魔法少女リリカルなのは  二人の黒騎士(凍結中)   作:孤独ボッチ

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 奇跡的なスピードで投稿出来ました。
 まさに、奇跡。
 これで、運使っていいのか?
 前回、説明不足だなと自分で感じたところを解説させたり
 してます。

 では、お願いします。


第25話 暫しの別れ

              :クロノ

 

 僕達もあれから無事にアースラに帰り着いた。

 時の庭園は吹き飛んで、跡形もない。よく生きて帰れたものだ。

 

 帰り着いた直後、フェイト・テスタロッサが、僕に両手を差し出した。

 逮捕を求めている。

 アルフも無念そうではあったが、暴れなかった。

 でも、僕は手錠を掛けずに、その手を下ろしてやる。

 集まってきた局員に、僕は言った。

「被疑者2人が自首してきた。誰か、案内を」

 フェイトが僅かに驚いたようだった。

「了解!」

 女性局員が、フェイトと使い魔・アルフを連れて行こうとした時だった。

「あ、あの!」

 なのはがフェイトを呼び止めた。

 フェイトがなのはを振り返る。

「貴女達にも迷惑かけて、ごめん」

 フェイトは俯き気味にそう言った。

「全然!大丈夫!」

「どうして…そこまで、よくしてくれるの?」

 フェイトが戸惑ったようにそう言った。

「最初は、何か辛い事情がありそうだし、助けて上げられればって思ったからだけど…。私ね、

貴女と友達になりたいんだ。やっぱり、そういう理由だと思うんだ。単純に」

 なのはのセリフにフェイトがどうしたらいいか分からないようだった。

 アルフもフェイトを窺っている。

「取り敢えず、返事に悩んでいるなら、ゆっくり考えたらいいわ。なのはさんだって待って

くれるわ。ね!」

 ここで、リンディ艦長が助け舟を出して、なのはにウインクしてみせる。

「はい!」

 なのはが思わず頷いていた。

 

 

 それから数日後、2人の事情聴取を終え、僕は報告書の作成をしていた。

「クロノ君!捗ってる?」

 副官のエイミィがノックもなしに入ってくる。いつもの事だが…。

 手には、コーヒーを乗せたトレイを持っている。

「難航してるよ」

 僕はそれだけ言って、コーヒーを貰う。

「どうして?被疑者死亡で解決っていうのは、よくない結果だったけど。次元断層を防いで、

ロストロギアを無事全て回収。状況からいったらよく解決したと思うけど?」

 エイミィが惚けた事を言う。

「本気で言ってるか?」

 僕は眉間に皺を寄せて、問い質す。

「あ~。ゴメン」

 空気を軽くしようとして、言ってくれたのは分かっているけどね。

 今回は素直にそれに乗れなかった。

 

 今回は問題だらけだ。

 第一に、被疑者であるプレシアを一度は捕らえたにも関わらず、逃亡を許し、死亡させた事。

 (正確には逃亡とは違うが、広義に置いては逃亡という扱いである。)

 第二に、飛鷹のレアスキルとアリシアの蘇生。アリシアの今後の扱い。

 第三に、剣王のスキル継承者の発見と取り逃がした事。

 第四に、アルハザードの魔法使いの残滓の存在。

 

 第一は、確実に僕の失点である。第三の取り逃がしも同様だ。

 そして、第二以降は、正直に報告しようものなら、管理局の理性の箍を外し兼ねない。

 それを想像するだけで、頭痛がする。

 アリシアの扱いに関しては、死亡が当時、確認されている為、説明が難しい。

 下手な説明をすれば、アリシアは研究対象になってしまう恐れもある。

 

 色々と()()()()()()()()を書くのは、難しい。

 挫けそうになるよ。全く。

 

「今、差し支えない真実を材料に、物語を作成中だよ…」

「ああ…。お疲れ様」

 

 エイミィが誤魔化し笑いをしながら、執務室を出ていく。

 エイミィには、後で埋め合わせをしないとな。

 

 更に不味いのは、艦長にまで、責任の声が上がる可能性がある事だ。

 プレシアの逃亡及び死亡は、艦長が応援を送らない決断をした所為とも言えるからだ。

 次元断層に至る一歩手前の状態での、局員の追加動員は出来ないと判断した艦長が間違って

いるとは思わないが、そう思う上層部も多いだろう。

 

 僕は溜息を吐くと、エイミィが持って来てくれたコーヒーを啜って、再び執筆活動を再開した。

 

 因みに、飛鷹はあの後、散々に油を搾ってやった。

 

 

              :リンディ

 

 エイミィからの報告で、クロノは随分と報告書の作成に頭を痛めているようだ。

 こちらが何も言わなくとも、フォローしてくれるあの子に感謝しなくちゃね。

 

