MUV-LUVALTERNATIVE外伝 黒き戦神 作:kaenn
時間に追われる日々を過ごしている為不定期更新ですが良ければご覧ください。
時間がいきなり飛んでいますが、黒鉄大和=白銀武となっており、
年齢も原作より高く、2000年10月22日より前に誕生してます。(夕呼先生と同じ歳)
MUV-LUVALTERNATIVE外伝
第1話
黒鉄の若武者
…ブンッ!ブンッ!……ふぅ。
黒鉄家武家屋敷の中庭で剣を振る青年が1人随分と長い間剣を振っていたのかひたいに浮かぶ汗を拭い一息つく。
「大和さん?もう少しで紅蓮様がいらっしゃいますよ?そろそろ切り上げて身支度を整えなさいな。」
そうしていると屋敷から母親である黒鉄操が出てきて青年に声を掛ける。
大和と呼ばれた青年は「ありがとう、母さん。」と言いながらタオルを受け取り汗を拭きながら屋敷の方を見ると従兄妹の篁唯依が両手で顔を隠しながらこちらを見ているのが見えた。
「やぁ、唯依ちゃんいらっしゃい。」
大和が声を掛けると唯依は顔を赤くしてワタワタしながら必死に返事を返そうとするが上手くいかずに声にならない声を上げる。
「大和さん…唯依ちゃんもお年頃なんだから上衣を早く着てあげたら如何かしら?」
「相変わらず鈍感ね。」などと言い、かなり静かな怒りを表しながら上衣を着るように促す操に、大和は慌てて道着の上衣を着る。
そうして少し経って落ち着くと唯依の方から話しかけてきた。
「お、おはようございます、お邪魔してます。」
まだ顔が赤くなっていてたどたどしいが唯依が挨拶を返してくれた。
「ごめんなさいね唯依ちゃん、大和さんは女の子の機微には疎いから……まったく、誰に似たのか……」
操は唯依に謝ると唯依に聴こえないような声で呟く。
「まぁ良いじゃないか、母さん。取り敢えず朝食準備してくるから少し待っててくれないか?」
この流れは不味いと感じた大和は自分が朝食の準備をしてくるから、と言って抜け出そうとすると、
「あっ!わ、私もお手伝いします!。」
と、唯依が声を上げた為に逃走の道は潰えた。
「あらあら、じゃあお願いしようかしら?それじゃあ私はお父さんを起こしてくるから”2人で”ね。」
そう強調すると操はそそくさと退散していった。
「………じゃあ行こうか?」
「は、はい…」
大和は頬を指でぽりぽり掻き、歩きながら唯依に声を掛けると、唯依は消え入りそうな声で返事をして大和の後ろについて行った。
「「「「ごちそうさまでした!!」」」」
大和と唯依の作った朝食を、父親の黒鉄鋼と母の操そして唯依ちゃんと俺が食べ終わり皆で感謝を述べると不意に父親が俺に声を掛けてきた。
「…そう言えば大和、お前この前の話は考えてくれたか?」
この前の話?なんか言われたっけ?と思い、頑張って思い出そうとすると、
「やはり聞いていなかったな?……では改めて言おうか…オホン…黒鉄大和、貴殿を大陸派兵の経験者と見込んで斯衛士官学校の教官をしてみんか?」
もちろん給料は出るぞ?と真面目な顔から一転させてどうだ?ん?とドヤ顔でそう宣う父親に続いて、
「あら良いじゃないの大和さん、そう言えば唯依ちゃんも今は士官学校の生徒さんなのよね?」
と、母親が唯依に確認すると、
「は、はい…まだ若輩者ですが末席に着いております……もし、大和さんが教官として来て頂けるのならすごく嬉しいです。」
モジモジしながらそう言い切ると父親が俺に書類を突き付けてくる。
「100歩譲って教官をやったとしよう、そうすると恭子様からの依頼はどうしろと言うんだよ父さん?折角恭子様自身からの推薦で新型のテストパイロットに選んでもらったのに。」
俺は高宰家の現当主である高宰恭子から受けた依頼を盾に教官の話を断ろうとすると、
「ふふ、大和さん?恭子様からは「テストパイロットと教官を兼任など大和なら余裕でこなせるであろう?許可する!……しかし何かあったらこちらを優先してもらうがな。…………おいっ!天!天はいるか!」と、言われて、その後に恭子様お付きの篠原大尉から兼務の指令書預かって来たから♪」
いっそ清々しいまでの笑顔で操から死刑宣告と共に指令書を渡された。
後日、斯衛軍戦術機開発部【試製98式】開発チームブリーフィングルームに出頭命令が出たので、大和が指定された時間に赴くと、其処には晴れやかな笑顔でこちらを眺める恭子様、その背後には恭子様直属の部下である篠原天大尉が苦笑いをしながら迎えてくれた。
「黒鉄大和中尉お呼びにより参りました!」
敬礼をすると恭子様は嫌そうにしながら「そういうのはいらんと言っただろう?」と、言うとその背後で篠原大尉が「形式上必要ですから我慢してください?」と宥めている……何時もの光景だ。
「其れでどのような御用でしょうか?」
篠原大尉にどうぞお掛けくださいと言われて座ると恭子様の横に篠原大尉も着席し、そう言ってみると、恭子様は新しいオモチャを見るような目をしながら、
