艦これで〇〇が〇〇を隠し持っていたシリーズ。   作:哀餓え男

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羽黒「足柄姉さんがお見合い写真を隠し持っていた」

羽黒「姉さん・・・ついになりふりかまわなくなったのね・・・」

 

足柄「誤解だから!誤解だから!」

 

羽黒「こんな男で妥協しちゃうなんて。」ブルブル

 

足柄「やめて!」

 

足柄「ご、誤解なんだよ!」

 

羽黒「そうなの……?」

 

足柄「う、うん。」

 

羽黒「じゃあこのお見合い写真、姉さんのじゃないの?」

 

足柄「いや、それはまぁ、私のなんだけど……。」

 

羽黒「妥協した! 姉さんが妥協したぁ!」ガタガタ

 

足柄「ち、違うのぉ!」

 

羽黒「あの、姉さんもいい歳だから、もう後がないって事自体は羽黒、全然否定しません」ビクビク

 

足柄「否定してよ!せめてそこは否定してよ!」

 

羽黒「こういう低スペックな男性で妥協してもいいかなって思う事も、全然悪い事だとは思わないし……」

 

足柄「……あの、羽黒。」

 

羽黒「な、何!?」

 

足柄「な、なんで笑ってるの?」

 

羽黒「だって哀れだもの!可哀そうだもの!」アハハハハハハ!

 

足柄「なら笑うなよ!!アナタそんなに腹黒だったっけ!?」

 

羽黒「きっと、超マニアックな方法で初夜を迎えるわ!」

 

足柄「しないわよそんなの!」

 

羽黒「新婚旅行先の熱〇の旅館で『50年代はもうちょっと活気があったんだけどな……?』とか言いながら初夜を迎える気でしょう!」

 

足柄「50年代とかやめて!〇海への熱い風評被害になるからやめて!」

 

羽黒「なんか〇海特有のマニアックな言葉責めとかするつもりでしょ!」

 

足柄「しないよ!やめて!」

 

羽黒「『熱〇温泉の泉質は弱アルカリ性。肌にやさしいことに加えて、塩分が皮膚を覆い、肌を引き締める効果があるから皺が増えてきた君にピッタリだね!』とか言いながら温泉でするつもりでしょ!」

 

足柄「だれが皺だらけだ!まだピッチピチよ!」

 

羽黒「ピチピチとか……死語ですよ?姉さん。」 クス

 

羽黒「とにかく、そういうマニアックなプレイしようとしてるんでしょ?」

 

足柄「違うから!そういうんじゃないから!」

 

羽黒「さ、さらにマニアックな……?」

 

足柄「違うから!ていうかさっき羽黒が言ったみたいのは行き遅れカップルの会話では全然マニアックの範疇じゃないよ!」

 

羽黒「……え?」

 

足柄「……あ。」

 

羽黒「……あ、あれくらいは、基本なのね?」

 

足柄「なんでもない!さっきのなんでもない!」

 

羽黒「正直さっきのでもかなり哀れなことを言ったつもりだったんだけど……。」

 

足柄「聞いて!さっきのは間違いだから!」

 

羽黒「もうあれくらいじゃ、満足できないのね……?」

 

足柄「やめて!」

 

羽黒「姉さんがどんどん哀れになってく……ざまぁ。」

 

足柄「ざまぁって言った!?今ざまぁって言ったわよね!?アナタそんなに腹黒だったの!?」

 

羽黒「羽(ら)黒だけに。」

 

足柄「やかましいわ!全然うまくないわよそれ!」

 

羽黒「無条件に男が寄ってくる私が羨ましかったのね…… 知らず知らずの内に、姉さんを焦らせていた……。」

 

足柄「やめて!別に焦ってないから!」

 

羽黒「お嫁さんに『してあげたい』艦娘No,1だもんねぇ……。」クスクス

 

足柄「聞きたくない!結婚したいけど中々できない私が一番聞きたくないタイプの奴よそれ!」

 

羽黒「でもプレイ的な見地から言えば婚期を逃すのも興奮ポイントに……?」

 

足柄「どんな興奮ポイントだ!!逃したいわけないでしょ!?」

 

羽黒「だってさっき言ったくらいはもう基本なんでしょ?」

 

足柄「間違いでした!さっきの無しで!」

 

