自由な黒猫魔導師の野良猫生活 作:軍曹(K-6)
華麗に再生、逆転謎解き!
小学生児童の誘拐事件、一人の少女の血が原因!?
たった1つの真実見抜く見た目は子供、頭脳は大人。
その名は「名探偵コ○ン」!
↑こうやって書いておくことでタイトルの前に扉の開閉音が聞こえる。不思議。
トレイン19歳 アリシア10歳 すずか・アリサ8歳
アリシアも小学四年生になり、家の家計を握り始めてきた今日この頃。俺は日課の牛乳を瓶で買うという任務を達成した後、ひたすらブラブラと街を歩いていた。
と、急に路地裏の奥が気になった俺はその奥へと進んでいく。と、路地を抜けるかどうか怪しい辺りで、声が聞こえてきた。
「いいからこいっ!」
「ちょっと! 何よあんた達! すずかを離しなさい!」
「アリサちゃん!」
「静かにしろ! おい! お前等、サッサと車に詰め込め!」
驚いて牛乳瓶を落とす所だった。何故、アリサ・バニングスと月村すずかが攫われているのだろうか。いや、なんにせよ目の前で起きたことだ。解決しなければならない。そんな事を考えていて、端から見ればボーッとしていた俺の目の前から車は消えさっていた。
「ゲッ! 姫っち?」
『No,problem.Train.しっかりとサーチャーを着けています』
「さっすが優秀デバイス!」
『え、えへへ・・・・・・』
「アリシアにも連絡を通してくれ。簡潔にで良い」
『OK』
数分後、現場でアリシアと合流した俺だったが、明らかにアリシアがキレている。どのようにってそりゃあもう般若のように。
《おい、姫っち。アリシアになんて言ったんだよ》
《私はただ、幼女誘拐犯がいたので手を貸してくださいと言っただけですが》
《それを私が幼女強姦魔に変えて伝えただけでしょう》
《百パーセントそれだ! 何やってんのさ“カイ”》
《いえ、面白そうだったので》
「何やってるのトレイン。仕事だよ。敵を殺りにいくんだよ?」
「・・・オーケー。それでも人質の救出を最優先に、な」
ちなみに、奴らが逃げたのは廃ビルの中だった。サーチャーを飛ばして確認した所、二階当たりに部屋をつくってそこに居座っているようだ。
「それじゃあ行きますか」
「開幕ブッパは私がやるね! フォーチュンドロップ“ThunderEagle-50”!」
アリシアの両手に握られた二丁のハンドガンから弾倉が排出され地面に落ちて金属音を鳴らす。もちろん転移魔法で俺達の共有倉庫に仕舞われるのだが、如何せんこいつは格好付けることに執着している。ロマンを教えすぎた気もする。
そんな俺の苦悩は露知らず、アリシアはポケットから取り出した弾倉をハンドガンに装填した。
ここで長々と説明を入れておくと、最初にアリシアが捨てた弾倉は『デバイス使用“魔力弾頭”』魔力を消費して魔力弾を撃ち出す仕組みの弾倉だ。つい今し方アリシアが装填したのは発射には魔力を使うが、撃ち出す弾は魔力によって生成されたゴム製の弾頭という、魔法文化が全体に浸透していない地で無力化に使用する非殺傷弾頭だ。
「さぁ、罪を数えなさい!」
アリシアのぶっ放した銃弾は、ビルの見張り二人を見事に無力化した。
「な、なんだぁ? テメェらは。外の見張りはどうした」
「こいつが無力化したよ」
「誘拐を目撃したからね。見過ごせないでしょ」
そういって笑うアリシアの手にはグローブがはめられたいた。
「ヒャハハハハ! 何だ、そのおかしなグローブで俺らとケンカする気か!?」
「相手の得物よォく見てからふざけた方がいーぜ!」
「・・・得物?」
アリシアが軽く両手をふるう。すると、彼等が握っていた中は銃身から綺麗に斬れてしまった。
「「「「!!?」」」」
「へ!?」
「そのガラクタのこと? クスクス お宅らの方こそ・・・、よーく相手の得物を見た方がいいよ。この“エクセリオン”で武装した私に迂闊に近づくと、刺身になるからね」
あの時と一言一句変わらねぇな。だが、この緊迫した状況下でそのセリフは、ただただカッコイイな。
アリシアの蹂躙を見た後、俺達は二階に上がってきていた。
「へ・・・へへ・・・。さあお嬢ちゃん、お兄さんと楽しいことしようか・・・・・・」
「ひぃ!」
何してんだか・・・。とりあえず小学生並の少女が犯されるのは、俺の良心的以外にも様々な要因が重なった上でご遠慮願いたいのでアリシアにこの場は譲ってもらって突入する。
突入と同時に銃を撃つ。横から吹き飛ぶように飛び出したアリシアは極限までに威力を殺したディオスクロイでアリサ・バニングスを襲おうとしていた男をぶっ飛ばす。
威力を殺した。と言っても、その破壊力はろくに鍛えてもいなかった男を吹き飛ばすには十分だった。俺はそれを横目に、腰を抜かした主犯格の男の額にハーディスを突きつける。
「これでお前は
「テ、テメェ・・・・・・、いったい何者だ。下の連中は何やってんだ!」
「下の連中? 全員行動不能だ。残るはお前だけだぜ」
ハーディスの撃鉄を起こす音でさらにそいつは眼を見開く。
「ま、待て。いいこと教えてやる! そこの紫髪の女はな」
「やめてぇ! 言わないでぇ!」
「夜の一族っていう! 吸血鬼なんだよ!」
「いやぁ・・・・・・」
「わ、分かっただろ? そいつを助ける意味なんて無い。金髪のほうは開放するから、俺達を見逃してくれ。な?」
《どうするの? トレイン》
《とりあえず、お前が庇ってるその子がどれだけの吸血鬼か確かめてみる》
《?》
「吸血鬼ねぇ・・・。見た目は普通の少女だが?」
「た、確かに見た目は普通の人間だけどな。だが、やつ等は人間の血を吸い、身体能力が高く、再生速度が速いって話だ。そ、そっちの金髪の嬢ちゃんなら、こ、心当たりがあるんじゃねーか?」
「確かにすずかは体育でも運動神経が良いけど・・・・・・」
「それに再生速度だってその銃で撃てば一発で分かるぜ。なあ、分かっただろ?」
「・・・・・・・」
「そうだ! あんた俺達と手を組まねぇか? クライアントから受け取る金をあんたにも分けてやっからよ。悪い話じゃねーだろ?」
ふと、アリシアの方に目を向けてみれば、アリサとすずかが自分達の友情を確かめ合い、固く結び治していた。アリシアからの念話によれば、二度目とのこと。
「へ、へへ。あのガキは手遅れみてーだな。・・・なぁあんた、今ので分かったろ。あの紫髪のガキは人間じゃねー。助ける価値の無い化け物なんだよ」
「・・・・・・それと対峙したお前は何だ? 人か? 狗か? 化け物か?」
次の瞬間、ハーディスを持っていない左腕がアリシアのディオスクロイによって吹き飛ばされた。
スキルカード発動!
『