is…飛び道具は剣より強し 作:一夏立場下降推進委員会副委員長
今回の授業は織斑 千冬が前に立つ。
山田摩耶は少し後ろに下がっている
「それでは授業を始める…………と、言いたいところだが、この時間はクラス対抗戦のクラス代表を決める。クラス代表者は、対抗戦の代表になるだけでなく、生徒会の会議や委員会の出席もすることになる。そしてクラス対抗戦は、現時点でのクラスの実力を測るものだ。こういった催しはクラスの向上心にも繋がる。1年間、しっかり務めてもらうから、そのつもりでいろ。自薦他薦は問わん」
「はい!私は織斑君を推薦します!」
「私は相澤君を!」
「僕はオルコットさんを推薦します!」
多くの女子生徒が織斑一夏か相澤 仁を推薦する中、低く野太い声が通る。
仁はセシリアを推薦したのだ。
「どうせ織斑と相澤を推薦した奴らの理由は“男子だから”だろうし、聞く意味がないな。相澤、オルコットを推薦する理由を言え」
「はい。まず、先ほどの休み時間に僕が解らなかったところを教えてくれました。その時、教え方がすっごく分かり易かったです。その為クラスメイトを纏めて先頭に立つのに適した人かと思いました。また、一応イギリス代表候補生という事で実績もあります。」
「そうか。分かった。それじゃこの3人で決めたいと思う。」
かなりトントン拍子に進む…
「なあ、代表候補生ってそんなに凄いのか?」
はずだった。
織斑 一夏のこの発言。これにセシリアはキレた。
「ふざけないでくださいまし。代表候補生の事も知らないなど貴方の知性は猿でしょうか?貴方の発言は全世界にいる代表候補生のプライドを著しく傷付かせるものでしてよ?」
「だってあくまでも候補だろ?それにイギリスって飯まず国家じゃん?飯にこだわりを持つ日本人としてやっぱりたとえ候補生といえどせめて日本でないとな。」
うんうんと自分で自分の言葉に納得したという様子を示す一夏。
「なぁ、織斑君?君ってさオリンピックって知ってる?」
何かにキレた仁は一夏に言う。
「もちろんだぜ?けどそれが何か?」
「例えばの話だが、オリンピックに出る選手は国家代表。凄いってのはわかる?」
「もちろんだけど…?」
「ならその国家代表に将来成る見込みが高い凄い高校生が居たとする。その学生は凄くはない。君の考えはこういうことだよ?」
「…!!」
「候補生ってのは確かに代表ではない。だって候補だから。けど、候補ってことは将来成る見込みがあるということと同義。君のそれはそんな彼女を否定することだ。そのうえ、飯まず国家?イギリスという国にどう考えてもプライドを持ってるオルコットさんにそんな事を言うなんて、僕は信じられないよ?」
「そ…そうだな…セシリア・オルコットさん。ごめんごめん。許して…な?」
軽い謝罪をする一夏。
「誠意を…誠意を見せなさい…私は気がおさまりませんわ…!
決闘しなさい!決闘!私が勝った時、貴方は私に土下座して謝る事!そして、私はそれをTwetterやYO!tubeに初のIS男性操縦者の土下座wwって題名でネットにばら撒きますわ!もし、万が一、ないと思いますが私が負けた時はその程度の謝罪で済ませてあげますわ。」
「はぁ!?俺、なんもメリット無いじゃないか!ふざけるな!そんなの許せるはずがないぞ!」
「私が許可する。ただし、ネットに上げるのは辞めてくれ。世間への影響が大きい。それから私からも謝罪する。愚弟が酷いことを言った。私の教育不足だ。姉として教師として謝罪する。」
意外にもこれに割り込んだ人物。織斑 千冬は最初こそ学生同士の喧嘩だと高を括っていたが、一夏のあまりにあれな言動とあまりにあれな謝罪のせいと、ガチでキレてるセシリア。このままじゃ本当にネットに上げられかねんと思い、千冬自身が謝罪することでせめてネットに上げるのは阻止しようとした。
よく言えば喧嘩を止めた教師。悪く言えば弟がやはり可愛い姉。
「…織斑先生に免じてネットにばら撒くのは勘弁して差し上げますわ…私も激昂していたとは言え、もう少し冷静になるべきでした。お騒がせして申し訳ありません。」
セシリアも根はいい娘。クラス全体に謝罪する。
「いいのよ。今のはどう考えても織斑君が悪いしね…」
「もしかして織斑君って少し頭が…」
「何を言ってるのよ!頭が空っぽだからこそいろいろ吹き込んで自分好みに育て上げるのがいいんじゃない!!」
やはり、このクラスには変態がいる。
「相澤。この際決闘…模擬戦によって代表を決めようと思う。もちろん、IS初心者のお前に戦えなどと無理には言えない。よって辞退してくれても構わないし、それによって減点する事はない。」
「じゃあ、俺辞退するぜ!「お前はやれ」なんでだよっ!!」
織斑 一夏は自分が招いたという事を分からないのであろうか?
「あの、勿論出るのは構わないですが、自分の専用機が届くのが10日後の手筈になっているので、出来れば10日間待ってくれたら有り難いのですが…」
「ああ、それ位なら構わない。ただし、再来週には代表戦がある。かなりギリギリのタイミングになってしまうがいいな?」
「大丈夫です。ただ、オルコットさんに迷惑をかけるならもう少し手前の時期でも大丈夫ですので。」
「ということだが、オルコットは大丈夫だな?」
「もちろんですわ!」
「それなら決まりだな。日程は10日後の放課後。3人はそれぞれ準備をしておけ。後織斑は後で生徒指導室にこい。」
キンコンカンコーン
丁度チャイムが鳴った。
(まったく!あのお猿さんは何ですの!?お父様より酷い男性ですわ!
それに比べて相澤さんは…はわわ…私の目にはとても凛々しく見えてきましたわ…あのお猿さんに対しても優しく接していて、懐の深さを感じますわ…ハッ!私は何でこんな事を考えているのでしょうか…もしかしてこれは…)
セシリアはチョロい。
(むむ…昔、一夏はこんな奴じゃ…いやこれに近かったな。
成長しなかったという事か。剣道を辞めるからだ。
それにしても相澤はやはりかっこいいな…中1の時初めて見かけて以来、恋心を自覚してはや2年と少し…益々かっこよく写ってしまう…やはり日本男子とは格有るべきだな!)
箒もなかなかチョロい。
(何で千冬姉が頭下げるんだよ!あの千冬姉に恥かかせやがって!あのオルコットとやら許せねぇ!!!!)
一夏は考え方が普通の人と違うようだ。
最愛の姉が頭を下げるのが許せないらしい…
今日の更新はここまでです。稚拙なものですが読んで頂きありがとうございました。