羽黒「とすると賞味期限切れかけで同じくらいの男性と仕方なく結婚とかそっち系に行かざるを得ないじゃない……?」

 

足柄「よしわかった!ケンカ売ってるのね!?上等じゃない!かかってきなさい!」

 

羽黒「艦娘としてのスペックでも私に劣ってるのに?」

 

足柄「誤差じゃない!アナタと私のスペック差なんて誤差の範囲内じゃない!!!」

 

羽黒「じゃあ面と向かって言って……。」

 

足柄「何を?」

 

羽黒「『私は結婚したいと思ってないし、思ったこともありません』って。」

 

足柄「何その宣言!?結婚は普通にしたいんだけど!?」

 

羽黒「言わなきゃ信用できない!婚期を逃したおばさんと同じ部屋にはいられないもの!」

 

足柄「私がおばさんなら妙高姉さんとか那智姉さんはBBAでしょうが!!!」

 

羽黒「とにかく言ってもらえれば、もう哀れんだりしないから。」

 

足柄「……うーん……。」

 

羽黒「やっぱり虚偽の申告はできない?」

 

足柄「明らかに虚偽でしょ!?」

 

羽黒「いいの!羽黒は姉さんを嘘つきにしたいわけじゃないんだから!」

 

足柄「その感じやめて!」

 

羽黒「姉さんにその場限りの嘘をつかせるくらいなら、羽黒は姉さんの婚活に付き合うから!」

 

足柄「アンタ男を根こそぎ持っていくつもりでしょ!」

 

羽黒「だって私男性にモテますし。」ニッコリ

 

足柄「やめて!ホントにやめて!今、香取の気持ちがすごくわかったわ! 」

 

羽黒「ああ、香取さんも無自覚な妹に彼氏を持ってかれちゃうタイプですね。」

 

足柄「やめてあげて!本当にやめてあげて!」

 

羽黒「あのー、一応、一応確認ね?」

 

足柄「な、何?」

 

羽黒「姉さんホントにこの男性と結婚する気なの?」

 

足柄「!!」

 

羽黒「一応だよ?だってこの人外見は酷いし無職だし引きこもりだし……。」

 

足柄「お、男の人は見た目や仕事じゃないし……。」

 

羽黒「いやぁでもこれはないでしょ、それとも『見てくれじゃなく中身を見てくれ!』とでも言われたの?」 プッ

 

足柄「やめてよ!なんでそんな酷い事言うの!それに面白くないわよそのダジャレ!」

 

羽黒「まあ、姉さんの好みはちょっとアレだものね。」

 

足柄「アレとかやめて。」

 

羽黒「えーと、じゃぁちょっとずつ確認してこう?」

 

足柄「何を!?」

 

羽黒「姉さんの男性の妥協点。」

 

足柄「何その確認!しなくてよくない!?」

 

羽黒「だって惨めな姉さんを見てみたいじゃない?」

 

足柄「見なくていい!」

 

羽黒「えー、じゃあ『男性』の妥協点決めスタート!」

 

足柄「まずは『年収1000万』!」

 

羽黒「えッ!?」

 

足柄「えッ!?」

 

羽黒「ストップで! 一旦ストップで!」

 

足柄「え?なに?なに?私変な事言った??」

 

羽黒「姉さん、無職の男とお見合いしようとしてたよね?」

 

足柄「違うって! 普通にあるじゃん!!無職でも1000万くらい普通でしょ!?」

 

羽黒「ないないないない!どんな無職だそれ、姉さんサラリーマンの平均年収知ってる?」

 

足柄「別にサラリーマンじゃなくてもいいのよ!? 一般的にだよ!? 一般的な基準として、年収1000万はあるよ!」

 

羽黒「あるわけないでしょ……そんなのエリートか社長くらいよ……。」

 

足柄「アレだよ? 日給じゃないんだよだよ?日に1000万稼ぐとかとかそういうんじゃないよ? そのつもりで私は言ったんだよ?」

 

羽黒「当たり前だよ……ていうかそんな人が姉さんになびくわけないでしょ……。」

 

羽黒「あの、ていうかじゃあさ、どんな基準ならいいの?姉さんはちょっと夢見過ぎよ 。」

 

足柄(心底屈辱的……。)

 

羽黒「うーん……ていうかもう、聞くね…… ど、どんな男性なら妥協できるの?」

 

