魔法少女リリカルなのは  二人の黒騎士(凍結中)   作:孤独ボッチ

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 どうにか、書き上がりました。
 何やら、矛盾や説明し忘れが多いこと多い事。
 自分で気付くだけで、これとは。本当はどれだけあるのやら。
 すんません。
 故に、しょっちゅう各話修正しております。


第8話 災い散華

              :飛鷹

 

 光が収まり、なのはちゃんが目を開く。

「気分は悪くないか?」

 覚醒したばかりの時、俺は正直気持ち悪かったからな。後で分かったが魔力酔いらしい。

「大丈夫だけど…もしかして、飛鷹君?」

 は!?

「何言っている?」

「魔法の力?が分かるようになったからかな?雰囲気みたいなのが、そっくりだから」

 これ完全にバレてますがな。

 でも、覚醒しただけで、ここまで分かるの?マジで天才じゃん。流石、本物の主人公。

「寧ろ、本人だよね?」

 お惚けなしでってかい!

「それより、あれを放置はできないだろう」

「あっ、やっぱり本人」

 俺は答えず、なのはちゃんを抱えて、飛行魔法で飛び上がる。

「自分で、歩いて行くから!」

 こっちの方が速いよ。

「作戦は単純だ。俺がロボットの行動力を奪い、動きを止める。その後、俺と君とで魔法で砲撃を放つ」

「砲撃!?」

 なのはちゃんの頭には?マークが乱舞している。ツインテールも逆立っている。

 実際にツインテールが動いているところが見れるとは。正直、不思議だ。

「今の君なら胸の奥に力の源・リンカーコアの存在を感じるだろ。コアで空気中にある魔力を吸い込んで固める。今度は出来上がった魔力を全身に循環させる。それが魔力運用の初歩だ。砲撃は更に丹田で魔力を練って、今の君だと掌に集中させて、放つ」

 本当はデバイスに送り込むが、彼女はまだレイジングハートを持っていない。

「君はここで、砲撃準備。出来たら合図を。心の中で俺に声を届けるイメージで話し掛ければ通じる」

 まだ、要領を得ないみたいだな。

『こんな感じだ』

「にゃっ!!」

 いきなり念話を送ったから、驚いたようだ。

『こうかな?』

 早速、使用出来るようになったみたいだな。マジ天才だな。俺なんてコツ掴むまで半日掛かったぞ。

「ああ、君なら出来る。頼んだ」

 なのはちゃんは決然と頷いた。

 

 ロボットは早々に結界の縁まで辿り着いて、結界を破ろうと奮闘していた。

 やらせるかよ。

(ジャイ)!」

 俺は闘気を込めて、結界破壊に集中しているロボットの背に剣を振り下ろした。

 

 この技は元はストレイトジャケットのロン・コルグが使っていた技である。魔族の魔力圏ごと対象を斬る事が出来る。正確には気合の言葉みたいなもんで技名じゃいけど。俺はそのまま使っている。こっちの世界では、闘気を纏わせ剣閃を飛ばす技になる。元ネタ通り結界斬りの効果も付けられる。

 今は間違って自分の結界を斬るかもしれないから付けてないがな。

 

 金属が擦れる嫌な音が大音響で響く。

 これだけ至近距離で放ったのに、精々引っ掻き傷程度か。やっぱ、頑丈だな。

 ロボットは、すぐさま振り向き四本の腕を振るう。

 剣のような腕二本を斬り付けるように振るい、あとの二本は手の中に大振りの斧が現れ、振るう。

 一本目の剣を踏み台にステップ、二本目の剣は軌道に合わせて剣を振るい逸らす。斧は振られる頃には俺はロボットの懐に入っていた。

「コンプレックス・アサルト!!」

 この魔法は体内に、大量の小規模な衝撃波を閉じ込めた爆弾を目標に送り込み、全身で破裂、無数の衝撃波をまき散らし、内部から徹底的に破壊する凶悪な魔法で人には厳禁である。

 外殻が丈夫なら、内部はどうだ。

 連続的に爆発が起きているようだが、まだ動き続けている。

 装甲の隙間から煙が出ているが、すぐに消える。

 自動消火か?流石に動きは悪くなっているようだが、内部の動力部も頑丈だな、おい。

 腕も滅茶苦茶に振り回している。

 俺はそれを、難なく回避しつつ、剣を振るう。腕四本が瞬く間に斬り落とされる。

 

 腕が落ちると、再生するように光を放ち新たな腕が現れる。

 動きもあっという間に、元通りになった。

 やっぱり、一撃で潰さないとダメか!

