その胸に還ろう   作:キューマル式

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トラック泊地

 

 戦いは終わり、改めて榛名艦隊の前に轟天たちE・D・F艦隊が並んだ。

 

「改めて……海底軍艦『轟天』。

 一応このE・D・F艦隊のリーダーってことになってる。

 よろしく」

 

 そう言って手を差し出すと、いろいろと思うところはあるのだろう、少々ぎこちない動きで榛名が握手を返した。

 

「トラック泊地所属の榛名です。

 危ないところを助けていただき、貴艦隊の救援に感謝します。

 ですが……失礼ですが、そちらの所属はどこですか?

 榛名はあんな新型兵装の話や、男性用の艤装が開発されたという話を聞いたことがないのですが……」

 

「いや、所属はないよ。

 まぁ、『訳アリ』ってやつさ」

 

「それは……」

 

 そう言うと、榛名は何か言いたそうにもごもごとしている。おそらく言いたいことはあるものの助けられた手前、言っていいものか迷っているのだろう。その姿を見て轟天は「無理に言わなくていい」と手をひらひらと振る。

 

「言いたいことは分かる。

 自分たちで言うのもなんだが、俺たちが怪しさ大爆発の集団だって自覚はあるからな。むしろ警戒しないほうがおかしい」

 

 無所属の艦隊、見たことのない新型兵装の数々、そして適合者の女性しか纏えないはずの艤装を纏う男、『艦息』。もう怪しさのオンパレード状態、怪しくない部分を探し出すことのほうが難しいくらいだ。苦笑する轟天に、その後ろでは村雨をはじめとした艦娘たちが同意するようにウンウンと頷いている。

 

「その辺はおいおい話すけど……俺たちは深海棲艦と戦っているってことは事実だ。

 そこは信用してほしい」

 

「それは……先ほど助けていただきましたので理解もできますが……」

 

「なら道すがら話すさ。

 どうせこっちの目的地もトラック泊地だからな」

 

 そうして傷付いた榛名艦隊を守るように周辺警戒をしながら、E・D・F艦隊はトラック泊地へと進み始める。その間に、轟天は大まかな話を榛名にしていた。

 

「記憶喪失、ですか?」

 

「まぁな。

 胡散臭い話だって自覚はあるから、信じる信じないは任せるよ。

 妖精さんたちからの情報で『男』ってだけで俺の立場は微妙だっていうことは理解できた。いきなりどこかの鎮守府なり泊地なりに駆け込んで保護を求めるってわけにもいかなかった。モルモット扱いはまっぴらごめんだからな。

 だからこうやって……日本海軍(そちらさん)がいらないって捨てた連中を助けて仲間にしているってわけだ」

 

「はぁ……」

 

 榛名はその話に相槌を打つものの、記憶喪失やら『艦息』やらといろいろと現実味が無くて困ってしまう。それにトラック泊地では噂で聞く程度で決して行われることはない『捨て艦戦法』の犠牲者を前にしているとなると、やはり居心地がいいものではない。

 

「とはいえ、俺たちもいつまでも隠れて活動するってわけにもいかない。それでいい加減日本海軍と接触しようってことになってな。で、調べてみたらアンタらトラック泊地の提督はまともそうだったんで、ちょっと話をしに行こうとしてたところだ。

 俺たちの望みは『立場』と『保証』。

 俺を含めた仲間をそっちの技術解析のためのモルモットにされるわけにはいかないから、それ相応の『立場』と『保証』が欲しい。

 そのかわりにこっちは技術提供や、俺を含めた戦力を貸し出す用意もある。

 俺たちの力をその眼で見たあんたなら、これがどういう意味か分かるだろ?」

 

「ええ、よく分かります」

 

 轟天の言葉に、榛名は深く頷いた。

 事実目の前でその実力を見た榛名としては、彼ら6隻を相手に自分を含むトラック泊地の全員が戦ったとしても、勝利は難しいだろうほどの戦力を有していると判断している。そして恐らく、彼らはまだ実力を隠しているという予感があった。

