ダークソウルif 作:コッコ
サイゾウと共に王都に入るとまず、賑やかな街並みが目に入った。
レヴァンは回りを物珍しそうに見ていると、住民達もレヴァンを珍しそうに見ている。
「賑やかな街だな」
「あぁ。此所は平和を愛する国だ。商業も盛んで皆、笑顔でこの国を守り立ててくれる」
「・・・羨ましい物だな」
レヴァンは城下不死街を思い出す。
城下不死街は、もはや城下町とは呼べない位に荒れて、兵士や盗賊挙げ句の果てにネズミまでもが、亡者となっていた。
白夜の王都とは天と地の差だ。
「さぁ、王城へ着きましたよ」
サイゾウはそう言うと、近づいたから分かる様に王城はとても大きく、暗夜の王城と良い勝負だ。
とは言え、アノールロンドやロードラン等にあった城の方が大きかったが。
レヴァンは王城に通されると、見覚えのある白い東方の鎧を着ている男がいた。
「ご苦労だったサイゾウ。無事で何よりだ」
「はい。しかし、任務は失敗しました・・・この者が私を助けてくださらなければ死んでいました・・・」
サイゾウはそう言ってレヴァンを見る。
男はレヴァンを見ると、驚いた様な顔で問い掛けてきた。
「お主は・・・レヴァンか?」
「はい」
「おぉ、やはりそうか!あの時、ミコトを助けてくれて本当に感謝する。それだけではない、サイゾウの命も救ってくださるとは」
男はそう言うと、手を取って握手する。
「私は白夜王スメラギだ。数年前と今回の礼がしたい。礼の準備が出来るまで是非、留まってほしい」
「・・・分かった」
レヴァンは了承した。
使命を課せられた少女は確実に白夜王国にいると、レヴァンは考えている。
そうでなければ、ロートレクが白夜との国境近くにあるシュヴァリエにいる筈がない。
「(何はともあれロートレク・・・お前の好きにはさせんぞ・・・)」
レヴァンは来るかもしれないロートレクからの脅威に、白夜の者達に悟られず警戒を始める。
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レヴァンは白夜王城の貸し与えられた部屋で武器の手入れをしていた。
何時、何処でロートレクや他の刺客が現れるか分からないからだ。
準備を怠らない様に武器を手入れし続けていると、部屋の外に気配を感じ、咄嗟に近くにあった打刀を手に取り戸を開けた。
「誰だ」
レヴァンは戸を開けたのは良かったが、誰もいない。
レヴァンは戸を閉めて中へ入ろうとした時、下の方に尻餅をついている銀髪の少女がいる。
「・・・何をしている?」
「え、えーとですね・・・」
少女はレヴァンの問いに少し口ごもった口調をして応えようとした時、向こうから足跡が聞こえる。
「カムイ!」
「あ、リョウマ兄さん」
「駄目だろカムイ。此所は父上の御客人の部屋なんだぞ」
「ごめんなさい・・・通り抜けようして、それで・・・」
カムイは反省の色を出しながらうつ向いている。
レヴァンはそんなカムイを黙って見ていると、視線を感じた。
視線を感じる方向を見ると、カムイの兄リョウマがレヴァンの手に持つ、打刀を見ていた。
「この刀が気になるか?」
「あ、いや・・・暗夜風の鎧を着てるのに刀を使うんだなと・・・」
「これは私が使う武器の一つだ。見てみるか?」
「良いのですか?」
レヴァンは頷くと、打刀を鞘から抜いてリョウマに見せた。
打刀は名刀と言えないが刀身は鈍くも鋭く輝き、何でも斬れると言わんばかりだ。
リョウマとカムイは打刀を目を輝かして見ている。
「わぁ・・・」
「凄いな・・・」
「他のも見てみるか?」
武器を褒められて良い気分になったレヴァンは、他の武器も見せてみたいと思った。
二人は頷くと、レヴァンと部屋の奥へ入っていく。
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「二人共、何処へ行ったのかしら・・・」
白夜王スメラギの妻ミコトはリョウマとカムイを探して城を歩いていた。
探してから数分が経過する中、一行に見つかる気配がなく、ミコトは困り果てていた。
「・・・あら?」
ミコトは部屋の一つが騒がしい事に気付きその部屋を覗いて見ると、リョウマとカムイが白夜では見かけない武器を見て、はしゃいでいる。
「リョウマ、カムイ」
「お、お母様!」
「こ、これは!その・・・」
二人は慌てた様子でミコトを見ていると、レヴァンは対応する。
「すまない。私が二人を引き留めてしまったのだ。二人は悪くはない」
レヴァンの言葉に二人は振り向く。
自ら罪を被りにいったレヴァンに二人はとても申し訳なさそうに見ている。
「貴方は・・・レヴァンさん?」
「お久しぶりです」
レヴァンはミコトの名前は聞いてはいなかったが、反応からしてあの時の女性だとすぐに分かった。
レヴァンとミコトは縁側に座って、リョウマとカムイの遊ぶ姿を見ながら話していた。
「あれから数年・・・貴方の噂は聞いていましたよ」
「噂?」
「はい。数多くの武器で数多くの異形の怪物を葬り、人間に武を振るえば天下無双と、白夜で言われています。でも、死んだと聞いていましたが・・・」
「・・・死んだ事になった噂には触れないでください」
レヴァンは自分が不死人だと悟られたくなかった。
不死人だと発覚した時、家族も友も恋人も全て無くして北の不死院に幽閉された。
レヴァンは親しい者達から受けた恐れの目を今も忘れない。
「・・・触れられたくない事があるのですね」
「はい・・・それを知られると、親しい者達が離れて行ってしまうので・・・」
レヴァンは拳を力強く握っていると、その拳の前に花が差し出された。
見てみると、そこには笑顔で花を差し出すカムイがいた。
「お花あげます!」
「良いのか?・・・ありがとう」
レヴァンは礼を言うと、またカムイは走り出していく。
レヴァンは受け取った花を静かに見つめ、静かに微笑む。