ダークソウルif 作:コッコ
レヴァンは戦いの後、空しく平原を見つめていた。
平原は白夜、暗夜関係なく屍を転がしており、血の大地が広がるばかりだった。
「・・・」
レヴァンは黙って平原を見つめていた時、不意に後ろから声を掛けられた。
「・・・レヴァン様」
「・・・フェリシア?」
レヴァンは振り向くと、そこには心配そうに見つめるフェリシアがいた。
「フェリシア・・・どうして此所に?」
「ジョーカーさんと一緒にカムイ様を探していてカムイを見つけて合流しました。レヴァン様も此所にいると聞いて・・・」
「そうか・・・」
レヴァンはそう言うと、また平原を見つめる。
その姿は何処か虚しげで、遠い世界を見つめている様だった。
「・・・大丈夫だ、フェリシア。この戦いはすぐに終わらせる。きっとな・・・」
「・・・はい」
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レヴァン達は白夜平原の戦いを終えた後、レヴァンはカムイとジークマイヤー、ソラール、フェリシアそしてアクアと言う少女と共にテンジン砦へとやって来た。
「えーと・・・此所は?」
「此所はテンジン砦よ。サクラが先に来て、民達の治療を行っているの。私達も手伝いましょう」
「分かりました」
カムイとアクアがテンジン砦へ入城するのを確認したレヴァン達はカムイ達に続いて、テンジン砦に入城する。
中へ入ると、多くの怪我人がおり、治療が出来る白夜兵達が慌ただしく動いている。
「カムイ姉様・・・!」
「大丈夫ですか?サクラさん。ここからは私もお手伝いしますね」
「あ、ありがとうございます・・・!」
カムイとサクラが話している時、レヴァンは歩きながら民の怪我の具合を見て回った。
どの民達も酷い傷で、生きているのがやっとだと分かる。
レヴァンは暫く歩いていると、向こうから呼び声が聞こえてきた。
「誰か、誰か来てください!」
レヴァンはその声を聞きて駆け付けると、そこには虫の息の苦しむ負傷者の民と泣き叫んで助けを求めて来る若い娘がいる。
「どうした?」
「お父さんが・・・お父さんが!」
レヴァンは娘の言葉を聞いて男を見ると、傷は深く手遅れの状態だった。
白夜の祓串や暗夜の杖、そしてレヴァンの奇跡でもどうしようもないと、長年の経験で感じ取った。
「どうしました!」
騒ぎを聞き付けたのか、カムイ達が走って来ると娘が悲痛そうな声で伝える。
「お父さんが・・・!」
「ッ!?・・・大変です!この人は危険な状態です!すぐに治療を」
「無理だ」
サクラの言葉を遮る様に冷たく言う。
「な、何故ですか・・・!」
「・・・この男の傷は深すぎる。治療をしても完全になおらないし、死までの苦しむ時間を増やすだけだ」
「ですが、まだ助からないと決まった訳では!」
カムイも反論するが、レヴァンは冷静に一言言う。
「・・・それでもだ」
レヴァンはそう言うと男を側に行って、問い掛ける。
「死ぬ前にお前が悔いの無い様にしてやる・・・何か最後に望みはあるか?」
「うぅ・・・む、娘が・・・苦労が・・・無いように・・・して、くれ・・・」
「・・・どうする、サクラ王女?」
レヴァンはサクラに聞くと、サクラは悲痛そうに男を見つめてそして手を取りながら言う。
「分かりました・・・」
「・・・ありがとう」
男は安心したのか、力無く崩れ落ちて息絶えた。
娘は泣き叫んですがり、カムイ達はそっとしておく事にした。
「・・・レヴァンさん。どうして助からないと言ったのですか?」
「・・・深すぎる傷だった。私は長い間、戦ってきた経験での判断だ。あの傷は治療してもまた傷口が開き、最後に死ぬ。苦しみながら・・・」
レヴァンはそう言うと、向こうへ足早に立ち去る。
レヴァンの背中を見つめるカムイにジークマイヤーが言う。
「カムイ殿。悪く思わないでくれ。レヴァンは死に敏感なのだ」
「何故なのですか?」
「・・・レヴァンを含めた我々は此所へ来る前、ある使命を帯びて旅をしていてな。その旅は・・・過酷を極めた」
「過酷だったのですか?」
「あぁ・・・全てを投げ出して絶望に身を委ねてしまう程にな」
ジークマイヤーがそう言うと、ソラールが続いて言う。
「だが、レヴァンはそんな絶望に屈せず進み続け、何故そこまで歩いて行けるのかを聞いたら。約束を交わして使命に挑んでいたのだ」
「約束ですか?」
「そうだ。レヴァンは昔、とある場所に理不尽にも幽閉されていた。時が長く過ぎ、レヴァンは諦めかけていたそうだがある時、幽閉場所から鍵を持った死体が落ちてきて、上を見た時、騎士が見えたそうだ」
ソラールは思い出しながら話していく。
「レヴァンはその後、鍵を使って脱出して進んで行きそして、その騎士に会ったそうだが、虫の息で助かりそうもなかったらしい。レヴァンはその後、騎士に使命達成を託され使命が待つ試練の場へ足を踏み入れたそうだ。その騎士の死を無駄にしない為に、未練もなく死んで行けた一人の人間の為に」
ソラールの話が終わると、カムイ達はレヴァンの悲しい出来事に雰囲気が暗くなっている。
ソラールは慌てて場を和ます。
「いやいや!そこまで暗くならなくとも!」
「貴公が暗い話をしたからだろ?」
「おい、それは全部私のせいにするつもりか?」
二人のやり取りはもはやコントで、カムイ達はいつの間にか笑ってしまっていた。
場が和んでいた時、一人の白夜兵が走ってきた。
「申し上げます!暗夜王国軍が迫っております!」
戦いは続く。