 とにかく、これらの新技術や戦力の重要性はすぐさま榛名には理解できた。しかし榛名にはそんな、ともすれば世界がひっくり返るようなことに関して決定権などない。

 

「では、私たちにはトラック泊地提督への口添えを期待している、ということでよろしいですか?」

 

「話が早いな。

 まぁ、こっちが会談を希望しているってことと、あんたらがその眼で見たことを提督に伝えてくれればいい」

 

「ええ、助けていただいたことも含め、すぐに提督に連絡をとりましょう」

 

 言葉を返しながら、自分たちを助けた理由の一つがこれだったのだろうと榛名は理解した。つまり轟天はトラック泊地に対して恩を売るのと同時に、自分たちの戦闘能力の生き証人として提督への連絡役を榛名たちに期待しているのだ。

 

「なに、そっちを護衛しながらトラックに向かうんだ。

 時間はあるしゆっくりやってくれ」

 

 話は終わりとばかりに轟天はめんどくさそうに手をひらひらと振ると、榛名との話を打ち切って隣の村雨と何事かを話し始める。

 榛名はそれを横目に、トラック泊地宛ての緊急電をいれて状況を報告する。

 

(ひょっとしたら……私は歴史の節目に立ち会っているのかもしれない……)

 

 疲弊し衰退していくだけの人類の現状、それを変える『何か』に自分は立ち会った……榛名は漠然とだがそう感じていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「へぇ、あれか……見えてきたな」

 

「うん……」

 

 遠方に見えてきた港湾施設、日本の勢力圏であるトラック泊地である。

 轟天はまるで観光客のように純粋に楽しそうな顔をしたものの、村雨は困ったような複雑な面持ちだ。死を覚悟し一度は捨てた故郷の軍、すでに割り切り吹っ切ったつもりであったが目の前でその施設を見てしまえば胸中は複雑である。

 

「……もしもの時にはあてにしてるからね、轟くん」

 

「まかせろ。

 って、そういう事態にならないのが一番なんだがなぁ」

 

 村雨の言葉に困ったようにぽりぽりと頬を掻く轟天に、その様子がおかしかったのか村雨がクスクスと品よく笑った。

 そんな2人に、少し遠慮がちに榛名が声をかける。

 

「提督から許可が下りました。

 そちらとの会談に応じるので準備ができるまで4番ドッグで待機してほしいとのことです」

 

「へぇ……いきなり俺らみたいな怪しいのを招き入れていいのかい?」

 

「提督のご判断です」

 

 話の分かる相手なのか、あるいは何かしらの秘策があっての余裕なのか……轟天としては前者であることを全力で期待したいところだ。

 修復のために1番ドッグに向かう榛名艦隊と別れ、物珍しそうに遠目からこちらを見ているトラック泊地の艦娘たちの視線を尻目に轟天たちは言われた通りに4番ドッグへと入っていく。

 陸にゆっくり上がり、艤装を解除しながら辺りを見渡した轟天はポツリとつぶやいた。

 

「なんていうか……ショボいな」

 

 手入れは行き届いているようだが作業クレーンは機器は古めかしくこじんまりとしていて、轟天はかなりショボいという感想を抱いた。ここが本当に南方における一大拠点の一つなのだろうかと疑問に思ってしまう。しかし、それを隣で聞いていた村雨は肩を竦めながら言った。

 

「それ、ラゴス島秘密基地(ウチ)がおかしいだけだよ。

 私から見たらさすがはトラック泊地、納得の設備だわ。

 ……これが現在の戦況の結果、ってことよ」

 

「そうか……」

 

 そう言って、轟天は再び辺りを見渡す。

 村雨や他の艦娘からの話で、現在の人類の戦況が厳しいということは聞いていた。だが話で聞くのと、実際に目で見るのとではその衝撃と理解は全く違う。轟天は今初めて、現在の人類の苦しい状況を正しく思い知っていた。