 私は、食事を持ってフェイトさんのところへ向かっていた。

 一緒に食事しながら、話す為だ。

 実は、何回か食事を一緒に食べている。

 色々と1人で背負い込んでしまう子のようだし、少し心配だったから。

 

 留置所に着くとノックして、返事を待つ。

「は、はい。どうぞ…」

 戸惑った声で返事が返ってくる。

 留置所にいる自分にノックするなんて、と思ってるのだろう。

 あの子は確かに法を犯した。でも、私個人はこの子が犯罪者とは思っていない。

 ()()()()、いいように使われただけだと思っているから。

 

 中に入ると、2人共座ったままだった。

 最初のうちは、アルフはフェイトさんを護るように立ち塞がっていたけど、今は少しは信じて

くれたみたいね。

「食事を持って来たわ」

 食事の入ったカートを中に入れる。

「アンタも変わってるね。艦長だろ?」

 思わず苦笑いが漏れる。

 私も人の親だから、どうしても気になってしまう。いい事ではないわね。

 

 フェイトさんは、私に会釈すると自分の手に視線を落とす。

 手には、懐中時計が握られていた。

 レクシアさんから預かった物だ。

 特に逃亡や不都合な魔法が仕込まれている訳ではない為、こちらで預からなかった。

 精々、蓋を開けると音楽が鳴るくらいのものだった。

 エイミィが調べたところ、とんでもない高額な品のようだけど。

「フェイトさん。食事にしましょう」

「あ、はい…」

 3人で食事を始める。

 

 フェイトさんは、プレシアの言葉の意味をずっと考えているようだった。

 私も、デバイスの映像データを確認した。

『なら、幸せになって御覧なさい。出来るものならね…』

 フェイトさんはあれが呪いの言葉だったのか、それとも祝福の言葉だったかを、ずっと考えて

いる。

 本人は既に死亡しているのだから、確認する事など出来ないが、安易にあの言葉を祝福の言葉

とするには、私は汚い世界に身を置き過ぎている。

 プレシアはフェイトさんを庇ったのは、打算だと言っている。

 その言葉に、おそらく嘘はない。

 愛情が芽生えたという事ではないだろう。

 プレシアは、最後までアリシアさんの事だけを気にしていた。

 そういう人物が、土壇場で改心する事がないとは言わない。

 だが、私の経験ではレアケースだ。

 

 勝手な推測になるが、プレシアはフェイトさんにアリシアさんを見捨てられないように楔を

打ったのだと思う。自らの命で。そして、フェイトさんは、この楔を無視出来ない。

 最後の言葉も、楔の1つ。

 そして、アリシアさんの復活に同意してくれた礼みたいなものも、混じっているだろうと

思う。

 我ながら嫌な事を考えるわね…。

 管理局員としての自分の推測は、残念ながら、そう的外れという事はないだろう。

 

 少しでも、この子の背負っているものを軽くしてあげたい。

「ねぇ。フェイトさん。やっぱり、プレシアの言葉で悩んでる?」

 フェイトさんは少し考えてから、頷いた。

「気が付いたら、考えちゃいますけど…」

 だから、私はこう言うしかない。

「私はこう思うのだけど。生き方次第じゃないかって」

「生き方?」

 私は頷く。

「プレシアの言葉を呪いに変えるも、祝福に変えるも、フェイトさん次第だと思うわ。プレシアの

言葉を気にするあまり、不幸になってしまったら、それは呪いになってしまうわ。でも…」

「幸せになれば、祝福に変わりますか?」

 私は、笑顔で頷いた。こんなのは詭弁ね。嫌な大人になってしまったわね。

 フェイトさんが不意に苦笑いした。

「どうしたの?」

「レクシアに…。流されるだけで、考えないと生き方が雑になるって言われました」

 取り調べでも、レクシアさんはフェイトさんに、考えるよう促していたと供述していたわね。

 彼女が、スキルを継承した剣王の人生からきたセリフだろう。

 フェイトさんは、少し寂しそうな顔をした。

 

 そして、フェイトさんが悩んでいる事が、もう1つ。

 それは、レクシアさんの事。

 彼女は、いつの間にかフェイトさんから自分の個人特定に繋がる記憶を、消していたのだ。

『私を見付けた時に、返して』

 彼女の言葉は、記憶を消した事からきていたのだ。

 彼女の場合は、もう会う事はないという意味ではないから、救いはある。

 それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という意味なのだから。

 そこには、ある種の愛情がある。

 フェイトさんも、それは理解している。彼女はハッキリと告げているから。

 それでも、寂しいのだろう。

 レクシアさんの情報を、管理局に話すかもと疑ったようなものだから。

 

 それから、会話は弾む事無く食事を取り終えた。

 

 焦らずに、じっくり話していけばいいわよね?