 なら、こいつだ。

「マグナ・フリーズ!」

 説明不要の凍結魔法。

 ロボットの巨体がすぐさま凍結する。

 しかし、再度巨体が光り出す。

「ストラグルバインド!」

 ロボットの全身をバインドが拘束する。光も若干阻害されている。

 ロボットがまだ凍結している身体で、ぎこちなくもがいている。

 逃がさねぇぜ!

 

『飛鷹君!イケそうだよ!』

 いや!だから…もういいです。

『1・2・3でいく』

『分かった!』

 

 俺は最大火力をブチかます。

『『1・2・3!』』

「マキシ・ブラスト!!」

「ディバイ~ン・バスター!!」

 ロボットに二方向から砲撃が撃ち込まれる。

 ピンク色の光は原作より太く濃い色をした砲撃だった。

 ピンクと深紅の砲撃がロボットに直撃する。原作より威力は上になる筈。

 少しだけロボットも粘ったが、やがて耐え切れなくなり、ひしゃげて爆散した。

 見事に粉々になったようだ。

 再生が起こらないか、まだ油断できない。

 

 暫く監視してたが、再生は…しない。

「大丈夫だな」

 俺は結界を解除し、なのはちゃんの傍に降りる。

 それにしても、ディバインバスターって言ってたな。もう殺し技その1マスターですか?

 

「お帰りなさい!やったよ!!」

 降りると、なのはちゃんは地面にへたり込んでしまっていた。

「大丈夫か?」

「凄く疲れた。起き上がれないなんて、久しぶり」

 多分、制御が出来てない所為だろう。デバイスがないと自分で打ち出す魔力量を制御しないといけない。魔力を放出し過ぎたな。原作だとレイジングハートが制御しているから、自前で制御して気絶しなかっただけ、大したもんだろう。

「「「なのは!」」」

 複数の男女が聞こえてくる。

「お父さん!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」

 げっ!撤退致します。

「俺はこれで」

 なのはちゃんに一声かけると、上空へ。

 なのはちゃんが下で何か言っているが、俺の命に関わる事だ。失礼します。

 同時にオプティックハイドを発動。高速で飛行し帰宅する。

 

『しかし、マスター。あのお面、やっぱり止めた方がいいんじゃないか?』

 気だるい声が聞こえてくる。

 コイツは俺のデバイスである。名をスフォルテンド。

 そして、AI人格はレイオット・スタインバーグ。なんで、お前なんだよ。

『あの吸血鬼のお兄さんに呆れられてたろ?』

 ほっとけよ!

(ヘイ)カッコイイだろ!」

『マスターがカッコイイ訳じゃないだろ』

 ほっとけよ!

 

 

              :すずか

 

 安二郎叔父さんを、アリサちゃんと一緒に建物の外に連れ出した時、なのはちゃんがいない事に気付いたけど、大きいロボットが空から降ってきて、戻れなくなってしまいました。

 

 そのロボットもすぐに消えてしまって、何が起きたんだろう?

 

 安二郎叔父さんを放って置く訳にはいかないし、怪我人を連れて当てもなく、なのはちゃんを探す訳にもいかなくて、立ち尽くしていると私達を呼ぶ声がした。

 

「「すずか(お嬢様)!」」

 現れたのは、お姉ちゃんとノエルだった。

「アリサちゃんも無事ね!鮫島さんも来てるわ」

「アリサお嬢様も、ご無事で何よりで御座いました」

 お姉ちゃんとノエルがアリサちゃんにも声を掛ける。

「ありがとうございます。でも、なのはがいないんです!」

 アリサちゃんがお姉ちゃんとノエルに訴えた。

「もしかして、中にまだ…「アリサちゃ~ん、すずかちゃ~ん!」」

 私の声に被さるように、なのはちゃんの声が聞こえた。

「「なのは(ちゃん)!!」」

 安二郎叔父さんをお姉ちゃん達に任せて、私達はなのはちゃんに駆け寄る。

 なのはちゃんは、なのはちゃんのお父さん・士郎さんの背におんぶされたまま、こっちに手を振っている。

 なのはちゃんのお兄さん・恭也さん、お姉さんの美由紀さんも後から続く。

 

