Side一誠
「それは!…」
「そうか、使えというんだな!…」
以前ユイリちゃんから摘出していた悪魔の駒が突如の予想外な変化を引き起こし黒色だった駒は霞がかった白銀色の駒へと変わったのだ。
もしかしなくても俺の破壊神の力に駒が反応してこの様な変化を起こしたのか?…霞がかっているのは俺が破壊神だからだろう。
ならばと思い俺はその名付けて「破神の駒」をアーシアの亡骸へと翳し魔力を注いだ。
「うーん…あ、あれ?私…」
「アーシア!」
「い、生き返ってよかったっす~!」
「ええ!?私が…」
しばらくして駒の力により俺という神の眷属として転生を果たし目を覚ましたアーシア。
成功だ!
レイナーレとミッテルトは驚きながらもアーシアの生還に涙していた。
「なんだか温かい感じがします!…」
「アンタ、一体何者なの?…」
「はは、只一つの国を統べる王だよ」
「…そういう事にしておいてあげるわ…」
後日、レイナーレ達はドーナシークらが引き起こした事件の報告をする為に堕天使領へと帰っていった。
帰る場所の無いアーシアだったが俺の眷属となっていた事で屋敷で一緒に暮らす事となった。
その際、彼女には真実を打ち明けて驚かれた。
後、あの破魔の駒を急遽作って嫁達に形式上の役職を与えた。
女王【クイーン】ユフィナ
僧侶【ビショップ】アーシア リンゼ
戦車【チャリオット】アコ エルゼ
騎士【ナイト】ラーシア
兵士【ポーン】ローナ スゥ サフィア…といった感じだ。
「というかちゃっかりアーシアが嫁入りになってない?…」
「違う違う!アーシアはほら、アレだ!娘みたいな存在だよ!」
「どうだかねぇ…」
エルゼにジト目でそう言われるが俺はそう言う。
納得はしていないみたいだが…。
「それとですがてっきり女王は私ではなくローナさんかサフィアさんのどちらかだと思っていたのですが…」
「ローナはほらあまりこういう事は得意ではないし、サフィアは元居た国が国だったからな…その点ユフィなら安心して任せられるからな!」
「あ、ありがとうございますわ!…」
恐らく能力的に「騎士」だろうと思っていたユフィナにそう言われ俺はそう返答した。
まあまだ未熟なスゥ以外は「昇格」【プロモーション】を使えばなれるからな。
「よっしゃ!今日はアーシアの歓迎会と洒落込もうぜ!」
「そうね」
「あわわ…これからよ、よろしくお願いします!」
俺達はアーシアの歓迎会と称して予め予約していた店へと出向き彼女を歓迎した。
数週間後、Side成也
「ふはははっは!弱小過ぎるにも程があるぞリアスの兵士の赤龍帝の小僧、このゲーム俺の勝ちだな!」
「く、糞が!…」
先日、主であるリアスを強引に花嫁としようとするフェニックス家三男坊であるライザー・フェニックスとの非公式のレーティングゲームで戦う事になり十日の猶予を与えられたグレモリー眷属の鍛錬合宿の最中、成也は非常に焦っていた。
アーシアがグレモリー眷属とならず行方不明になっているのだ。
レイナーレや他の堕天使の姿、何故か訪れていた一誠の姿すらも確認出来ず、目を覚ました成也が目にしたのはフリードを含む数十人のはぐれ神父が荒れ果てた教会で気絶させられているだけの光景だった。
ドーナシークは一誠が骨も残さず殲滅させられ、彼に協力していたカラワーナやエルゼ達が裏方で倒した堕天使達は一誠からレイナーレ達に身柄を引き渡され「神の子を見張る者」【グリゴリ】にて投獄されている。
アーシアが人の身で破壊神となった一誠の神の眷属として生まれ変わり保護されているなどという真実を知る由もない成也には八つ当たりする事しか出来ない。
迎えたゲームの日、ライザー眷属の少女達に習得した「洋服崩壊」【ドレスブレイク】を繰り出し彼女達を痴態を目に焼き付けるものの何故か満たされない。
アーシアという回復役がいないせいか原作よりも遥かに早くライザーの女王であるユーベルーナの策によって他のグレモリー眷属が次々と撃破されていってしまう。
更に焦りを生じた成也はドライグに「禁呪化」【バランス・ブレイク】の為の代価を差し出し歎願。
仕方無く歎願を聞き入れたドライグの力を解放しユーベルーナを撃破し、ライザーに挑戦するものの真の力の解放とは言い難い程度の力などでは上級悪魔で不死の力も持つライザーには到底及ぶ筈が無く呆気無く返り討ちにされリアスがサレンダーした事でゲームに敗北した。
尚、彼はダメージの蓄積が予想よりも酷くしばらく目覚めない事になる。