 

 

              :フェイト

 

 リンディ艦長には、物凄くよくして貰っている。

 さっきも、一緒に食事をしたところだ。

 ただ、ずっと誰かと一緒に食事っていうのは、あまりした事がないから、どうすればいいのか

分からない。勿論、アルフやリニスと一緒に食事した事はあるけど…。なんか違う。

 

 留置所は、考え事をするには丁度いい。

 母さんの言葉については、考えても答えは想像するしかない。

 でも、都合のいい解釈は、出来ないのは分かる。リンディ艦長の言葉でも、それが分かる。

 気が付けば、この事は考えてしまうけど。考えてもどうしようもない事は分かる。

 

 レクシアの事は、探せばいい。多分、見付ける手掛かりはある筈だ。

 レクシアから預かった懐中時計を見詰める。

 記憶に関しては、文句を言わないといけない。

 

 今、私が悩んでいるのは、なのはの言葉だ。

 友達になりたいと言っていた。私と。

 友達…。何をすればいいんだろう?何が出来るんだろう?

 多分、私はレクシアがしてくれたみたいな事は、出来ないと思う。

 私は犯罪者になってしまっている。なのはにとって私は迷惑な存在なんじゃないかな?

 なのはは、強くて優しい子だから、言ってくれた事なんじゃないかな。

 あの子には、周りに優しい人が沢山いる。

 私のような人間が傍にいるべきじゃない。

 レクシアみたいに、管理局の法なんて、どうでもいいというとんでもない考えは、あの子には

ない。

 レクシアは犯罪だと分かっていても、考えて納得するまでやれ、と言った子だ。

 私が犯罪者でも、友達がどういうものか分からなくても、気にしないだろう。

 多分、レクシアとは気楽に付き合えるが、普通の感覚のなのはには、応えられない後ろめたさの

ような感情が出てしまう。

 

 

 やっぱり、私はなのはと友達になれない…。

 

 私にはなのはの想いに、どう応えればいいのか分からないから…。

 

 折角、言ってくれたけど、無理だろう。

 

 答えは決まった。

 

 

 断ろう。友達にはなれないって言おう。

 

 だけど、あの子の才能は凄い。短期間にあれだけの成長をするんだから。

 将来は、凄い魔導士になるだろうな。

 いつか言えるかな。あの高町なのはの成長に自分は貢献したんだって。

 流石に図々しいかな。友達になれないのにね。

 

 そうだ。最後にあの子の糧になるくらいは、出来るかもしれない。

 友達になれないなら、せめてこれくらいはしてあげよう。

 

 それで、終わったら私の結論を言おう。

 

 私は、留置所の入り口にある人を呼ぶボタンを押した。

「どうしたんだい?フェイト」

 今まで、動かなかった私が突然、人を呼んだのでアルフが不思議に思ったみたい。

「うん。考えが纏まったから、お願いしようと思って」

 アルフが更に不思議そうな顔をする。

『どうかした?』

 留置所の警備をしている女性局員の声が、ドア越しに聞こえる。

「すいません。リンディ艦長に取り次いで貰えませんか?空いてる時間でいいので」

 

 全力でやろう。

 

 

              :なのは

 

 あれから、フェイトちゃんとは会えていない。

 時々、リンディさんからフェイトちゃんの様子を聞いたりするけど、凄く悩んで

いるみたい…。どうも、私の言葉も原因みたい。

 

 でも、私はフェイトちゃんと友達になりたかった。

 伝えて置きたかったんだ。

 フェイトちゃんを支える1人になりたい。

 

 だから、後悔はない。

 うん。だから、待つよ!

 

 そして、今も私は修練を欠かさない。

 今日も飛鷹君と一緒に結界内で訓練をしている。

 前までは、ユーノ君もいたけど、ジュエルシードの回収が無事に終わって、今はアースラに

滞在している。いつまでも飛鷹君の家に、お世話になるのも悪いって。

 

 近接戦闘の相手を飛鷹君にして貰い。

 その次が空戦。

 勿論、基礎訓練も疎かにしたりしない。全ては基礎あってこそだもんね。

 

 そして、最後に試行錯誤の時間になる。

 

 実は、そんな事をしてるのは、私がアリシアちゃんの姿を見る事が出来た理由に関係する。

 スフォルテンドの分析では、私の魔力同調する力が関係しているんだって。

 幽霊も思念の1つ。思念も魔力の1つの形だから、同調出来る?とかなんとか。

 つまり、私は幽霊も見えるって事でいいのかな?今まで見た事ないけどって言ったら、

その時は、魔法が使えなかっただろうって言われた。そんなものかな?