 

 それからひまを潰すこと小一時間、榛名が轟天たちのところにやってきた。

 

「会談の用意ができましたので、どうぞ」

 

「俺と村雨で行く。

 他はここで待機させるが、構わないか?」

 

「ええ、どうぞ。

 こちらにもお茶をお持ちしますよ」

 

 榛名の了承を得て轟天は村雨だけを連れて残りの全員に待機するように告げると、榛名の先導に従って歩き出す。

 レンガ造りの倉庫に、こじんまりとした司令部棟。どちらも手入れが行き届いており、施設全体が小奇麗な印象を受ける。すれ違う艦娘たちがこちらに好奇の視線を浴びせてくるが、彼女らの健康状態も良さそうだ。少なくとも絶望に曇った瞳の艦娘は1人もいない。これなら提督の人となりにも期待がもてそうだと轟天は心の中で呟く。

 やがて、轟天たちは重厚なドアの前にやってきていた。

 

「提督、お連れしました」

 

「どうぞ」

 

 榛名が開けたドアの先には、先ほどまで海で一緒だった瑞鳳が、そして執務机で作業する軍服の男。

 歳は30代前半の働き盛り。覇気に満ち、柔和そうながら芯の強さが伺える眼光。それを見て轟天は「これは当たりかな?」と心の中で笑った。

 

「はじめまして、私はこのトラック泊地提督、中條義人という」

 

「ああ、はじめまして。

 俺は海底軍艦『轟天』、こっちは俺の秘書艦の村雨だよ」

 

「は、はじめまして」

 

 差し出された手を轟天が握り返す。そして続けておっかなびっくりといった感じで村雨も握手を交わした。中條提督はそのまま柔和そうな顔を崩さず、手で来客用ソファへと促し、2人が座る。

 そんな2人の正面に提督が座ると、その後ろに榛名と瑞鳳がたつ。2人は護衛なのだろう。

 

「改めて、貴艦隊の救援に感謝します。

 おかげで私は、大切な部下たちを失わずにすんだ」

 

「別に構わない。俺たちの目的も深海棲艦の撃滅だ。

 それの最中にたまたま近くにいたからってだけの話さ」

 

「それで……榛名たちから大まかな話は聞いたのだが、もう一度確認をさせてほしい」

 

 そして轟天は再び、自分の状況と経緯を語る。

 過去の記憶がないこと、その記憶を探していること、深海棲艦と戦っていること、そしてその過程で『捨て艦戦法』などで帰る場所のない艦娘たちを保護して拠点を築き活動していること、轟天の妖精さんたちによって開発された新兵器で武装を強化しているなどだ。

 自分で説明しながら、どう考えても怪しい集団だと自覚して心の中で笑ってしまう。

 

「とてもすぐには信じられない話だが……榛名たちが嘘を言うはずもないか」

 

「なに、自分で言うのもなんだがこんな怪しさ大爆発な話だけで信用してもらおうとは思ってないさ。

 村雨」

 

「はい。 提督、どうぞ」

 

 轟天が言うと、村雨は懐から何かの紙を取りだすとそれを中條提督へと差し出す。

 

「なにかな、これは?」

 

 村雨から書類を受け取った中條提督がそれに目を通していくと、だんだんと顔つきが変わっていく。

 

「これは……」

 

「俺たちからのお土産だよ」

 

 その書類は、今回持ってきて譲渡する予定の、轟天たちによって造られた兵装の詳細データだ。

 

「実物を持ってきてあるし、それをそっちに贈るよ。

 それを試験してみれば、俺たちが言っていることが荒唐無稽な妄想じゃないって分かると思うぜ」

 

「……いいのかい?」

 

「俺たちの欲しいのはさっきも言ったように『立場』と『保証』だ。

 そのためにはあんたよりも『上』を動かさないとならない。

 一応、こっちも事前の調査はしてある。あんたが元帥の息子だってことも、親子仲が良好だってことも知っててな。そこを動かそうっていうんだ、このぐらいのものは出さないとお話しにもならないだろ?」

