ダメ姉にダメ元で求婚したらなぜかオッケーして貰えた件 作:A i
今回はかなり短いお話になっています。
まあ、ご容赦ください。
少し心に傷を負いました。
でも、友達に彼女ができたことなんか聞いたら、そりゃ心のダメージ半端ないですよ!
心が叫びたがっちゃいますよ!
彼女、欲しいってね!
なんの話だ。
まあ、なので今回も二人がかなりイチャつくだけのお話になってしまいました笑
自分の願望がかなり入ったお話だと、そろそろ読者様方もお気づきになられているでしょうが、共感してくれたり楽しんでくれたら幸いです!
感想よろしくね?
では、どうぞお楽しみに〜。
トントントン
軽やかな音を立てる階段。
二階へと続く階段だ。
勿論、俺が今上がっているのは十和田家の階段。
おそらく執筆を続けている千里に夜食の差し入れを持って行こうと思ってのこと。
冷めても食べられるようにおにぎりを持って行く。
最後の段を上り、自分の部屋を横目に見ながら通り過ぎる。
俺の部屋に隣接するのが千里の部屋。
扉には『千里のお部屋♡』プレートがぶら下がっている。
コンコン
軽くノック。
だが当然ながら返事はない。
俺は一応「入るぞ?千里。」と断って、扉を開いた・・・。
「しゅんー!!!」
「うわっ!」
ドスン
何かが俺の腰ほどに飛びついてきた衝撃で俺は尻餅をつく。
まあ、なにが飛びついてきたかは大体想像着いてるんだけど・・・。
右手にはおにぎりを入れたトレイを持っているため左手で体を少し起こすとしがみついているものの正体が明らかになった・・・。
「・・・千里?なにしてんだ、お前は・・・。」
「イヒヒ~。扉の後ろに隠れて舜のこと待ってたんだあ~。」
満面の笑みで笑う彼女に俺はため息をついた。
「はあ・・・ホント何してんだ・・・。」
だが、俺のそんな呆れもつゆ知らず「しゅん~。」と猫なで声で俺の胸に額をグリグリ押してる千里を見ているとやっぱりそんな呆れも吹き飛んでしまうわけで・・・。
――うーむ、この可愛い生物は一体何なのだろうか・・・。
自分の中では国宝級に大切な彼女が自分に好意を抱いてくれていることがびしばし伝わり、非常に嬉しくなった。
俺はほほえみ混じりに彼女の姿を見ていると彼女の髪の毛に惹かれる。
見ているとどんどんファサファサ揺れる黒く艶やかな髪の毛に触れたくなってしまい、俺は右手のトレイを床に置く。
「あ・・・。」
俺の手が触れると、小さく声を漏らす彼女。
それを聞いてサッと手を引いたのだが・・・。
「しゅん~・・・。もっと、なでてぇ~。」
と更に甘い声で鳴く彼女に俺は。
「あいよ・・・。」
と応えて撫でることを再開した。
すると彼女は顔を俺に押しつけることをやめ、俺の右手の感触を味わうモードへと移行する。
髪の毛を触りやすくなってありがたいことにはありがたいのだが、クンクンと鼻を鳴らして俺の匂いを嗅ぐこともいっしょにやめてほしい・・・。
匂いを嗅がれるのってなんでこんなに恥ずかしいのかわかんないが俺も千里の匂いを嗅いでみたいなあ、と思うのでおあいこなのかもしれないな、まあ行動には移さないけど・・・たぶん。
俺が千里の匂いを嗅ぐ嗅がないの議論を脳内で白熱させていると、千里が俺の腰に回していた両腕をほどき、首元に巻き付けだした。
それも、上目遣いで・・・。
非常に扇情的な彼女の姿に俺の心拍数がバカみたいに跳ね上がる。
――ヤバい、千里に聞こえてるんじゃないか、この心音・・・。
と、疑うほどに胸が高鳴っていた。
潤んだ彼女の瞳が俺になにか言いたげだったので聞いてみる。
「・・・どうした?・・・なんかあるのか?」
「えへへぇ~・・・。なんかね、ずっとこのままでいたいなぁ、って思っちゃって。」
だらしない顔で幸せそうに笑う彼女。
カアッと顔が紅潮するのを感じるが、俺も彼女と同感だったので。
「俺も。」
と素直に応えた。
いつもなら千里にからかわれる場面だろうが、今は。
「えへへ、そっか。じゃあ、一緒、だね?」
・・・と、照れ臭そうに微笑みかけてくるだけだった。
彼女の笑顔があまりにもまぶしく、ごまかすためにも彼女の髪の毛を手荒くワシャワシャー、となで回した。
「うにゃあ、舜。激しすぎるんだけどー。」
と良いながらも目を細めて喜んでいる彼女はなんというかもうこの世のモノとは思えないくらいに清らかで愛らしい生物に見え、俺はまたしてもキュン死にしそうになる。
マイナスイオンだとかアロマセラピー、とか言う前にこの子の笑顔を見せてあげた方が絶対病気も治る。
万病に効くぞ、絶対・・・ただし男限定。
まあだけど、千里は絶対誰にも渡さないんだけどね?
