艦これで〇〇が〇〇を隠し持っていたシリーズ。   作:哀餓え男

15 / 20
 注)今回の話は広島の人が不快に思うかもしれない表現が含まれています。が、広島をディスろうとかそんな考えは微塵もございません。


黒潮「龍驤さんがウチの気持ちを裏切った。」

黒潮「見損なった!見損なったで龍驤さん!」ガタガタ

 

龍驤「誤解や!誤解なんやって!」

 

黒潮「龍驤さんの裏切り者ぉ!」ブルブル

 

龍驤「やめて!」

 

龍驤「ご、誤解なんやって!」

 

黒潮「そうなん……?」

 

龍驤「うん」

 

黒潮「じゃあこの本、龍驤さんのじゃないんやな?」

 

龍驤「いや、それはまぁ、ウチのなんだけど……」

 

黒潮「やっぱりやぁ! ウチの気持ちを裏切ったなぁ!」ガタガタ

 

龍驤「ち、違うんやぁ!」

 

黒潮「まあ、龍驤さんは生まれも育ちも横須賀のなんちゃって関西人やから、そういう物に興味を持つ事自体はウチ全然否定せぇへん」ビクビク

 

龍驤「なんちゃってとか言うな」

 

黒潮「その本に書いてある場所に行ったりしてみたくなる事も、全然悪い事だとは思わへんし……」ブルブル

 

龍驤「……あの、黒潮」

 

黒潮「な、何!?」ビクゥッ

 

龍驤「な、なんで距離とってるん?」

 

黒潮「怖いもん!洗脳されるもん!」ガタガタ

 

龍驤「やめろ!」

 

黒潮「超マニアックな方法で洗脳する気やろ!」

 

龍驤「せんわそんなの!」

 

黒潮「熱々に熱した鉄板の前に座らされて『焼きそばが特徴と思われがちやけど、実はキャベツこそ真の特徴なんやで!』とか言われながら洗脳されるんや!」

 

龍驤「抜粋するのやめて!さっきの本から抜粋するのやめて!」

 

黒潮「なんか広島風特有のマニアックな言葉責めとかするつもりやろ!」

 

龍驤「しないよ!やめて!」

 

黒潮「『卵の黄身は、潰すからね!』とか言いながら洗脳するつもりやろ!」

 

龍驤「抜粋やめて!音読やめて!」

 

黒潮「龍驤さんががマニアックなレシピを身につけとるぅぅ……!」

 

黒潮「とにかく、ウチまでそっち風に洗脳しようとしとるんやろ……?」

 

龍驤「ちゃうから!そんなんとちゃうから!」

 

黒潮「さ、さらにマニアックな……?」

 

龍驤「ちゃうわ!ていうかさっき黒潮が言ったみたいのは『関西人でも上手に作れる広島風お好み焼きレシピ お勧め店紹介付き。』では全然マニアックの範疇とちゃうから!」

 

黒潮「……え?」

 

龍驤「……あ。」

 

黒潮「……あ、あれくらいは、基本なんか?」

 

龍驤「なんでもない!さっきのなんでもない!」

 

黒潮「正直さっきのでもかなり気になるところ抜粋したつもりやってんけど……。」

 

龍驤「聞いて!さっきのは間違いやから!」

 

黒潮「もうあれくらいじゃ、満足できへんのやね……?」

 

龍驤「やめて!」

 

黒潮「龍驤さんががどんどん遠くに行く……。」

 

龍驤「遠くに行ってるのは黒潮やんか……物理的に距離とってるやん……。」

 

黒潮「だ、だって赤くされるやん……。」

 

龍驤「なんでやねん!カ〇プファンが赤い物ばっかり身につけとる思てんのか!?」

 

黒潮「ウチの作り方が悪かったんやな……。知らず知らずの内に、龍驤さんを飽きさせてたんや……。」

 

龍驤「やめろ!重い感じにするんやない!」

 

黒潮「ちゃんとソースにもこだわったのに……」

 

龍驤「聞きとないわ!広島風お好み焼きに浮気した関西人が一番聞きたくないタイプの奴やでそれ!」

 

黒潮「で、でも食生活の見地から言えばキャベツが美容のポイントに……?」

 

龍驤「やめて!嗜好を探るのやめて!」

 

