自由な黒猫魔導師の野良猫生活   作:軍曹(K-6)

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第五話 体内のジュエルシード

Q,魔力測定が出来ない。そんな状況で貴方は何を思いますか?

 

A,自分にはリンカーコアがない。

 

 

それが正式回答だ。魔力が測定出来ない場合はそれでいい。だがリンカーコアがない場合の力測定は恐らくゼロ。そう表示されると俺は思う。だが、“測定不能”とはどういう事だろうか・・・?

 

時間は少々戻って、アリシアが家に来た次の日の朝のことなんだ。風呂場に突入してきたり、一緒に寝たがったり、小学生に上がる前の子どもならまぁやるだろうお約束を綺麗にこなしてくれたため、少し寝坊気味に起きた俺は朝食を食べながらふと思ったわけだ。アリシアにリンカーコアはあるのだろうか、と。

 

思い立ったら速実行と言うことで姫っちをセットアップ。ドミネーターの検知モードを生かしてアリシアを測定。その結果が“測定不能”だった。

 

 

「・・・アリシア。何か心当たりはないか・・・?」

 

「ううん。私、リンカーコアって言うのがないからママみたいに魔法が使えないって言われてたもん」

 

「ないのかぁ・・・・・・」

 

『トレイン。二十一と言う数字に心当たりはありませんか』

 

「二十一? その数字が何か関係あるのかよ」

 

『細かく、本当に細かくですよ。アリシアのリンカーコアを調べてみた所。何かが一つ一つ集まって結合したような状態だったので、詳しく調べた所。二十一個の何かがひっついた状態でした』

 

「まさか・・・ジュエルシード・・・?」

 

『心当たりがあるのですか?』

 

 

二十一個と聞いて、とっさに出てきたわけではないが、なのはで二十一と言ったらジュエルシードのことじゃないだろうか。主人公である高町なのはがユーノ・スクライアと出会うきっかけであり、魔法の世界に足を踏み入れた原因。二十一個の膨大な魔力を内包する願いを叶えるロストロギア。

 

それがアリシアのリンカーコアの代わりを果たしているというのなら、その魔力量はたった一人で世界を破滅させることが出来るほどだ。一体どうして・・・この小さな幼女の体にロストロギアが埋まっているんだ・・・・・・?

 

 

『あ、それとトレイン。家の前に虚数空間への入り口が開いた痕跡がわずかですがありました』

 

 

それだ。まさしくそれだ。それ以外に考えられない。つまり今俺の目の前にいるアリシアは、原作一期の最後、プレシアと一緒に虚数空間に落ちたアリシアが過去にやってきた。と言う解釈でいいのだろうか。でも二十一個はどうやって・・・・・・? 色々疑問は残るが、全てこれから起きる未来のこと。恐らくだが俺は関わっていくのだろう。魔法少女達が織りなすリリカルでマジカルな物語に。

 

 

「トレインさん。トレインさん!」

 

「・・・ん?」

 

「私もデバイスがほしい! です!」

 

「デバイスかぁ・・・どんなのがいいんだ?」

 

 

体内にあるリンカーコアは馬鹿げているせいで、恐らく普通のデバイスでは扱いきれない。この子に与えるデバイスは恐らく俺が作った方がいいだろう。

 

 

「えーっと。えーっと・・・・・・」

 

「一般的なのは杖だな。俺はこんな風に銃をよく使ってるが」

 

「わぁー! 私も銃がいい! トレインさん教えて?」

 

 

銃の使い方を教える分には問題はない。デバイスだから反動もないだろうし、教えるのは的の狙い方とか教えることは出来るだろう。

 

 

「銃か・・・他には何かあるか?」

 

「一つでいいよ?」

 

「いや、せっかく作るんだ。換装型にしようと思う」

 

「かん・・・そう・・・?」

 

「瞬時武装換装システム・・・Cambio(カンビオ) Arma(アルマ) Istantaneo(イスタンタネオ)。・・・名付けるなら、あれから取って『SISTEMA(スィステーマ) (シー).(エー).(アイ).』ってところだろうな」

 

「な、なんか良く分かんないけどカッコイイ!」

 

「だろ? ロマン兵器って奴だ」

 

 

アリシアの了承を得た所で、どのようにして換装武器を作るかその構想に入ることにした。作り用はいくらでもある。その中でも一番使いやすく一番面白いものがいい。換装の仕方にもこだわりたいし、あぁ~やりたいことが多すぎる!

 

 

「トレインさん。お昼ご飯は何にする?」

 

「昼ご飯か・・・そうだな。何か買いに行くか」

 

「わーいっ」

 

「ついでにアリシアの服も、だな」

 

 

アリシアのデバイスもオリハルコン製であることが決定した瞬間だった。

 

 

「トレインさんトレインさん! 本当にどれでもいいの!?」

 

「おーう、好きな服を手にとりな。一応店員さんにも頼んでみたが・・・」

 

「はーい。ではこの子のコーディネートをすればいいんですね?」

 

「ああ。普段着から寝間着までこのデパート中からコーディネートしてやってくれ」

 

「はーいっ」

 

「え? え?」

 

「振り回されてこい。アリシア」

 

「ヘルプミー!」

 

「アーリーシーア―(棒)」

 

 

泣く泣く(?)アリシアを送り出した俺は、顔を仕事モードに切り替えて後ろを振り向いた。

 

 

「何の用だ?」

 

「噂に聞いた黒猫(BLACKCAT)が子守りとはね」

 

「誤魔化すな。管理局が何の用だ」

 

「・・・簡単だよ。管理局(ウチ)に所属する気はないか。っていう上からのお誘いだ。好待遇らしいよ」

 

「俺は誰かに飼われるような人間じゃない。俺を飼い慣らせるのは俺だけだ」

 

「その首輪みたいなチョーカーがその意思表示だってね。管理局ではよく言われてるよ、変わり者だって」

 

「あぁ、俺は特に変わってる。さっさと失せろ。じゃないとお前の脳天に穴を開けるぞ」

 

「デバイスも持ってないようだけど? どうやってやるつもりさ」

 

「生憎だが・・・・・・」

 

 

俺の手元にハーディスが形成されていく。姫っちの無限倉庫から取り出した場合、このような感じになる。

 

 

黒猫(オレ)の爪は普段、隠されているんでね」

 

「ッ!」

 

「大人しく引け。そして、上に伝えろ。二度と俺に関わるな、と」

 

「あいにくそれは出来ないね。私らの任務はあんたを管理局に連れて行くこと。手段は問われていないんだ」

 

「アリシアをどうするつもりだ」

 

「おぉ、怖い怖い。でもさ、もう遅いよ。早く着いてきな」

 

「悪いが断らせてもらう」

 

 

俺はハーディスの引き金を引いた。瞬間その場に響いた火薬の炸裂音。銃口から飛び出したのは魔力ではなく鉛玉。それは女の肩口に吸い込まれると、肉を抉って血を噴出させた。

 

 

「ガッ・・・質量兵器」

 

「アリシアの様子は俺のデバイスが監視してる。確かにアンタの言う通り、攫う機会を窺ってるみてぇだが・・・意味がねぇ。黒猫の尻尾を踏みつけたことを・・・後悔しな」




トレインは仕事以外の時でも黒を良く好んできていて、首輪をしていると言うことで、管理局に属さない野良猫。そして、ハーディスに刻まれたXIIIから、不吉を届ける“黒猫”と、そう呼ばれています。

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