NEW GAME!NEW LIVED!!   作:残夏

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青葉「さあ始まるざますよ!」
ゆん「いくでがんす!」
はじめ「ふがー!!」
ひふみ「まともに…始めようよ…」



儚い夢

「凄い、色々描いてる」

食後の珈琲を飲み、壁に寄り掛かり胡座をかく俺の脚の上に座るコウさんと共に俺がスケッチブックに描いた絵の鑑賞会が始まっていた。

「思い浮かんだキャラを描いてますから」

スケッチブックに夢中なコウさんのウエスト当たりに手を回し自分の方に密着させ温もりを感じ、顔を肩に載せシャンプーの香りを嗅いで八神コウと言う存在を堪能している。

「んッ…二葉くすぐったい…あっこれロボット?」

大体スケッチブックの半分のページを開くと、今までは人間タイプのキャラが描かれていたが次のページには人型ではなく、まるで戦車から手足が生えたようなロボットが描かれていた。

「それは二足歩行戦車ですよ、まぁロボットと同じ様なモノですが…馬鹿にされるかもですがこの歳でロボットが好きなんですよね…」

恥ずかしさで火照った顔をコウさんの後ろ髪に埋める。

「別に馬鹿になんてしないよ、別にいいんじゃない?だって二葉しっかりし過ぎて逆に心配だったんだけど、そう言うのが好きって分かったから安心したよ♪モデルガンも好きなんだよね?デスクに飾ってあったし」

頭に伸びてきたコウさんの手に優しく撫でられる。

「好きですよ、でもモデルガンは18歳以上の物もありますから大人なイメージがありますけど、ロボットは…やはり子供のイメージが…」

「んじゃあ、今からロボットを卒業しろって言ったら出来る?」

「ウグッ…」

唐突な難しい質問に答える事が出来ず、只頭を撫でられ続けた。

「ほら、無理でしょ?それにはじめ至っては女性なのに戦隊モノ好きなのに堂々としてるだろ?ショーまで見に行ってるらしいし」

「確かに…」

「だから好きなら好きだって堂々としてればいいんだよ、他人がどうだからって言って好きなモノを好きと言えないのは心から好きじゃないってことになるんだよ?」

「ごもっともです…」

「だから堂々と好きでいればいいんだよ」

「コウさん…」

「ん?何?」

撫頭をでる手を離しスケッチブックのページを捲るコウさんの名を呼ぶと、俺の方を向き互いに見つめ合う形になった。

「好きです」

「…」

その時コウさんは哀しそうな笑を浮かべ、何も答えたはくれなかった。

 

 

「ごちそうさま〜」

「お粗末さまでした〜食後のデザートのプリンアラモードです」

スケッチブックの鑑賞会から数時間後。コウさんのリクエストでオムライスを夕食で作り、デザートのプリンアラモードを冷蔵庫から取り出しコウさんの前に置く。

「うわ!!凄っ!?、二葉って本当に家庭的だよね」

子供の様に喜びながらプリンの甘さを堪能する彼女を見る度に何故哀しそうな笑を浮かべ、何も答えなかったのか、その疑問が心に引っかかっている。

「二葉?二葉!」

「え?ど…どうしました?」

「いや…何かぼーっとしてたから…二葉は食べないの?凄く美味しいよ!二葉が作ったプリンアラモード!」

口の端にクリームを付け、スープンを御機嫌に振るコウさんの声で我に返る。

「あ…良かったら…食べます?」

コウさんに言われプリンアラモードを食べようとするが、胃の余裕がある筈なのに食べる気にはなれずコウさんの元に置き、代わりに食べきった食器をトレーに載せ片付け始める。

「いいの?」

「どうぞ、俺お腹いっぱいになってしまって…」

「サンキュー!そんじゃいただきま〜す!!」

デザートは別腹とはよく言ったもので、1口1口味わって食べるコウさんを見ても心は満たされず、代わりに悲しみが心を埋め尽くした。

「もう…こんな時間…」

「ん、何か言った二葉?」

「い…言え…何でもないですよ!口の端にクリーム付いてますよ」

「ん、どこ?」

「反対ですよ…んっ…」

「え?ちょっんっ…」

付いているのとは逆の場所に舌を出し舐めとろうとするコウさんに代わり、俺が舐め取りついでにそのままキスで唇を塞ぐ。

「良かった…美味しく出来てますね」

「な…何すんだよ二葉!?」

「何ってクリームとって、味見ですけど?」

「味見なら私が食べる前にやりなよ!!クリームだって普通に取ってよ!!いきなりキスされると本当にびっくりするんだからね!」

「ハハッすいません♪さて洗い物〜」

未だにキスに慣れず、顔を紅くするコウさんを目に焼き付け、エプロンをかけて食器を洗い始める。

 