俺の嫁(仮)だし!
なんか嫁(仮)ってありそうだな・・・ラノベとかで。
なんてバカなことを考えるくらいには舞い上がっていた俺なのだが、千里が甘えるように頬を俺の顔にススリスリしてきたことで意識が現実世界に帰ってくる。
「くすぐったいんだけど・・・千里。」
「うーん・・・舜のお肌サラサラですべすべで良い香りなのだあ。」
「匂いは嗅ぐな。なんか恥ずかしいから・・・。」
「えー。別に良いじゃんかあ。なんというか安心する匂いなんだもん・・・。」
「そんなこと言うなら千里のも嗅いじゃうぞ?」
「え!?それはダメ!絶対!」
顔の前で両手をぶんぶん振ってダメダメ、と言う彼女が可愛いので俺は悪戯を敢行する。
「へえ~、ダメなのかあ・・・。スンスン。」
「ぎゃあ!ダメだよ!首元の匂いなんて嗅いじゃ!恥ずかしいよお・・・。」
「すーーー。」
「はぁん・・・。ダメだってぇしゅん~。」
首筋に鼻を押し当て、勢いよく吸い込むと彼女は甘いと息を漏らしてピクピクッと体をけいれんさせた。
ぎゅーとしがみついていた彼女だったが、俺が吸い込むのをやめると、クターとなり俺に寄りかかってくる。
肩にあごを置いているため耳元で彼女の荒い息づかいが聞こえた。
あまりにも疲弊している彼女の姿に少し反省し、ポンポンと軽く背中を叩き、さすってあげる。
すると、次第に呼吸も整い話せるようになった。
「酷いよお・・・舜ってば鬼畜だったんだね?」
「違うよ!」
「そうじゃん。やめてっていったのにやめてくれないし・・・。」
ジーと見つめてくる彼女に俺は鼻がしらをつまみ言ってやる。
「元はと言えばお前が俺の匂い嗅ぐからだ。おあいこだろ?」
「ずびばぜん。ばなじて。じゅん。」
鼻声でそう言う千里。
俺はゆっくりとつまんでいた手を離してやる。
鼻のてっぺんを赤くした千里が唇をとがらせて
「やっぱり鬼畜だ。」
と言うので俺は大きくため息をついて聞いた。
「はあ~。すまんかった。鬼畜でした。スミマセン。これでいいか?」
「いいえ。そんなことでは乙女の匂いを嗅ぎ、鼻をつまんだ罪は消えません。あなたはまだ鬼畜、のままですよ?学校でも鬼畜って読んじゃうからね?」
「それはやめて!絶対。」
斗真とか千鶴に聞かれたらどうなるか・・・。
なんとしても彼女に許してもらわなくては。
「じゃあ、どうしたら許してくれんだよ?」
「えへへー。それはねえ・・・・・」
人差し指をピシッと俺の鼻に突きつけていった。
「今週の土曜日に私とデートに行くことです!」
「はあ!?」
こうして、俺と千里の初デートが決定したのだった。
いかがでしたか?
次こそはストーリーが進みますので悪しからず。
これからも応援よろしくお願いします。