自由な黒猫魔導師の野良猫生活 作:軍曹(K-6)
「え・・・えぇ・・・・・・。X BURNERを斬った・・・」
「うんっ。いけるの!」
(なのはちゃん強くなってる。それも、神速を使う“御神の剣士”を名乗れるほどちゃんと・・・・・・)
アリシアはデバイスを待機モードにしてシールドの上に立つ。その行動にやる気満々というか達成感に満ちあふれていたなのはは首を傾げた。
「私の負け。流石にX BURNERを斬られたら何も出来ないよ」
「え!? やった!」
そう言ったなのはも、負けを認めたはずのアリシアも次の瞬間には壮絶に笑った。
一瞬。なのはの後ろに
「―――なのはは強いよ! 思わず私の口角が上がってきちゃうぐらいに!」
「あははっ。私も! お姉ちゃん以外でここまで緊迫したのはじめて! お父さんやお兄ちゃんどうしても手を抜くんだもん!」
「あっそう。じゃあ私達の本気の本気、見せてあげる。負けるよ、なのは!」
「そんな笑顔で言われてもなぁ!」
「「キャハハハハハ!!」」
ケタケタと笑う小学生女子に若干引き気味の
一方でコピードールに近づいたアリシアは同じ見た目の彼女の手を握る。
「
コピードールが姿を変え、一本の刀に変化した。それは淡く、そして強く水色の魔力を纏っていた。
「『魂の共鳴ッ!』」
その言葉を叫んだ瞬間。アリシアの魔力量が莫大にふくれあがった。
「なっ。何なんだ、あれは」
「お前等にとってデバイスって何だ?」
「えーっと・・・」
「道具、だろうな。魔法を使うための。別にそれでいい、相棒って言うなら別にそれでもいい。要するにそこに、魔法で戦うために使うという前提があれば良い」
「どういう・・・?」
「魔力を増幅しているんだよデバイスとアリシアが」
「「「「?」」」」
「アリシアが送り込んだ魔力をデバイスが増幅。それをアリシアに送り返す。それを繰り返す事で莫大な魔力を得るって言う方法だ。ユニゾンデバイスの場合はやりやすいと思うぜ?」
「そんなことが・・・・・・」
「リンカーコアは魔導師にとって魂みたいなもの。だから俺とアリシアはこの現象を魂の共鳴って呼んでいるのさ」
共鳴状態のアリシアは魔力量が上がっただけではなく、全体的な身体能力も向上していた。
「行くよ。なのは!」
「・・・うんっ!」
最後の一撃は、二人とも笑顔だった。子どもらしい満面の笑みで―――
―――相手を殺すような一撃を放った。
結果、全体的に魔力量を向上させていたアリシアが勝ったのだが、なのはの一撃も相当強く、合わせた魔武器“天國”にヒビが入るほどだった。
―――数日後。
「えぇと・・・フェイトちゃんも裁判を受けなければいけないんですか?」
「ええ。悪いのはあのポンコツとは言え、ロストロギア不正所持は犯罪。アリシアちゃんのはリンカーコアとして定着しちゃってるからなんとも言えないんだけどね・・・・・・」
「あ、アハハ・・・・・・」
お咎めなし、か。良かった。ところで、どれだけアリシアと離れるのがいやなんだよ、諦めて裁判終わらせて帰ってこいよポンコツ。
「アリジア~! 絶対! 絶対母さん音速で帰ってくるから! クロネコに何かされたらすぐ言いなさい!?」
「いや、しねぇから」
「むしろして」
「アリシア!?」
そこまで絶望する事かよ・・・・・・。好かれているのは嬉しいが、少しハーレムに片寄りすぎていないか? なのはは一緒に住んでいるというアリシアに嫉妬しているし、帰ってきたらアリシアと一緒に住む。と仲睦まじい光景のはずのフェイトも、どうやら目的は『俺との同居』『アリシアとの二人きりの阻止』のようだ。
《愛されていますね、トレイン》
《普通で良かったんだけどなぁ・・・》
思わず遠い目をしてしまうが、俺は悪くない。
《いえ、トレインが悪いです》
《は? 何でだよ》
《その昔、スキルの確認のために作った数多のスキルを覚えていますか?》
《ああ。ちゃんと特典がついているかどうか確かめるために、たくさん作ったな》
《その中に「
《え。そんなのあったっけ? マジ? 今すぐ封印しなきゃ》
《私は分かっていてやっているのだと思っていましたが・・・?》
そんな訳がないだろうが!