「〜♪〜♪〜っと洗い物終わり!」

「ねぇ二葉」

「はい?」

濡れた手をタオルで拭きエプロンを外し、またスケッチブックを見るコウさんを胡座をかく脚の上に載せ自分の体に密着させる。

「さっき歌ってたのはなんて歌?」

「俺何か歌ってました?」

皿を洗う事に夢中で自分が歌っていた事に気づかないうえに、人前で歌っていた恥ずかしさで今度は自分が顔が紅くなる。

「えっと確か…コホンッ…〜♪〜♪〜って歌詞…私歌上手くないから音程とか違うかもしれないけど…」

わざわざコウさんが赤面状態で歌ってくれたお陰で、自分が無意識に何を歌っていたのか理解する事が出来た。

「あぁ、その歌ですか」

「良かったぁ…分かってくれた…それで名前は?」

「届かない恋です」

「届かない恋…ん〜知らないな…何てグループが歌ってるの?」

「これは俺が通ってた高校の先輩が最後の文化祭で作った歌なんですよ」

「へぇ〜凄い!、オリジナルの歌なんだ」

「そうなんです、結構話題になって高校のホームページで短い期間ですがダウンロード配信してたんですよ、俺のウォークマンにfullで入ってますけど聴きます?」

近くにある自分のバックから赤いウォークマンを取り出し、イヤホンを差し出す。

「聴きたい!」

イヤホンを左耳に俺は右耳に付け、歌を再生させる。

 

「…これ…結構切ない歌だね…」

「そうなんですよ…」

「…ごめんね…二葉…」

「…どうしたんですか?急に…」

コウさんが何に対して謝罪をしているのか気付かないフリをする。

「今日の事…二葉のはじめてを奪ったから…」

「コウさん俺!!」

「ダメッ!!」

「ッ…」

突然声を荒らげるコウさんの気迫に押され、口籠もってしまった。

「今の二葉の気持ちは本物じゃない…きっと上司や部下の関係以上の行為をした勢いでそう思ってるだけだよ…」

「コウさん…」

コウさんは少し俯くと俺の手に抱きつくと、手の甲に冷たいモノが落ちてくるのを感じた。

「そろそろ帰らないと…お姉さんが心配するよ…」

「…」

きっと手の甲に落ちたのは涙で、表情は見えないが彼女は今泣いている。

「…私が二葉を唆して遊んだって…今日の事は夢と言う事にして忘れて…」

コウさんは立ち上がると、俺のバックにスケッチブックや荷物を入れはじめた。

「明日の仕事がんばろう」

正直、自分自身の気持ちが分からない。今心の中にあるモヤモヤした気持ちは初めての事で、もしかしたらコウさんの言う通りで好意は偽物なのかもしれない。

「はい、二葉の荷物」

「コウさん…」

バックを差し出す手を引っ張り強引に引き寄せ、そのままキスをする。

「二…葉…苦しい…」

「…すいません…」

今までで1番長いキスから口を離す。

「じゃあ…俺帰ります…」

「うん…」

自分でバックを拾い上げ、コウさんからゆっくり離れ玄関に向かう。

「お邪魔しました…」

「うん…また明日ね、気を付けて…」

玄関口まで見送りに来てくれたコウさんに軽く頭を下げ、無理矢理笑顔を作り今日の事は夢だったんだと自分にいい聞かせ部屋を後にした。

 

 

 

「…参ったな…」

帰宅後風呂に入り自分のベッドに横になって数時間後、一睡も出来ずに起床時間が来てしまった。

眠れなかった原因は自分自身、理解している。

「コウさん…」

彼女が痛みを堪える時に付けた背中の傷の痛みを感じ、眠れなかった原因である人物の名前を呟くがその声は虚しく部屋に消えていく。

「ハァ…起きるか…筋トレは…今日はいいか」

流石に寝てない体で運動をする気にはなれず、とりあえず顔を洗い目を覚まさせる為洗面所に向かう。

「…うわ…クマ凄いな…」

洗面所の鏡に映るの自分の顔のクマに驚く。

「眠い…顔洗ったら目覚めるかな?…うぅ冷たッ」

冷たい水で顔を洗い眠気が幾分かマシになり、朝食の支度をする為いつものようにキッチンに向かった。

 

