で沢山の読者様にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。







▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。