 

 兎に角、そんな事が出来るなら、相手と同調する事で、出来る事があるんじゃないかって、

飛鷹君が言った事から、色々試してる最中です。

「う~ん。やっぱり予想通りだな。チートだな」

 飛鷹君がそんな事を言った。

 飛鷹君にチートとか言われたくないんだけど。

 結果としては、結構上手くいったかな?といった程度。

 集中しなくちゃいけないから、そんな精度はよくないんだけね。

 

 同調能力から、切札となる魔法の作成は、いい感じだよ。

 1回試し撃ちしたら、結界が吹き飛び掛けた。

 飛鷹君が冷や汗というか脂汗というか、汗をダラダラ流していた。

「俺も、結界構築の腕を上げないといけないようだな…」

 なんか、飛鷹君が遠くを見てた。

 目も虚ろだった。

 

 飛鷹君と訓練をしている最中に、アースラから連絡が入った。

 ウィンドウが開くと、リンディさんだった。

『なのはさん…。今、いいかしら?飛鷹君も一緒ね?』

 私と飛鷹君が顔を見合わせる。

 なんか、リンディさん、言い辛い事があるみたい。

「大丈夫ですけど。何かあったんですか?」

 私が訊くと、リンディさんが思い切って口を開く。

『フェイトさんから、申し出がありました…』

 フェイトちゃんから!?

『あの…。ガッカリしないでね?』

 え?

 

『決闘を申し込むと、言っています』

 

 

 ええ!?どういう事態になっちゃったの!?

 

 

              :飛鷹

 

 決闘イベント。

 立ち消えしたかと思ったら、こんなとこでやんのか。

 もう、全部終わってるぞ?なんでやる必要あんの?

 曰く、決着が付いていないとか…。

 ああ、そう言えば、彼女はバトルジャンキーっぽかったよね。ちょっと。

 

 なのはも、友達になってくれるものだと思っていたから、意気消沈していた。

 すぐに思い直して、決闘に向けて切り替えたけどな。

 なのはが決闘を受ける事で、アースラ側も決闘の許可を正式に出した。オイ!

 そこから、試行錯誤中の技術の実用化に取り組み。

 

 そして、遂になのは最強の殺し技が完成した。

 俺もアニメ知識を動員して協力した。

 けど…ちょっと早まったかもしれない。

 前回の試し撃ちですら、結界が吹き飛び掛けたのに、更に威力が上がった一撃を撃つという事

で、シェルターに迫る程の結界を組んだ。魔力馬鹿食いです。

 

 結果はと言えば、フリーザすら爆殺出来るね。

 とんでもないものを、作成させてしまった…。どうしよう。

 

 あれ、フェイトにぶつけるの?マジで?非殺傷設定でも不安が残るよ。

 

 

 そして、決闘の日が来る。

 

 

              :クロノ

 

 前代未聞だ。

 今の時代に決闘なんて…。頭痛がする。

 艦長は、それで区切りが付くならと言っているけど。

「クロノ君も、よく納得したね?」

 エイミィが面白そうに話し掛けてくる。

「納得する訳ないだろ。艦長命令だよ」

「まあ、そうか」

 分かってるなら訊かないでほしいが。

 僕は不機嫌なのを隠してもいないからな。

「それより結界は?飛鷹の進言だと、最大級に強固なものじゃないと、耐えられないそうだぞ?」

「うん。それは大丈夫。飛鷹君・ユーノ君の協力もあって、5重の結界になってる」

 流石にそこまでやれば、大丈夫だろう。いくらなんでも。

「それと、障害物の建造物を配置。どれだけ暴れても大丈夫!」

 エイミィが嬉々としてコンソールを叩いている。

 ここでの戦闘データも取る気満々だな。

 

 両陣営の様子が映される。

 

 なのは側は、飛鷹とユーノがセコンドのように、色々アドバイスしている。

 フェイト側は、アルフのみ。当初は艦長が付き添う案もあったが、本人が断った。

 自分だけ艦長が味方みたいに付くのは、フェアじゃないと言っていた。

 因みにアルフは、主人に最初に応援の言葉を掛けた以外、会話は特にない。

 

 審判役は僕なので、そろそろ行かないとな。

 僕は審判役だけでなく、いざとなった時に、救助も担当する。

 当然、飛鷹・ユーノ・アルフも救助を手伝う。

 

 僕は結界内に侵入し、両陣営の中間に位置取りする。

「それでは、両者前へ!」

 2人が僕の近くまで飛んできて、向き合う。

「それでは、ルールの確認だ。と言っても、非殺傷設定で臨む事。降参した際は攻撃を中止する

事。あとは、非殺傷設定といっても危険と判断したら止めに入る。以上だ」

 非殺傷設定とは言え、完全じゃないからな。

 2人は、互いに目を逸らさずに頷く。

 それを確認し、僕も後退する。

「それでは、始め!」

 僕の開始合図と同時に、2人はシューティングスタイルにデバイスを移行させる。

「レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

 2人の周りに無数の魔力弾が生成される。

「シュート!」

「ファイア!」

 まずは、撃ち合いからスタートか。

 無数の弾丸が、弾幕を形成する。あるものは、互いにぶつかり相殺。あるものは、交錯し相手へ

向かっていくが、互いのシールドで防御される。

 今は、挨拶のようなものだ。

 徐々に威力が上がり、速度も上がっていく。

 まるで、艦隊の撃ち合いだな。これは。

 ベテランでも目をつぶってしまいそうな魔力弾の嵐の中、2人は互いから目を逸らさず、正確に

魔力弾を撃ち出している。

 フェイトも学習期間は、長いとは言えない。が、なのはは、ついこの間まで素人だったのだ。

 それが、短期間でここまでやる。

 優秀な指導者に恵まれ、才能に恵まれると、こうなるという事か。驚異だな。

 