 

 

「ごちそうさま〜美味しかったよ二葉君」

「お粗末様、食器さげるね」

「あぁすまない、所で二葉君」

「ん?」

「本当にクマ大丈夫なのかい?目も腫れているようだけど」

「うんクマも目も大丈夫だよ、顔を洗ったら眠気とんだし」

「そうか…じゃあ行って来るよ」

「気を付けて」

「二葉君もね」

「うん」

外に出るまで何でも振り向きやたら心配する姉を見送り、小さく切った林檎が入った皿を持ち四葉のケージ中に手を入れると、掌に乗りよじ登ろうとしていた。

「ケージの外でゴハン食べたいの?」

「チュー!!」

俺の言葉が伝わったのかは分からないが返事をする様に鳴いた四葉をケージから出し、テーブルに起きその隣に林檎の入った皿を置く。

「この林檎は凄く甘いから美味しいよ」

「チュチュー!!」

嬉しそうに林檎を食べる四葉を見て和んでしまったらしく、今朝よりも強い睡魔に襲われ瞼が下がって来た。

「ヤバ…今寝たら会社…に遅刻…する…」

瞼を開こうとするが鉛の様に重く感じ、開くどころか完全に閉じてしまい眠りについてしまった。

 

 

「チュー!!…」

「ん?…四葉…」

「チュー!!チュ〜!!」

四葉の鳴き声と擦れる感覚で軽く目が覚める。

「チュー!!」

「どうしたの四葉?」

顔を上げると、慌てている四葉が前足で俺の手を軽く引っ掻いていた。

「チュー!!」

「あれ四葉…俺寝て…って!!今何時!?」

慌てて時計を確認すると、何時もなら電車に乗っている時間になっていた。

「ヤバ!?遅刻する!!、四葉起こしてくれてありがとう!」

四葉を落とさないように手に載せケージに戻し、急いで身支度を済ませ会社に向かった。

 

 

「ハァ…遅刻かな…」

つり革に掴まり下りる駅が近づくにつれ、憂鬱な気分になっていく。

「で…でも走れば何とか間に合うはず!…」

やがて下車駅に近づいた電車が減速を始める。

「すぐ改札を抜けられる様にパスケースを出してっと」

電車が完全に停車しドアが開き、全力で走り出す。

 

 

「良かった…どうにか間に合いそうだ」

駅から走る事数分、時間に少し余裕ができ早歩きに切り替える。

「ふ…二葉く〜ん…ま…待って〜」

「ん?…あ!ひふみさんおはようございます」

苦しそうな声で呼ばれその場で止まり、振り向くとひふみさんが息を切らしながら俺の方走り寄って来ていた。

「お…おはよう…ハァ…ハァ…二葉…君」

「大丈夫ですか?…この時間にここにいるって事はひふみさんも遅刻ですか?」

とりあえず苦しそうなひふみさんの背中を擦り、ゆっくり歩き始める。

「ありがとう…もう…大丈夫だよ…私は遅刻じゃなくていつもの時間…だよ」

「え?駅から走ってきたんじゃないんですか?」

「違う…よ?…歩ってたら…二葉…君が走って…私を…追い抜いていったらから…追いかけたの…二葉…君は駅から…走ってきたの?…」

「はい、遅刻しそうだったので…」

「それなのに…息がきれてないなんて…凄い…ね!…私は…ちょっと走った…だけで…バテバテだよ…それに…しても凄い…クマだね?…」

「アハハ…実は昨日寝れてなくて…二度寝をしてしまって遅刻しかけたんですよ…四葉が起こしてくれたんですよ」

「可愛い!!四葉ちゃんは本当に二葉くんに懐いてるんだね!」

「あ!ハァハァ…二葉くん〜ひ…ひふみ先輩〜」

情けなさを感じながら苦笑いで今朝の事を話すとひふみさんが自然な笑を零し、言葉のキャッチボールをしているとまた苦しそうな声で呼ばれ、ひふみさんと共に振り返る。

「あ!ゆんさんだ」

「そ…その後にも…誰か…いるよ?」

「あれは?…青葉ちゃんですね」

かなりの距離を走ってきたらしく、フラフラになりながら走るゆんとそれを追いかける青葉ちゃんと言う光景が目に入る。

「ゆ…ゆん先輩〜ハァハァ…私もう走れませ〜ん…ハァハァ…きゃ!?」

「アカン!!青葉ちゃん!!」

「青…葉ちゃん!?」

「青葉ちゃん危ない!!」

歩っているのか分からないスピードで走る青葉ちゃんが自分の足に躓き、そのまま転んでしまった。

 

