Diavolo Bianco   作:artisan

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スーパーアカウント00起動。
その名は『戦神 メルティア』。
ただ()()()()()を前提に作られたアカウントである。


Episode.44 降臨

「グッ.....」

振り落とされる包丁を、何とか【夜空の剣】で受け流す。

先程まで精神喪失状態だった彼━━キリトにとって、この状況は大分キツい。

アスナ達の努力によって勇者は覚醒した。

そして、その世界を混沌に陥れようとする者━━PoHを倒そうと尽力する。

しかし、目覚めたばかりの身体は充分に衰えている。

「ハッハッハッ!!やっぱキツいよなぁ!!」

「そういうお前も、お喋りしていて大丈夫なのかっ.....!?」

「戦ってる相手を気遣うたぁ、随分余裕なんだな!!」

そう言って、再度包丁を振り下ろす。

キリトが弱っているのもあるが、奴の武器が異常なのもある。

奴の武器━━友切包丁(メイト・チョッパー)は、(プレイヤー)を殺す事で強くなる凶器である。

現在、包丁は何十人もの命を吸っている。

それが何を意味するのか。

「ハァ━━ッ!!」

「ガッ!?」

━━最凶である事を示す。

PoHはキリトを強引に吹き飛ばし、見事倒れさせることに成功した。

「オイオイ.....俺ん中には失望しかないぞ?

かつてのお前(黒の剣士)は何処に行った!?お前はそんなものか!?」

呆れ、笑い、怒り。

多種多様な表情で彼を精神的に追い詰めていく。

「キリト、君.....!!」

彼を助けようと、身体に鞭を入れるアスナ。

しかし限界はとうに来ており、それは叶わない。

「は、ぁぁぁぁ.....!」

同じ状態にあるランが動く。

立ち上がる事は出来た。だがそれだけだ。

「ク、ソ.....!!」

動かない。代わりに、両手にある二刀を悔しさから握り締める。

彼は思った。

 

━━これじゃ、アイツ(ユージオ)に頭が上がらないじゃないか。━━と。

 

「ァァァァアアアア.....!」

“心意”を募らせる。

目は黄金色に変わり、緑色の粒子が身体中に纏わり付く。

 

 

「ハァッ!」

だが、遅かった。

魂を吸い取る包丁は、そのまま彼に━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやぁぁぁぁ!!」

「!?...ガァッ!?」

━━振り下ろされる事は無かった。

突如として、彼方より現れた閃光にPoHは吹き飛ばされた。

光が止み、其処に立っていたのは.....

 

「.....やぁ。久し振りだね。」

「.....ユー、ジオ?」

亜麻色の髪に、黄緑色の目。

かつて、白亜の塔で死んだ筈の彼、ユージオだった。

「お前、なんで.....生きてるんだ.....?」

キリトは驚きを隠せない。

当たり前だ。彼は確かに目の前で死に、そのまま光の粒と成り果てた筈。

だが、今目の前に居る彼は紛れもなく本人だろう。

()()()に助けてもらったのさ。もうすぐ来る筈だけど.....」

 

「痛ェなァ、オイ!」

怒声を上げながら起き上がるPoH。

それに反応するように、ユージオは顔を向けた。

「.....流石に倒せないか。」

「当たり前だろォ!つーか何邪魔してんだ!!お前はいらねェよ!!」

そんなPoHの言葉にユージオは.....

 

「.....そっか。じゃあ()()()()()()()よ。」

ただ、笑った。

しかし、どこか恐怖を覚えるような笑み。

「貴方はすぐに.....()()()()()()()()に邪魔される事になる。」

「あァ?何言ってやが.....」

PoHがその言葉の意味を知ろうとした、その時。

 

彼目掛けて、()()()()()が、閃光となって放たれた。

「!?.....畜生ッ!」

咄嗟に横へ転がる。

そして、すぐさま射出元を見て、()()()()()()()()()()()()

彼につられて周りの者も見る。

其処には.....

 

 

「ったく.....一人で行くなっての。」

白い服に白い髪で。

 

「ゴメンゴメン。結構危なかったからね。」

「それでも、だ。ったく.....」

かつて、命を散らせようとしていたラン達を救い、その身を焼いた筈の。

 

「アート、さん?」

「.....よう。久し振りだな。」

もう会えないと思っていた、最強の男。アーティザンだった。




再会、完了.....!

じゃあ、次回はもう、分かってるよね?(ゲス顔)

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