「なに…黒鉄には士官学校の教官と開発衛士の二足の草鞋を履かせるからな、一応の確認だ、流石に、我々が造っている試製98式に影響が出ては不味いからな……で黒鉄?”大丈夫”だよな?」
と、言ってくる。
なに言ってんだこの人は?この言い方断る事を想定していない聞き方じゃないか?と思いながら聴いていて、反論して拒否してやろうかと考えると、恭子様の横の人物が困ったような顔をしながら恭子様に見えない様に✖️印を作り俺に”断るな!”と警告してくる。
「まぁ、スケジュール的には余力があるし、且つ大和君には操縦系のトライアンドエラーを繰り返してもらうだけだから問題ないと思われますよ?レポートの提出が遅れると困るのでテストパイロットの方を優先してもらうのは確定ですが。」
俺が何か言う前に、篠原大尉に逃げ道を潰され、恭子様が「ふむ、ならば良いな!」と満足そうな笑みを浮かべて言いこちらを見ている。
「はぁ〜〜〜…分かりました、黒鉄大和中尉は士官学校の教官を兼務致します。」
俺は溜息をつきながら仕方なく兼務に同意した。
微妙な空気が漂う中恭子様が何かを思い出した様に俺に質問してくる。
「そう言えば黒鉄、お前月詠の片割れと仲がいいと聞いたが本当か?」
は?、なに言ってんのこの人?と思い反論しようとすると何故か篠原大尉が飲んでいたお茶を吹き出し咽せていた。
「…ゲホッ……ゲホ、き、恭子様?急に何を言い出すので?」
篠原大尉は咽せながらも何とか恭子様の質問の意図を聞くと、恭子様は悪びれもせず、
「何、貴様と真那が恋仲なのは周知の事実だぞ?真耶が気になっているならば将来義兄弟になるかもしれんではないか?」
と、何を聞いてるんだ?当たり前だろ?と不思議そうな顔で聞いてきた。
「バレてたんですか……はぁ、通りで最近紅蓮様の鍛錬で目の敵にされてると思いましたよ。」
それを聞いた篠原大尉は肩を落として、「納得したよ。」と呟いている。
「だが黒鉄?唯依を悲しませたら、それはそれで制裁を加えるからな?あの娘は私の親戚でな私に似て良い娘だろ?心配でな。」
俺と篠原大尉はそれを聞いた瞬間、眼を見開き顔を見合わせたのは悪くないと思う…………「何か言いたい事が有りそうだな?」と、恭子様が少し不機嫌になったけど……。
恭子様が摂家の会談があるとの事で「詳細は天から聞け」と言って出て言った後、
「はぁ〜〜、大和君には迷惑をかけるね、兼務大変だろうけど頑張ってね?……そう言えば今後のスケジュールなんだけど、先ずは跳躍ユニットの調整からかな?大和君の機動についていけるのが今の所日本帝国機だと、不知火か摂家用にチューンされた瑞鶴だけなんだよね…一応新しくFE108-FHI-225っていう跳躍ユニットを搭載してみたからそれで動いてみてもらう感じかな?」
篠原大尉もとい天さんがスケジュール表を俺に渡して説明をしてくれる。
大人しく聞いていると天さんが「そう言えば……」と言って何かを考える様に目をつぶった後、
「そうだよ!大和君、今士官学校に俺の先輩の真田さんって人が居るから何かあったら真田さんに聞くと良いよ。面倒見の良い人だから相談にものってくれるよ。」
と、言われた。
「そうですか何かあったら相談してみます、ありがとうございます。………それで跳躍ユニットの取り付け工期が2週間後になっているようですがその間は士官学校で働くと言う事でよろしいでしょうか?」
と質問すると、
「ああ、ただ1週間に3回以上此処に来てシュミレーターを動かしてもらうことになるから扱いとしては臨時教官みたいな形になるかもしれないけどね?」
と、言われてその日は解散となった。
同日、斯衛軍の廊下での一コマ
「真那、俺とお前が付き合ってるのバレてるってさ……恭子様に今日言われた。」
「はっ?ま、ま、まさか?……あれだけ細心の注意を払っていたのにか?」
「あぁ、恭子様の口ぶりからすると結構知ってるやつ多そうだったし、紅蓮様にも知られてるっぽい……。」
恋人である篠原からそれを聞いた真那は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
「おい、篠原と月詠またイチャついてるぞ?」
「ほっといてやれよ、彼奴らあれでバレてないと思ってるんだから。」
「でも、月詠さん篠原大尉と付き合うようになってから優しくなったよね?それに更に綺麗になった気がする。」
「「「真那様〜〜。」」」
そう、此処は廊下………会う場所が、斯衛の施設という公共の場所ばかりなので見つからない方がおかしかったのだ。
少し登場キャラクターの説明を
黒鉄 大和中尉
白銀武の生まれ変わり
斯衛の黒の家系、父親で現当主の黒鉄鋼は紅蓮の直弟子
ほぼ全ての白銀武の記憶や能力が備わっている為かなり超人
具体的には
武力=紅蓮翁とガチで打ち合えるレベル(勝てはしない……えっ?無理無理。)
知力=夕呼先生レベル
カリスマ=煌武院悠陽レベル
とほぼカンストレベルの能力を所持