 威力がドンドン上がっていくが、ここでフェイトが押され始めた。

 防御にドンドン比率が傾いていく。

 魔力弾の威力と弾幕に関しては、なのはが上か。

 堪らず、フェイトがその場を離脱する。

 その後を、なのはが追っていく。

 なのはが後追いの形で空戦が始まる。

 

 なのはが後ろから魔力弾を斉射する。

 フェイトが建造物スレスレを飛び、躱していく。

 建造物が、魔力弾の威力に耐えられずに倒壊する。

 倒壊した建造物が粉塵を上げ、フェイトの姿を覆い隠してしまう。

 なのはが、魔力弾を1つ生成すると投げる。

 空中で魔力弾が爆発し、粉塵が晴れる。

 そこには、フェイトの姿はなかった。なのはの視界から完全に消えている。

 なのはが、ハッとしたように大きく回避行動を取る。

 直後に魔力弾が通過する。

 瓦礫の1つに乗って落ちたのか。それなら移動に魔力を使わずに、なのはの背後を取れる。

 後ろを取られたなのはは、スピードを上げてフェイトを振り切ろうとする。

 攻守交代。

 

 今度はフェイトが、後ろからなのはを魔力弾を撃ち込んでいく。

 なのはとの違いは、建造物を上手く利用しながら、攻撃している点だ。

 わざとなのはの進行方向の建造物を破壊し、進路をある程度操っている。

 経験ではフェイトに軍配が上がっている。空戦技術もフェイトが巧みだ。

 瓦礫を避ける動きを読まれたなのはが、遂に捕捉される。

 雷の槍がなのはを襲う。

 シールドで凌ぐが、その隙にフェイトが間合いを詰め、バルディッシュの形態を鎌に変え、

斬り掛かる。

 なのはも、デバイスを棒に変化させ、迎撃態勢に入る。

 魔力刃と棒が、ぶつかり合い火花が散る。

 なのはが押され始める。近接戦闘もフェイトが上だ。

 なのはが離脱しようとするが、フェイトはそれを許さない。

 互いに高速で飛びながらの打ち合い。

 遂に、なのはが打ち負けて隙が出来てしまう。

 フェイトはその隙を逃さず、バルディッシュを振るおうとして、横に跳ぶ。

 なのはの背後から魔力弾が、円を描くようにフェイトに飛んでいく。

 フェイトとの距離が出来たなのはは、魔力弾を追加して撃ち出す。

 誘導弾。

 フェイトが、回避しつつ全て打ち落としていく。

 なのはが魔力弾を生成し、フェイトに向かっていく。が、今度はフェイトは動かなかった。

 なのはが魔力弾を撃ち出そうとして、何かに足を掴まれたように、つんのめる。

 魔力弾の制御が乱れ、フェイトの横を通過し、爆発する。

 設置型のバインド。

 次々となのはの四肢が拘束されていく。

 

 フェイトは今までにない程、雷の槍を生成していた。

 

 

              :アルフ

 

 あれは、まさか!?

 フェイトは本気みたいだね。でもあの子無事に済むのか?

『プラズマランサー・ファランクスシフト』

 フェイトの切札の1つだ。

 無数に雷の槍が、なのはに降り注ぐ。

 あの子はシールドを展開して防いでいるみたいだけど。いつまでも耐えられる訳がない。

 障害物にも槍が当たって、吹き飛んでいる。

 粉塵で視界が利かない。フェイトは、止めとばかりに巨大な雷の槍を造り出し、放つ。

 直撃したのか大爆発を起こす。

 

 こりゃ、勝負あったかい。救助でも手伝うかね。

 

 そう思ったけど、信じられない光景が目に入った。

 無事だったよ!?どうなってんだい、あの子!!

 バリアジャケットは、かなりボロボロになっているが、ダメージはそれ程なさそうだった。

 なんて頑丈さだい。感心するより呆れるよ。

 

 あの子がデバイスを砲撃モードに切り替えている。

 フェイトは驚くでもなく、離脱しようとして、動きが止まった。

 気が付くと、フェイトの足がバインドで拘束されていた。

 まさか、ファランクスを撃たれる前に!?

