Side一誠
「…」
サフィアとの思わぬ形での再会を果たし俺は彼女が奪還した奴隷達の隷属化の首輪を外しながら少しばかり思案していた。
「ローナ、ちょっと良いか?」
「何?…」
俺はローナを呼びとある案を入れた。
でもそれは彼女が傷付くのを強要するような悪手だ。
「良いよ…魔王様がそう言うなら…」
「ローナ…!」
ローナは俺の悪案を快く受け入れてくれるが正直言って心苦しい…金輪際二度と使う事はないだろうなのにだ…。
その後、サフィアにもその案を話すと驚かれるがそれで父親達の心が分かるならと受け入れてくれサンドラ王への諸見アポを取ってくれた。
翌日、俺は自身にミラージュをかけ奴隷商人へと化け、みずぼらしくなって首に鎖を繋がれたローナを引き連れてサンドラ王城へと足を踏み入れる。
「ほう、妖精族の奴隷か。
してその方が隷属化の首輪よりももっと効率の良い物を開発したという話を娘から聞いたのだがそれは本当であるか?」
「はい」
「はん!たかが奴隷一人連れてきた所で父上に諸見しようとするとは何事かとは思ったが…それが本当なら計画を練り直さないとなあー~?」
女性奴隷に酒を注がせながら過剰な金装飾の玉座へと踏ん反り返る豚…おっとすまん奴がこの国の三代目国王であるアブダル・ジャーバ・サンドラ三世か。
うん…どう見ても真面に国政をしているとは思えない風貌だな。
そしてアブダル王の隣に居るのが息子のアブガル王子か…物凄ーくかなりいやらしい笑みを浮かべてやがるな。
とてもサフィアと血の繋がった者達だとは到底思えないな。
周囲の重鎮であろう役人達も同じ様な顔にしているから、サフィアも顔を引き攣らせていた。
それにアブダル達はローナの事を覚えてないみたいだがこれについては都合が良いとみるべきか。
「…では早速性能の方をお見せ致しましょう」
「あっ!?…」
「!…」
俺は腕を振り上げローナに付けた首輪に付いている鎖を彼女の胸元へと目掛けてその鎖を突き刺した。
「奴隷動け」
「はい…」
虚ろな目となったローナに俺は命令する。
「一体これは?…」
「簡単に御説明致しますとこの隷属化の鎖首輪は嵌めた奴隷から自らの意志をも奪う事が可能になる物です」
「ほう、命を盾にするだけの面倒な隷属化の首輪では成し得なかった奴隷の最も良い効率化を図った物か!
これは良いな!買わせて貰うぞ!」
アブダルはさも当然というかのように俺の作った隷属化の首輪にモデリングを施して作った隷属化の鎖首輪の性能を見て即決してきた。
「…ではお代を頂きますか。
お代はアブダル・ジャーバ・サンドラ!アンタを含むこの国の命そのものさぁ!」
俺はミラージュを解き宣戦布告を兼ねて重鎮の一人にショックボルトを浴びせるのだった。