自由な黒猫魔導師の野良猫生活 作:軍曹(K-6)
「アリシア。準備はいいか?」
「うん!」
俺達の家のとある扉の先。異空間に作られたトレーニングルーム。そこに俺達はいた。
「じゃあ調整始めるぞ」
「はーいっ!」
「・・・じゃあ。デバイスを起動してくれ」
「分かった! “フォーチュンドロップ”セットアップ!」
アリシアは左手首についた時計とブレスレットが合体したような形をしたデバイスに触れてその名を呼んだ。輝きと共にバリアジャケットを纏ったアリシアの両手には、中距離用デバイス『
五十口径ハンドガン、デザートイーグルを形状基盤とした二丁拳銃型デバイスで、引き金を引くと撃鉄が撃ち込まれ、魔力弾が発射される仕組みになっている。ちなみに撃つとスライドが移動し、別にする必要もない排夾が行われる。
「どうだ?」
「使い勝手はいいよ! 反動もないし!」
「そうか」
姫っちと共同でアリシアのデバイスの調整を進めながらふと思う。やっぱり排夾ってカッコイイ、と。
「次!」
「はいっ!」
ここがSISTEMA
瞬時武装換装。急激に変わるアリシアの武器に、敵は対処が追い付かなくなってついて来れなくなる。
アリシアの手に続いて握られたのは近接戦闘用デバイス『ディオスクロイ』フォーチュンドロップのNo.4。
トンファー型のデバイスだが、その破壊力は推して知るべし。一撃でバリアジャケットを纏っていない人間の首を吹き飛ばすことなど容易い。常に非殺傷にしてないとヤバい代物だ。
「うぉりゃああああああああああ」
「・・・おいおいおい。その的の再生能力は・・・。って消し去ったァあぁあぁあ!?」
「・・・・・・ふぅ」
『再生が追い付かないほどの速さと破壊力で、粉砕されましたね。新しい的を生成します』
「お、おう・・・頼んだ姫っち」
「どんどん行くよ!」
アリシアは気分が乗っているのか次のデバイスに換装した。面白デバイス『スマッシュハリセン!』フォーチュンドロップのNo.9だ。
蛇腹が扇形になった見た目に、刀のような持ち手がついたそれは突っ込みに使うわけではなく、主に防御面で使われる。センスのように構えて敵の魔力弾を防いだり。バットのように打ち返したりが可能だ。有用性が高いデバイスだが、如何せん見た目が見た目な為、面白枠に収まっている。
「じゃあ次行って良いぞ」
「はーい!」
テンポ良く行かないとフォーチュンドロップの調整が今日中に終わらない。続いては遠距離用デバイス『
両手で持って撃つことも出来るし、設置して撃つことも出来る。その性能は正確無比な射撃を可能とする。遠距離戦の破壊力と命中精度でポジトロンSRに勝るデバイスは存在しない。もちろん狙撃まで時間がかかるため、その時間を埋めるためにファンネルがついている。チャージ時間を稼ぐため、高機動のファンネルが敵を翻弄する仕組みだ。
「命中精度は・・・200発中200発狙った所にあたってる。100%ってところだな」
「いぇーい!」
続いて近距離遠距離どっちも可能のデバイス『Xグローブ ver.
基本戦闘方法は高速機動による近接戦闘。使用者の魔力を炎に変換して高速で空を舞うことが可能。炎の逆の状態、冷気に変換して魔法を凍らせたり、リンカーコアを持つ魔導師を氷の中に閉じ込めたりできる。もちろん“X BURNER”も撃つことが可能だ。ただ、普通の魔砲と違って、反動を抑えなければいけないほど大出力の炎なので、
「じゃあ次行ってくれ」
「えー? もうちょっと飛んでいたーい」
「・・・・・・好きにしろ」
「わーいっ!」
アリシアの魔力量はX BURNERの連射すら可能とするだろう。とんでもない子だよ。本当、近所の商店街のおばちゃんおじちゃんには可愛がられているし、色々と彼女のことが心配にはなってきたが、体術方面でも俺と渡り合う程度にはなってきたので心配はないだろう。
続いての換装は防御特化の『セイレーン』フォーチュンドロップのNo.7。
羽衣のような見た目でフワフワしているが、その防御力はハーディスの電磁光弾でさえ防ぐほど。攻撃力もそこそこあり、鉄程度なら簡単に切り裂いてしまう。体に巻き付けて魔力を流せば、姿形を自在に変え、どんな達人でも見破ることが出来なくなるほど。トレインのような観察眼の持ち主なら見破ることは出来るかもしれない。
「トレイン!」
「ああ」
セイレーンの強みは防御。だからこうやって俺が銃弾を撃って計測する。
「
「きゃっ! ・・・・・・オォ・・・これも防ぐんだ・・・」
「どうだ?」
『安定。問題ありません』
アリシアが変身を試している間に俺も端でデバイスの手入れをしておく。
次の換装は『エクセリオン』フォーチュンドロップのNo.6。
両手にはめたグローブから細い鋼線を飛ばし、攻撃を防いだり相手を細切れにしたりできる。鋼線の種類も意志によって変更可能で、その種類も多種多様だ。
「気を付けな・・・この“エクセリオン”で武装した私に迂闊に近づくと、刺身になるからね」
「・・・・・・」
「どうどう!? かっこよかった!?」
「おう、超格好良かったぞ」
「いえーい」
『こちらの調整も終わりました』
「おっご苦労さん」
アリシアのデバイスその8.『コピードール』アリシアと瓜二つの容姿の自立戦闘人形。その性能はアリシアの十分の一ほどの実力だが、アリシアの使っていないデバイスを使用出来るという利点がある。
そんな彼女が調整していたのがフォーチュンドロップNo.3 対となる二つの日本刀『心渡・夢渡』
二メートルを優に超す長さの日本刀。魔力殺しの“心渡” 小太刀サイズの日本刀。魔力生かしの“夢渡”
本格的二時間がヤバくなってきたので、二つ同時に調整を行った。ちなみにデバイス全てオリハルコン製で出来ているため、単純に相手を殴打するだけでダメージは大きい。
「ふぅ。やっと出来たな」
「やったー!」
アリシア・テスタロッサの瞬時武装換装デバイス。“フォーチュンドロップ”
1『
2『
3『心渡・夢渡』
4『ディオスクロイ』
5『Xグローブ ver.
6『エクセリオン』
7『セイレーン』
8『コピードール』
9『スマッシュハリセン!』
10『