ダメ姉にダメ元で求婚したらなぜかオッケーして貰えた件   作:A i

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お久しぶりになります。
しばし、投稿をお休みしていました。
知らぬ間にUA10000到達していることに驚いています。
お読みいただいた読者様ありがとうございます。
そして、今後もよろしくお願いしますね?笑
十三話です。
デート回になる予定だったのですが、恵さんを出したくなってしまい、少し変更しました。

それほど動きはありませんがまあ再開しだして一話目なのでご容赦を。
楽しんで読んでくれたら幸いです。
感想くれたら嬉しいな笑

ではどうぞお楽しみください!


雨男とロリばばあ

ようやく、デート当日。

 

自分で言うのもなんだが練りに練った素晴らしいデートプラン・・・・。

どの角度から考えてみても非の打ち所など見当たらない。

季節、時間、場所、順番。

あらゆる観点にこだわり、千里を喜ばせるためだけに今日この日を迎えたのだが・・・・。

 

「雨かよ・・・。」

 

窓を叩く雨粒を見ながら俺はつぶやく。

先ほどから強くなったり弱くなったりを繰り返してはいるがどうも天気予報によると今日一日はやむ様子がない。

風がそれほど無いのが救いではあるのだが、果たしてこのままデートして良いのやら・・・。

まあ、デートするにしても計画を大幅に変える必要が出てくるだろう。

時間をかけて考えただけにダメージがデカい。

しかも、一番基本的な「天気」を考慮することを忘れていたなんて・・・。

あまりにも短慮で浅はかな自分の頭のできに辟易してしまう。

 

俺は「はあ」と大きくため息をつき、テレビの電源を落とした。

 

あまりのショックに脱力し、ボスンとソファーに腰掛け、今日のことについて思案していると、リビングの扉が開く。

 

「ふわぁ…。」

 

入ってきたのは恵さん。

ふわふわポワポワとしたパステルカラーのパジャマを着ている。

正確な年齢は聞いても教えてくれないためわからないが、おそらくアラフォー。

でも、その服装やポワッと広がった長い髪の毛、何よりもその寝起き全開な幼い顔立ちのせいでそんな年齢には見えず、可愛い年下の女の子のように感じられる。

 

だが、そんなことは口が裂けても言えない。

言って仕舞えば最後、マザコン疑惑が持ち上がり、ドキドキ!千里裁判で死刑宣告を受けるのは必至!

肉体的、精神的、社会的に俺は死ぬだろう。

しかし、もちろん俺はこの世に未練タラタラ。

死にたくない。

よって、俺が選択したのはこの上なく無難な質問だった。

 

「おはようございます、恵さん。どうしたんです?こんなに早起きして。」

 

「うん?だって、今日は千里との初デートでしょ?そりゃ、お母さんとしたは見逃せないわよ。」

 

パチリと綺麗に片目をつむり、ウィンクしてみせる恵さん。

アラフォーには見えないかわいさでどきりとしてしまうのが恨めしい。

 

「ありゃあ?舜?顔赤いわよ?もしかして惚れちゃった?」

 

「そそそんなわけ無いでしょうが!?」

 

あまりにも図星でキョドリまくる俺をよそに爆笑する恵さん。

くつくつと腰を曲げて笑い転げている。

顔が熱くなるのがわかるが、グッとこらえて強がってみる。

 

「恵さんはお母さんなんですから、惚れるなんてことはあり得ませんよ。」

 

憮然とした調子で俺がこう言い放つと、それを聞いた恵さんは気に入らなかったのか一瞬むっとした顔になる。

だがしかし、それもほんの一瞬のことですぐにニヤリと意地悪くほほえんだ。

そのいかにも悪巧みしていそうな彼女の顔に俺は嫌な予感を抱いたし、その予感はやはり当たってしまう。

 

「ええ~?そおなんだ~。あり得ないんだ~。じゃあこーんなことをしても大丈夫よね~?」

 

そう言うや否や、いつもの緩慢な動きからは考えられないほどの俊敏な動きで俺の近くにまで移動すると、その細くしなやかな腕を俺の首に絡ませてしなだれかかってきた。

パジャマの布地が思ったよりも薄いらしく、彼女の体温や柔らかさ、心拍すらもダイレクトに伝えてきて、一瞬頭が真っ白になる。

俺が混乱しているすきに、体勢を整えて容易には引き剥がせない状態に持ち込まれてしまった。

柔道やレスリングなら試合が決まっているレベル。

まあ、どっちの競技もよく知らないんだけど!

 

それにしても、この腕、全然引きはがせないんだけど・・・。

さっきから結構力入れて抵抗を試みているがびくともしない。

こんな華奢な腕のどこにそんな力が・・・。

 

そう思い、恵さんの顔を見ると、「ん?」と可愛らしく小首をかしげるのみ。

 

――ホントムカツクぜよ・・・。

 

「ちょっと、恵さん・・・。」

 

「んー?なに~?」

 

「降りてください。」

 

「え~、どうしよっかな~。でも、私なんてどうともないんでしょ~?」

 

ニヤニヤしながらそんなことを言う恵さん。

 

――やっべー、まじ鬱陶しい・・・。

 

大きくため息をつきつつ前髪を押さえる。

 

「はあ・・・。分かりましたよ。」

 

「何が分かったの?」

 

ズイッと顔を更に寄せてくる恵さん。

「う・・・。」と声を詰まらせる俺だったがこのままではにっちもさっちも動いてくれなさそうだったので諦めて言った。

 

「だから・・・さっきはすこし恵さんにどきっとしたことですよ。白状します。」

 