「バカなのは!!心配したじゃない!!」

「よっかたよ!無事で!」

「にゃははは、ごめん」

 なのはちゃんは苦笑いの後、しょんぼり頭を下げた。ツインテールも垂れている。

 多分、家族にもここまでくる時に、散々怒られたんだろうな。

 

「ところでなのはちゃん、アリサちゃん。今日は疲れてるだろうから、別の日でいいんだけど。うちに来てくれないかな。お話しなきゃならない事があるの」

 一族の決まりで、秘密を知った人にする話だろう。

 でも、なのはちゃんもアリサちゃんなら、きっと大丈夫。私を信じてくれた二人を私は信じる。

 

 それから、なのはちゃんに、あれからの出来事を聞くとビックリした。

 なのはちゃんはロボットを壊すのに、協力していたみたい。

 あの黒衣の子が私達を助ける為に、頑張ってくれたって。

 でも、あの子が突っ込んでくる前に建物の上が吹き飛んだよね?あれもあの子なのかな?

 

 恭也さんと美由紀さんとノエルは、効率よく悪い人達を縛り上げて、一箇所に集めて監視している。

 士郎さんだけは建物の中を見に行っっていて、今戻ってきた。

 戻ってきたけど、女の人を担いでいる。あれ?あの人、安二郎叔父さんに付いてた、多分自動人形。

「士郎さん?それは」

「どうも、人ではなさそうだね。一応、全身が無事なのを連れてきたよ。上の方に残骸がまだあるけど…」

 士郎さんは、難しい顔をしてノエルを見た。

「はい、恐らくは私と同じかと」

 ノエルは淡々と告げる。

 なのはちゃん達はちょっとビックリしたような顔をした。

「全く!遊にも困ったものね。これで、もう悪さは金輪際出来ないでしょうけど」

 お姉ちゃんは自分の足元に、別に特別な拘束具でグルグル巻きになっている氷村さんを見下ろした。

 叔父さんは怪我がなかなか治らない為、拘束していない。

「警察も、リスティさんが担当してくれるから、引き継いだら帰りましょう」

 リスティさんはお姉ちゃんの知り合いの刑事さん?らしい。

 

「その件で、言っておかないといけない事があるんだ」

 士郎さんはお姉ちゃんに深刻な顔で言った。

「なんでしょう?」

「あそこには、なのは達が言う黒衣の少年の他に、もう一人いたようだね。しかも、動きをトレースしてみたけど、正直人外の域だね。しかも、その子も子供だ」

 

 士郎さんの声が冷たく響き、パトカーのサイレンも聞こえてきた。

 

 

              :美海

 

 夜になりました。こんばんわ。

 

 さて、おいおい!の展開はあったけど、飛鷹君となのはちゃんは無事にロボットを倒したようだ。

 飛鷹君も私と違って、魔法の制限なんて無視してるんなら、再生がキャンセルされるくらい魔法を使うか、魔法剣?か何かで、動力部に狙いを絞て削り切ればよかったのに。実戦はそんなに経験豊富じゃないみたいだね。

 バルムンクの言う通り、今後あんまり頼るのは止そう。

 勝手に任せたクセに、とは思うけど。

 

 私達はと言えば、なのはちゃん達の救出こそ、途中で抜けたがアフターケアぐらいは、やっておかないとね。

 

 私は今、とある施設に訪れています。

 ただのビルだけど。会社名は東南金融。

 只今、絶賛高跳び準備中。

 私は、人除けの結界を張り巡らす。最小限の魔力で最大効果の魔法を。

『リニス。挟み撃ちでいくから、逃がさないようにね』

『分かりました』

 手順を確認し、突入。

 私は、ビルにそっと侵入すると、ブレーカーを壊した。火花が散り、辺りが闇に包まれる。

「なんだ!?」

「停電か!?ブレーカー見てこい!」

 大の男がこんな事で騒がないでほしい。

 

 さてと、痛い目に遭って貰わないとね。

 私は、廊下をゆっくりと進んでいく。

 ビルの裏手では、もう悲鳴が上がりだしている。

 リニスは、もう始めてるみたいだね。

 大丈夫。そんなに慌てなくても。

 