 

「あれ〜今日は随分と寂しいな?」

珈琲を淹れ自分のデスクに戻ろうとした時、始業時間の割にやたら静かな事に違和感を感じ、二葉達のいるブースを覗くとはじめ以外誰も椅子に座っていなかった。

「まだ連絡がないから少し遅れてるんじゃないかしら?」

「…二葉…もしかして私のせいで…」

「コウちゃん何か言った?」

「え!?い…いや何でもない!」

突然りんに顔を覗き込まれ我に返る。

(二葉…大丈夫かな…このまま会社を辞めるとか…ならないよね?…)

「八神さん顔色悪いですけど大丈夫ですか?」

「ん?…あ…あぁ全然いつも通りだよ!全く!4人も遅刻だなんて気がゆるんでるのかな?ここは厳格な態度で接するべきだな!」

「はじめぇそれ失敬過ぎない?」

『おはようございます』

「あ!ちょっと4人揃って遅刻って!?青葉どうしたの!!」

二葉達の声に何事も無かったと安心し、立場上遅刻の事を注意するべく入口の方に体を向けると、右膝を擦りむき血を流し、目の下に濃いクマがある二葉にお姫様抱っこをされている青葉の姿に驚き思わず珈琲のカップを落としそうになる。

「青葉ちゃんどうしたの!?」

「ゆん一体どうしたの?」

りんやはじめもその光景に驚いている。

「会社の前まで走ってギリギリ始業時間に間に合いそうだったんですけど…」

「青葉ちゃんが転んでしもうて…」

「鞄…の中身が…全部出ちゃって…」

「それを拾ってたら始業時間を過ぎてしまい、おまけに青葉ちゃんが怪我をしてしまって…俺が運んで来たんです…」

「転んだって!!大丈夫なの?青葉、救急箱何処だっけ?」

「はい…ちょっと痛いですが…大丈夫です」

「俺、消毒液とか絆創膏持ってるんで大丈夫ですよ」

そういい笑う二葉だが、明らかに無理に笑っている。

「そ…そう?じゃあ青葉の事任せるから、今日の所は遅刻じゃない事にしといてあげるけど後で遅刻届はだすように」

『分かりました』

それぞれ自分のデスクに行き椅子に座り仕事を始めるが、俺は青葉ちゃんのデスクに行き椅子に座らせ手当を始める。

「ちょっとしみるけど我慢してね」

「あ…あの!…」

「ん?」

「手を…握っててもいいですか?…ちょっと怖くて…」

「いいけど、ティッシュ当ててないと消毒液が垂れちゃうよ?」

「ティッシュは自分で抑えるので大丈夫です」

「そう?じゃあ垂れない様にお願いね」

「はい!」

ティッシュを抑えるのを青葉ちゃんに任せ、空いている左手を差し出す。

「うぅ…ちょっと怖いなぁ…あ、二葉さんの手…大きくてあったかいですね!」

「え…そうかな?…」

コウさんと同じ事を言われ昨日の事を思い出し、チクリと心が痛む。

「なんか安心します!」

「そっか、じゃあ消毒するね」

「は…はい!」

消毒液が傷口に付いたとたんに青葉ちゃんの顔が苦痛で歪み、体がビクンッと跳ね上がった。

「痛ッ…クッ…」

「もう少しだから我慢して青葉ちゃん…」

「は…はい…」

左手に青葉ちゃんの温もりを感じ、昨日のコウさんとの出来事を思いだしながら擦りむいた箇所に消毒液を付けていく。

「終わったよ、後は絆創膏を貼るから手はなすよ?」

「は…はい…うぅ…痛かったです…」

「アハハ良く我慢出来ました、偉い偉い」

いまだに涙ぐむ青葉ちゃんの膝に絆創膏を貼り終え、傷の手当が全て終わった。

「ありがとうございます二葉さん!ゴミは私が片付けますね…いッ…」

「青葉ちゃん!?」

血の付いたティッシュ等をゴミ箱へ捨てるべく椅子から立ち上がった瞬間に、傷とは別の痛みに襲われ椅子に崩れる様に座った。

「イタタ…転んだ時に足首を捻ったみたいです…」

「青葉…ちゃん…大丈夫?…」

「なんや足首を捻ってもうたんか、青葉ちゃん大丈夫?」

「ひふみさん、ゆんさんすいません…少し痛む位なので大丈夫ですよ」

