ダークソウルif   作:コッコ

43 / 48
恩人との戦い~後編~

レヴァンとオスカーの戦いは長く続いた。

互いの技は見切られ、防がれる繰り返しを行い続け、二人の疲労はピークに達していた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・やるな、レヴァン」

 

「それはオスカー殿もそうではないですか?」

 

レヴァンはそう言うと、再び武器を構えてオスカーも武器を構えた。

暫くして、二人はまた戦いを始めて斬り合いが始まる。

その光景をカムイは心配そうに見て、ソラールとジークマイヤーも例外ではなかった。

 

「はぁ!」

 

「せやぁ!」

 

二人は同時に攻撃するとレヴァンには左肩を、オスカーも左肩に剣が刺さり負傷した。

 

「レヴァンさん!」

 

カムイは咄嗟に叫ぶも、聞こえていないのか振り向かずにオスカーと同時に立ち上がって構える。

だが、二人の利き手は使えず、互いに盾を捨てて剣だけになった。

 

「・・・最後の攻撃になりそうだな」

 

「そうだな・・・」

 

レヴァンとオスカーはそう言って走り出すと、互いに剣を振り下ろそうとした。

だが、二人の間にカムイが立ちはだかった。

 

「止めてください二人共!」

 

「・・・退いてください。オスカーとは決着を着けなければなりません」

 

「もう戦いは終わっています」

 

カムイはそう言うと向こうを見て、レヴァンとオスカーも続いて見ると、向こうにはサクラの臣下であるカザハナとツバキそして、アクアがサイラスを捕らえていた。

 

「サイラス・・・!」

 

「暗夜王国軍の将が捕まった今、もう戦いは終わっています。オスカーさん・・・投降して下さい」

 

カムイの言葉にオスカーは、暫く項垂れたがアストラの直剣を地面に捨てた。

それは、事実上の投降を了承する物だった。

 

________________

__________

_____ 

 

暗夜王国軍との戦いを終えて、カムイの前に捕虜になったサイラスとオスカーがいる。

レヴァンはカムイの少し後ろに立って待機している。

 

「・・・俺の負けだ。殺せ」

 

「・・・」

 

「何・・・?何故、止めを刺さない?」

 

「あの・・・貴方は戦いの間・・・白夜王国軍を倒す事を、何度も戸惑いましたね。それは私が・・・この国の王女だからですか?私が貴方の親友だから・・・わざと手加減したのですか?」

 

カムイの問いにサイラスは、無言でカムイを見ている。

 

「ガロン王の命令で、私達を倒しに来たのではなかったのですか?」

 

「・・・そんな命令なんかより、大事な物がある」

 

「え・・・?何ですか、それは」

 

カムイの疑問に答える様に、サイラスは答える。

 

「騎士の誓いだ。俺はお前に、命を救われた。幼かったお前を外に連れ出して処刑されそうになった時、お前は身を挺して俺を庇ってくれた・・・あの時、俺は誓ったんだ。お前に救われたこの命・・・何時だってお前の為に捨てる覚悟だと」

 

「!!サイラスさん・・・」

 

「この命は、親友のお前の為にある。その俺がどうして、お前を殺せる?」

 

「・・・ありがとうございます、サイラスさん。ようやく思い出しましたよ。幼い頃、いつも一緒に遊んでくれた優しい友達の事を。あの時、初めて外の世界を見せてくれたのは、貴方だったのですね・・・」

 

「全く・・・思い出すのが遅いぞ。ぼんやりしているのは相変わらずだな。・・・例えお前が白夜王国の王女だったとしても、お前はお前だ。俺にとっては、何も変わらない」

 

二人の話が進み、サイラスはカムイの仲間になった。

レヴァンはオスカーの方へ歩むと、問う。

 

「オスカー殿はどうする?」

 

「そうだな・・・」

 

「オスカー殿。一緒に行きましょう。俺に剣を教えてくれた貴方は俺にとっても、カムイにとっても必要なんだ」

 

サイラスはオスカーに説得する様に言うと、レヴァンはオスカーの教え子がサイラスと判断する。

そして、レヴァンはまたオスカーも問う。

 

「もう一度言うが・・・どうする?」

 

「・・・ふむ、カムイ殿に着いて行くのも面白そうだ。それに、サイラスにはまだ教えなければならない事もあるからな」

 

「決まりだな」

 

レヴァンはそう言うと、二人の縄を切って解放した。

オスカーは立ち上がると、レヴァンと握手する。

 

「言い損ねていたが、本当に久しいな・・・レヴァン」

 

「あぁ・・・あの時は、世話になった」

 