 確かに、あの時、フェイトは止まってたけど、フェイトが気付かない程の魔力操作って事だ。

 今度はフェイトが四肢を拘束される。

 

 あの子の魔力が高まっていく。

「ディバイ~ン・バスター!!」

 今までの比ではない程の威力の砲撃が、フェイトに放たれる。

 フェイトが何重ものシールドを展開し、一方でバインドブレイクを試みる。

 砲撃の直撃と同時に、何枚かシールドが砕け散る。

 徐々に砲撃がシールドを砕いて、フェイトに迫る。流石にバインドブレイクを継続できずに

放棄し、防御に全ての力を使う。

 魔力をゴッソリ持っていく程の砲撃。こんなの反則級だよ!!

 

 ギリギリシールド1枚を残し、砲撃をフェイトが凌ぎ切った。

 フェイトが前方に目を向けると、そこにはもうあの子の姿はなかった。

 

 フェイトが上を見上げる。

 

 あの子が上空にいた。

 

 巨大な魔力反応と共に。

 

 

              :飛鷹

 

 長引くと不味いぞ。

 俺とレイジングハート・スフォルテンドは、短期決戦で決める必要があると一致している。

 だが、都合よくそんな事はさせて貰えない。

 

 俺は手に汗握って、決闘を観戦していた。

 なのはが、フェイトと互角に戦えている理由は1つ。

 なのはが同調能力を使いフェイトの魔力と同調し、攻撃のタイミングをある程度察知している

からだ。

 それでも、万全ではない。手練れになる程に、察知と同時に攻撃はもう放った後という事は、

よくある事のようだ。現になのはは完全にはフェイトの攻撃に対応出来ていない。

 おまけに、集中力が滅茶苦茶いるのだ。

 だが、経験で負けているなのはが勝つには、それしかない。

 

 バインドに捕まった。

 ファランクスシフトって、何あれ。実際に見ると普通に死ぬよね。

 建物ごと轟音を上げて吹き飛ぶ。

 

 なのはは無事に凌ぎ切ったようだ。

 バインドでフェイトを拘束したぞ!よし!

 改良版・ディバイン・バスターを放ちシールドを順調に砕いていく。

 フェイトも流石というべきか、凌ぎ切った。

 

 こりゃ、いよいよお目見えか…。凶悪な一撃が。

 

 なのはは、砲撃を撃ち終えると同時に上空に飛び上がっている。

 ()()を使う為に。

 

 ()()()()()()()()()()()が螺旋状に渦を巻き、球体となっていく。

 なのはが片手を天に突き出し、それをレイジングハートと共に制御している。

 使い切れなかった2人の魔力を収束していく。

 

 アニメ知識を動員したって言ったろ?螺旋丸をイメージしたらとんでもない事になった…。

 魔力を収束し糸状に圧縮し、更にそれを球形に編み上げ、圧縮を掛ける。

 それが直撃すれば、まさにお仕置きだべ~の世界になります。すいません。

 

「ちょ!?ズルい!!それ!私の魔力!!」

 フェイトがバインドを外しながら、叫ぶ。

「ズルくない!!受けてみて!私の全力全開!!」

 君の、というには少し微妙なような…いえ、なんでもありません。

 

 はーい。そろそろ救援に向かいますよ。みなさん。

 

『スターライトブレイカー・スパイラルシフト』

 

 だが、原作通りにフェイトが、シールドを多重展開しない。

 おい!?何考えてんだ!?

 なんとか、両腕のバインドを外した段階で、解除は諦めたようだ。

 そのまま、バルディッシュを構える。

 

 え!?あの構えは!

「ぶっつけ本番。だけど、私もただ戦いを見物してた訳じゃないよ!!」

 フェイトがこの状況で不敵な笑みを浮かべる。

 なんかカッコイイな、おい!?

 

 魔改造スターライトブレイカーが放たれる。

 フェイトがバルディッシュに出来る限りの魔力を纏わせる。

「ハアァァァーーーー!!!」

 絶叫と共に、バルディッシュを振り抜く。

 

 魔改造砲に三分の一程の切れ込みが入る。

 完全に斬れなかった。そこまでやれんのかよ!?

 確かに、俺もヤツも魔力を斬って見せていた。

 だが、それをフェイトが練習していたとは、とても思えない。

 おそらくは、本当にぶっつけ本番。

 流石、もう1人の主人公。

 

 繊細な造りになっている分、綻びが生じるとヤバい魔改造砲。

 これは、チョイヤバです。

 

「救援しろ!!」

 クロノが逸早く声を上げる。

 

 中空で魔改造砲が爆発する。

 お仕置きだべ~。

 

 俺達は、救援の為全員突っ込んでいった。死地に。

 

 

              :なのは

 

 目が回ります。世界が回っています。

 負けちゃった?どうなったの?

