Diavolo Bianco   作:artisan

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遂に彼女達が、あの世界へ.....?


Episode.42 ダイブ

「私は.....キリト君が元に戻らなかったら、一生あなたを許さない。」

今、この状況はどういう事だろうか。

自分よりは数cmもある男をその少女が胸倉を掴み、更にはその踵を浮かせている。

「.....分かってるよ。キリト君は絶対治す。」

「っ.....」

その言葉を信用したのか、手を放す少女━━明日奈。

よろけた彼女を、素早く藍子が支えた。

「.....大丈夫ですよ。キリトさんなら、必ず帰ってきます。」

「.....うん、そうだよね。ありがとう。」

改めて気を持ち直し、目尻に少しだけ溜まった涙を拭った。

流石だ。彼女がそういう事に長けているのもあるが、やはり自分の経験に基づいてだろう。

それを思った響也は、ズキリと胸の奥が痛くなった。

「(.....明日奈を、自分に重ねてんのか。畜生.....もうちょっと速かったら.....!)」

彼は後悔していた。自分の無能さに。

ここまで、頑張って貢献していたつもりだった。

だが、肝心な時ではどうだ?逆に足を引っ張っている。

「(.....後悔するのはまだだ。今は俺が出来る事を.....!)」

自分も出来る事がある。それを表すように、今の状況をもう一度振り返る。

占領されたのは、メインコントロール室と第一STL室。予備のSTLがある第二STL室は無事だ。

【ユージオ】のフラクトライトも俺が持っている。アイツ(キリト)を治すにはコイツが必要だからな。

なら、今やる事は.....

「明日奈さんに藍子さん。」

「.....何かしら。」

「何でしょうか?」

 

「彼を.....助ける意欲はありますか?」

「!.....勿論!」

「ええ。今度は、私達が.....!」

一瞬、戸惑った素振りを見せたが、すぐに肯定の意を示した。

.....その意気、流石は【閃光】だな。それなら尚更━━

「菊岡さん。第二STL室、使っていいですか?」

「.....やるんだね。」

「ええ。彼を助けるのは、僕じゃなくて彼女達ですから。」

━━技術者の意地ってモンを見せてやらないと。

 

 

 

「さて、アンダーワールドに今からログインする訳ですが.....

スーパーアカウントについては大丈夫ですか?」

「ええ。」

「大丈夫です。」

第二STL室にて。

彼女達が横になっているのを横目に、俺は注意をもう一度確認していた。

「なら最後に。彼方では【最終負荷実験】が始まっていると思います。

それにはテロリストも参加している事でしょう。充分に気を付けてください。」

恐らく、二人か三人は居る筈。言えることはどいつも手練れという事だけ。

そんな中行かせるのは無理があるかもしれないが.....これしか方法がない。

「.....では、ダイブさせます。」

閑話休題。俺はSTLのスイッチを押す。

その瞬間、彼女達の顔に苦痛.....いや、激痛の表情が塗られる。

スーパーアカウントは能力が強いが、その能力の容量が多すぎるのだ。

.....まぁ、こればっかりはどうしようもない。心が痛むけど。

「.....ダイブ成功、か。比嘉さん!」

「オッケーっス!【ユージオ】確認!条件再構築します!!」

ユージオを生き返らせるには少々時間が必要だ。最も、彼の出番が無ければ良いのだが。

彼はあの世界で死んだ。なら、少しでも死に対する恐怖がある筈。それを再度味わせたくなかった。

「.....考えは無用だな。さて、こっちは散々プライドを削られたんだ。

 

覚悟しろよ、テロリスト共.....!」

そう言って、俺は獰猛な笑みを浮かべた。




次回の『Diavolo Bianco』は.....

「気になるんだろう?」
「君の仕事は、彼女達を守る事っス。」







「.....行くか。」

遂に......!?

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