 一人も逃がしはしない。

 

 その夜、悲鳴が後を絶たなかったそうな。めでたし、めでたし。

 

 

              :飛鷹

 

 後日談的な話になるが、あの黒服連中はヤクザの類だったらしい。

 目的は金。という事になったようだ。

 真実は明かされず。何せ、あのサドイケメン捕まってねぇし。

 何とかとかいう金融会社の連中は捕まったけどな。ヤクザの所謂フロント企業?ってやつみたいだ。

 

 ああ、平和が戻ったぜ!…なんて事はなく。絶賛ピンチに陥っているよ。

 

 現在、校舎の裏手。

 俺は、なのはちゃんを含め三人に囲まれていた。

 カツアゲか!?いかんよ!そんな事したら!

「で?あのお面。アンタで間違いないの?」

 アリサちゃんが鋭い目付きで聞いてくる。近いです。俺壁に追い詰められてるよ。まさかの壁ドン?女の子にやられる側になるとは…。男として情けない、ってそんな訳ありませんよね。

「あの、飛鷹君。私達、凄く感謝してるの。もし、黒衣の子が飛鷹君なら私の一族の秘密を知った事になるから、うちに来て話を聞いてほしいの。勿論、どんな結果になっても飛鷹君の事は言わないよ」

 すずかちゃんが懇願するように詰め寄ってくる。だから近いって!

「飛鷹君。私達を信じてほしいの」

 なのはちゃんもかい。

 

 実のところ、どうするか?

 なのはちゃんには、確信してるみたいだし。アリサちゃん達に知られても、確かに言いふらすような子達じゃないだろう。

『別にいいんじゃないか?』

 突然、スフォルテンドが気怠い声を出す。そう、念話ではない方で。

 三人はビックリして、辺りを見回している。そうなるわな。

「おいおい、勝手に何してくれたんだよ!」

 俺はスフォルテンドに思わず、素で文句を言ってしまった。

 三人の視線の先には、剣型のキーホルダー。俺の視線でバレたよ。俺、こういう星の元に生まれたの?

「何よ!それ!?」

 これは諦めるしかないな。実はお喋りする玩具だ、で納得しないだろうし、どうせ、スフォルテンドが余計な事を口走るに決まってる。

 俺は一つ溜息を吐く。

「これは、分かり易く言えば魔法の杖みたいなもんだ。誤魔化してないぞ。俺が使ってるのは、魔法の力だ」

 胡散臭そうにしているアリサちゃんに、先手を打ってやる。

 すずかちゃんは興味深そうにスフォルテンドを見ている。

『よろしくしなくていいが、初めましてお嬢さん方』

「え!?私は杖どうすればいいの!?」

 俺は天を仰いだ。

 デバイスの面倒なんて見れねぇよ。整備くらいはイケるが、一から造るなんて無理だよ。

「「え!?」」

 え?口ぶりから全部話したと思ってたけど!?もしかして知らないの?

「どういう事よ!」

「それは聞いてないよ!?なのはちゃん!」

 ここにも口走る子いたよ…。しかも、魔法の事抜いて話してたのかよ。

 これ一種の自爆か?

 

 何はともあれ、月村邸に俺は連行される事が決定した。

 二人に集中砲火を浴びて、項垂れているなのはちゃんと共に。

 俺は悪くないぞ。

 

 ドナドナならぬズルズルセカンド!

 かくして、俺はアリサちゃんの高級車に押し込まれ拉致されるのであった。

 安達ぃ~、何サムズアップしてんだ!お前!明日話があるからな!

 

 ひーとぉーさーらーいー!

 

 そう叫んで、赤い飛行機で消えるってなしか?

『往生際が悪いぞ?』

 お前の所為なんだよ!!誤魔化しきれた自信ないけどな!!!

 

 

 豪華お屋敷に入って行く。

 ブルジョワっちゅーの?労働階級の辛さってやつを教え込んでやりたいぜ。

 まあ、別種の大変さがある事は分かるけどね。

 

 応接間に通されると、そこには高町家を始め、すずかちゃんのお姉さんが勢揃いしていた。が…。

「げっ!!」

 俺はある人物がいる事を確認して、思わず声を上げてしまった。

「ご挨拶だね、少年」

 そこには、銀髪の麗人がいた。

 俺がこの海鳴の不思議を、初めて目撃した時にいた人物だ。

 今日は羽がない。

 俺は無意識にスフォルテンドを握りしめた。

「まあ、そう警戒しないでくれ。何もしないよ」

「会っていきなり雷撃してきた奴が?」

 コイツはいきなり攻撃してきた。だから、俺は返り討ちにしていた。

「まあ、その件については謝るよ。でも、私の柔肌を拝んだろ?」

 この一言で女性陣の絶対零度の視線が放たれる。

 腹いせに殺す気か!?

