「.....なぁ」
クエストを一緒に回ると決めた、その翌日。
アートはアルスと共に、40層にあるフィールドで佇んでいた。
「.....何だよ」
...そう、佇んでいたのだが.....
「...ホントに、此処で合ってるのか?」
アートが率直な疑問をぶつける。
まぁ、無理もないだろう。
何故なら、目の前に
フィールドでそんな扉があるとすれば、その先がどんなものなのかは容易に想像がつく。
つまるところ━━
「「ボス戦かよぉ.....」」
━━まさかのボス戦であった。
*
「うし.....準備出来たか?」
「勿論」
装備を確認し、改めて準備する二人。
まぁ、言わずもがな、最強装備に変えたのだ。
アートは愛用の刀━━
アルスも自身が持つ至高の剣━━ホワイトライダーへと持ち替える。
「.....へぇ。良い剣だな」
「そっちもな」
お互いに何ともない話を一言交わし、次の瞬間には真剣な表情へと変える。
アルスが扉に手をかけ、そのまま開く。
中へ入ると、其処は古代遺跡のような場所が。もう少し詳しく言うなら、闘技場と言ったところか。
「.....来る」
アートが何かを感じ取り、呟く。
その瞬間━━
「■■■■━━!」
「来たぞッ!」
上から、奴が降臨する。
背中に生えた右翼は天使のようで、しかし左翼は悪魔のようで。
その名は【The destroyer】。簡単な英語であり、この場では最凶の存在へと至っている。
HPバーはたったの3本。つまり、それだけ強い。
その事象に臆することもなく、彼等は剣を再度握りなおした。
*
「でやぁぁぁ!」
.....何時間たっただろうか。
再度、アルスが仕掛けに行く。
「■■■!」
「チッ.....!」
しかし、それは当たり前のように阻まれる。
そのまま奴は吹き飛ばし、壁へ激突させた。
「フッ━━!」
「!!」
その後ろから、アートが飛ぶ。
六つの芒星は刺突となり、奴の足へ突き刺さる。
「■■■!!」
「ガァッ!?」
だが、それは怯ませるには至らなかった。
足を振り抜いて空中に浮かせ、手に持っている大剣で彼を斬り裂いた。
「クソ.....あと一本が削れねぇ.....!」
アルスが悔し気に吐き捨てる。
二本は既に削れている。しかし、残り一本となったところでパターンが大きく変化したのだ。
「.....」
そんな彼を横目に、アートは何かを考える。
無論、奴への対抗策だ。だが見つからない。
交互にぶつけてはダメ。攻撃した後の隙をつく作戦はも通用しない。
.....ん?
「.....アルス。ちょっと良いか?」
「へ?」
*
「■■■■━━!!」
見方によっては、敵を探しているように見える。あくまで個人の見解だが。
「おい」
「!!」
後ろから獲物の声がする。
振り向くと、其処には探していた二人が。
「さて....今までやられた分、きっちり返させてもらう、ぜ!」
その言葉と共に、二人が駆ける。
速さは神速の如く。誰にも見えやしないだろう。
「■■!」
奴が横へ大剣を薙ぐ。
しかしそれは届くことなく、更に彼等はソードスキルを当てた。
.....そう、これこそが作戦。『二人で同時に仕掛ける』というものだ。
一人ずつやるから手こずる。なら、二人でやれば大丈夫、という何ともメチャクチャだが、思いの外有効だ。
「ハァッ!」
「シッ!!」
更に連続技を放つ。
それは奴の身体を赤く染め上げていき、そして遂に━━
「これで.....」
「止めだァァァァ!」
同時にラストアタックを決める。
彼等が地に降り立った瞬間、奴は青いポリゴン体へと変わった。
「終わった.....」
「疲れたぁ.....」
奴が消滅したことを確認すると、へたりと座り込む。
そんな中、戦利品を確認していたアルスが何かを見つけた。
「.....ん?【エンジェルライダー】?」
「んあ?何だそれ」
恐らく、アルスのLAボーナスだろう。
何はともあれ、大きな力になる事は目に見えている。
「おぉ.....結構強ぇ.....」
「良かったじゃん」
何と、ホワイトライダーよりも性能が少し上だったらしい。流石は天使悪魔。
「ん.....?え゛.....マジか....」
「?」
様子を見るに、メールが届いたのか。
それを確認していく内に、彼は顔と声を苦しいものに変えていった。
「.....すまん。終わって早々なんだが、急に用が出来た。だから.....」
「...大変だな、お前も。.....じゃあ、此処でお別れだな」
そう、此処でお別れ。俺は中層プレイヤーでコイツは攻略組。もう会う事も無いだろう。
「楽しかったぜ。色々とな」
「ああ。
じゃあ、またな!」
そう言って彼は、結晶を使って転移した。
今回、彼だけが良い経験をしたと思ったが.....どうやらそうでもないらしい。
お陰で、もう一度自分を見つめなおす良い機会になった。
ああ.....
本当に楽しかったな。
一応言っておきますが、mogami様の公認設定であります。
因みにエンジェルライダーの画像はこれで。
【挿絵表示】
手書きですいません.....
で、コラボストーリーはこれで終了となります。
コラボしてくださったmogami様。本当にありがとうございました!
そして読者の皆様、これで『Diavolo Bianco』は完結です。
長い間、ありがとうございました。また何処かでお会いしましょう!