「無理はダメだよ青葉ちゃん、一応腫れてるか見るから」

「いや…あの…二葉さん…」

「ん?」

靴と靴下をぬがし足を自分の膝に載せようとした時、何故かモジモジして膝に足を載せない青葉ちゃんを不思議に思い首を傾げる。

「二葉くんちょっと耳貸して」

「はじめさんどうしたんですか?」

はじめさんに手招きされ近づき、はじめさんの方に耳を向ける。

「…足を膝に載せちゃったら角度的にほら…見えちゃうから…あれが…」

「あ、ごめん青葉ちゃん!!そこまで考えて無かったよ!!」

はじめさんから理由を聞き、慌てて青葉ちゃんに頭を下げ謝罪をする。

「い…いえこちらこそすいません…」

「後は私がやるよ、テーピングなら持ってるから」

「すいませんはじめさん、お願いします」

青葉ちゃんをはじめさんに任せ、自分の仕事に取り掛かった。

 

 

数時間後のお昼休み。

青葉ちゃん達はお昼ご飯を食べに外出中で、俺は食欲がない為、睡眠欲を優先させキャラ班のブースで仮眠をとる。

「二葉」

眠りについてからどれ位経ったのかは分からないが、誰かに名前を呼ばれ体を揺さぶられる。

「二葉、二葉ってば」

「その声は…ひふみさんですね?」

「人が本気で心配してんのにボケんな!」

「痛い…」

頭を少し強めに叩かれ体を起こすと、横にコンビニの袋を持ったコウさんが立っていた。

「イタタ…どうしたんですかコウさん?」

「寝不足大丈夫?…」

「大丈夫です、少し寝たら大分楽になりましたから」

「そっか…なら良かった…お昼は何か食べた?」

「いいえ、食欲なくて…」

「でも何か胃に入れとかないと持たないよ?…私が食べさせて…あげようか?…ツナマヨおにぎり」

ゆんさんの椅子に座りコンビニ袋からおにぎりを取り出し、フィルムを向いていく。

「…食べます」

「ほい、あーん」

「あーんッ」

「美味しい?」

「はい、美味しいです♪」

「私達のしてる事変だよね…付き合ってる訳じゃないのにさ」

「…友達以上恋人未満って感じ…ですよね…ごちそうさまです」

「お粗末様…」

おにぎりを食べ終わると、気まずい空気が流れる。

「何か変な関係になっちゃったね…」

「ですね…でも今まで通り普通に接して下さい…もう勘違いしたくないので…」

「二葉がいいなら…」

「あの、高坂二葉さん居ますか?」

「俺ですけど?」

「あれどうしたの阿波根?」

気まずい空気を裂くように声をかけて来たのは、入社したばかりの時にディレクターであるしずくさんを乱暴に引っ張っていった、阿波根と呼ばれている色黒の女性だった

「阿波根さん?…変わった名前ですね?」

「阿波根は苗字です、名前はうみこと言います、実は二葉さんに話がありまして」

「話ですか?」

「はい、今日仕事が終わった後にプログラマー班と複数人でサバゲーをやる予定だったのですが、プログラマー班以外の人が来れなくなってしまって…そしたらしずくさんがキャラ班の高坂二葉と言う人のデスクに銃が飾ってあると聞いたのでもしかしたらと思ったのですが…仕事終わりに私達とサバゲーしませんか?」




「皆さんこんにちは!次回予告の司会の二葉です!今回のゲストはこの方!」
「こんにちは、キャラ班のうみこです」
「うみこさんはサバゲーが趣味なんですよね?」
「えぇ!何時撃たれるか分からないスリルや敵を倒した時の気分の良さが何とも言えないんですよ!」
「あ!それ分かります!ピンチからの逆転勝利とかも気持ちいいですよね!」
「二葉さんとは良い戦友になれそうです!では次回、血塗れの髑髏(ブラッディスカル)皆さん見てください」
「お楽しみに!」

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