「ふー.....極楽、極楽。」
カポーン、という言葉が似あう大きな風呂場。
そこで、俺ことけn.....間違えた、響也が居ましたとさ。
「.....なんだかんだ言って、結構慣れてきたなぁ.....」
ここでの生活を改めて振り返る。
.....藍子達と離れる、というのはまあまあな辛さがあったが、今は(大体)吹っ切れた。
ゆくゆくは【Project:Alicization】を完成させ、彼女達の元へ━━
「.....あれ。何考えてんだ、俺。」
そこで気が付く。無意識の内に『帰りたい』と思っている事を。
もう帰らないと決めていたのに。ぐちゃぐちゃになった思考を考えないように、俺はブクブクと泡を立てた。
「あぁ.....肩が痛い.....」
「それ、年寄りの言葉っスよ。」
一方、メインルームでは。
菊岡がコリコリと首を回していた。
「いやー.....結構彼に頼ってたんだね。久々に疲れたかも。」
「僕等としては、ショウ君と同じくらいやってたと思ってたんですけどね.....」
そこで重村教授がお茶を持って来てくれたので、それを貰う。
ズズズ、と温かいお茶を飲みほした。
「.....今思えば、私達は彼の事をよく知らないな。」
「確かに。ナーヴギアを作ったとしか.....」
「.....まぁ、彼が秘密にしてるからね。
そもそも彼の性格上、自分の事を話したがらないし。」
まだまだ信用度が足りてないね、と菊岡は苦笑いを浮かべた。
実際、そうだった。彼等から自分の話を聞こうとすると、『いや、そんな大層な話でもないから。』という風に何故か自分の体験談を話そうとしないのだ。
「.....まぁ、いいんじゃないスか?無理に聞く話じゃないですし。」
「それもそうだな。「うーっす。今上がりましたー。」.....ふむ。噂をすれば、だな。」
「?.....何の話してたんですか?」
「いや、ちょっとした世間話さ。さぁ、休んだ事だし再開しようか。」
「あ、その件なんですけど.....ちょっと良いですか?」
「ん?何か発見したのかね?」
「最近、UW内でALICEの素質を持つ者が現れたんですよ。
それで、念の為にその人のバックアップを取ろうかと.....」
「ふむ.....やっておこうか。では、その名前を教えてくれ。」
「えーと.....確か、【ユージオ】だったと.....」
「.....ねぇ比嘉君。僕には仲の良い親子にしか見えないんだけど。」
「奇遇っスね。僕もそう思います。」
「だよねぇ.....」
「何コソコソ話してるんだ?」
「「ウワァァァ!!?」」
「.....え、何でそんなに驚いたし。」
「な、何でもないよ!!ねぇ比嘉君!?」
「そ、そうっスよ!気にしないで良いっス!!」
「?.....そうか。」
.....変な所で鋭いショウ。
何とも言えない所で、また彼の新しい一面を見つけた菊岡御一行だった。