 

「……わかった、ありがたく受け取るよ。

 ただ……私ではここの泊地でならともかく、君たちの希望通りにできるとは現段階では確約できない」

 

「そこらへんはまぁ、応相談ってところだな。

 ただ……」

 

 その瞬間、轟天の雰囲気が変わる。細められた目からは殺気が漏れだしていた。それを感じ取った榛名と瑞鳳が思わず中條提督の前に飛び出そうとするが、中條提督は静かにそれを手で制す。

 

「俺や仲間に降りかかる火の粉は容赦なく払いのける。

 俺をモルモットにしたいからその身を差し出せだの、死を命じておきながら生きてたのなら自分たちの所属だから村雨たちを引き渡せ、とかふざけたことを言ったら……俺は相手が誰だろうと本気で怒るぞ」

 

「……肝に銘じておくよ。

 君たちとはいい関係を築きたいからね」

 

 そう中條提督が答えると、轟天からの殺気は消えた。

 

「こっちも同感だよ。敵は深海棲艦だけで十分だぜ」

 

 元の飄々とした感じに戻った轟天が肩を竦める。

 

「少なくとも君たちのことは元帥に報告して判断を仰ぐことになる。

 今すぐに回答は出せないが……その間、君たちはどうする?

 もしここに留まるなら、賓客としてできる限りのもてなしはさせてもらうよ」

 

 だが、その言葉に轟天は笑顔で首を振る。

 

「いや、遠慮しておくよ。

 こっちも日本海軍(そちらさん)がカッツカツでやりくりしてるってのは知ってるよ。それにたかるってのもな。

 逆に土産として少しだが糧食も持ってきてるから受け取ってくれ」

 

 そう言うと話は終わったと轟天と村雨は立ち上がり、机にコトリと箱のようなものを置く。

 

「専用の通信機を置いてく。俺たちに連絡を取りたいときに使ってくれ。

 俺たちはしばらくしたらお暇させてもらう。

 荷物は今使ってるドッグに置いていくから、あとで回収してくれ。

 っと、帰る前にトラック泊地(ここ)を見学してってもいいか?

 ちょっと興味あるんだ」

 

「もちろんだとも。

 瑞鳳、彼らの案内を頼む」

 

「は、はい!」

 

 中條提督に言われ、瑞鳳の案内で轟天たちは部屋を出る。残ったのは中條提督と榛名のみ。

 

「……どう思う、榛名?」

 

「……彼らの素性や事情については、正直榛名では嘘か本当か判断できません。

 ですが……彼らの戦闘能力を目にした榛名から確かなことを一つ。

 提督、絶対に彼らと敵対してはいけません。

 それだけは、それだけは確実なこととして榛名は言えます」

 

「……そうだな、それだけは間違いないだろう。彼らとの共闘態勢が築くことができれば、これほど嬉しいことはない。

 しかし……これほど強大な力だと、手放しで喜ぶわけにもいかないものだ」

 

 フゥ、と中條提督は大きく息をつくと、轟天から渡された兵装データの書類を机に投げ出す。

 

「……とにかく、これは大変なことだ。

 明日一番にでもこれらの兵装の試験を行う。それと……父への報告も」

 

「はい、提督。

 すぐに元帥閣下への報告の準備をしましょう」

 

 中條提督と榛名は頷きあうと、すぐに自分の仕事へと取り掛かった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 夕焼けに染まる海を、轟天たちはラゴス島秘密基地への帰路についていた。

 

「さて、賽は投げられた。これであとは結果を待つばかりだな」

 

「そうね……」

 

 退屈そうに伸びをしながらの轟天の言葉に村雨が答える。

 やがて、おずおずといった感じで村雨は轟天に尋ねた。

 

「ねぇ、本当にラゴス島秘密基地(ウチ)で開発した兵装をあげてもよかったの?

