Diavolo Bianco   作:artisan

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スペシャルストーリーです。時系列的に言えば、UWに入る前です。

P.S.ガルパンおじさん様、誤字報告有難う御座いました!


the Special Story(外伝 編)
Episode.another 堕天使の奮闘記ぱーとわん


「んー.....」

ある店の前で唸っている青年が一人。

我らが主人公、アートである。

「えーと.....ここを、こうして.....」

パリンッ。

「にゃぁぁぁ!!」

.....何をやっているのだろうか。

見たところ、裁縫?をやっているように見えるが.....

「クソォ.....何で難しいんだよ.....このクエスト、ホントに初心者向けなのか?」

実は『思い出は永遠なり』というクエストなのだ。

内容は至って単純。自分が欲するアイテムを自分で作る、という物だ。

本来ならば、手順はそれ程難しくなく、簡単に出来るのだが.....

パリンッ。

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

━━この男、不器用である。

そして、その叫び声が聞こえたのか、ある者達が近づいてきた。

「.....アートさん?」

「何してるのー?」

「ひあうっ!?」

彼女達━━ランとユウキが後ろから彼を呼ぶ。

その声にビクッとしながら、彼はゆっくりと振り向いた。

「.....よ、よう、奇遇だな。」

「ええ、こんにちはです。で、何やってるんですか?」

「ク、クエストをやってるんだよ。そっちはどうしたんだ?」

「さっきまで結晶とかを買いに来てたんですよ。」

「そうだよー!」

それを聞いたアートはなんだと言わんばかりに胸を撫で下ろす。

二人は首を傾げるが、何でもないと話す。

「.....お兄ちゃん、何か隠してる?」

「はぁ!?ななな、何を言ってるんだよ!!」

まるで、『そうです。嘘吐いてます。』と言わんばかりに慌てるアート。

いつもと違った彼の状態に目を光らせたユウキは次のように言った。

「ふむー.....隠してないなら、別にボク達が此処に居ても大丈夫だよね?」

「へ、何を言っt「いいよね、お姉ちゃん!」うぉい!?話を聞いてくれません!?」

彼が狼狽えるも、それを無視してユウキはランに聞いた。

対する彼女は少し考えてから、こう言った。

「んー.....そうね。じゃあ、お邪魔します。」

「うぐっ......分かったよ、好きにしろ!」

ランも一緒に居る(監視する)つもりらしい。

そんな彼女達に彼は遂に折れた。

そして、先程と同じように作業を再開する。

「で、何を作ってるんですか?」

「.....秘密。」

「むぅー.....ケチですねぇー.....」

頬を膨らませるランをよそに、彼は黙々と何かを作っていく。

因みにユウキはじっくりと見守っている。案外面白いのだろうか。

パリンッ。

「.....」

「アハハ.....」

「だ、大丈夫.....?」

だが、それでも作れない。

ポリゴン体になった物を儚げに見つめるアートを二人は気遣う。

別にそこまで作りたい物なのか。そう聞こうとするが.....

「.....うし、もう一回!」

すぐさま行動に移した。

一体、何を作ろうとしているのか気になってきた彼女達は黙って見続ける。

 

━━そして。

「.....出来た。」

遂に、出来上がった。

既に周りには多数の観客が居た。

何回も挑戦し続けたアートに皆、心を惹かれたのだ。

「やったね、お兄ちゃん!!」

「何が完成したんですか?」

二人共、興味津々である。

その答えとして、彼は堂々と見せた。

「ほれ。これさ。」

見せられたのはカチューシャとリボン。

それぞれ、彼女達にあった色だ。

「カチューシャに、リボン.....?」

「ああ。.....んで、カチューシャはユウキで、リボンはラン。はい、どうぞ。」

自慢げに頷き、ランとユウキに差し出す。

そんな、いきなりの行動に目を丸くする。

「え.....くれるの?」

「おう。確か、今日はお前らの誕生日だろ?VR内で悪いが.....プレゼントだ。」

プレゼント。その言葉を聞いた彼女達の頭は、一瞬真っ白になる。

だが、それも本当に一瞬。すぐに微笑んで.....

「ありがとう、お兄ちゃん!!」

「ありがとうございます!!」

精一杯、自分達が出来る限りの礼を言った。

「いえいえ、どういたしまして。.....ちょうど時間もいいし、ホームに帰るか。」

「「はいっ!(うんっ!)」」

彼らは手をつなぎながら、ギルドホームに帰っていった。

尚、その場に居た観客達は、皆、温かい微笑みを浮かべていたそうだ。




こういう、ほのぼのした話もいいねぇ.....

あ、次回は.....出来れば明日に投稿するよ!!

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