足柄「……えー?」

 

羽黒「姉さんが決めてくれていいよ。それを聞いて対処するから」

 

足柄「……う、ん……。」

 

(五分後)

 

羽黒「……。」

 

足柄「……。」

 

羽黒「……あの。」

 

足柄「ひっ!?」ビクゥッ

 

羽黒「何を怯えてるのよ……。」

 

足柄「ご、ごめんね? 驚いちゃっただけだから。ごめんね?」

 

羽黒「……ていうか、これ長考した時点で相当ヤバ……。」

 

足柄「言うから!今すぐ言うから!」

 

足柄「え、えーと……。」

 

羽黒「言ってくれていいから!ドンと!」

 

足柄「えーと……。」

 

羽黒「笑う準備はできてるから!」

 

足柄「えー……年収は手取りで1000万で残業なしの定時帰宅で顔は良くも悪くもなくて……でもできればイケメンで家事も手伝ってくれて私を大切にしてくれるような……。」

 

羽黒「・・・・・・・。」

 

足柄「あの、羽黒……?」

 

羽黒「あははははははははははははは!やっぱりじゃない!やっぱり夢見過ぎじゃない!!」

 

足柄「なんでぇぇぇぇ! これでもかなり妥協したのにぃぃぃ!!」

 

羽黒「どこが妥協したよ!!そんな男、白馬の王子様レベルの空想動物よ!!」

 

足柄「そんなことない!絶対いるもん!白馬の王子さまは私を迎えに来るもん!!」

 

羽黒「それは聞いてないでしょぉぉぉ!!もう夢と現実の区別がつかなくなってるじゃない!!」

 

足柄「いるもん……白馬の王子さまは絶対いるんだもん……。」グス

 

羽黒「わかったわ、姉さんに現実を教えてあげる。」

 

足柄「男性の平均的な年収は?」

 

羽黒「平成26年度調べでは415万」

 

足柄「一人の女性に一途な男は?」

 

羽黒「希少種。」

 

足柄「家事は手伝ってくれないの?」

 

羽黒「人による。」

 

足柄「私と普段の羽黒ならどちらが選ばれる?」

 

羽黒「たぶん私。」 ニヤ

 

足柄「黒いよぉぉぉぉ!!羽黒が真っ黒だよぉぉぉぉ!」

 

羽黒「うるさい!姉さんの写真付きで出会い系に登録するよ!?」

 

足柄「なにそれ!?」

 

羽黒「よく釣れるのよ!」

 

足柄「釣れるんだ!?」

 

羽黒「色々装着したアイコラ作って投稿したりした!」

 

足柄「何急に!?」

 

羽黒「ごめん、もう我慢しなくていいと思ったら白状しちゃった。」

 

足柄「怖い! 私の写真でそんなことしてたとか怖い!」

 

羽黒「姉さんの写真で釣った男を呼び出して陰から品定めとかしてたわ!」

 

足柄「そんなことしてたの!?なんで呼ばないのよ!!」

 

羽黒「大丈夫、ろくな男がこなかったから!」

 

足柄「私の好みには合ったかもしれないでしょ!?」

 

羽黒「はあ、男なんてシャボン玉よ。」

 

足柄「何があったの!?何があなたをそんなにしてしまったの!?」

 

羽黒「合コンの席で姉さんが狙ってる相手と一緒に抜け出したい!」

 

羽黒「姉さんに男を紹介すると言ってバケモノを紹介したい!」

 

羽黒「姉さんも『ダメ…見ないで…見ないでぇー!』ってガチ悲鳴上げてみたら?」

 

足柄「無理よ!私のキャラじゃそんなセリフ無理!!」

 

羽黒「そういうことだから、精々お見合い頑張ってね。」ニッコリ

 

足柄「ここまで私をこき下ろしといてそんなこと言うの!?」

 

羽黒「……じゃぁ私、今日はこれからデートだから。」

 

足柄「誰と!?あなた彼氏いたの!?」

 

羽黒「じゃあね、姉さん、いい夢を……。」

 

足柄「ええー……何よ……何なのよ……。」

足柄「あれはホントに羽黒……?」

足柄「なんであんなお見合い受けちゃったんだろう……。」

足柄「出会い系……始めてみようかな……。」

 

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提督「おや?憲兵殿。どうかされましたか?」

 

提督「え?」

 


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