 どれもこれも一般の装備と比べたら強力なのよ。

 もしかしたら、あれを使ってこっちに攻撃してきたり……」

 

「いや、こっちの技術を見せつけないととてもじゃないがまともに話を聞いちゃくれないよ」

 

「だったら食料プラントの技術とかのほうが……」

 

「バカ言うな、軍事技術なんかよりそっちの方が渡しちゃいけない技術だよ。食料ってのはどこにだってぶっ刺さる強力な武器だからな。

 それに、その危険性も考えて大したものは渡してないだろ?」

 

 村雨の言葉に、心配ないと答える轟天。

 今回轟天たちが提供したものは3つ。

 艦上ジェット戦闘機『F-2 バンシー』と艦上攻撃機『AD-1 スカイレイダー』、そして『オート・メラーラ127mm単装速射砲』である。

 しかし『バンシー』と『スカイレイダー』は普通の艦娘の装備としては強力だが、轟天たちにとっては旧式も旧式だ。今回同行しているアクィラの艦載機はすべて『AV-8B ハリアーⅡ』である。『バンシー』と違い、空対空ミサイルを積んでの対空戦、対艦ミサイルを積んでの対艦戦双方が可能で、おまけに垂直離着陸まで可能だ。

 『オート・メラーラ127mm単装速射砲』は村雨たちの装備しているものと同じだが、この真価を発揮するのは高性能なレーダー、そして高度なF・C・S(ファイア・コントロール・システム)と合わせた時だ。村雨たちが使えば敵機を面白いように叩き落とす脅威の命中率を誇るオート・メラーラ127mm単装速射砲も、それ単体だけでは高速連射可能な砲でしかない。もっとも、それでも十分強力だが……。

 とにかく、今回提供したものはどれもこれも戦力として、村雨たちの装備しているものよりも数段落ちている。そもそも今回のプレゼントは、相手にこちらの技術力を見せつけて侮られないようにするためのデモンストレーションに近い。そのため、艤装の大改修が必要となるような超高性能兵装を贈っても意味はないだろうという配慮と同時に、もしもそれを使って攻撃を仕掛けてきても十分対応できるように選んだのである。

 

「それに、あの提督はバカじゃない」

 

 轟天は中條提督の目を思い出す。

 私欲や保身ではない、あれは真っ直ぐな使命感に燃える瞳だった。それだけでも轟天にとっては信頼に値すると断じられるが、部下である艦娘たちに対する配慮も十分だ。轟天たちは今日の昼食風景を見せてもらったのだが、噂の味の薄い栄養ブロックとやらは出ているものの、それと一緒に野菜や鶏肉の入ったスープが出ていた。なんでも島内で手の空いた艦娘たちが畑や養鶏をやっているらしく、艦娘の環境を少しでも良くしようと頑張っているらしい。村雨たちが元いた所属とはまるで違う扱いとのことだ。そのためか提督の艦娘たちからの評判はすこぶる良く、士気はそのまま高い戦果にも繋がっている。

 

「つまり情報通りのデキる提督だよ。

 俺たちに敵対するってのは損しかないってわかっているさ。そんな選択、選ぶはずがない」

 

「確かにそうね」

 

 そう頷く村雨の脳裏には、以前の所属で過ごした日々がよぎっているのだろう。トラック泊地との違いを想ったのか、どこか遠い目をしていた。

 

「さて……あとはあの提督の親父の、元帥閣下どのも同じくらいデキる男だってのを祈るばかりだな。

 老害系だけは勘弁だぜ」

 

「今まで調べたところだと大丈夫そうだけどね」

 

「いやいや、蓋開けてみるまで分からないぞ」

 

 冗談めかして言う轟天に、村雨もつられて笑う。

 しかしまだこの時轟天は、元帥との話が自分たちの失った記憶に繋がるとは夢にも思っていなかったのである……。

 

 


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