 

 改造したスターライトブレイカーが、斬られて誘爆して、私も流石に錐揉み状態で吹き飛んだ。

 私自身、今、どうなってるか分かりません。

「おい!!なのは!!大丈夫か!?」

 頬をペチペチ叩かれ、意識がハッキリしてきた。

 目の前に、かなり近い位置に飛鷹君の顔があった。

「にゃぁ~!!」

 ビックリして飛鷹君の顔面に掌底を入れてしまった。

 バチンと凄い音がした。

 

 ゴメン。

 

 なんとか正気を取り戻した私ですが、飛鷹君が流石に不機嫌です。

 こればかりは、私が悪いから平謝りした。

 

 そんな事をやっていると、向こうからクロノ君とボロボロのフェイトちゃんが、アルフさんと

一緒にやってきた。

 

 ユーノ君?私の治療をしてくれてます。ありがとう。ユーノ君。

 

「無事みたいでよかったよ」

 クロノ君は、渋い顔だけど、辛うじてそれだけ言ってくれた。

 周りを見れば、惨事だからね。クロノ君がそうなるのも仕方ない。ごめんなさい。

 フェイトちゃんも、私の無事にホッとしたみたい。

 ありがとう。フェイトちゃん。

 

「決闘の結果だが、引き分けだ。異議は認めないし、これで終わりだ」

 決着が付かなかったんだ。

 あれだけ準備しても、勝てなかったな。

 

 そんな事を考えていると、フェイトちゃんが手を差し伸べてくれる。

 私は手を取って立ち上がった。

「ありがとう」

 フェイトちゃんにお礼を言うと、フェイトちゃんは首を横に振る。

「私が言う事だよ。付き合ってくれてありがとう」

 そう言って、フェイトちゃんは手を離した。

 

「それでね。私、考えたんだけど。やっぱり、貴女と友達にはなれない」

 なんとなく、予感はあった。決闘を申し込まれた時に。

 でも、酷く悲しい気持ちになる。

 フェイトちゃんが慌てて口を開く。

「別に、貴女が嫌いとかじゃないの!ただね。私、友達って何していいか分からないの。どう

貴女に応えればいいのか分からない。それに、私は罪を犯した。多分、貴女に何かしてあげる

のは、難しいと思う。それにね。罪だとは思うけど、悪いとは思ってないの。今は」

 どういう事だろう?

 疑問が伝わったのか、フェイトちゃんが口を開く。

「多分、私はこの罪を犯さないと自分に納得出来なかったと思うの。ユーノ達には悪いとは思う

けど」 

 ユーノ君に慌てて付け足した。誤解はしてないよ。

 ユーノ君も言いたい事が、なんとなく分かるようで、気にしないでって仕草で伝えた。

「母さんの為に戦った自分を、私は否定しない事にしたの。だから、悪いとは思ってない。でも、

罪から逃げたりもしないよ。やった事は犯罪だから。だから、償うよ。そんな私が友達になって

も、迷惑掛けるだけだと思うから。だから、ごめんなさい」

 強くて悲しい女の子だ。

 だからだよ。

「そんなの、幾らでも掛けていいよ」

「え?」

「迷惑。友達にね。何か特別なルールなんてないよ。そんなの多分お互い様だよ。私だって迷惑

掛けると思うし。私は貴女の支えになりたい。支える1人になりたい。だから、名前を呼んで」

 困惑するように、フェイトちゃんが私を見詰める。

「それだけでいいの。戦いの最中、ずっと呼んでくれたみたいに」

 今度は私が手を差し伸べる。

「それだけでいいの?私は…」

 私の手に視線を落として、フェイトちゃんが言う。

「フェイトちゃんは悪くない!私もそう思うよ。それでも罪から逃げないって言った貴女を、私は

尊敬するよ」

 フェイトちゃんは目を見開く。

「いいじゃねぇか。犯罪を犯すと友達作っちゃならないって法律でもあるか?」

 飛鷹君がクロノ君に訊く。

「ある訳ないだろ」

 クロノ君は、眉間に皺を寄せて答える。

「応えたいって、思ってるなら問題ないさ」

 飛鷹君がフェイトちゃんに笑ってそう言った。

 

「迷惑かけるよ?」

 ボソッとフェイトちゃんが呟く。

「うん」

「犯罪者だよ?」

「関係ないよ!」

 フェイトちゃんが驚いたように身体がビクンと反応する。

 

 暫くして、フェイトちゃんは、顔を上げた。

 涙は流していたけど、その顔は笑顔が少しだけ混じっていた。

 

 フェイトちゃんが差し出した私の手を握ってくれる。

 

 

 その日、私達は友達になりました。

 

 

              :飛鷹

 

 友達イベントが済んで、数日。

 アースラの修理を大車輪で働いて済ませたそうな。

 

 アースラが旅立つ時がきた。

 それは、フェイトとユーノの2人との一時的な別れを意味する。

 フェイトは追加の取り調べと、裁判の為。

 ユーノは、スクライア氏族に報告に戻る為。

 

 クロノも原作通り、最後にフェイトに会わせてくれると言ってきた。

 なんだかんだでいい奴だ。

 

 2人は原作通り、リボンの交換を行ったようだ。

 

 近くにいないのかって?無粋だろう?

