チート転生を断ったら、日替わりでチート能力を届けられるようになった   作:おもちさん

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(人によるだろうが)ゲテモノ食いと思われる描写があります。

魂が繊細な人はブラウザバック推奨です。


第10話  誰かあの子を止めて

ムカつくムカつくムーカーツークー!!

なんだあのクソ転生者、生意気ってもんじゃねえぞ!

お前が美少女とイチャコラしてる間も、こっちはせっせとスキル制作頑張ってたんだぞ?

そのせっかくのギフトを拒否しやがった挙句に、あの野郎……。

 

 

ーーおまえ センスないな

 

 

なんて返事しやがった!

……いや、『うはうはハーレム』なんてモン寄越した私も悪いと思うけどさ。

インスピレーション湧いたんだから、しょうがないじゃんよ。

 

つうかタクミはきっと、スキルとか楽勝で生み出せるとか勘違いしてんだろうな。

これ結構難しいんだよ? コントロールできないヤツよ?

火やら水やらの単位元素をバランス良く配合して、私の内なる魔力を適量混ぜて、スキルをしっかりイメージすることで、ようやく出来る代物よ?

さらに言えば、これは女神の力を分割して付与しているのであって。

すなわち『神の力』と劣化版みたいなもの。

なのでウッカリ強大なスキルを授けてしまうと、その分私は弱まってしまうので、立場が逆転するかもしれない。

かと言ってクソスキルだと選んでもらえないというジレンマ。

 

 

あんな扱いにくいヤツは放っといて、新しい転生者を呼び込むか?

……やめておくか。

あと一人なら呼べなくもないけど、次のヤツが使えるタイプだという保証はない。

文字どおりの大博打なわけで、これぐらいの不協和音程度でギャンブルに出るわけにはいかないね。

 

 

まぁ、とりあえずは魔人王を倒すのが目的なわけで、プロセスなんかどうでも良い。

あのクソ野郎に奪われた力を、早く取り戻さなくては。

……だから期待してるよ、タクミ?

 

 

 

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____________

 

 

アイリスは良く笑うようになった。

元々そういう子だったのかもしれないが、初対面の時とのギャップに驚かされる。

 

 

「タクミ様、今日もお食事をご用意しました!」

「そ、そうか。今日はオオトンボってやつか?」

「そうですそうです。炒って食べると美味しんですよ。ヤミツキになること請け合いですよ?」

「そうなのか、それは楽しみだな」

 

 

オオトンボってのは文字通りでかいトンボだ。

アカトンボというタイプのふた回りくらいでかい種で、魔人族のポピュラーな食材なんだとか。

ちなみにどっちも食用らしいが、でかい方が食いでがあって好まれるんだとか。

 

 

「普段は8匹くらいしか獲れないんですけど頑張りました! 13匹ですよ13匹!」

「んんーーこれはやれって事だよなぁ」

「10匹以上獲れるようになったら一人前ってドンガお爺ちゃんもそう言って……」

「はい、良くできた!いいこいいこー」

「はぅっ! あぁたまりません。何というかもう、たまりません!」

 

 

この調子だ。

レイラには相変わらず距離を取ってるのに、オレとは大体こんな感じだ。

『うはうはハーレム』はちゃんと拒否できてるんだよな?

間違ってアクティブになってたら笑えねえな。

 

食材の採集はアイリス、食事の準備はレイラが担当だったようだ。

既に完成していて、辺りは香ばしい匂いが漂っている。

見た目は若干アレだが食欲をそそられる。

では冷めない内にいただくとするか。

 

 

「タクミ様、足はペッてしてくださいね。美味しくないので」

「これ、カリっとしてていけるな。特に羽がサクサクでうまいぞ」

「あーこれおいしいじゃない! 昨日のウサギと言い、食事がまともになるとやる気が出るわね!」

 

 

レイラ、お前はナッツ様をこき下ろしすぎだ。

惑星ナッツの住民にさらわれても助けてやらんからな。

 

 

「あ、足も一緒に食べちゃってるんですか? 苦くないです?」

「いや、この苦味が逆にアクセントになってるぞ。香ばしいだけじゃ飽きそうだし」

「ていうかそもそも硬くて食べられないんだけど。タクミはよく噛み砕けるわね」

「レイラはアゴの力を鍛えた方がいいぞ、クルミの殻を歯で割れるくらいに」

「え、そんな女どうなの。たくましすぎて」

「面白くないか?」

「面白くはあるわ」

 

 

そんなハートフルな食事を終えたオレたちは、一路グレンシルへ向かう。

道中は思いの外安全で、ウザい連中に絡まれることも無かった。

 

道すがら、オオトンボをアイリスが捕まえる。

オレに報告に来る。

いいこいいこーしてあげる。

ニコォー!

 

日暮れの頃に、やはり安全そうなホラ穴をアイリスが見つける。

オレに報告。

いいこいいこー。

ニッコォー!

 

 

いや別にいいんだけどさ。

いちいち頭撫でる流れって要るのか?

やってやるまで引き下がらないから撫でてやるけども。

どれだけ距離を隔てててもオレんとこ来るんだよなぁ。

 

ただ、あれだけはいただけない。

その日の夜の事だ。

オレとレイラが交代で見張り番をして、その間に眠る段取りとなった後の事。

アイリスがソワソワしながら近寄ってきた。

 

 

「それではタクミ様、もう夜ですので私は夜伽の準備に入ります。どうかお手やらわらかにお願いします」

「お、お前急に何言って……」

「こんな生傷だらけな事はお許しください。それではご一緒に……ヘブシッ!」

 

 

タクミ先輩の教育的指導。

別名、脳天チョップだ。

突然服を脱ぎ始めたから緊急措置ってことで。

つうか子供の身で何言ってんだ。

大いなる力によって『この世界』ごと消されたいのか?

 

 

「アイリス、そういうのは大人がやるもんだ。子供の出る幕じゃない」

「そうですか、わかりました。それでは大人になるまで待ちますね」

「なぁ、オレのNOは汲み取ってくれないのか?」

「その変わり寝所は共にさせていただきます。それが私の出来る最大限の譲歩です」

「ちょっと待て、なんで交渉ありきで話が進むんだ」

「ではおやすみなさいませ」

 

 

頑なだ。

頑な過ぎる。

これ絶対『うはうは』がアクティブになってるだろ!

あのポンコツ女神め、明日の朝絶対にシメてやるからな!

 

 


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