「誤解を招く言い方するなよ。服の腹んとこが少し切れただけだろう」

 咄嗟にアバンストラッシュかましたんだよな。非殺傷設定万歳!

 速攻で逃げたよ。今思うと警察に通報すりゃ、よかったか?あれじゃ、俺が犯罪者臭いぞ。

「事件の被疑者を逮捕した直後でね。いきなり妙な力場を感じたものだからね。仲間がいたかと、つい攻撃してしまったんだよ」

「逮捕?アンタ警察か何かか?」

「こう見えて、海鳴署の刑事だよ」

 マジで!?父さんの同僚か!?

「飛鷹警部補とは部署が違うが、協力し合う仲さ」

 銀髪はそう言って笑った。

 

「飛鷹君、でいいのかしら?彼女の言ってる事は本当よ」

 すずかちゃんのお姉さんが割って入る。

「リスティさん。話が進みませんから、揶揄うのは後にしてもらえませんか?」

 銀髪が肩を竦める。サマになってんな。

「私はすずかの姉の月村 忍です。宜しくね」

 俺は黙って頭を下げる。

「みんな、立ち話もなんだから座って」

 忍さんが俺達にも座るよう促す。

 

「まずは、事後報告だけど。今回の首謀者の氷村 遊は一族の掟を破り続けて、今回の問題を起こした事で生涯幽閉される事になります。もう会う事はありません」

 警察は?

 俺の疑問を察したのか、銀髪・リスティ?が口を開く。

「警察だって、清廉潔白な奴ばかりじゃないからね。特にああした奴は、身内でどうにかして貰った方がいいのさ」

 ああ、あのサドイケメン、取引材料とか腐るほど持ってそうだからな。

「それに、こっちの問題もあってね。特殊な能力をもった犯罪者を、収監出来る施設が少ないんだ」

 そりゃ、深刻だね。こわっ!キャパオーバーになったらどうすんの!?

「そういう訳で、懇意にしているリスティさんに頼んで、遊の身柄をこちらで貰ったのよ」

 納得したよ。大人の事情ですね。分かります。

「安二郎叔父様は警察に逮捕されたわ。どうも遊が関わっている事を知らなかったみたい。

 イレイン、あっ、自動人形で飛鷹君が一体倒したヤツね。アレの事を知っていたから、一族に関わりのある人物だと思っていたみたいだけど、遊みたいな非道な事をする人間が関わっているとは、知らなかったみたい。

 すずか達を助けたのも、流石に罪悪感が湧いたんでしょうね。元々、悪い人でもないから。叔父様も素直に自供してるみたいだし」

 あのチビデブのおっさん、本当に叔父さんだったんだ。こりゃキツイわー、同情するよ。

 

「でね。ここからが今日の本題なんだけど。

 私達一族には正体を知られた時は、盟友として、これからも友好関係を継続するか、全てを忘れるか選択して貰う決まりがあるの」

 忘れるって、忘れますって誓えって事か?

「忘れる選択をした場合。私の力で記憶を消します」

 そんな事出来んの!?

「申し訳ないけど。今、決めてほしいの」

 なのはちゃん、アリサちゃんは、もう決めているみたいだけどね。

「「盟友になります!」」

 二人は迷いなく即答。

「俺も盟友になりすよ」

 俺も同意した。何しろ魔法の事を握られているからな。俺だけ忘れさせられるのはな。勿論、それだけじゃないけど。

 忍さんはニッコリと笑った。

「新たな盟友(トモ)を歓迎します」

 

