魔法少女リリカルなのは  二人の黒騎士(凍結中)   作:孤独ボッチ

3 / 54
ここからが本番になります。
頑張って書き切りたいと思います。


第1話 雨音の記憶①

          :夢

 

 私は転生する前は雨の音が好きだった。

 勿論、雨の日の外出が好きだった訳じゃない。

 雨が地面や植物・ものを打つ音が好きだったのだ。

 私はそれが風流だと勘違いしていた。

 今にして思えば、立派に黒歴史だ。

 

 私はメイド服の女性と黒いタール状の大地に立っていた。

 天候は大地同様の黒いドロッとした分厚い雲が空を支配している。その雲から黒い雨が大地に降り注いでいる。

 

 私にはこれが夢だと分かっている。

 ここは、ベルカの地であるからだ。

 何故なら、私が大人だったからだ。

 私は黒い金属製の騎士甲冑を纏っている。金属鎧を着ても違和感がない年齢になってから、死ぬまで変えなかった。

 隣にいる人物が、私の傍にずっといてくれた人物、エルザだったからだ。

 私は無理矢理転生させられ、今は子供からやり直しているからだ。

 

 私達は全身を魔法でシールドし、雨に当たらないようにしている。

 足には魔法・水蜘蛛を発動中。そうしないと、体が沈み込んでしまう。

 因みに、水蜘蛛は魔法科高校の劣等生の魔法である。その作品の魔法・技術・能力全てが私の特典の一つである。精霊の眼(エレメンタルサイト)の強化、更に私はデメリット解消も頼んである。

 

 大地には地形に関係なく、僅かな盛り上がりが数千はある。

 

 それらは元は人間である。

 

 この惨状を招いたのは、万物を腐らせ、死滅させる禁忌兵器である。

 私はベルカがこれらの兵器の使用により滅亡に近付くことを知っているので、禁忌兵器の始末、改造するなどして無力化する努力はしていたが、一番使わせたくないものを使われてしまった。

 

 私達の足元にも黒い塊がある。それもまた元人間だが、他と少し違う点があった。塊の下からまだ原形をとどめている布が覗いている。恐らく作りから抱っこ紐だろう。布に纏わりついている黒い塊は赤ん坊だろう。布は庇った人物(恐らく親だろう)と赤ん坊に挟まれた部分がまだ腐っていない状態だった。庇われた赤ん坊は下敷きになっており、呼吸は困難だっただろう。加えて地面は腐敗が拡大し、赤ん坊を腐らせた。

 私はそれを見ていた。

「姫様、もう戻りましょう。私たちに出来る事はもはやありません」

 エルザは私を気遣うように声を掛けた。

 エルザは私の護衛騎士だったが、私が諸々の理由で王位に就いた時、ずっと仕えているという理由だけで護衛騎士になる訳にはいかないと、彼女は護衛から降りたのだが、どういう訳かメイドにジョブチェンジした。自分の立場にケジメを付けるなら、呼び名も直すべきだが私にとって姫様は姫様だからという意味不明な理由で呼び名は直さなかった。

「うん、助けられなかったなって思ってさ」

「姫様、その考えはよくありません。傲慢です」

 エルザの厳しい言葉に私も頷く。

「分かってるよ。私が出来る事は限られてる」

「姫様、他国の事です。冷たいようですが…」

 ここは、他国である。入国の許可は取っているとは言え、いつまでもここにいる訳にはいかない。

 私は自分の国の事を第一に考えなければならない。

「腐敗がどこまで広がるか分からない。まずは禁忌兵器の始末をつけて拡大を防がなくては」

 また使われたらどこまで、被害が拡大するか分からない。

「アーヴェントとこの国は距離があります。始末を付ける理由はどうするのですか?」

「友好国の近くだ。手を貸す形で積極的自衛権の行使」

 どうせ、聖王連合は他国を理由を付けて潰す腹積もりだ。私がやる事は基本、黙認を通している。

 私がゆりかごに手を出さない限りだけどね。

 エルザは諦めたように、溜息をついた。

 私はそれを無視して、惨状から背を向け歩き始めた。自分の国に向かって。

 