 勿論、アルフと野郎共は遠くから見守るのみだ。

 今はお別れだが、すぐに会えるさ。

 幸い、クロノが自首扱いにしてくれたし、フェイトは利用されただけだしな。

 

 因みに、リスティ刑事には事の顛末を説明した。

 律儀だな。と苦笑いされた。まあ、礼を言われたからよしとしよう。

 クロノ達からも、報告があったと後で知った。

 そういうの、早く言ってよ。

 

 これから、冬まで鍛錬を頑張っていかねぇとな。

 

 次はこの事件以上の過酷さだろうからな。

 

 

 

              :フェイト

 

 私となのはは、偶然にも同じツインテールなので、分かれにリボンを交換した。

 再会を約束して。

 

 そして、私は再会を誓わなくちゃいけない人がいる。

 

 きっとどこかで見てるよね。

 

 だから、クロノやアルフ・ユーノと一緒に転移する前に私は叫んだ。

 

「ありがとう!!!」

 

 

              :美海

 

 別れの場所は、すぐに分かるよ。地元民ですので。

 一応、そのシーンは覚えていたから、特定は簡単ですよ。1つしかない。

 見渡せる場所に陣取って、私達もフェイトを見送る事にする。

 

 なのはとの感動の別れ。

 もう、私は必要ないね。

 

 仲良くリボンを交換するのを見て、私はホッとした。

 少し寂しさもあるけれど、頼み事は終了だ。

 

 そして、アースラに転移する前に、偶然だろうがこちらを向いた。

 どうした?気付いたって訳じゃないだろうけど。

「ありがとう!!!」

 フェイトが叫んだ。

 

 私は思わず笑みを浮かべてしまった。

 

「挨拶でもしてきたらどうです?」

 リニスが揶揄うように言う。

 喧しい。

「生き方が雑になるんじゃないですか?」

 ほっといていいんですか?と暗に訊いてくる。

「戦闘が人生を豊かにするなんて、ないから!丁寧に生きるのに寧ろ邪魔だって」

「戦闘?戦わなくてもいいじゃないですか。傍にいるだけでも」

 残念。あの子のこれからは、戦闘だらけだ。

 あの子がピンチになったら、巻き込まれるに決まってるわ。

 

 全力回避じゃ、ボケ。

 

 

 それじゃ、幸せを祈ってるよ。フェイト。

 

 

              :???

 

 私の後ろには石碑に似たものが鎮座していた。

 だが、私は完全無視でコンソールを叩いている。

 よりよい作品作りに取り組んでいる。

 

 石碑。正確にはシステムを格納したものだが、それがボウッと光る。

 そこから、赤いドレスを着た少女が姿を現す。

 

「君が出て来たという事は、僕の申し出を受けてくれたと考えていいのかな?」

 僕はそちらには目を向けずに、尋ねる。

「信用なんてしてないわよ」

 僕は思わず鼻で嗤ってしまった。

 ムッとした気配が伝わってくる。

「当然じゃないか。それこそが僕らの流儀だろ?騙される方が間抜けなのさ。君にメリットが

ある話だ。精々、警戒しながら受けるといい」

 彼女がフンッと鼻を鳴らして、石碑状の物に戻っていく。

 

 さて、次の仕込みも上々だ。

 

 再会の時には、よりよい贈り物が出来るだろう。

 

 誰もいなくなった部屋に私の嗤い声が響いていく。

 

 

 

 




 これにて、無印終了です。
 次回からは、いよいよA`sの始まりとなります。
 A`sに関しては、原作+色々+オリジナル風味となる予定です。
 じゃないと、守護騎士が蹂躙されて終わりになりますからね。
 原作と乖離するのは仕方ないかと。

 読んで頂ければ幸いです。


 以下は、興味のある方は、お読み下さい。

 〇神聖剣バルムンク

 美海がベルカ時代に武功を上げ始めた為に、面白くないと感じた
 選定王家の人間が、聖王の居城に美海が呼び出された際に、刺客
 を放った。居城の中では美海は帯剣が認められなかった為、丸腰
 だった美海が、逃げながら宝物庫に偶然辿り着き、魔法で強引に
 扉をぶち抜き、手に取ったのが、バルムンクでした。

 バルムンクはベルカの神から授けられた神剣で、聖王の名乗りの
 由来となっているが、次世代から使用を認められる王が生まれず、
 宝物庫の肥やしになっていた。

 聖王が貸し与えたという体裁で美海の剣になった。
 その所為で、刺客の数が激増したのは余談である。

 

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