「さて、これで最大の問題はもう一人、秘密を知った可能性がある人物が未発見という事だけだね」

 リスティがいきなり爆弾投下。

「そちらの手掛かりは、やっぱりありませんでしたか」

 リスティは頷く。

「あの後、実行犯からの聴取・捜査で東南金融が浮かんで、令状を取って乗り込んだんだけど。高跳び準備中に襲撃にあって、証拠付で全員グルグル巻きになってたそうだよ」

「それも、件の人物が?」

 状況から言ってそうだろうな。

「だろうね。実行犯の中にも姿を見た奴はいた筈なのに、誰も覚えていないときた」

「私もイレインの記憶領域を探ってみましたが、どうも消されたようです」

 全員が深刻そうだ。まあ、そりゃそうか。

「飛鷹君は心当たりありませんか?」

 俺は無言で首を横に振る。

「まあ、要探索だね」

 リスティが締めくくって、終わるかに思えたが。

 

「飛鷹君。娘を助けてくれたんだって?ありがとう」

 今まで、黙っていた高町家家長が口を開く。

 ここで高町家紹介が入る。リリカルなのはファンには紹介不要だよね?

「どう致しまして」

 俺は素直に礼を受けておく事にする。

「俺からも礼を言うよ」

 恭也さんも?

 お二人から凄いプレッシャーを感じるのですが?

「「これからも、なのはと仲良くしてくれると嬉しい」」

 お二人で俺の肩を掴んでいるが、ミシミシ言ってるんで、そろそろイイッスカネ。

 

 その後、なのはちゃんの魔法は、俺が覚醒させた事がアリサによって暴露され(なお、三人から名前を呼び捨てでよいと、許可を頂いた)、高町家に詰め寄られたり、忍さんにスフォルテンドを解体されかけたり、カオスが続いた。

 結果として、なのはは魔法を制御出来るまで、俺が訓練する事に決まった。

 そして、重要な事だが、俺がロリコンでない事を二人には(誰か言う必要なし)納得して頂いた。

 一応は。多分。

 

 俺は声を大にして言いたい。

 精神は兎も角、いや精神は大人だからこそ、小学生を好きになったりしない!!

 

 別れ際、リスティからこんな事を言われた。

「君は魔法とやらの事は、警部補には言っていないのだろう?打ち明けてみたらどうだい?薄々、君が普通と違う事は、君のお父さんも気付いているよ」

 魔法に関しては気付かれていないと思ってたが、違ったらしい。いや、俺は子供らしくないというのも、口には出さないけど、母さんも気付いていて、悩んでいるのかもしれない。

 

 そう思うと少し気が重くなった。

 

 

              :イレイン

 

 全く、なんで私がこんな事を。

 繰り返し思うぜ。

「行儀作法の習得は、早くお願いしますよ」

 鬼か?テメェ。

 コイツは私と同じ自動人形のノエルだ。メイド長なんだと。

 コイツも自動人形のクセに何やってんだ。

 アタシは()()()なんてするように出来てねぇんだよ!

 あのクソ野郎から貰った武装も全部没収されちまったしよ。

 

 全く、こんな事なら、あの時に死んどきゃよかったぜ。

 あのガキ、何が承知だ!

 責任もって殺しやがれってんだ。

 お陰で、こんなヒラヒラした服着て、恥晒す羽目になっちまったよ。

 と言っても、ガキの事は覚えていない。姿形、性別、解析結果もアタシの記憶領域から消えちまってる。

    

 だが、いずれ思い出してやる。アタシを舐めるなよ。

 今度会ったら、絶対に文句言ってやる。

 

 

              :???

 

 ふむ、やはり玩具ではあんなものか。

 私は、モニターを見ながら落胆する。

「まあ、あれはあれで釣れたと言っていいのかな」

 興味深い観察対象だ。悪くはない結果といっていい。

 後ろから私に近付く足音が響く。

「完全に破壊されたようですが、戦力をもう少し投入しますか?」

 私の後ろで一人の女性が立ち止まった。

「いや、いいよ」

 この世界もハズレかね?

「何か探し物があれば、専門の要因を手配しますが?」

 彼女はオリジナル同様優秀だ。こちらの望みを的確に予想して手配してくれる。

「いや、それもいいよ。時間はあるからね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「彼女?」

 

 

「そう、()()宿()()だよ」

 




 次回から原作突入する!…はずです。
 美海は原作突入から活躍し出すと思いますので、お願いします。
 飛鷹の魔法(ストジャケ)は原作ではイグジストと言いますが、ミッド式の亜種になっている為、省いております。

 よし、気合入れます。

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