ダークソウルif 作:コッコ
闇霊を撃退した時、最初に薙刀を持った少女が騒ぎを聞き付けてやって来ると、続々と武装した人間が集まってきた。
中にはリョウマやミコト、四代目サイゾウと五代目サイゾウそして、長い銀髪束ねた弓を持つ青年もいる。
「どうしたレヴァン!何があった!」
「実はな庭に怪しい者がいたので、交戦したのだ。取り逃がしたが・・・」
レヴァンは闇霊が現れたとは言わず、怪しい者と言って誤魔化した。
白夜の者達に闇霊と言う驚異を教えて、不安にさせたくなかったからだ。
「そうか。サイゾウ、大至急その怪しい人物を追うんだ。暗夜の斥候かもしれん」
「はッ!」
五代目サイゾウはすぐに消えて捜索に向かった。
レヴァンは黒騎士の特大剣をしまうと、リョウマとミコトは駆け寄ってくる。
「大丈夫か。戦ったと言う事は怪我をしていないか?」
「いや、相手の攻撃を避けていったからな・・・怪我はしていない」
「そうですか・・・良かった」
「あ、あの。母様達のお知り合いですか?」
「えぇ・・・私の古い友人です。レヴァンさん。この子達はヒノカ、サクラ、タクミと言い、私の大切な子供です」
ミコトに紹介された三人の前に出ると、レヴァンは礼儀正しく御辞儀して挨拶する。
「初めまして。私はレヴァン・・・放浪の者だ」
「ひ、ヒノカだ・・・」
「サクラです・・・」
「・・・」
レヴァンの挨拶に二人は応えるが、タクミは特に何も言わない。
レヴァンはタクミの目に疑いの色がある事を知ると、疑われているのがレヴァンでも分かった。
レヴァンはタクミの反応に少し、戸惑っているとサイゾウが戻ってきた。
「リョウマ様。怪しい暗夜風の鎧を着た男を捕まえました」
「そうか。此所へ連れてきてくれ。レヴァンに確かめさせる」
「はッ」
サイゾウはすぐさま消えると、暫くして一人の男を連れてきてきた。
「ま、待て!何の理由で連れてこられているか分からんが、私は無実だぞ!」
男はそう叫んでいるが、サイゾウに取り抑えられる。
レヴァンは男とその鎧を見ると・・・タマネギみたいな物で、レヴァンはその鎧を見て額に手を当てた。
「ジーグマイヤー殿・・・」
「む、その声は・・・おぉ、やはり貴公か!すまないが助けてくれないか!」
レヴァンはジークマイヤーの反応に呆れていると、リョウマは少し困り顔で聞いてくる。
「知り合いか?」
「・・・まぁ、知り合いだ。良い奴ではあるが、かなり考え込んだりする奴なんだ。絶対、何かを考えてその言動を怪しまれて捕まったんだろう」
「おぉ、流石は貴公!私が捕まった経緯を当てるとは!」
「(当たってたのかよ・・・)」
レヴァンは心の中でそうツッコムと、ジークマイヤーは続けて言う。
「貴公!共に使命の少女を探しに行こう!貴公となら」
「使命の少女?」
ジークマイヤーの言葉にミコトが反応すると、レヴァンは素早くジークマイヤーの兜を押さえた。
「な、何を!」
「ジークマイヤー・・・その話は今、此所でするな・・・その少女の親族が集まっているんだぞ・・・」
「そ、そうだったのか・・・?」
「あぁ・・・間違っても大声でもう言うな・・・」
「どうしたんだレヴァン?」
「いや、何でもない」
ジークマイヤーへレヴァンが忠告すると、リョウマにどうしたのかと聞かれ、レヴァンは誤魔化す様に言った。
その後、ジークマイヤーは無実だとレヴァンは言って解放された。
レヴァンとジークマイヤーは部屋で活動情報を交換していた。
「成る程、ソラール達も動いたのか」
「うむ、ソラール殿は白夜に来ていると思うが・・・見掛けておらん。レア殿も二人の従者を連れて暗夜へ向かった。導く者側は少なく、破滅側は多いのは確かだ」
「そうか・・・」
「しかし、やはり貴公はすごいな。使命の少女カムイを見付けるとは」
ジークマイヤーの言葉にレヴァンはうつ向いて応える。
「すまない。カムイとは、はぐれてしまった。まだ無事だと思うが・・・」
「・・・大丈夫だ!別にすぐに破滅側が現れる訳ではない」
ジークマイヤーは励ます様に言うが、やはりレヴァンの心は晴れない。
レヴァンはどうするべきか考えていると、襖の外に物音が立った。
「貴公・・・」
「分かっている・・・」
レヴァンはロングソードを片手に襖に手を掛けて・・・素早く開けた。
そこにはミコトが立っていた。
「ミコト殿・・・!」
「・・・どう言う事ですか?カムイが」
「・・・聞いておられたのですか全てを?」
ミコトは頷くと、レヴァンは仕方ないと思いミコトに全てを話す事にした。
「さて、何処から話すべきか・・・」
「やはり、原因から言った方が良いのでは?」
「・・・そうだな」
レヴァンは全てを語る。
自分は不死である事、不死の世界からこの世界に飛びされた事、カムイを使命達成の為に導き不死から解放される為の旅の事、そしてカムイを破滅させようと狙う者がいると。
「そんな・・・」
「信じられないだろうが、全て真実だ。昔に見ただろ・・・普通の人間なら振るう所か持つ事さえ叶わない武器を振るっている私を・・・私は、化け物だ。私は普通の人間になりたくてカムイを利用する様に守り、使命を果たさせようとした。私は・・・最低なのかもな・・・」
「・・・そんな事はありません」
レヴァンはミコトの方を見ると、真剣な目付きでレヴァンの事を見つめている。
「確かに貴方は化け物かもしれません・・・ですが、貴方には心があるではありませんか?」
「心・・・?」
「はい・・・本当の化け物は心の無い存在こそが化け物。でも、貴方は心があって人に対して本当に優しい方です。そんな方が本物の化け物である筈がありません。貴方は・・・ほんの少し、怪力な人間です」
ミコトの言葉にレヴァンは、涙を流した。
初めて不死として受け入れられた事に嬉しかった。
レヴァンが不死になってからは、同じ境遇の不死以外に受け入れられず、冷たい境遇しか受けてこなかった。
「ありがとう・・・ミコト殿・・・」
レヴァンはただその一言を言うのが限界で、ミコトは優しく微笑む。
「・・・私はどうすれば?」
一人、置いていきぼりなジークマイヤーは困った。