カアッと顔が赤くなるのを感じる。

しばらく、俺の顔を真顔でジーと見つめていた恵さんだったが、うん、と一つ満足そうに頷くと、「よいしょ」と言いながら俺の上から降りた。

 

ホッと詰めていた息を吐くとようやく落ち着きを取り戻せた気がする。

なんでこんなに朝から気をもまなくちゃならんのだ・・・と不満に思いつつ顔を上げると、にっこりと笑顔の恵さんが視界に映る。

 

「なんですか・・・?」

 

「いやあ、少しは元気が出たみたいだね!さっきまでは死んだような顔色だったから良かったよ。そんな顔色じゃあデートになんて行けなかったからね。これで安心よ。」

 

フッと優しく笑いかけてくる恵さん。

 

どうやら気を遣われてしまっていたようだ。

なんか勘違いしていたみたいで恥ずかしい。

でも、恵さんにすらこの気落ちが伝わってしまっていたなんて・・・。

 

なんだか情けなくもあり、恵さんが頼もしくもあり、複雑である・・・。

いつもはあまり頼りがいも尊敬の念も抱きづらい人だけど、やっぱり年長者で自分の母親なんだとつくづく感じさせられた。

 

しかし、それにしても気遣いの仕方が斜め上過ぎる気がする。

もう少しわかりやすく気遣ってほしいよー。

 

まあ、そんな贅沢も言える立場ではない。

気遣われているのにそれ以上を望むことはさすがの俺にもできやしないのだ。

 

なので俺は恵さんに素直に感謝を述べた。

 

「なんか気使わせてしまったみたいで。ありがとうございます。」

 

「いえいえ、どういたしまして。」

 

まるで何でも無いようにそう言うと、恵さんは冷蔵庫の方へと向かい、野菜ジュースを取り出す。

それを持ってテーブルに着き、コップへと注ぎだした。

 

俺はその間、ボーとその様子を眺めていたのだが、ふいに彼女から質問が飛んで来た。

 

「じゃあ、今日のデートはどうするの?」

 

「それ聞きますか・・・。」

 

単刀直入な物言いで恵さんは本題に切り込んでくる。

さすがゲーム会社のやり手会社員。

できる女は迂遠な物言いなどしないようだ。

 

まあ、こちらとしてもその方が逆に気が楽なので、そのことすら考えた上での物言いなのかもしれない。

 

「うん、おいしいー!」

 

そう叫びながら野菜ジュースをごくごくと飲み干す恵さんを見ていると、考えすぎかな・・・と思うが。

 

彼女はカラになったコップをカン!と勢いよく机の上に置き、堅く俺を見据える。

ごまかしや適当なことでは煙に巻けそうにない。

思っていることを正直に話すしかないようだ。

 

俺もソファーから腰を浮かし、恵さんと向き合う位置の椅子に腰掛けた。

 

前には腕組みをして聞く体勢に入っている恵さんがいる。

にげることは敵わない。

もとよりする気も無いのだが・・・。

 

息を細く吐き出し、覚悟を決めてから話し出す。

 

「・・・ふぅー。」

 

「いやいや、どんだけ緊張してんのよ、舜。」

 

そんな俺の様子を見て、またもやおかしそうに笑い出す恵さん。

でも待ってくれ。

俺は今までこんな恋愛相談みたいなことは斗真にすらほとんどしたことが無く、この前のデートプランの相談ですら恥ずかしかったし、結構緊張した。

べつに何があるわけでもないんだけど、ことさら恋愛とかの話になるとなれていないこともあってか緊張してしまう。

その相談相手が友達であってすらそうなのだから、自分の母親ともなればなおさらなのである。

 

だから、こうも大爆笑されるとなんかなんだろう?こう・・・ムカツクよね!

おそらく自分のこめかみにはぴくぴくと血管が浮き出てしまっているのではないだろうか・・・。

口元もひくついている気がする。

 

だがしかし、そこで激高するほどお子様ではない。

 

机の下で両の拳をグッと握りなんとかこらえ、切り出す。

 

「・・・・どうしたらいいとおもいますか?今日のデート。」

 

「あら?デートすること自体迷っているわけ~?」

 

「そりゃあ、この雨ですから。」

 

「これぐらいの雨が何よ?いくらでもできるでしょ?それともなに、舜のあの子への思いはその程度なのかしら?」

 

「そんなわけ無いでしょ?でもこの雨じゃあ、千里を楽しませることなんて・・・。」

 

「ふふふ・・・・。舜はあの子のあの子の事なんにも分かってないわねえ。」

 

「な・・・!どういう・・・。」

 

「あの子はね、あなたといっしょならたとえ雨だろうが嵐だろうが雷に打たれようが幸せよ。」

 

「う・・・。ホントですかね?」

 

「もちろん!だから、今日はなんとしてもデートしてあげて?あの子、この数日ホントに楽しみにしてたんだから。中止なんかになったらそれこそ不幸よ。あの子の幸せを思うならデートすることが最善よ。」

 

「・・・・・分かりました。デートは決行します。」

 

「よろしい。」

 

満足そうにほほえむ恵さん。

その笑みは思いがけず慈悲にあふれたいかにも母親の顔でなぜか無条件に信頼できる気がしていたのだが・・・。

 

「ま、雨で風邪引いても自己責任だけどね?」

 

とウィンクする彼女はどこまでも俺の知っている無邪気でおおよそアラフォーには見えない綺麗で可愛らしい母、十和田恵なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
若干ギャグ要素が減っている気がする・・・。

次回はもう少しイチャイチャとギャグを増やしますねー笑

今後もよろしくお願いします。

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