ダークソウルif 作:コッコ
長い年月を得て成長したカムイに、レヴァンは無意識に手を伸ばした。
しかし、手を伸ばしきる前に扉が開かれて誰かが入ってきた。
「マークス兄さん!レオンさん!」
「遅くなってすまない」
「少し、野暮があってね」
「(マークス!・・・随分と成長したな・・・隣にいるのはガロンの子か?まぁ、それは兎も角、厄介な相手が来たものだ)」
レヴァンは悪態を突くと、マークスは部屋の奥へと移動している。
レヴァンはどうするべきか考えていると、マークスは何かに反応したかの様に顔を歪める。
「あら、どうしましたマークス兄さん?」
「・・・何かいる」
「え!?」
「奇遇だね。僕も、異質な存在を感じるよ」
レヴァンは戸惑いを見せる。
マークスだけでなく、レオンと言う王子にも感ずかれた。
部屋はマークス達が警戒し始め、レヴァンはこれ以上バレない為に、混乱の最中に扉から抜け出そうとした。
しかし、運悪く腕が花瓶に当たってしまい落ちて割れてしまった。
「ッ!?そこか!」
マークスはレヴァンの前ギリギリにジークフリートを突く。
目の前で刺さったジークフリートを見て、レヴァンは正直かなり冷や汗をかいた。
「・・・どうやら外したみたいだね」
「ふむ、しかし少し手応えはあった」
マークスはジークフリートを見ると、破けた布があった。
レヴァンは咄嗟に外衣を見ると、切り裂かれた後があった。
レヴァンはマークス達を見ると、カムイとエリーゼ以外戦闘体制に入っている。
「姿を現せ。もう、逃げ場はない」
「(不味いな・・・)」
レヴァンは必死に策を考えていると、扉が開かれ年配の男が入ってきた。
「どうしました!突然、大きな音がなったのですが!」
「(今だ・・・!)」
レヴァンは走り出して、男を押し退けて扉を通り抜けた。
後ろでは声が響き渡るも、レヴァンは気にせず走り続けた。
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レヴァンが逃げたした後、レヴァンに押し倒された男ギュンターをカムイは助け起こしてマークスとレオンは衛兵に侵入者がいる事を伝えて追い掛けさせる。
「まさか、この北の城塞に入り込む者がいるなんて・・・」
「何だか怖いよ・・・カムイお姉ちゃん、狙われてるのかな?」
「おいおい、そんな縁起でもない事を言うなよ・・・でも、全く無いとは言い切れないね・・・」
「あぁ・・・警戒の為に今夜は北の城塞に泊まっていこう」
「やったぁ!カムイお姉ちゃんと一緒に眠れるね!」
それぞれの言葉が飛び交う中、カムイは不思議な感覚に包まれていた。
それは一言で言うと、懐かしいのだ。
「・・・何なんでしょうかこの感覚」
「カムイ?」
「あ、いえ・・・何でもありません」
カムイは疑問を浮かべた顔から笑顔へと変える。
愛する兄妹の為に。
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レヴァンは何とか北の城塞から抜け出すと、北の城塞を見詰める。
明かりがポツリポツリと、点いている。
「・・・カムイ。お前はそれで幸せなのか?」
レヴァンはカムイの状況を思い出す。
カムイは暗夜の兄妹達と笑い、幸せそうな顔をしていた。
あの様子だと、白夜の事は忘れているとレヴァンは考え、うつ向いた。
カムイは暗夜の兄妹が本当の兄妹ではないと分かればどうなるのだろうか。
レヴァンは一人考え、悩む。
白夜へ連れ戻すべきか、そのままにしておくべきか・・・。
レヴァンはどうするべきかを必死に考える。
「・・・ん?」
レヴァンは考え込んでいると、前から誰かが来た。
「・・・マークスか」
「レヴァン・・・」
やって来た人物はマークス本人だった。
マークスはレヴァンの前にやって来ると、問い掛ける。
「・・・カムイを連れ戻しに来たのか?」
「・・・それを今、考えている」
「なら、見逃してくれ・・・!私は、血は繋がらなくてもカムイを本当の兄妹だと思っている・・・だから・・・!」
「本当の兄妹が悲しんでいるのにか?」
「ッ!?」
レヴァンの指摘にマークスは黙り込む。
「良いか?確かにカムイは幸せなのかも知れないが、本当の事をしれば・・・本当の兄妹も共に敵になるかもしれないぞ?それに、白夜の兄妹は必ずカムイを奪い返しに来る・・・絶対にな」
「・・・それでも、カムイは私達の兄妹だ。何があっても、受け入れる」
「・・・」
頭を下げて答えたマークスにレヴァンは静かにマークスを見詰める。
そして、レヴァンは深い溜め息をついてマークスの肩に手を置いた。
「・・・見逃してやる。だが、一つ言っておかなければならない」
「何だ・・・?」
「・・・カムイは本当に命を狙われている」
「ッ!?」
「気を付けろ。私も出来る限り側でカムイを守る。もし、カムイを狙う敵が現れたら・・・全力で戦え、敵は私並みに強いぞ」
レヴァンはそれだけを言うと、立ち去っていく。
見逃してカムイの一時の幸せを守る為に。