調べてみると確かにあった。だけどやはりというかなんというか踏み台が望むような特典とは違って、『相手の為に行動した結果が恋心を抱く(※)』という結構制限付きのスキルのようだ。
だが、俺はハーレムが作りたいわけではないので今すぐスキルを解除しておく。これで安心。
《すでに立ったフラグはどうしようもないですがね》
《・・・・・・・・・》
「それにしても、本当にこんな情報もらってよかったの?」
「ああ、ミゼットが依頼の成功報酬として提供してくれた正規の情報、それを提示すれば向こうもプレシアは被害者としか言わないだろう。気に食わない結果になりそうだったら渡した端末で俺達を呼べ。不吉を届ける黒猫と」
「金色の闇が覆しに行くから!」
「絶対呼ぶわっ! 私の元へ来てくれるんでしょう!? さっ!」
プレシアの言葉は途中で切れた。リニスが容赦のない手刀をプレシアに浴びせたのだ。
「ほらっ、行きますよプレシア」
「アハハ・・・。フェイトちゃん。私達、
「うん。
俺の気のせいかな。友達に変なルビが振ってあるように副音声が聞こえる。幻聴だろうな。友達だって言ってるんだから、多少違うけど、それでもみんなが幸せなら良いだろう。それが原作改変って奴だ。
『勝手に競い合っていてください。トレインの
「「「ハァ?」」」
おい。何言ってんの姫っち。煽るな煽るな。具体的にどんな煽りかたかって言うと、イカゲーで追い詰められて死にながら海に落ちた時に、落ちた崖淵で煽りイカされるぐらい腹立つと思うから。
「ねえ、イヴ。デバイスのくせに何言ってんの?」
「うん。アリシアちゃんの言う通りだよ。デバイスは所詮デバイス。そんな偉そうな事言えないよ?」
「笑えない冗談はやめて。思わず手が滑る」
やめて。仲良くして! と言うか姫っちも、なんで煽るんだよ。
《トレインに相応しいかどうかの確認です。デバイスに嫉妬するほどですからね。少し難しいかと》
《・・・・・・》
とにもかくにも、アリシア・プレシア・リニス生存。なのは御神流継承。フェイト家族の愛を受ける。など、中々良い結果に終わったのではないかと思う。
後は裁判の結果などでどうなるかが決まるが、気負いしなくても何とかなると俺は思う。そんな気がする、うん。
こうして、原作ではプレシア・テスタロッサ事件と呼ばれたジュエルシードを巡る実質二勢力の戦いは、何故か途轍もなく平和な方向で、あっさりと解決してしまったのだ。
『全部トレインの苦労のかいですけどね』
「そういやお前にも色々手伝ってもらったよな」
『ええ。それよりも、闇の書ではアリシアのリンカーコアが奪われないように気を付けなくては』
「・・・大丈夫じゃね? アリシアのリンカーコアは膨大な魔力を保有しているって言うだけで魔法は全部デバイス任せなんだから・・・・・・」
『言っておきますが向こうは魔法を再現してくるんですよ』
「え・・・? マジ? アリシアの
『気を付けてくださいね』
「おうっ!」
・・・で、闇の書って何なんだ? そんなのなのはに出てきたっけ・・・?
一期まで終了。
現時点で二期であるA'sは書くか分からない。
完全思いつきのノリだし、なにより勢いだけで書いていたから疲れたし。
ただ本気を出して筆が乗れば五日連続で四話も投稿出来る人間だったんだな。と自分の力に少しひいた。
※理不尽に人の心を操作して惚れさせるものではなく、あくまでスキル持ちの人間の行動の結果が
説明不足でスイマセン。
他に惚れさせるに値する良いセリフや、場面展開が思いつかなかったというのが一番の理由。またいつか『セリフ』や、それに準じるものが思いついたらこの設定を消すかもしれません。