Fate/Abysswalker   作:キサラギ職員

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おわれ


ばんがいへん
この先、爆死に注意しろ(橙色文字)


「―――――問おう。そなたが私を求めたものか」

 

 この日、この一秒を衛宮士郎という人間が生涯忘れることはないだろう。

 たわわに実った果実を青の布で覆い隠し上品な銀色の紐飾りで着飾った少女が土蔵に出現したのだ。銀色の盾のようなサーフボードを横に抱えていた。

 

 「は?」

 

 何かがぶっ壊れた気がした。かわいいんだけどなぁ、こうシリアスな空気がぶち壊しだよ。時間とかループしてるんじゃないかとおもいました(適当)

 

 「冬に水着姿で召還とはなかなか……へっくち!」

 

 少女――と女性の中間くらいの女の子がくしゃみをした。つられて頭についている犬耳?と水着から覗いているふさふさの尻尾が振れる。

 勘だけど、あれは犬じゃなくて狼なんじゃないかなと思う。なんでかって? 直感Aさ。

 しかし冬か―――リアルじゃ夏なせいで(ry

 

 「てめぇ名を名乗れ!」

 

 ほら青い槍の人が怒ってるよ。おもむろに脱ぎ始めたんだけど俺の目がおかしいのかな。釣竿とか持ってるし。

 

 「我が名は大王グウィン配下、四騎士が一人アルトリアである!! 一応データ上はアルトリウスだ! どっちでもいいが混ざりそうだからアルトリアと呼ぶがよい!」

 

 ドンッ!

 という効果音が出そうなくらいに女の子が胸を張った。金色の髪をポニーテールにしてるのがとても印象的だった。

 

 「いいだろうライダー! 表に出ろ!」

 「誰が波乗りライダーだ! 私はセイバーだぞ! 愚弄するか槍兵! 夏季限定だぞ!! わくわくざぶーんだ!! 釣りで雌雄を決するぞ!」

 

 女の子がぷんすか怒りながら土蔵の外に出て行く。槍の人も出て行った。

 俺はどうしていいのかわからなかったので、とりあえず状況を見守ることにした。

 

 「あら衛宮くんごきげんよう。よい夜ね」

 

 なぜか遠坂凛がそこにいた。学校で見た赤と黒のコスプレ服の人を連れていた。オールバックにコスプレに二刀流とか極まってるなと思った。ひっっっでぇセンスだなぁ。死んでもこいつみたいなやつにはなるまいと思った。だけど、どこかで見たことがあるような気がする顔だ。毎日顔を合わせている気がする。主にお風呂とか洗面台で。

 遠坂が膝を折って胸を押さえ倒れこんだ。

 掲げた理想が重かった。

 膝を折るまいと誓ったのに。

 

 「なんですって………水着アルトリウスですって………■■万円つぎ込んでまったくでなかったのに……」

 

 遠坂が倒れた。りんごっぽい絵のついたカードが内臓のようにぶちまけられる。大量の煤が付着していた。

 そう、これは―――爆死だ。

 幾円継ぎ込んでも引けなかったものの嘆きだ。

 

 「あンた、背中が煤けてるぜ」

 

 隣に立っていた赤と黒の人がつぶやいた。あんたは黙ってろ。

 

 「止まるんじゃないわよ……」

 

 遠坂が指に付着した虹色の石でダイイングメッセージっぽいのを書きながら動かなくなった。せめて変装するとか装甲車乗ってれば助かったんじゃないかな。

 

 「行くぞ槍兵。餌の貯蔵は十分か」

 「抜かせェ!」

 「イメージするのは最長のメンテだ――……」

 

 急に頭が痛くなってきた俺は意識を失った。

 

 

 

 

 目を覚ますと隣で全裸のアルトリアが寝ていた。

 

 「!!!!????」

 

 「おはよう……シロウ。私がご飯を作ろう……任せてほしい」

 「いやいい俺が作る! アルトリアは寝ていてくれ!!」

 

 だって朝から丸焼きの豚とか食いたくないし! 俺は走った。

 

 

 

 おわれ。


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