Side一誠
アスタルに続いてレスティアの街、メリカまでもが邪神フレイズの襲撃を受けた。
どうやらメリカの領主が王都から最も離れているのをいい事に好き勝手放題し不要な過酷な税金や労働を強いていたようなのだ。
おかげで街は負の感情に溢れ奴等の格好の餌食とされてしまった。
そしてその翌々日、今度はリーフリースの港町が狙われてしまった。
どうやら強欲な商人のせいでまたもや負の感情に溢れてしまっていたみたいだ。
幸いなのがフレイズ化させられたゾンビが一般冒険者でも対処し易いことだった。
あの老害ニート神め…早急に見つけ出してどうにかしなくてはな…。
PiPi!その時、ギルドから連絡が入る。
「『双王陛下!件の魂喰いのフレイズが今度は旧ユーロン南部の街、チュンユンに出現しているとの報が!』」
「何!?すぐに迎撃に向かいます!」
「よっしゃ!」
レリシャさんからそんな知らせを受けこの機を逃すまいと俺達は即座にチュンユンに向かった。
「ぎゃあああー!?……」
「チッ!?遅かったか!?」
チュンユンに着くと断末魔の悲鳴が聞こえてくる。
その悲鳴が聞こえてきた家屋から何か黒い物体が飛び出していったのを確認する。
「生存者の確保は皆に任せる!
俺と冬夜がフレイズを!」
「分かりましたわ!御武運を!」
「おう!いくぞ冬夜!」
「ああ!神気解放!」
嫁達に生存者の救護を任せ俺と冬夜は神気を解放し先程の物体を急いで探す。
「其処かっ!」
どうやら向こうも気付いたようで即座に晶剣を抜き応戦する。
『ほうその忌々しい神気…あの時儂の計画を台無しにしてくれた小僧か!
』
「今度は一体何を企んでいやがる?!
一体何処でフレイズの力を手に入れた!?」
『知れた事よ。
この世界を破壊し尽くしあの老いぼれに手を引かせて今度こそ儂の物とするのだ!
この力は向こうの協力者に渡されたのだよ!』
「ふざけやがって!…」
この屑が支配種フレイズと手を組んでいるとは予想外だった。
『兎に角剣神達にまでやって来られると面倒じゃ!
此処で貴様を消してやるわ!』
「チィッ!?…」
老害屑神の繰り出した神気によって俺の晶剣が折られる。
「だけど俺だけに集中していて良いのか?」
『何っ!?…はっ!?…」
「でやあー!」
『ぬおおおおー!?』
俺にばかり敵意を向けていたおかげで奴は冬夜の攻撃に対応出来ず一撃を貰う。
「どうだ!?」
『お、おのれ!…ならばいけ儂が生み出した邪神フレイズよ!』
「guaaa-!」
「!」
屑神は冬夜の攻撃によって吹き飛ばされる。
不味いと悟ったのか先程目撃した黒い物体、奴が生み出した邪神フレイズに命令する。
が…
『がっ!?…なんで…?…』
咆哮した邪神フレイズはそんな奴の命令なんて何処吹く風と言わんばかりに屑神に喰らいついたのだ。
『ま、真逆!…おのれユラめ!…神たるこの儂を裏切りおったな!…おのれ、オノーレエェェー!……』
「…」
奴は断末魔を上げそのまま邪神フレイズに喰われ尽くされ消滅してしまった。
ユラ…それが奴に力を与えた支配種!…
「来るぞ!」
「散開!」
「グルァァァー!」
屑神の力をも取り込み更に強化されてしまった邪神フレイズは先程よりも鋭い咆哮を上げ禍々しい神気を俺達に向けてぶつけてきた。
「FGを…!?」
FGを呼び出そうとすると不意に地面が揺れ出す。
「『揺り起こし』か!」
揺り起こしが起きた事で強化邪神フレイズは次元の穴へと引き戻されてしまった。
糞っ!?取り逃がしてしまったか!…
「ならば今やるべき事は一つか!…」
俺達は帰還し保護したチュンユンの生存者をユフィナ達の魔眼で選別した後、俺はある準備に入った。