黒潮「だ、だってさっき言ったくらいはもう基本なんやろ?」

 

龍驤「間違いやった!さっきの無しで!」

 

黒潮「とすると美容と健康とかそっち系に行かざるを得ないじゃない……?」

 

龍驤「っていうか何でちょっと協力的なん!? さっきまで洗脳される!とか言うてたやん!」

 

黒潮「さ、逆らったら無理矢理食べさせられる……」

 

龍驤「そ、そういうことか!いや、しないから!」

 

黒潮「じゃ、じゃあ面と向かって言って……。」

 

龍驤「何を?」

 

黒潮「『ウチは黒潮を洗脳したいと思っていないし、カー○ファンでもありません』って。」

 

龍驤「何やその宣言!?」

 

黒潮「言わな信用できへん!広島人と共に同じ鎮守府にはおられへんもん!」

 

龍驤「君、呉所属やろ!?」

 

黒潮「と、とにかく言ってもらえれば、安心できるかもしれへんから……。」

 

龍驤「……うーん……。」

 

黒潮「や、やっぱり虚偽の申告はできん?」ビクビク

 

龍驤「虚偽やないから!」

 

黒潮「ええんや!ウチは龍驤さんを嘘つきにしたいわけちゃうんやから!」

 

龍驤「その感じやめぇ!」

 

黒潮「龍驤さんにその場限りの嘘をつかせるくらいやったら。ウチ、龍驤さんの好みと向き合うから!」

 

龍驤「言うから!言うから重い感じやめて!」

 

龍驤「え、な、なんやっけ……『ウチは』……。」

 

黒潮「『ウチは黒潮を洗脳したいと思っていないし』」

 

龍驤「そ、そうやったな。『ウチは黒潮を』……。」

 

黒潮「……ど、どないした?」ビクビク

 

粒状「あ、あのー、一応、一応確認な?」

 

黒潮「な、何?」

 

龍驤「こ、この『洗脳』の範囲って……?」

 

黒潮「!!」

 

龍驤「い、一応やって!!」

 

黒潮「そ、それはつまり範囲によっては……。」

 

龍驤「一応やで!意外と二人の間で食い違ってるかもしれへんやろ!」

 

黒潮「範囲によってはありえるゆうこと?」

 

龍驤「いやだからその確認!」

 

黒潮「そ、そうやな。龍驤さんの基準はちょっとアレやからな。」

 

龍驤「アレとかやめろや。」

 

龍驤「えーと、じゃぁちょっとずつ確認してこう?」

 

黒潮「う、うん。ここでの『洗脳』の範囲が広ければ広いほど、その……。」

 

龍驤「……うん」

 

黒潮「龍驤さんがさっきの宣誓をできへん可能性が上がるわけやね。」

 

龍驤「いやまぁ多分ていうか絶対大丈夫やけどな!!」

 

黒潮「そやな!」

 

龍驤「えー、じゃあ『洗脳』の基準決めスタート!」

 

黒潮「まずは『関西風より広島風』!」

 

龍驤「えッ!?」

 

黒潮「えッ!?」

 

龍驤「ストップで! 一旦ストップで!」

 

黒潮「怖い怖い怖い怖い!!」

 

龍驤「違うって!好みの問題やん!広島風の方が好きな関西人もおるって!マジで!」

 

黒潮「いないいないいない怖い怖い怖い!」

 

龍驤「ウチが好きなわけやないで!? 一般的にやで!? 一般的な基準として、広島風の方が好きな関西人もおるって!」

 

黒潮「おらへんよぉ……。」

 

龍驤「アレやで?広島風ってつけ麺の事やで? 『広島風お好み焼き』とかそういうんじゃないで? そのつもりでウチはOKにしたんやで?」

 

黒潮「当たり前や…… ていうか今言った方OKにしとったら道頓堀に沈めとったわ……」

 

黒潮「あの、ていうかじゃあさ、どっち風が好きかが基準だとアウトなん? やな? あの、言わんでええけど」

 

龍驤(正直、どっちも好き……。)

 

黒潮「うーん……ていうかもう、聞くな…… ど、どこラインにしたらさっきの宣言できるん?」

 

龍驤「……えー?」

 

黒潮「りゅ、龍驤さんが決めてくれてええよ。それを聞いて対処するから」

 

龍驤「……う、ん……」

 

(五分後)

 

