自由な黒猫魔導師の野良猫生活   作:軍曹(K-6)

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第三話 嘱託魔導師試験

嘱託(しょたく)魔導師試験を受けるからには管理局へ所属? そんな事はありません。民間協力者。より役職が上・・・。というか合法的に管理局の仕事が受けられるだけだ。所謂傭兵みたいなものだろう。傭兵といえば伝説のBIGBOSSがいたなぁ・・・前世で。しかもゲームの中だけど。

 

伝説の幼兵もいたなぁ・・・誰とは言えないほど大勢。そんなこんなで遠い目をしていた俺だったが、そもそも嘱託(しょたく)魔導師になるために何故、試験が必要なのか。それの説明をしておこう。

 

あくまでこれは俺の感覚だが、巨大な組織に必ずある。上層の人間からしてみれば、自分達の命を預けることになる部下達の中に、ほぼ外部の人間がいるというのは我慢が出来ないだろう。だから外部の人間でもある程度の知識と実力と素性を知った上でじゃないと自分の下にはおけない。そう言った経緯があると思う。

 

ちなみに、学力に自信はなかったがそこそこ正解していると思う。前世の知識なんてクソ役に立たなかったけどな。

 

もう少ししたら実技試験が始まるらしい。一体誰と戦うのやら。というか、原作が始まるのって何年だっけ? もう始まってるのかな? その辺良く分からないんだけど、どうなんだろう。

 

というか、ここで十数年過ごして思ったことなんだが、原作って言う言い方はあまり好きではない。俺はここでもう数年過ごしているし、それなりにこの世界で生き死にをかけて戦ってきた。

 

もう俺にとっては、この世界は立派な現実なんだと、アニメや漫画の世界などと楽に構えている場合じゃないんだと言うことを良く覚えておかなければならない。

 

 

「君がトレイン=ハートネット君か?」

 

「ああ。トレイン=ハートネットだ」

 

「君の試験官を担当させてもらう、テオ・ブロンケットだ。よろしく頼む」

 

「よろしく」

 

 

親しげに話しかけてくるが、俺が嘱託魔導師試験を受けた理由を知らないからだろうか? そもそも俺は管理局に属する気はない。この試験を受け終わったら俺はチョーカーを着ける気でいるからな。

 

 

「それじゃあダウン制で良いか?」

 

「なんでも。とっとと終わらせようぜ」

 

「それじゃあ。よろしくお願いします」

 

『カウント始めまーす。五秒前、四、三、二、一。スタート!』

 

 

ドゥン!!

 

 

 

~三人称視点~

 

 

「・・・・・・(一体、何が・・・!)」

 

 

テオに理解出来たのは何かが起こった。それだけだった。目の前で少年は拳銃型のデバイスを構えていた。それも見てようやく、「撃たれた」とテオは自覚した。

 

その様子を見ていた試験員も驚いていた。トレインが銃を抜いて撃つまで一秒にも満たなかったからである。

 

 

「・・・ハーディス(ツー)セットアップ」

 

 

そして、銃を撃ってからトレインはバリアジャケットを装着した。白いシャツに青いジャケット、黒の短パンに穴あきグローブと、そこそこ普段着っぽい出で立ちだった。

デバイスは手に持ってはいるが、腰の辺りにホルスターがあり、そこにデバイスを入れて、バリアジャケットを纏ったまま街を歩くことも出来るだろう。

 

 

「・・・早撃ちが得意なのかい?」

 

「なんだ、余裕そうじゃん。一撃で心臓(そこ)撃ったから結構なダメージが入ったと思ったんだけどな」

 

「ああ。でも、倒れるほどじゃないよ」

 

「・・・そうか。それじゃあもうちょっと無茶出来るかもな」

 

「・・・?」

 

 

トレインはそう言うと、ハーディスⅡを構えて後ろに跳びながら引き金を引いた。

 

 

追尾弾(ホーミングブレッド)

 

「追尾弾!? 弾速速っ!」

 

 

テオはトレインの撃った銃弾を弾いたり相殺しながら逃げた。

 

 

「おい。逃げてばかりじゃつまんねーだろ。もっとマジメに戦おうぜ?」

 

「くっ。スフィアショット!」

 

 

逃げながらも魔力弾を撃つティオ。不規則な動きでタイミングをずらして魔力弾はトレインに向かっていった。

 

が、トレインはハーディスⅡを振って魔力弾を破裂させた。

 

 

「なっ。どれだけ硬いんだ君のデバイスは!」

 

「さぁな」

 

 

興味すらなさそうにトレインはいう。その後もトレインは跳弾や着弾と同時に爆発を起こす銃弾などを撃ち出した。

 

 

―――モニタールーム。

 

「ほぇー」

 

「あのデバイス中々のものね」

 

「おわっ! セフィ執務官! ・・・中々ってどこがです?」

 

「あのデバイス。彼の撃ちたい弾を撃ちだしているの。見て分かるでしょう?」

 

「・・・うーん。確かに」

 

「今まで彼が撃った弾は最初の『追尾弾』『炸裂弾(バーストブレッド)』そして今撃った着弾と同時に周りを凍らせる『冷凍弾(フリーズブレッド)』・・・本当に多種多様だわ。魔力変換をデバイスで行っているんですもの」

 

「・・・でた。セフィ執務官のデバイス好き・・・」

 

「それにあの硬度! 並のデバイスなら魔力弾の直撃でボロボロのはずなのに、彼のそれはいまだに輝き続けている! キズ一つ入ってないのよ!」

 

「あー・・・はいはい」

 

 

―――試験場。

 

「・・・隠れんぼか? いい加減ケリつけようぜ?」

 

 

ビルの間を軽く飛び回りながらトレインはそうぼやいた。ティオがいなくなったのだ。だが、その言葉のすぐ後、見つけることになった。

 

 

「そうだな。それには僕も賛成だ」

 

「? ・・・ッ!」

 

 

彼のデバイスがいつの間にか巨大な光剣になっていた。おそらく魔力を蓄えて高出力のサーベルにしているのだろう。

 

 

「・・・じゃあこっちも受けて立つぜ!」

 

 

そう言ってハーディスⅡを構えたトレインの体もバチバチとなりだした。

 

 

「エレメントスライサー!!」

 

「ハーディス、最大兵器。電磁光弾(レールガン)!」

 

 

その瞬間。試験のために使われたトレーニングルームが爆風でメチャクチャになった。

 

 

 

トレインside

 

流石に最高出力ではないにしろレールガンを撃ったのはマズかったかもしれない。土煙で今のところ何も見えないが、とりあえずやり過ぎた感は否めない。

 

レールガンといえばなんだが、あれは艦載兵器だったはずだ。その艦載兵器をこの小形銃でどう表現したかとかは突っ込まないでほしい。そういう事を突っ込み始めた奴を見た場合は鼻で笑ってやってくれ。哀しい奴だから。二次元を楽しめてない奴だから。かく言う俺も表に出さないもののアニメの超科学の仕組みを理解しようとしたことは何度かあるけどな。

 

 

試験結果は後日届くんだと。管理局に誘われたけど断っておいた。所属する意味が分からん。俺は誰に飼われない。俺を飼い慣らせるのは俺だけだ。




というわけでトレインは首に鐘つきチョーカーをネックレスのように首に巻きました。

トレインの使うデバイスは“ハーディスⅡ”ToLOVEるでクロが使ってる銃そのものです。質量兵器の“ハーディス”もあって、いつか登場するはずです。

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