レヴァンとオスカーは再開を喜んでいると、女と男が傷だらけで走って来た。

 

「伝令!伝令ッーーー!」

 

「大変じゃ、サクラ様!」

 

「サイゾウさん、オロチさん・・・!どうしたのですか傷だらけで・・・!?」

 

二人は慌てた様子で息が荒い。

オロチは息を調えた後、伝令を伝える。

 

「こ、国境に向かう途中で・・・リョウマ様とタクミ様が・・・!」

 

「え・・・?」

 

「イズモ公国の国境に向かったお二人が、行方不明になってしまわれた・・・!」

 

「もしかすると敵に囚われたか、最悪、戦死なされた恐れも・・・!」

 

「そんな・・・!い、いやぁぁッ!リョウマ兄様、タクミ兄様・・・ッ!!」

 

「!サクラ様、お気を確かに!」

 

サクラは叫んで取り乱し、白夜の忍であるスズカゼがサクラを落ち着かせようとする。

 

「・・・その伝令は、本当なのですか?」

 

「ちッ・・・!こんな事、冗談で言う分けないだろうが!!どうして俺はあの時、リョウマ様のお側を離れちまったんだ!カゲロウの奴、上手くやってくれていると良いが・・・!」

 

「よいか?カムイ様。この軍の指揮を執っているのはそなたじゃな?わらわは亡きミコト様抱えの呪い師範。オロチと申す。今は戦闘の指揮はユキムラ軍師が執っていて、戦闘は小康状態にあると言う状態にあると言う事なんじゃが、二人の安否を確かめる為にもすぐにイズモ公国へ向かいたいんじゃ。お力をお貸しくださいませぬか?」

 

「はい、勿論です」

 

「かたじけないのう・・・」

 

カムイの言葉にオロチは礼を言った時、先ほどまで取り乱していたサクラが前に出た。

 

「わ、私も行きます!」

 

「いけません、サクラ様。国境沿いの戦場はとても危険です。どうか、サクラ様は此所に残っていてください」

 

「い、嫌です!兄様達が・・・せ、せ、戦死なされたかもしれないのに、私だけ・・・大人しく待っているだけなんて、そ、そんな事、できません・・・!」

 

サクラの言葉にレヴァンは、強く心を打たれた感覚を感じた。 

レヴァンはサクラの瞳を見ると、サクラの目には強い意志と覚悟が宿っているのを感じ取った。

レヴァンは静かにサクラとスズカゼの元に来ると、言う。

 

「・・・着いて来たかったら来させれば良い」

 

「ですが!」

 

「サクラ王女は気弱だが覚悟を感じる。そんな奴を止められはしない・・・それに、危険が及ぶなら俺が責任を持って守り通す」

 

レヴァンはスズカゼにそう言うと、スズカゼは迷う様な表情を出していた時、アクアがカムイに言う。

 

「ねぇ、カムイ・・・どうかサクラの気持ちを汲んであげてくれないかしら。母親を亡くしたばかりで・・・今度は兄妹まで・・・大人しく待っていろと言う方が無理だわ・・・私も全力を尽くして守るから。ね、お願い。カムイ・・・」

 

アクアの言葉にカムイ達に頷いて答える。

 

「分かりました。サクラさんは私達が守ります。危険かもしれませんが、着いて来ると言うなら止めませんよ、サクラさん」

 

「ありがとうございます・・・」

 

「はい。一緒に頑張りましょう・・・サイラスさん、オスカーさんも来てくれますよね?」

 

「あぁ、俺は逆に此所に残れない。どっちみちお前に着いて行くさ」

 

「私はサイラスが行くなら共に進むさ」

 

二人の返答を言うと、サイゾウは顔を歪ませながら言う。

 

「・・・おい。この暗夜の野郎も着いて行くのかよ?」

 

「不満か?」

 

サイゾウの言葉にレヴァンが言うと、サイゾウは不機嫌そうにレヴァンに言う。

 

「・・・あぁ」

 

「・・・無理もないな。もう、信用すらされないとは・・・暗夜も、ガロンも変わり果ててしまったのだな・・・」

 

「え・・・?」

 

レヴァンの呟きにカムイは疑問の声を出すが、聞く事は出来なかった。

今のレヴァンは何処か悲しげで、聞くに聞けなかった。

 

「良い?カムイ。あまりゆっくり話している時間はないわ」

 

「・・・そうですね。そろそろ出発しましょう。次の目的地は・・・イズモ公国です」

 

カムイはそう言うと、テンジン砦を出発する。

レヴァンもカムイに続いて歩いていく。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。