目を覚ますと、一度も見たことのない風景に包まれていた。
天頂も、壁も、床を除く至る方面がまるで宇宙のように見える。それに、およそ3~4メートルぐらい前に置いてある、凄まじい違和感を感じさせるが何故か自分を引き寄せているような茶色のドア。
それは…まるでこの世のものとは言えないほどの神秘、かつ夢幻的で、こんな景色を見ている自分の目を疑ってしまう。そんな空間だった。
あまりにも唐突で非現実的なこの状況を全く把握できない状態だったが、まるで催眠でもされたのかのように、俺は目の前にあるそのドアに近づき、開いた。
すると、先程の部屋らしき場所とは桁が違う広さの空間が目の前に広がる。だが特に目立つ物はない…というか、ありえないと思うくらい空っぽさに恐怖すら感じてしまう。朦朧としていた精神が正気になったものの、自分に一体何が起こったのかは全く見当がつかず、どんどん不安になってきでしまうとその時、
「
暗闇から、女の子が現れた。
外見はだいたい16~17ぐらいの、俺とあまり変わらない歳に見える茶色のロングヘアーの美少女だった。服装は中国の明朝と韓国の李朝朝鮮のものを混ぜ合わせたような、東洋風の黒い官服を着ていて、幼い見た目とギャップがある。初印象はまぁそんな感じだった。
「あっ、はい。そうですが…」
さらにいったいどんな状況なのか全く掴めなくなってしまったが呼ばれたからとりあえず返事をした。なんとなく、この人は何が起こったのか知っている。そんな気がした。
「受け入れがたいかも知れませんが…あなたは死にました。現在、あなたと私が立っているこの空間は、死後世界です。」
えっ?
俺が、死んだ?
いやいや、そんなことはありえない。確か俺は任務のために東南アジア方面に移動していて…
あっ、そうか。
俺が乗っていた艦艇は、途中で深海棲艦の襲撃を受けてたしまった。慌てながらも他の搭乗員を救出に来た現地海軍の救助艇に渡して自分も行こうとした瞬間砲撃の音がして…これが最後の記憶である。
俺は…もしかしてあの時…
「…思い出しましたか。」
どうしても、涙がこぼれてしまう。今頃皐月は、鎮守府のみんなは、俺の知り合いもこのことを知っているはず。何故こんなに早く死んでしまったのか、悲しくてどうしようもない。
その時、
「…えっ?!本当ですか?大帝さまの許可は?はい、わかりました。今すぐお伝えいたします!…あの、申し訳ございません!あなたの死は、我々のミスによって予定より早くなってしまったことが判明しました!」
え?それって…
「申し遅れました…私は天上界で生き物の生と死を管理する殺生部所属の者です。機密事項なので詳しくは言えませんが、もともとあなたの死は数十年くらいあとで予定されていましたが、我々の部署での何らかのミスによってより早く死んでしまったことがついさっき判明したんです…」
…それじゃ、もしかして…
「もしかして、生き返れるんですか?」
「方針上はそうするのが基本ではありますが、あなたの死体は現在海の底にありますのでそれは困難です…ですが、玉皇大帝さまの許可が下りましたので、あなたを【認魂】として甦させることは可能です!」
そうか…しかし、【にんこん】という単語は聞いたことがない。
「にんこん?それってどういうことですか?」
「天上界でのミスで早く死んでしまった人の死体の回収がしがたい場合、いくつの検査をするんです。もし甦っても罪を犯すような者ではなく、かつ自ら強く生き返ることを望んでいるだろうと判断された場合、天上界を統べる玉皇大帝さまの許可のもとで、認魂の資格が与えられます。一応認魂は簡単に言うと幽霊みたいなもので、他人ンは見えないのですが、もともと予定されていた寿命を果たすまで成仏はしません。さらに物に触れることや、他人に憑依することも可能なので、生前の知り合いとのコミュニケーションは結構簡単にできるはずです。代わりに、その能力で罪を犯すとその強弱によってすぐ強制的に連行するか、再び天上界に来た際に審判を受けることになりますのでどうかご注意を。」
「そう…ですか…」
だいたいなんのことなのかはわかった。つまり、甦って前のように鎮守府のみんなと一緒にすごすことができる。ならば、迷う必要などない。答えは一つだ。
「もし望むならこのまま天上界に行くのも可能です。罪の審判は18歳以上からが対象なので、このまま住民としてすごすことになりますが、どうしますか?」
「いや、いいです。俺は早く生き返りたいんです。鎮守府のみんなが待っているんで。」
「やっぱり、そうですね。それじゃ、蘇生の手続きを行います。甦るときの場所を指定してください。」
「境港鎮守府です!」
「かしこましました。入力いたします。」
空からキーボードのようなものが現れてその人はそれを打つ。それから5分ぐらい過ぎると、チャイムのような音が鳴りだした。
「これで全て準備が整えました。尹希進さん、このまま進行してよろしいですか?」
「はい、大丈夫です!」
「それでは、開始いたします。」
すると、俺は物凄く眩しい光に包まれた。それから数秒、目を再び開けてみると、
「ここは…」
俺の鎮守府が目の前に。俺は、本当に甦ったのである。
というわけでどーも久しぶりですWarabeです!
神様転生タグ追加しようかなと思いましたが、一応は現状維持することにしました。もし付けるべきという意見が入ったらすぐ変更いたします!
えっ?殺生ちゃん(仮)の服装の説明がマニアックすぎてピンとこないって?
(∩゚д゚)アーアーきこえなーい