 雨音が風流とか考えてた過去の私、馬鹿な事を思った瞬間に死ね。私は雨音を聞く度にこの惨状を思い出すだろう。もう風流などと思う事は二度とない。

 

 

 

             :現代(海鳴)

 

「…皆さんも……の夢………下さい」

 担任の先生の声が途切れ途切れに聞こえてきて、意識が浮上してくる。

 授業中に居眠りするなど、この聖祥大付属小学校に入学してからなかった事だ。

 地球の教育なんてものから一生分無縁だった為、毎日が新鮮だったのに。

 窓の外に何気なく視線を向けると、雨が降っていた。

 

 だから、あんな夢を見たのか。

 自分の眉間に皺が寄るのが分かる。

 今生の両親曰く、ベルカ時代の夢を見るときはうなされる事が多いらしい。そんな時は、今生の母上は添い寝をしてくれているらしい。迷惑かけてすまんです母上。

 居眠りでうなされるなどという最悪の展開が避けられた事は不幸中の幸いだろう。

 みんなノーリアクションだから大丈夫だろう…。

 

 そんな事をやっている間にチャイムが鳴った。

 

 私の名前は綾森 美海(アヤモリ ミウ)となった。容姿の方はPARA-SOLの谷田部 美海にそっくりである。ベルカ時代もそうだったけど。私も可愛くて好きなキャラクターだったが、何故これになったのか、神の趣味か何かか?スタイルの方はベルカ時代は、小柄だったが出るところは出てたし、今生でも問題はないだろう。

 しかし、これだけ名前がコロコロ変わる奴も珍しいんじゃないだろうか。

 そして現在、聖祥学園三年生である。つまり原作突入までカウントダウン状態という事だ。

 実は私は、無印についてはあまり印象にない。最後くらいしか覚えていない。A`Sとストライカーズの印象が強すぎて。アニメで見た時、何を隠そう私はストライカーズから観たのだ。そしてシリーズを逆走して観たのだ。生粋のファンからしたらあるまじき行為だろう。自覚あるよ。

 そんな私がこの世界に転生するのだから世の中分からい。

 

 原作の主人公・なのはちゃんとの関係はどうなんだって?

 

 実はあまり話した事ないよ(爆)。むこうはどういう訳か話したいみたいで、時々近づいてくるが、その度に周囲に極小の精神干渉魔法を使っている。途中で他の子が話し掛けるようにしたり、私に別の子が話し掛けるよう仕向けたりしてね。

 何故そんな事をって?決まってるよ。必要以上に関わりたくないからだよ。それに必要とも思えない。何故なら、()()()()()()()()()()()

 私いらなくない?見たところ所謂踏み台という感じでもないし、何より一度目(多分)の転生にしては、あの歳で破格の腕前だ。

 無印くらい余裕だろう。何しろ敵はロストロギア・フェイト・アルフ・病人だけだよ?

 

 何故、転生者と気付いたかと言えば、精霊の眼(エレメンタルサイト) で見たからだ。わざわざ眼を使わなくてもリミッター掛けてれば分かるけど。リミッターはリンカーコアから体に流す魔力を押しとどめる技術だ。ダムの取水制限状態といったところかな。魔法科高校の劣等生の九重八雲の教え通り、私は眼に頼らずともある程度は()()()()でも分かるようにしている。だから、転生者の存在など一発で分かる。ランクはAAAくらいあるだろう。原作で、それだけの魔力量がなのはちゃん以外で持っていたら、A`Sの時に夜天の守護騎士にいいカモとして狩られてる筈だからね。

 

 因みに転生者の名は飛鷹 浩介(トビタカ コウスケ)といった。

 

 で?彼となのはちゃんの関係はというと、あまり話していない(大爆)。

 そりゃあ、男の子と女の子だしね。飛鷹君は話そうとしているようだが、アリサ・すずか組に阻まれて今一歩仲良しとはいかないようだ。ヘタレめ。人の事言えないだろうって?他人事だから言えるんだよ。

 因みに容姿は強いて言えば、空の境界の黒桐 幹也を幼くした感じか? 

 

 でも、転生者二人がこんなんで大丈夫なのか?

 

 放課後が近付くにつれ、雨は激しさを増しているようだった。




全て書き切ると長くなるので、切ることにしました。
無念なり

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。