龍驤「……」

 

黒潮「……」ドキドキ

 

龍驤「……あの」

 

黒潮「ひっ!?」ビクゥッ

 

龍驤「そ、そこまで怯えんでも!」

 

黒潮「ご、ごめんな? 驚いただけやから。ごめんな?怒らんといて?」

 

龍驤「やめて!」

 

黒潮「……ていうか、これ長考した時点で相当ヤバ……。」

 

龍驤「言うから!今すぐ言うから!」

 

龍驤「え、えーと……」

 

黒潮「言ってくれていいから!ドンと!」

 

龍驤「えーと……」

 

黒潮「もう驚かへんから!」

 

龍驤「えー……多分、何をラインにしても、その、無理……。」

 

黒潮「え?」

 

龍驤「あの、だって、好きやねん……」

 

黒潮「うわああああああやっぱりガチやんかぁぁぁぁ!!!」

 

龍驤「ご、ごめんなぁぁぁぁ! でも好きなんやぁぁぁぁぁ!!」

 

黒潮「最初ので合ってたやんかぁぁぁぁ!! 最初のリアクションでむしろ正解やん!!!!」

 

龍驤「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!もうキャベツは山盛りじゃないと満足できんねん!」

 

黒潮「それは聞いとらんやろぉぉぉぉ!!この裏切り者ぉぉぉぉ!!」

 

龍驤「し、静かにせぇや!!生地で挟んで蒸し焼きにすんで!?」

 

黒潮「め、めっちゃ本性出しとるぅぅぅぅ!!!」

 

黒潮「キャベツ丼一杯は?」

 

龍驤「基本」

 

黒潮「広島焼きと言ったら?」

 

龍驤「ガチギレする」

 

黒潮「コンビニといえば?」

 

龍驤「ポ〇ラ」

 

黒潮「所属は?」

 

龍驤「呉」

 

黒潮「もうダメやぁぁぁぁ!広島に毒されとるぅぅぅ!」

 

龍驤「う、うるさい!お好み焼き村連れてくで!」

 

黒潮「何それ!?」

 

龍驤「お好み焼き屋しかないんや!」

 

黒潮「マジで!?」

 

龍驤「赤い傘持たせて球場でカ〇プを応援させたい!」

 

黒潮「何急に!?」

 

龍驤「ご、ごめん、もうバレたけぇ、いっそ広島に染めちゃろうか思うて」

 

黒潮「怖い!口調まで変わって怖い!」

 

龍驤「広島県民は地元愛が強く閉鎖的じゃ思われちょるけど、実は気に入った人には凄く親切!」

 

黒潮「それ、気に入られなきゃアウトやろ!?」

 

龍驤「当り前じゃろ!気に食わん奴は村八分じゃ!」

 

黒潮「下手な集落より閉鎖的やない!?」

 

龍驤「うわあああ広島の素晴らしさを伝えたいぃぃぃ!!」

 

黒潮「落ち着いて!上げてるつもりやろうけど下げてるから!完全にディスってるから!」

 

龍驤「東大京大の次に難しい大学は、広島大学だと思っちょる!」

 

龍驤「じゃけど!東京へ行って『広大(ひろだい)』と言っても通じんことは知らん!」

 

龍驤「それじゃそろそろ、お好み焼き焼こうか」

 

黒潮「大量のキャベツを取り出しながら言うな!」

 

龍驤「そういうことじゃけぇ!そんじゃ焼いてくでぇ!」

 

黒潮「え?広島風でいくの?マジで?」

 

龍驤「……よ、よし、あとは生地を乗せて蒸らすだけや!」

 

黒潮「このタイミングで生地を乗せるんか……へぇ……。って!生地薄!生地ってそんなに薄ぅてええの!?」

 

龍驤「よしできた!さあ、おあがりよ!」

 

黒潮「ええー……大阪風と違って作り方が複雑……」

黒潮「本当にヤダ本当に美味しそう……」

黒潮「けどソースが焼けた匂いを嗅いでしもたら我慢できひん……」

黒潮「他の大阪弁キャラになんて言い訳しよう……いや、いないかぁ……大阪弁キャラってウチと龍驤さんだけやった……」

 

~~~~~

 

川内「ん?駆逐艦たちが何か話してる。何話してるんだろ?」

 

川内「え!?」




 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。